6・25当時、東アジアの火口は韓半島だけではなかった。台湾に対する中共の全面侵攻は秒読み段階にあった。日本は、米国の占領終結後にソ連が侵攻してくることを恐れた。「イデオロギー対立」というマグマが、台湾や日本で噴出してもおかしくなかった。この状況で、韓半島の火口が開いた。台湾海峡に集結していた中国の兵力が鴨緑江に移動し、米国は日本に軍需基地を置いた。韓国は廃虚と化したが、台湾は生き残り、日本は繁栄した。
大国の対立は、今も続いている。米ロ対立は、既にウクライナで戦争という形で噴出した。米中対立もまた、地下でのみうごめくわけではないだろう。現在の東アジアの火口は、南・東シナ海と韓半島の計3カ所。数年前は東シナ海がぐらぐらと煮えたぎり、最近は南シナ海が熱い。北朝鮮の核をめぐって、韓半島も温度を上昇させている。
中国の当面の目標は、南・東シナ海ルートを確保して太平洋に進出することだ。ここで日本とベトナムが中国と対立している。これらの国々は、韓半島問題をめぐる最近の米中対立に口をつぐんでいる。その沈黙の意味を読まなければならない。韓半島の対立が、自国の沖合にまで拡大するのではないかと恐れているのだ。その国々がそうしているように、韓国も、その方面に手を出してはならない。最も警戒すべきは、内部の論理にとらわれ、南・東シナ海に蓄積された対立のエネルギーを韓半島の火口から一挙に噴出させてしまうことだ。
韓国にとって米国は「血盟」だ。3万6574人の米軍将兵が韓半島で命を落とした。韓国が北朝鮮との軍備競争を避け、こんにちの繁栄を享受できるのも、在韓米軍のおかげだ。借りを返すには程遠い。とはいえ、対立まで代理することはできない。