心がささくれ立って陰性な形で激化しているような時期に聴きたいおすすめスクリーモ・ポストハードコア系バンド15選+αを紹介します。
こいつらさえいりゃいいという、入門編でありつつ終着点でもあるバンドが多いです。
嗜好の幅を広げる一助となれば、これ幸いです。
ていうかスクリーモってご存知ですか。まずジャンルなんですけど。
※長くなるので先に目次を記しておきます。
- スクリーモ(Screamo)とはなんぞや
- 【改訂版】表記について
- Finch
- The Used
- Fightstar
- Taking Back Sunday
- 30 Seconds To Mars
- Saosin
- UndeOath
- Matchbook Romance
- Alexisonfire
- Brand New
- My Chemical Romance
- Funeral For A Friend
- Glassjaw
- From Autumn To Ashes
- Silverstein
- The Region Of Doom
スクリーモ(Screamo)とはなんぞや
開口一番にいうのもナンなんですが、『スクリーモ』というジャンル自体は唾棄すべきものとして忌み嫌われています。
それについてはまず簡単に『スクリーモ』の意味、由来を。
『スクリーモ』とは、スクリーム(Scream)とエモ(Emo)を合わせた造語で、音楽ジャンルのひとつです。
ハードコアやパンク周辺のシーンの中でもとりわけ感情に訴えかけてくる音楽が『エモ』と呼ばれ、更に感傷的な色味の強い劇的なスクリームが加わったものが『スクリーモ』に分類されることが多いです(今回はそうしたバンドを主に紹介しています)。
これ聴けば分かります。
しかし冒頭に述べたように、このジャンルは揶揄されがちです。
日本人の感覚で言うなれば……「Syrup16g」や「Art-School」などを指した『鬱ロック』という気色の悪いくくりがあり(死語ですか?)ましたが、それに拒否反応が出るのと同じようなものでしょう。
バンド側も大抵この呼称を嫌がります。
それゆえ昨今はもともと互換性のあった『ポストハードコア(Post-Hardcore)』と言うことで概ね落ち着いた感があります。
ゾッとするニュアンスが消えてイイ感じです。
エモ、スクリーモ、ポストハードコア。
ま、ジャンルの云々はなんだっていいんですよ。
それでは本題に進みます。
【改訂版】表記について
っと、その前にいっこだけ。どうでもいい裏事情なので飛ばしてください。
記事タイトルにある【改訂版】の表記について。
以前、NAVERまとめの方でオススメのスクリーモバンドまとめ記事を作りました。
完全放置していたんですが先日ふと思い立ち「スクリーモ」でググってみると、そのまとめが掲載順位3位にあったんです。
驚いた、というより少しギョッとしました。あんな適当なまとめが3位になっているだなんて。
いえもちろんバンドや楽曲の選出にあたっては真面目にやりましたが、所詮はNAVERまとめだからいい加減でいいか……みたいな気迫の文章だったはずなので、それがすごく恥ずかしい。
でもいまさら編集すんのも億劫だし、かといって削除するにも検索順位3位はオイシイしなあ。→そうだブログに引っ越しさせて被リンクさせよう。
そんなこんなで今回こうして改訂版・完全版記事を作成させていただきました次第です。
ハイどうでもいい話でした。
それでは本当に本題へ進みます。
Finch
まず聴くべきは「Finch」の1stアルバム『What It Is To Burn』。
スクリーモ、エモ、ポストハードコアを往来するムーヴメントの頂点に位置するバンドが放った珠玉の作品です。
もはやひとつの教養として必聴。
上に載せた楽曲よりもっと混沌としたものがいいなら『Project Mayhem』という楽曲もオススメ。
余談ですが、この『Project Mayhem』というタイトル、『ファイトクラブ』からの引用であると誰もが気付かれたことと思います。ご名答です。
そんな皆様には当リストにも挙げている「Taking Back Sunday」もぜひ聴いていただきたい。件の映画をMVにて完全再現しています。
また、同じくリストにある「Fightstar」は原作小説の著者チャック・パラニュークに言及した楽曲があり、「30 Seconds To Mars」に関してはフロントマンのジャレッド・レトが作品に出演していました。ナレーターにぐちゃぐちゃにされる金髪の青年がそうです。諸々後述。
The Used
vo.を務めるバート・マクラッケンは、そのパフォーマンスのキモさゆえ本国で抱かれたくないバンドフロントマン第1位に選出、云々。
という記事をはるか以前に読んだ気がするんでございますが、すみません、ソースが見当たらないです。
「Finch」とこの「The Used」は、スクリーモ・エモ・ポストハードコアをひっくるめたシーンでツートップといってもいいんじゃないでしょうか。
彼らが出てきた時の衝撃は凄まじかった。彼らのような音楽が根付いた瞬間でした。
近年このバンドがどうなってるのかは正直あまり存じ上げませんが、1st『The Used』、2nd『In Love And Death』は大傑作です。
Fightstar
『Shinji Ikari』『NERV/SEELE』といった、「新世紀エヴァンゲリヲン」からの影響モロ出しの楽曲もある、ナイーヴの権化みたいなバンド。
繊細で、非常に切迫感のある楽曲たちはこれぞスクリーモといった感じ。ツインボーカルのコントラストが絶品。1stアルバム『Grand Unification』は間違いない名盤。
