【コラム】韓国は東アジアの「火口」になってはならない

米中対立は地下でのみうごめくわけではない
安全保障の「オーバーシューティング」で南・東シナ海のマグマまで噴出させてはならない

 同盟の限界はどこにあるのだろうか。韓国は、韓米同盟の本質から明確にすべきだ。米国が、中ロを相手にする「アジアのパートナー」と規定している国は日本だ。韓国の立場は、時代によって揺らいできたが、北朝鮮を抑える「地域パートナー」という立場を越えたことはない。いわば、日本の後背地だ。日本列島は、中・ロの東アジア海上ルートを同時に封鎖している。日本にロケット技術を丸ごと与え、プルトニウムの生産・保有を認めるという米国の恩恵は、こうした地政学的価値から来ている。従って、アジアで米中対立をまず代理すべき資格と責任は、日本にある。

 「オーバーシューティング」という金融用語がある。衝撃が発生したとき、金融市場のプレーヤーが過度に反応する現象のことを指す。過敏な反応は徐々に鎮まり、新たなバランスへと収束する。市場はこのとき、山場をつくり出す。相手のオーバーシューティングに、ハチの群れのように飛び掛かって利益をかすめ取るのだ。最もオーバーな反応をした者が、最も大きな損害を被る。安全保障のオーバーシューティングは、損益だけでなく生死にまで関与しかねないというところが違う。

 きのう、韓国政府が北朝鮮制裁を発表した。開城工業団地の稼働中止を含め、取り得る圧迫手段は全て動員した。残るは、しっかり履行することだけだ。同時に、韓国政府の対策の中に、過敏な反応に当たる部分がないかどうかもチェックしなければならない。表に出さず静かにやるべき重要な課題も選別し、推し進めなければならない。韓半島は国際的な空間だ。こういう国の指導者には、時としてずる賢さも必要になる。それでこそ「活火山の火口」役を避けることができる。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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