増税勢力は、震災後すぐ稼働した
東日本大震災から5年がたった。3月11日のテレビではこれまでの5年を振り返った放送が多かった。筆者は5年前の3月11日は大阪にいたので、大震災はほとんど体感しなかったが、東京の家では本箱、コンピュータが倒れて大変だった。当日は新幹線が動かなかったので大阪に一泊して、翌朝早くに東京に帰ってきた。
大震災の状況は大いに気になったが、その過程で、当時の菅政権が野党の自民党・谷垣禎一総裁と組んで「復興増税を企んでいる」という情報が入ってきた。
これは経済学を学んだ人なら、すぐ間違いとわかる政策だ。課税の平準化理論というものがあり、例えば百年の一度の災害であれば、100年債を発行して、毎年100分の一ずつ負担するのが正しい政策である。その当時、大震災という重大事に何を考えているのかと大いに憤った記憶がある。
そこで大震災直後、2011年3月14日付けの本コラムで「「震災増税」ではなく、「寄付金税額控除」、「復興国債の日銀直接引受」で本当の被災地復興支援を 菅・谷垣『臨時増税』検討に異議あり」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2254)を書いた。正直言えば、大震災直後の人命救助が重要なときに、復興モノを書くのはためらったが、時の菅政権のあまりの非常識に怒ったわけだ。
このときの増税勢力は勢いがよかった。大震災で、多くの人が被災者を助けたいという「善意」を悪用して、復興増税は結果として行われた。
経済学者も情けなかった。そのとき、経済セオリーを主張する者はほとんどおらず、逆にセオリー無視の復興増税を推進した人たちのリスト http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm)は以下の通りだ。
一流と言われる学者たちでもこの有様なので、社会からの信頼を大いに落としただろう。
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