「日本の安倍晋三首相が(米議会)上下両院で演説する際に歴史が歪曲(わいきょく)される事態を防ぐため、韓国政府はそれまで使っていたロビー会社F社、S社、T社に加え、新たにB社も使うことにした。これに対抗して日本政府も新たに設立されたD社を追加で雇用した」。これは2015年4月に米国メディアが報じた内容だ。日本が雇用した「D社」とは、民主党所属で上院院内総務を務めたトム・ダシュル氏が設立したロビー会社だ。
ワシントンには現在、歴史問題に関して韓・日の両政府が雇用しているロビー会社が10社近くある。こうしたロビー活動は国益のために必要不可欠だという側面もある。ただし、われわれには知っておくべきことがある。米国は「言葉」が重要な国だという点だ。韓国は血縁的共通性にアイデンティティーを見いだす。そのため歴史について話すときも「わが国の少女たちが日本の軍隊に連れていかれ、苦労した」というフレームを使用する。他国(日本)の悪行とわれわれ(韓国)の悲しみを対比させれば、米国も当然われわれに共感するだろうと考える。しかし米国は、多人種の集まる合衆国だ。米国の人々は自由・公平といった抽象的な概念を基に論理を展開する。
米国人を相手に韓国の利益を拡大するための最も効率的な方法は、これまでのように韓国の「恨(ハン=晴らせない無念の思い)」を強調して情に訴えることではない。米国が納得できる正確かつ説得力のある言葉で「日本の歴史観を容認することは、普遍的な自由と正義に反する」と米国の政策決定者らに「請願」することだ。