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トランプはなぜ勝ち続けるのか?
米国民の本音を現地で徹底調査(上)

長野美穂
2016年3月14日
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トランプ旋風が止まらない――。このままいけば、共和党の大統領候補者レースを制し、ひょっとしたら「トランプ大統領」が誕生する可能性すら出てきた。

3月1日に行われたアメリカ大統領選における最大の地方予備選挙、スーパーチューズデイで圧勝したドナルド・トランプ氏。その過激な発言に賛否両論が飛び交い、ついに最新の民主党公開テレビディベートでは、「トランプ氏はレイシストか?答えてほしい」という質問が、ヒラリー・クリントン候補に直接ぶつけられた。共和党内部のエリート層は慌てて「トランプを止めろ」運動に血道を上げるが、「トランプフィーバー」はすでに一大社会現象に育ってしまった。

トランプ氏の「大統領の資質」が取り沙汰されるなか、不安を抱く日本人も多い。同盟国である日本にとって、新大統領が打ち出す経済、外交、安全保障政策の影響は計り知れないからだ。彼はなぜこれほどの注目候補になれたのか。「トランプ派」「反トランプ派」の両方に現地で聞き込み取材を行ない、彼らの本音を徹底的に探った。(取材・文/ジャーナリスト 長野美穂、本文中敬称略)

「トランプ大統領」を求める
米国民の知られざる声

トランプ旋風が止まらない。このままいけば、「トランプ大統領」が誕生する可能性すら出てきた。米国民はなぜ彼を支持するのか。現地で本音を探った Photo:REUTERS/AFLO

 「私、トランプがテレビでは見せない、ソフトで人間的な面を実際に見たことがあるの」

 そう語るのは、カリフォルニア州クレアモントに住むジュディ・ニール(68歳)だ。

 地元の共和党クラブの長を務める彼女のイチオシはテッド・クルーズ候補だが、トランプがもし共和党の指名を受ければ「100%のエネルギーを注いでトランプを大統領にする」と断言する。ニールは、違法移民によって殺害されたアメリカ市民を追悼する会「We The People Rising」の集会でワシントンDCを訪れたとき、トランプに初めて会った。

 「ギャング活動や飲酒運転する違法移民に殺された市民が、実は全米にたくさんいるんです。そんな犠牲者を追悼するキルトを縫って展示していたら、トランプが『これは何?』と近づいてきたの」

 トランプは犠牲者の家族に歩み寄り、キルトを手に取り、彼らの話に耳を傾けたという。

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長野美穂(ながの・みほ)/東京の出版社で雑誌編集記者として働いた後、渡米。ミシガン州の地元米新聞社でインターン記者として働き、中絶問題の記事でミシガン・プレス・アソシエーションのフィーチャー記事賞を受賞した。その後独立し、ネイティブ・アメリカンの取材などに没頭。ボストン大学大学院を経て、イリノイ州のノースウェスタン大大学院でジャーナリズムを専攻。カリフォルニア州ロサンゼルスの米新聞社での記者を務め、フリーランスジャーナリストとして活動している


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