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「、……気・・・・遣って・・・る、?」


「……。」




気遣って好きって・・・、




「、違います、」


「ホントに・・・・、」


「…、」


「好き・・・、なの、?なんで・・・?なんで、俺、?」




だから・・・何で追求するの・・・・。




「俺が・・・・」


「……、」


「依織ちゃん、好き・・・だから?だから、」




いやん・・・。大野くん、もっと言って。恥ずかしいけど、嬉しい・・・




「、ナンデ・・・、、大野くんじゃ、だめ、なんですか、」


「だって・・・、」


「……、」


「俺の周り、かっこいいやつ、ばっかだから、」


「……。」




そんな……・・・・理由・・・、!?




「、え・・・っと、」


「みんなイケメンだし、凄い背ぇ高ぇし、」


「……・・・・ぇぇーーー・・・・」


「……、」




確かに、よく考えたら、姫の周りの男の人ってみんな背が高い……。思い出すのは・・・背の高い男の人達の中に居る、ちっこい大野くん。松本さんも、川上さんも、井上だって、みんな180センチ前後。だけど。だから。何。


イケメンて、何。みんなは違うかもしれないけど、あたしは・・・姫が1番かっこいいもん。「みんなイケメン」って言いながら、情けなさそうな顔してる、姫にきゅんきゅんするもん。




「背が高い男の人、・・・怖い、カラ・・・嫌い……。」


「……。」


「大野くんが・・・いい。」


「・・・・。」




姫の顔が・・・、驚いたように私を見た後・・・・綺麗な唇が少し尖がって、恥ずかしそうな顔になった。そんな顔をされたら、あたしだって恥ずかしいし、嬉しい。




「なんだ・・・、」




嬉しい顔が、嬉しい。きゅ・・・っと、握られる両手が、嬉しい。あたしの目の前にある繋がった手が、“嬉しい”って言うみたいに、左右に少し揺れる。


やっと誤解が解けたような空気に、恥ずかしくて、ふわふわ揺れる手を見てた。




「そっか・・・、、」




姫に預けるように繋がれて揺れてた手が、繋ぎなおされる。指の間に滑り込む指。それを見てたら・・・・




「え・・・、え??」


「え・・・?」




声のトーンに、顔を上げた。




「でも、・・・、依織ちゃん、好きなやつ、・・・、居る、って、」


「……。」




この人は・・・。本当にあたしが好きになった人なんだろうか。なんか・・・ここへ来て、凄いボケボケした人に見えて来た。




「、いいの、・・・?」


「……。」




何が。もう、“何が”「いいの?」なの!?




「、・・・、3年……の、」


「…、」


「…、やつ、だった、?」


「……。」




何を。どう思って!“あたしの好きな人”から、自分を除外するのか。なんで他に好きな人が居るって設定なの!?あたしが、今の今、姫を好きになったとか思ってる・・・!?



「チガ、」


「くっついたー?よね?」




また突然現れた神崎さんが、あたしと姫が繋いだ手を見ながら言った。




「だって、繋ぎ方がやらしーもんね?上手く行ったんでしょ?」


「……。」


「……。」


「こいっつ!雰囲気ぶち壊しだな!・・・とか、思ってらっしゃるんでしょうが、申し訳ないけどね、私も時間がないんすよ。ほら、あなた達が時間かけすぎるから。」


「……なん、」


「……。」


「え・・・・、まさか、まだ・・・、だった、?違うよね?友達ってそんな手の繋ぎ方・・・しないよね、?え・・・、する、?私、されたら気持ち悪い、けど……、」




そうじゃなくて・・・、今結構、重要に言い訳しなきゃいけない場面なんだけど、・・・、




「上手く・・・、行った、って・・・、」


「、」


「、なんで、」


「お願い。先にその手がなんなのか、教えてはくれまいか。それによって私の話も変わって来るんだよ大野くん、」


「大野くん・・・。」


「ん、なに、」


「無視かい。私のほうが先に問いかけたんだけどね?無視かい?」


「あたし、ずっと、」


「ストーーーーッップ!!今から!?今から始まるの!?ダメ!!依織黙ってなさい!!!」


「……。」


「……。」




分かった。


今の「黙ってなさい」で・・・・やっと・・・なんとなく、分かった。神崎さんが2度もあたしに“ストップ”をかけた意味。




「さぁとるぅっ!!いつまでもボケっとすんな!あんた頑張んなきゃ欲しいモン手に入んないよ!?遠慮して、他の男に依織ちゃん取ら・・・れ、、・・・・。」


「…。」


「……・・・。」


「ううん?なんもないよ?続けて?私・・・ちょっと、電話に・・・」




急に立ち去ろうとする神崎さんは、まだ「好き」を伝えてないって、思ってる。姫も、あたしも。だけど・・・あたしは、さっきからの神崎さんの話で気づいた。2度もストップをかけた意味も。


神崎さんは・・・・、多分、姫の気持ちを最初っから知ってた。きっと、ここへあたしを連れて来た時から。知らないフリして、あたしに「頑張りなさい」って言ってたけど、知ってたんだ。


あたしに、「好き」を言わせないようにしたのは・・・きっと、あたしだけじゃなく・・・姫も頑張んなきゃいけないって・・・思ってたんじゃないかな、