【コラム】韓国は東アジアの「火口」になってはならない

米中対立は地下でのみうごめくわけではない
安全保障の「オーバーシューティング」で南・東シナ海のマグマまで噴出させてはならない

【コラム】韓国は東アジアの「火口」になってはならない

 言語には、思考を閉じ込める力がある。本紙が「韓国戦争」という単語をできるだけ使わないのも、そのせいだ。小学生のころ学んだ通り、6・25戦争(朝鮮戦争)は南北の内戦ではなく、米ソ中英仏など当時の全ての大国が関与し、戦後の冷戦秩序を規定した、世界史的な戦争だった。「韓国戦争」という単語は、思考をローカルな空間に閉じ込める。思考が閉じ込められると、本質を見ることができず、誤った教訓を引き出すことになる。

 6・25が国際戦争になったのは、大国がからむ韓半島(朝鮮半島)の国際性のためだった。当時、まさに北朝鮮の政権が、こうした特性を見過ごしていた。だからこそ「速戦即決で南を接収できる」と公言したのだろう。ところが北朝鮮は、韓国のほか16カ国を相手にしなければならなかった。満州に追い払われる直前、中国を引き込んだことで、ようやく自分たちの土地の特性を悟ったのかもしれない。北の愚かな失敗は、南にも大きな教訓を残した。韓半島の運命は、誰かの意志だけで決めることはできない、というものだ。

 逆のケースも同様だ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記の暴政がここまできたら、直ちに北朝鮮指導部と核基地を攻撃し、休戦ラインを突破して、北の同胞を救うのが正しい。「われらの土地、われらの同胞なのに、誰が遮るだろうか」という主張にも正当性はある。しかし、そうすることはできない。戦うのが怖いからではない。大国の同意なき現状変更は、大国を呼び込むからだ。そうなると、何も得られない。韓半島の地政学的現実がそうなのだ。正当性や名分がどれほどあろうと、66年前に北朝鮮が犯した愚かな誤りを、誰も繰り返してはならない。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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