重症ぜんそく患者に朗報「気管支サーモプラスティ」で発作回数も減少

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(更新 2016/3/13 16:00)

気管支サーモプラスティの電極付きカテーテル。これで気道を温めると、気道の壁の筋肉が縮小する(撮影/写真部・堀内慶太郎)

気管支サーモプラスティの電極付きカテーテル。これで気道を温めると、気道の壁の筋肉が縮小する(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 発作がひどいと命を落とすこともあるぜんそく。大人の重症患者向けの治療法が保険承認された。治療法を試したところ、症状の改善のほか、発作頻度の減少もみられたという。

 都内に住む会社員、浅川美也子さん(33)=仮名=は、13歳のときからずっと、気管支ぜんそくと付き合ってきた。呼吸がヒューヒューゼーゼーする「喘鳴(ぜんめい)」や息苦しさにいつも悩まされ、とくに夜から明け方にかけては症状がひどくなる。自分の喘鳴で目覚めてしまうこともたびたびだった。

 吸入薬や飲み薬、生物学的製剤の注射などで治療してきたが、症状を十分抑えることができない。一昨年は激しい発作を3回起こして入退院を繰り返した。

 仕事は生活費や治療費のために必要でやりがいも感じていたが、入院や通院で休むたびに職場に迷惑をかけてしまう。「このままではいずれ仕事を辞めなければならなくなる」と主治医に相談したところ、「気管支サーモプラスティ」という新しい治療を紹介された。

 気道は肺の中に網の目のように張り巡らされ、チューブのように空洞の構造をしている。気道の壁の中には筋肉があるが、気管支ぜんそくの患者は慢性的な気道の炎症によってこの筋肉が肥大化して気道の内腔が狭まり、空気が通りにくい状態になっている。狭くなった気道が、ダニやホコリ、風邪などの気道感染症、ストレスなどで刺激を受けるとさらに狭まり、喘鳴や呼吸困難を起こす。

 ぜんそくは、炎症を抑える吸入ステロイドや気道を広げる吸入薬、生物学的製剤などが進歩し、薬を組み合わせた治療で9割以上の人は症状をコントロールできるようになった。しかし、残り1割の重症患者は治療が難しく、今も年間1500人以上が命を落としている。

 こうした重症患者を救うのが、気管支サーモプラスティだ。

「『温めると縮小する』という筋肉の性質を利用し、気管支鏡(内視鏡)を使って筋肉を直接温め、気道を広げる温熱治療です」


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