。.*三日月姫*.。
- 。.*言葉*.。
。.*193*.。
。.*193*.。
「、……気・・・・遣って・・・る、?」
「……。」
気遣って好きって・・・、
「、違います、」
「ホントに・・・・、」
「…、」
「好き・・・、なの、?なんで・・・?なんで、俺、?」
だから・・・何で追求するの・・・・。
「俺が・・・・」
「……、」
「依織ちゃん、好き・・・だから?だから、」
いやん・・・。大野くん、もっと言って。恥ずかしいけど、嬉しい・・・
「、ナンデ・・・、、大野くんじゃ、だめ、なんですか、」
「だって・・・、」
「……、」
「俺の周り、かっこいいやつ、ばっかだから、」
「……。」
そんな……・・・・理由・・・、!?
「、え・・・っと、」
「みんなイケメンだし、凄い背ぇ高ぇし、」
「……・・・・ぇぇーーー・・・・」
「……、」
確かに、よく考えたら、姫の周りの男の人ってみんな背が高い……。思い出すのは・・・背の高い男の人達の中に居る、ちっこい大野くん。松本さんも、川上さんも、井上だって、みんな180センチ前後。だけど。だから。何。
イケメンて、何。みんなは違うかもしれないけど、あたしは・・・姫が1番かっこいいもん。「みんなイケメン」って言いながら、情けなさそうな顔してる、姫にきゅんきゅんするもん。
「背が高い男の人、・・・怖い、カラ・・・嫌い……。」
「……。」
「大野くんが・・・いい。」
「・・・・。」
姫の顔が・・・、驚いたように私を見た後・・・・綺麗な唇が少し尖がって、恥ずかしそうな顔になった。そんな顔をされたら、あたしだって恥ずかしいし、嬉しい。
「なんだ・・・、」
嬉しい顔が、嬉しい。きゅ・・・っと、握られる両手が、嬉しい。あたしの目の前にある繋がった手が、“嬉しい”って言うみたいに、左右に少し揺れる。
やっと誤解が解けたような空気に、恥ずかしくて、ふわふわ揺れる手を見てた。
「そっか・・・、、」
姫に預けるように繋がれて揺れてた手が、繋ぎなおされる。指の間に滑り込む指。それを見てたら・・・・
「え・・・、え??」
「え・・・?」
声のトーンに、顔を上げた。
「でも、・・・、依織ちゃん、好きなやつ、・・・、居る、って、」
「……。」
この人は・・・。本当にあたしが好きになった人なんだろうか。なんか・・・ここへ来て、凄いボケボケした人に見えて来た。
「、いいの、・・・?」
「……。」
何が。もう、“何が”「いいの?」なの!?
「、・・・、3年……の、」
「…、」
「…、やつ、だった、?」
「……。」
何を。どう思って!“あたしの好きな人”から、自分を除外するのか。なんで他に好きな人が居るって設定なの!?あたしが、今の今、姫を好きになったとか思ってる・・・!?
「チガ、」
「くっついたー?よね?」
また突然現れた神崎さんが、あたしと姫が繋いだ手を見ながら言った。
「だって、繋ぎ方がやらしーもんね?上手く行ったんでしょ?」
「……。」
「……。」
「こいっつ!雰囲気ぶち壊しだな!・・・とか、思ってらっしゃるんでしょうが、申し訳ないけどね、私も時間がないんすよ。ほら、あなた達が時間かけすぎるから。」
「……なん、」
「……。」
「え・・・・、まさか、まだ・・・、だった、?違うよね?友達ってそんな手の繋ぎ方・・・しないよね、?え・・・、する、?私、されたら気持ち悪い、けど……、」
そうじゃなくて・・・、今結構、重要に言い訳しなきゃいけない場面なんだけど、・・・、
「上手く・・・、行った、って・・・、」
「、」
「、なんで、」
「お願い。先にその手がなんなのか、教えてはくれまいか。それによって私の話も変わって来るんだよ大野くん、」
「大野くん・・・。」
「ん、なに、」
「無視かい。私のほうが先に問いかけたんだけどね?無視かい?」
「あたし、ずっと、」
「ストーーーーッップ!!今から!?今から始まるの!?ダメ!!依織黙ってなさい!!!」
「……。」
「……。」
分かった。
今の「黙ってなさい」で・・・・やっと・・・なんとなく、分かった。神崎さんが2度もあたしに“ストップ”をかけた意味。
「さぁとるぅっ!!いつまでもボケっとすんな!あんた頑張んなきゃ欲しいモン手に入んないよ!?遠慮して、他の男に依織ちゃん取ら・・・れ、、・・・・。」
「…。」
「……・・・。」
「ううん?なんもないよ?続けて?私・・・ちょっと、電話に・・・」
急に立ち去ろうとする神崎さんは、まだ「好き」を伝えてないって、思ってる。姫も、あたしも。だけど・・・あたしは、さっきからの神崎さんの話で気づいた。2度もストップをかけた意味も。
神崎さんは・・・・、多分、姫の気持ちを最初っから知ってた。きっと、ここへあたしを連れて来た時から。知らないフリして、あたしに「頑張りなさい」って言ってたけど、知ってたんだ。
あたしに、「好き」を言わせないようにしたのは・・・きっと、あたしだけじゃなく・・・姫も頑張んなきゃいけないって・・・思ってたんじゃないかな、