日本政府が5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)に、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を招待する方向で調整していると、一部メディアが報じた。官邸は認めていないが、最近のサミットは主要国以外の首脳も積極的に招く傾向がある。実現すれば、議長を務める安倍晋三首相の「温情」といえるが、実は、朴氏を苦境に立たせる可能性もあるという。
「我々の経済は春来不似春(=春が来たが、まだ春は遠い)」
朴氏は8日、ソウルの青瓦台(韓国大統領府)で開かれたサービス産業懇談会の冒頭、こう発言した。中央日報(日本語版)が9日報じた。野党が、競争力強化を目指したサービス産業発展基本法案の国会処理に非協力的なことを批判したものだ。
確かに、韓国経済は極めて厳しい。
半導体や自動車、鉄鋼、造船といった主力製造業は、中国メーカーの追撃を受け、1月の輸出が前年同期比18・5%減。家計の負債も昨年末時点で1207兆ウォン(約111兆円)と過去最高を更新した。1997年のアジア通貨危機以来の崖っぷちに立たされている。
朴氏は前出の懇談会で「残念」という言葉を4回も繰り返したという。
こうしたなか、朴氏が「春」を実感しそうなニュースを、日本テレビとTBSが3日流した。日本政府が、朴氏を伊勢志摩サミット(5月26〜27日)に招待する方向で調整しているという内容だ。主要国首脳らとの会議とは別に、日韓首脳会談も行う見通しと報じている。