[東京 13日 ロイター] - 複数の関係筋によると、日銀は3月14、15日に開く金融政策決定会合で、マネー・リザーブ・ファンド(MRF)の資金に関し、日銀当座預金におけるマイナス金利の適用除外にするかどうか議論する公算が大きくなっている。決済機能を持つMRFは、証券投資の重要な受け皿となっており、証券業界が適用除外を要望しているが、緩和効果への影響の観点から日銀内に慎重な意見もあり、結論が出るか流動的な要素も残されている。
MRFは、株式や投資信託の買い付け・売却資金の一時的な滞留先として利用され、今年2月末の残高は10兆0720億円。短期国債やコマーシャルペーパー(CP)などで運用されているが、日銀のマイナス金利政策の導入によって運用環境が悪化。元本割れのリスクが高まっている。
このため投資信託協会などは、信託銀行を経由して日銀の当座預金に入る資金をマイナス金利(現行マイナス0.1%)の適用対象外とするよう要請している。
11日に会見した投資信託協会の幹部は、日銀への要請について「MRFの性格について十分配慮し、対応をお願いしたい」と表明。ただ、現時点で「特別(日銀から)感触を受けていることはない。引き続き対話を続けていく」としている。
複数の関係筋によると、日銀も対応策の検討を始めたもようだ。マイナス金利という新たな金融環境への対応を促すために、日銀の見解を早めに示す必要があるとの声も一部にある。
適用除外を容認する声の背景には、政府が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れの中で重要な役割を担う商品の性格を重視する見方がある。
マイナス金利政策の狙いの1つであるポートフォリオ・リバランスを促すためにも、マイナス金利の適用対象外とすることに意味があるとの見方だ。
このため次回14、15日の金融政策決定会合で対応策が議論される公算が大きくなっている。MRFを例外扱いとする場合は、基本要領の改正が必要になる。
ただ、MRFを例外扱いとした場合、政策効果への影響の程度や他の商品についても同様の取り扱いを求める声が出てくる可能性をにらみ、慎重に対応すべきとの声もある。
日銀内の見解がまとまらない場合は、結論を先送りする可能性もあり、なお流動的な要素も残されている。
日銀広報課のコメントは得られていない。
(伊藤純夫 取材協力:木原麗花 江本恵美 和田崇彦 編集:田巻一彦)