。.*三日月姫*.。
- 。.*言葉*.。
。.*192*.。
。.*言葉*.。
。.*言葉*.。
。.*192*.。
「・・・繋ぐ、の……、?」
頷いた。
「……。」
「……。」
繋がれた。
「・・・・、ぇ、……、何、・・・、」
聞かれる。
「そ・・・・、そぉ、、・・・、な、の、?」
意味は分かんないけど、とりあえず頷いてぎゅっと手を繋いだ。
「……」
「……」
伝わった・・・?
姫はどっちの・・・、繋いだ手も見てなくって。手と、手の間の空間を見てる。
「……・・・」
「、」
暫く、見つめた後、言った。
「仕方・・・ねぇ、か・・・、」
「……。」
何が。・・・・何が!
「……。」
「~~~~~、、」
今にも泣き出しそうな顔で、目を伏せ、眉間に寄った、シワ。あたしの好きは・・・いっこも。
握られた大きな手は、あたしをちゃんと包んでくれてるのに。最後だと思ってたはずが、目の前に立ってるのに。姫とあたしは、全然違う。
「アシタ・・・、」
「、」
「何……、してますか・・・。」
「・・・・なんも、」
「連絡……、して、いいですか、」
「……、」
垂れた目は、なんだか余計に下がってる。
「大野くん、」
「やだ。」
「……。」
だから何で!
「したいです、」
「他のやつにして、」
唇を尖らせて、怒った言い方をする・・・。
「大野くんが、いい、」
「や。俺、そんなん聞いたってなんもできねぇし。聞きたくない。」
この人は、完全に暴走してる・・・。あたしには、分かんない事を
「そんなん、って・・・、何ですか、」
「相談、でしょ、」
相談……、って、
「あたし、何、相談すればいーですか、そんなの、しません、」
「、」
「え・・・、」
驚いた顔で、あたしの顔を見た。
「、しない、?」
「、ウン、」
「……・・・・。だぁめ、ぜってぇそんな話になるもん、」
「……」
泣きたくなって来た。気持ちは、全然伝わんない。姫は一体なんの話をしてるんだろう・・・。
「らぶらぶしてるトコごめんなさい?」
「!」
「……。」
神崎さんが突然現れた。声に驚いて体がビクっと跳ねたら、姫が繋いだ両手をぎゅっと握ってくれる。
きゅんってする。
「らぶらぶなんか、してねぇよ。何。」
「……・・・。あ・・・・ソウ、」
姫の顔を・・・・、じっと見た神崎さんが言った。
「あー忘れてた。ちょっと電話しなくちゃ。失礼しました。続けて?」
「……。」
「、」
また・・・、さっきと同じように向こうに去って行く。
「なんだ・・・、」
また2人っきり・・・あたしは・・・姫にどうやって伝えればいいんだろう。
「おおの、くん、」
「、うん、」
「、」
「どした、?」
戸惑えば、ぎゅっと握ってくれる手。優しく優しく聞いてくれる、声。
あたしは・・・、あたしは・・・・・
「……スキ、ナンデス・・・、お、ぉ・・・の、くん、」
「……」
さっきと、反対。ゆっくり・・・緩んで行く、手。
恥ずかしくて俯いて好きを言ったけど、放されそうな手に不安ですぐに顔を上げた。
「……。」
「、」
「……。」
動きが、停止してた。
「、」
「・・・・んっ、?」
じゃなくて。
「え?」
じゃなくて!
「え?え・・・、は、??」
「…」
「依織ちゃん・・・。俺のこと、好きって、言った?」
「…、、」
決死だった。搾り出すような声になったし、耳もおかしくて自分の声もよく聞こえなかった。だけど、恥ずかしげも照れもなく堂々と、真正面から普通のトーンで聞かれるこの感じ。
「言った・・・、?」
なんだろう。見つめられて、答えを求められて、こんな気温で滲みだす汗。好きって・・・、何回も言わなくちゃ、普通伝わらないもんな、の、?
見上げて、顔を見て、頷こうと思った。思ったけど・・・姫と目が合ってそのまま・・・動けなくなった。
「・・・・すき?」
「、」
「好き・・・・、だよ、ね、?今・・・、好きって、思ってる・・・デショ、?」
「、」
大野くん・・・思ってる…・・・・あたし、大野くんの事ずっと・・・・好きって、思ってるよ、何ヵ月も前から・・・会えた時も、会えない時も、泣いてる時も、出逢った瞬間から・・・
好き・・・って……
見つめる目が、少しだけあたしに近づいて、あたしの“好き”を確かめてる。
「なんで・・・・?」
「……。」
「……。」
「へ・・・・?」
「なんで・・・・俺のことなんか、好き……、なの、?」
「え・・・」
恋って。
ホント全然簡単じゃない。ドラマや映画なら、告白したら・・・途端に想いは伝わって抱きしめるとかキスするとか照れあうとか・・・そんなんだと思ってた。だけど、現実は甘くない。好きが言えないあたしに、あたしの好きな人は“理由”を聞いてる。
それが、現実。