木浦大のシム・ウォンソプ教授(観光経営学)は「にほんはカジノ合法化のための法案処理に力を注いでおり、フィリピンは島一つをカジノ専用に開発することを推進。ロシアではウラジオストクに3年以内にカジノ8カ所が開業する。アジア各国はどこもカジノ産業に参入しつつある」と指摘した。
こうした状況で、韓国ではカジノ増設を問題視する声がある。ハナ大投証券のアナリスト、イ・ギフン氏は「韓国のカジノ市場が1兆3000億ウォン(約1200億円)規模にすぎないにもかかわらず、新規進出するインスパイアIRコンソーシアムの永宗島への投資規模が1兆5000億ウォンに達するのは過剰投資ではないか」と懸念した。
■中国に依存しない韓国型リゾートを
しかし、複合リゾート事業をめぐっては、長期的にプラス効果をもたらすとの指摘もある。ソウル大経済学部の表鶴吉(ピョ・ハッキル)名誉教授は「さらに複合リゾートが続かなければ、現在開発が進む複合リゾートは十分に経済的な妥当性がある」と述べた。前年比で急減したカジノ業界の売上高も上向く可能性が見え始めた。売上高とチップ交換額は5カ月連続で横ばいで推移し、業績は底を打ったとの指摘も聞かれる。
専門家は「中国の需要にだけ依存するカジノ産業は風前の灯だ。ファミリー客や大衆をターゲットととし、文化と結びついた複合リゾートに焦点を合わせなければ生き残れない」と指摘する。実際に米ラスベガスは昨年、売上高の65%を非カジノ収入が占めた。
パラダイス関係者は「VIP客の割合を下げ、大衆の割合を高めるため、韓国文化(Kカルチャー)体験空間、俳優キム・スヒョンが撮影に使った映画セット、スパなどを複合リゾートと共に造成している」とした上で、「永宗島に進出する3社が永宗島自体のマーケティングを共同で進めることも検討している」と説明した。高麗大産業経営工学部のイ・チョルウン教授は「中国から脱し、さまざまな市場を開拓するとともに、韓流などのコンテンツを融合させ、観光客が文化を楽しみながら、カジノも訪れる構造へと変えていかなければならない」と指摘した。