フロントマンのチャーリー・シンプソンは、実は英国のアイドルバンド「Busted」の元メンバーだったりします。
というと元ジャニーズ・現「ONE OK ROCK」のフロントマンを思い出しますが、この「Fightstar」は満島ひかりさながらに過去の残り香皆無。
『Palahniuk's Laughter』という曲なんかは『ファイトクラブ』の著者チャック・パラニュークへの言及ですね。色々面白い。
Taking Back Sunday
先述した"ファイトクラブ完全再現"MV。
荒削りの焦燥感と疾走感を味わうのにこの上ないバンド。
ツインボーカルの絡みが目まぐるしい。若き日の鬱屈して感情がしっちゃかめっちゃかな時代に聴くと、この混沌ぶりが心地良い。
1stと2ndアルバムは大名盤。
30 Seconds To Mars
映画『スーサイド・スクアッド』でジョーカー役を演じることでも話題のジャレッド・レトがフロントマンを務めるバンド。
先述したように「Finch」「Fightstar」「Taking Back Sunday」が『ファイトクラブ』(や著者のパラニューク)に言及するような作品を作り上げていますが、ここで出演者の登場です。
劇中、無垢なる存在として金髪青年が登場しますが、アレを演じているのがジャレッドなんですね。
このバンドの楽曲は大変美しく、ダイナミック、そしてキャッチー。 俳優云々とは無関係に支持されていることが分かります。
スクリーモ・ポストハードコア要素はそれほど多くはないのですが、vo.の激情と壮大な楽曲があまりに素晴らしいため選出させていただきました。
Saosin
初期のvo.を務めたアンソニー・グリーンのハイトーンボイスは超ド級の衝撃でした。
UndeOath
クリスチャン・ポストハードコアな彼らは、当記事の中ではややハードで、メタルコア寄り。
上の楽曲や『Some Will Seek Forgiveness, Others Escape』の曲展開や激情ぶりは鳥肌もの。
そしてそれらが収録されたアルバム『They're Only Chasing Safety』は彼らを大きく飛躍させた名盤です。
Matchbook Romance
もう、とにかく聴いていただきたいこの一曲。スクリーモのいいところがギュッと詰まっています。
Alexisonfire
黄色いTシャツ着たメガネのブチキレっぷりが、最高な一曲。
スクリーモというと、どこかナヨっとした雰囲気があったりします。
逆に言えばそれがスクリーモと呼ばれてしまう一因でもあるのですが、この「Alexisonfire」のクリーンパートのボーカルの表現やメロディラインは凛としたものが多いです。エモのテイスト薄め。
この楽曲にしてもポストハードコアのド真ん中かもしれませんが、スクリーモの文脈としてここに並べてもリスナーの懐に入り込めるバンドだと思うので掲載。
Brand New
上記の曲の疾走感と焦燥感は「Taking Back Sunday」を彷彿させます。
抑え気味のグッドメロディをサビで解放した時のカタルシスが凄まじい。
ただ基本的に疾走感のある楽曲が少なく、スクリーモを期待してしまうと期待に応えないかもしれません。
重厚で成熟したスルメ曲が多いバンドです。
My Chemical Romance
「My Chemical Romance」は今ではセルアウトしてしまいもはやスクリーモともポストハードコアとも言えないでしょう。
彼らは「Finch」や「The Used」が根付かせたムーヴメントを、より拡大した大衆の支持を得るまでにし、そしてチープ化させもしました。
フロントマンのジェラルド・ウェイは、エモ・スクリーモのファッション化におけるアイコンとして、良くも悪くも欠かせない存在でしょう。
しかしアルバム『Three Cheers For Sweet Revenge』を出した頃は間違いなくスクリーモ・ポストハードコアの文脈で語られていたバンドであり、ムーヴメントの中心的存在であり、そしてこの作品はクラシックのひとつといって然るべき大傑作です。
功罪併せ持つバンドではありますが、曲は良いです。
オススメ曲は『I'm Not Okay(I Promise)』『The Ghost Of You』など。
Funeral For A Friend
Glassjaw
ひとつめに挙げた「Finch」ですが、この「Glassjaw」のフロントマンであるDaryl Palumboは、『What It Is To Burn』においてネイトの声のコーチでした。
また彼はそのアルバムに収録されている『Grey Matter』と『Project Mayhem』の二曲でゲストボーカルとして迎えられています。
うーむ、ハーコー。
From Autumn To Ashes
バンドの編成が変わってからは、フランシス・マークという、ヒョロリとした風貌のドラマーがリードボーカル、スクリームを担当。
Silverstein
ハデさはないんですが、大事にしたいバンド。
スクリーモというのは主にそのジャンル議論において揶揄されることも多かったため、そうしたシーンから抜け出そうとした結果迷走してしまったり、脱スクリームをするバンドが多いです。
そんな中、この「Silverstein」は初期からの音楽性を保ちコンスタントに活動を続けていて好感が持てます。
The Region Of Doom
+αの「The Region o Doom」も何気に大推薦。
エモ・スクリーモ・ポストハードコア界隈の名曲をマッシュアップ。
変わり種の企画ものアルバムではありますが、時に原曲超えてんじゃねーかってくらいのクオリティの高さはかなり話題になりました。