日本は約4年前、尖角列島(中国名:釣魚島)をめぐり中国と衝突した。日本がこの島々を国有化すると、中国の軍艦は露骨に日本の領海を出入りした。当時ソウルで出会ったある日本の国会議員は冗談とも思えない冗談を口にした。「中国が尖角に中国の漁民を不法上陸させればどうなるか。100隻の漁船に100人ずつ乗せて…」
こうした危機とともに発足した安倍政権は、自衛隊を海外派兵することができるように憲法解釈を変えた。安保関連法を幾度にわたって改正したほか、自衛隊の予算と組職を拡大した。何よりも米国との安保同盟を強化した。一気に国家安保のフレームを再編成したのだ。
変わったのは何も政治だけではない。日本の経済界には、かなり前から「チャイナ・プラス・ワン」戦略が幅を利かせていた。中国の工場だけでは危険で、東南アジアにもう1カ所投資しておく必要性があると説いた。
もちろん、中国の賃金が上昇して投資収益が下落したのも作用した。しかし、工場やデパートが反日デモの攻撃対象となったことで、中国がやたらと腕力を振るえば会社が倒産する恐れがある、ということを実感した。インドへの日本の投資が急増し始めた背景には、こうした事情がある。
韓国の政治・経済のリーダーと日本のリーダーの間には、埋めるに埋められない格差がある。日本のリーダーは米国や中国など強大国の間の綱引きを通じて国家安保、会社の安保を懸念し、生存のための戦略を立てる。一方、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領をはじめとする韓国政界のリーダーは、北の核を阻止するために中国を「てこ」として利用できると考える。