日本政府の狙いを、日本テレビは「関係が改善している韓国との連携をさらに強めたい」と指摘したが、朴氏にも利益が多々ありそうだ。
中国経済の低迷や原油安が続くなか、伊勢志摩サミットでは「世界経済の立て直し」が最大の焦点になるとみられている。この席に朴氏が出席できれば、国際的に「G7首脳に準ずるリーダー」として認知されるうえ、世界経済再生の議論にも関与することができるわけだ。
ただ、菅義偉官房長官は3日の記者会見で「(朴氏招待は)まったく決まっていないし、議論もしていない」と返答を避けた。
日韓両国は昨年12月、慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」することで合意し、“表向き”は関係改善に向かっているように見える。
だが、現実は異なる。韓国国内の「反日」「排日」運動は、合意後も収まっていない。抗日運動「三・一独立運動」の記念日である今月1日には、釜山で新たな慰安婦像の除幕式も行われた。
日本政府が強く求めているソウルの日本大使館前の慰安婦像も、韓国側は「適切な解決」を約束したが、いまだに撤去されていない。
このタイミングで、安倍首相が朴氏をサミットに招待するとなれば、その腹には、大きな外交戦略がありそうだ。
国際政治学者の藤井厳喜氏は「安倍首相は、日韓両国の国益と、日韓合意の履行などをリンクして考えているはずだ」といい、続けた。