韓国のプロ棋士が初勝利 人工知能に1勝3敗
【ソウル米村耕一】米グーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャー企業「ディープマインド」(英国)の囲碁ソフト「アルファ碁」と、韓国のプロ棋士、李世※(イ・セドル)九段の五番勝負第4局が13日、ソウル市内で打たれ、李九段が初勝利を挙げ、対戦成績を1勝3敗とした。(※は「石」の下に「乙」)
アルファ碁の前日までの打ちぶりは李九段を圧倒していた。しかし、この日は李九段の勝負手に対し、アルファ碁の着手が突如乱れて、人間がAIに一矢を報いた形だ。
アルファ碁は「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる新技術を採用し、短期間で能力を伸ばし、世界の囲碁界を驚かせた。
李九段は対局後の会見で「ようやく勝てた。たった1回勝っただけで、これだけ祝福されるのは初めてだ」と笑顔を見せた。
弱点見つかった
この日のアルファ碁は前日までの戦いぶりとは違っていた。中盤戦以降、不利な形勢になると、悪手を連発。あっという間に敗勢に陥った。インターネット中継で観戦する誰もが「これがあのアルファ碁か」と驚いた。
専門家はどう見るのか。元本因坊の高尾紳路九段は「アルファ碁がプロトップ級であるのは疑いない。ただ、今回の敗戦で、広い範囲の読みで精度が格段に落ちるという弱点が見つかった。第3局まではいずれも局地戦で、正確無比な打ち回しを見せていた。しかし第4局は、中央での戦いは、これまでにない大きなものだった」と指摘。さらに「李九段が78手目に鬼手(予想外の一手)を放ち、アルファ碁は混乱に陥った。それ以降は、アマの低段者でも打たない悪手を連発していた」と分析した。【金沢盛栄、最上聡】