お腹が冷えると下痢になりますが、そのメカニズムはひとつではありません。お腹の冷えによってお腹に様々な影響が及び、その結果として下痢になります。
- 体を守るための反応
- 熱を産生した結果の下痢
- 冷えによる消化不良
- 体を守るための反応
人間の体は、自然と自分を守るように作られています。傷ができれば修復し、病気になれば免疫力で治そうとします。冷えも同じで、体温が下がることは生命の危機を意味します。
体温が下がると、肩こりや疲れ、免疫力の低下による虚弱、ホルモンバランスの乱れ、うつ、イライラ、肌荒れなど、ここには書ききれないほどの症状が現れます。また、低体温状態ではがん細胞が増殖するとも言われていて、体温の低下は癌の原因になるとの見方もあるようです。
このように、体温の低下は体にとって大きな危機なので、なんとかして食い止めようとします。そこで使われるのが水分の排出です。冷えの原因となっている水分を体の外に出し、体温の低下を防ごうとします。その結果、水分が多く含まれた便=下痢が出ます。
汗じゃないの?と思うかもしれませんが、汗だと体温が下がってしまうため逆効果です。汗ではなく腸(肛門)から水分の排出が行われます。
腸を使うのにはもう一つの理由があります。それは、腸を動かすことによって発生する熱で、お腹が温められるということです。
熱を産生した結果の下痢
お腹の冷えを改善するのに一番の近道はお腹を温めることです。なので、体は大腸を活発に動かし、熱を発生させようとします。その結果、便の動くスピードが早くなり下痢になります。
腸を活発に動かすと、熱が発生し、さらに下痢になるので水分も同時に排出できます。つまり一石二鳥です。そのため、お腹が冷えた時は腸からの水分排出が選ばれ、腸が激しく収縮します。
冷えるとお腹が痛くなるのもこれが原因です。腸がいつも以上に収縮しているため、激痛の波が来ます。
冷えによる下痢の対処法
下痢や腹痛を抑えるには、体を温めるのが簡単な対処法です。首周りや足元、手足の指先など、全身から温めましょう。お腹だけ温めてもなかなか改善しないのは、他の部分から熱が逃げているからです。
先述したように、体は冷えを抑えるために下痢を起こしているので、他の部分が冷えれば下痢になってしまいます。汗をかくと熱が逃げてしまうので、汗をかかない程度の程よい温かさを意識してください。
すぐに治らない場合もある
寝冷えやクーラーによる冷えは、著しく体温が低下するため、すぐには治らないこともあります。体が完全に温まるまでに時間がかかるため、腹痛や下痢も長引きやすいです。
こういう時はカイロをお腹や腰に貼ったり、マスクをして吐息から熱が逃げないようにするなど、さらに厳重に温める必要があります。
時間差で下痢になることもある
冷えによる下痢は、基本的にはすぐに症状が出ます。寒いなーと思ったらすぐにお腹が痛くなったり、冷たいところに数分座っただけでお腹を壊したりします。しかし、すぐに症状が出ず、あとになってから下痢になることもあります。
それが冷えによる消化不良です。消化酵素は体温が少しでも低下すると働きがとても悪くなり、消化不良の原因になります。消化酵素がしっかり働いていないと腸にも負担がかかり、水分を吸収することができなくなります。
すると、便中の水分量が増え、下痢や軟便になります。
消化酵素は39度でよく働くようになっています。これは私達がいつものように測っている体温ではなく、体の内部の体温です。
消化不良といえば油っこいものや食べ過ぎなどが原因で起こりやすいですが、冷えでも起こるということを覚えておき、普段から体を冷やさないように注意しましょう。
特に普段から下痢をしやすい人の場合、少しの刺激でもすぐに下痢になってしまうので、寒さ対策をしっかり行うことが大切です。