。.*195*.。


「あん時、やだった・・・、よね、……、?」


「ぃ、・・・」


「だけど、それは・・・、ほら、よーいどん、で同時に好きになるわけじゃないし、タイミングとか、色々あるし、ね?」


「うん・・・」


「……、」




待って待って、話が、姫があたしに好きって告白したみたいな感じで、勝手に進んでくけど・・・そんなの言われた覚えもないし、記憶も無い。ううん、言われて嬉しすぎて記憶を失くした可能性もあるけど、多分・・・言われてない。多分、絶対・・・、多分、?




「依織ちゃん・・・、好きなやつ居たし、しょうがねぇけど、今は・・・」




姫の丸い瞳が、あたしを見つめる。答えを、求めるように。




「すき・・・、?俺で、い?」


「……。」




だから。最初っから姫だけが好きなんだって


もう、話がすぐ前後するし、言いたい事ばっかりだし、聞きたい事ばっかりだし、神崎さんの言う通り全然話が進まない




「……。」


「ぇ、?」




姫の顔が・・・、みるみるうちにスネた顔になった。




「迷うな。スキって言え。」


「……。」




心臓病にでも、なりそう。姫と居たら、きゅんきゅんが止らない。




「も・・・、どーしょーもねぇから聞いてんの、」




「もう暁が依織ちゃんに好きって言ってたんなら、私、依織ちゃん止める必要なんてないんだよ。言ってやって。スキスキ言ってやって。この男、どんだけの不安に駆られてんのさ・・・。」


「待って下さい、」


「……、」




また急に・・・眉も目も垂れ下がって、姫の手の力が緩んだ。だから、あたしが強く握った。




「あたし・・・・他に、好きな人なんて、居ません、」


「ぉ、・・・」


「最初、から、」


「ぉ、……、?」


「初めて、会った時から、あたし・・・大野くん…、が、」




どうしよう・・・・、どうしよう!


俯いて、照れて、恥ずかしそうに、嬉しそうに、口元を緩めた姫は・・・あたしが今まで見た中で、1番・・・・、いっちばん可愛い顔をしてる!




「・・・すき、」




つられるように・・・。姫の可愛い顔を見てたら・・・、迷う事なく言葉が出ちゃった。




「ん、、ぁー、え、、ぁ、れ、んん、ぅン、」




俯いて、なんの返事か分かんない声を出してる姫。恥ずかしくて、あたしも俯いた。繋がった両手は、さっきみたいに揺れるんじゃなくって、なんか、よく分かんないけど力が入ったり緩んだり。




「私もどこで間違えたかなぁ・・・・、っとに。自分で嫌んなるわ……。まぁ、とりあえずお幸せに。じゃ行くわ。」




神崎さんが、自転車のハンドルを持ったら




「待て。」




姫が、自転車のかごを持って止めた。




「何?私急いでるんだけど。一応、あんたら不安だから今まで付き合ったげたけど、よっぴー、ちゃりんこでコケたらしいから、早く会場まで行きたいんだけど。」


「え!?大丈夫ですか!?」


「大丈夫大丈夫。昼食って卒業パーティの会場行くまでにコケたらしくって、あの子、結局ずっとみんなと学校の周りウロウロしてるんだけど……だから、学校戻って、保健室で消毒して貰って大丈夫って言われてるみたい。」


「良かった、」


「大体ちっこいくせに、あの子のちゃりんこデカイんだよ。白とピンクの可愛いやつなんだから、サイズも可愛いのにすればいいのにね?」


「よっぴー大丈夫なら、答えろ。」


「お前・・・偉そうにしてっと・・・答えてやんねぇ。」




さっきまでの可愛い姫は、すっかりどこかへ行って・・・顔も声も、男の子な大野くん。そんな姫にも・・・きゅうん、って……気持ちも視線も奪われる。




「俺・・・言ってない。」


「でしょうな。聞いてねぇもん。」


「なんで・・・知ってんだよ。」




また・・・、あたしには分からない会話が始まった。だけど・・・もう、不安にはならない。




「仕方ねぇなぁ・・・。だよね。よっぴーなんてほっといても、もう再び怪我はしないし、私には・・・こっちの使命が残ってるか・・・。めんどくさい、話の進まない2人だもんね?だから私がここに居るような気もするし・・・。」


「失礼なやつだな。」


「知ってて友達なくせにぃ。いやー・・・・私もね?最初は気づかなかったよ?気づかなかった・・・っちゅーか、最初がいつだか知んない。だけどね?気づいたの。」


「…」


「だってさぁ・・・、なんか可愛い2人だなぁ・・・って、机挟んで向かい合わせで喋ってんの見て思ったのー。」




なんの・・・話、姫と、あたし・・・・の、事?