。.*三日月姫*.。
- 。.*首*.。
。.*200*.。
。.*200*.。
「で、なんでそんな生首みたいな事になってんの?」
「遠慮の塊だから?」
「何それ」
6人それぞれ。結友ママは河野さんと喋ってるし、その横の2人は じっと河野さんを観察してる感じ。1人は電話を触って、後の2人は・・・
「、……、」
「ねぇねぇ、付き合ってるの?」
「うん。」
嬉しそうに笑って言った姫の「うん」に・・・・ドキドキ。あたし・・・・“彼女”?姫の・・・・
「いいよねー若いって、青春って、思い出話も楽しかったけど、やっぱり目の前で見たら、なんかきゅんきゅんするわー」
「あんた、さっきもきゅんきゅんしてたじゃん」
顔がにやけそうになるのを、抑えられない。恥ずかしいけど、嬉しい・・・。あたしと姫・・・付き合ってる・・・?
「依織ちゃん」
俯いてるあたしに、姫が話しかける。姫のほうを見たら、河野さんと話してる結友ママのほうを、チラっと見ながら言った。
「あの人、依織ちゃんの友達のお母さんだよね、」
「……・・・・」
あたしが結友と友達って・・・、姫知ってるの・・・?部活が忙しい結友と一緒に居る事は滅多にない。だから結友と一緒に居る時に、姫と会った事なんてないのに・・・、
「俺、付き合ってるとか、言っちゃったけど・・・、大丈夫、?」
「俺、付き合ってる」に、また・・・、きゅんって、する。
「結友と、友達って・・・・」
「前に、体育館で・・・・喋ってなかった、?俺、見たけど、」
「体育館・・・」
頭に体育館が浮かんだけど「俺、見たけど」に、あたし姫に見られてたの、?ってドキドキする。
でも・・・あたしと結友より、結友と滅多に見れない結友ママを、親子だってくっつけるほうが不自然・・・。
「あ・・・、ら、依織ちゃん、?」
姫に聞く前に、結友ママに名前を呼ばれた。
「あ、こんばんは…、」
「やっぱり!えぇー!まだ帰ってなかったの!?」
「はい、」
結友親子を、親子だと知ってる姫に・・・・何故か結友ママは、話しかけない。
「え・・・、と、こんばんは、」
「こんばんは。」
話しかけても遠慮がち。と、言うか、姫は普通に笑って挨拶してるのにママは初対面っぽい。
「え、と・・・、依織ちゃん、」
「はい、」
「ごめんね、ちょっと・・・、依織ちゃんお借りします、」
「ぁ、いえ、どうぞ、」
結友ママが、姫に挨拶をした後、あたしに“おいでおいで”って手招きした。って言うか、姫の堂々とした「こんばんは」の笑顔も、他人行儀な「どうぞ」も、きゅんきゅんする。何をやってもかっこよく見える。
だけど、挨拶にしろ「お借りします」も、あの青樟祭に見た結友ママの勢いと全然違う。
近づくと、あたしの背中に手を置いて、2人で姫に背を向ける形になった。
「あのー・・・、いきなりこんな事聞いて、ごめんね、?」
「はい、大丈夫です、」
「あれ……・・・彼氏、?」
聞かれた瞬間、あたしの頭の中をめぐったのは結友ママって厳しい人だっけ、とか、高1で彼氏って言ったら怒られる?とか。
だけど、結友ママにそんな印象はないし、第一、娘の前であれだけ瀬乃ファンを豪語するんだから・・・多分、大丈夫
「はい・・・、」
「……、」
だけど、返って来た反応は・・・・あたしの想像したものとは真逆。眉間に寄ったシワ。悲しそうな目。ぎゅっと結んだ唇。
“怒られる”・・・直感だった。
「ごめんなさい」瞬間的に出そうになった、悪い事をした時に言う言葉。
だけど・・・・、あたしは悪い事なんてしてない。一生懸命、本気で恋しただけ。子供だけど、一生懸命人を好きになっただけ。
「信じられない・・・・、」
「、」
何でそんな事、言うの・・・・?彼氏なんて、まだ早い・・・?子供のくせに、オカシイ?本当なら失恋してたかもしれない。姫が神崎さんと行っちゃった後、ここで泣いてるあたしと会ってたかも。
あたしが失恋してたら、結友ママは「それで良かったのよ」って言う・・・?自分の親でもない結友ママに、何て言えばいいか分かんなくて、俯いた。
「あの男の子は・・・?」
「、」
学年や名前を言えば・・・、姫が責められる事になるかもしれない。男の人を守りたいなんて、そんな風に思うなんて、思ってもみなかった。
姫の事を・・・・、守りたい。そんな初めての気持ちが、あたしの中で生まれた。
「ほら・・・、私、依織ちゃんだけ写真あげたでしょ?あの男の子、どうなったの、?」
「・・・・・え??」
「え、って・・・、まさか、結友から貰ってないとか言わないでよ・・・」
「ぃい、いえっ、貰いました、」
結友ママが、何の話をしてるか分かんない・・・。
「じゃあ、あの男の子は・・・?」