まず結論から申し上げると、
オオグソクムシ
を食べてみることにした。今回は、そこに至るまでの経緯を書いてみようと思う。
我が敬愛する北大路魯山人センパイのエッセイに、『山椒魚』というものがある。そこにはオオサンショウウオを食べた体験談とその食べ方が書かれている。オオサンショウウオは当時から保護動物であったようだが、その辺りセンパイはあまり気にされないようである。
さて、諸賢。
このブツブツヌメヌメした生物の、果たしてどこが山椒か。
それは、腹を割いた時の芳香にある。魯山人曰く、
『長い間には、ずいぶんいろいろなものを食ったが、いわゆる悪食の中には、そう美味いものはない。
「変ったたべものの中で美味いものは?」
と問われるなら、さしずめ
ということらしい。
あるとき、60センチほどのオオサンショウウオを手に入れた魯山人センパイは、
『腹を裂いたとたんに、山椒の匂いがプーンとした。腹の内部は、思いがけなくきれいなものであった。肉も非常に美しい。さすが深山の清水の中に育ったものだという気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を切るに従って、
とのことだった。山椒の香が客間にまでプーンと漂い、随分趣があるそうな。
私はこの魯山人センパイのエッセイが昔からとても好きで、暇を見つけては青空文庫のエッセイを読んでは関心をしたりしていきた。ご存知の方も多いかと思いますが、北大路魯山人は『美味しんぼ』の海原雄山のモデルでもあります。美食に命を懸けた、食道楽の帝王であります。
〇参照:北大路魯山人 山椒魚
そして感化され、「食道楽エッセイ」を誰に求められるでもなく書き散らしているうちにいつの間にか10個にもなってしまったわけでありますが、これが書いていてとても楽しい。筆が止まらない。
食というのは、永遠のテーマであるし、万人に共通する話題であって探求心は止まらないものなのだろう。
〇海のフォアグラと称されるカワハギの肝。 ~食い道楽帖その5~
〇日本酒のトレンドは「雄町」と「ATSUKAN」 ~食い道楽帖その7~
さて、
センパイを超えたい!
あるとき私はそう思いました。日本中のありとあらゆる美味いものを食べてきた魯山人センパイを超えてみたい。いつしかそう思うようになった。なにか手はないか。センパイが辿り着けなかった、見つけることができなかった珍しい食べ物、珍しい調理法はないものか。
そうして右往左往するうちに、美味しかったものとしてヘビがあった。
センパイはヘビは食べたことがあるのだろうか。しかしそれは当時のこと。ヘビぐらいは食べていても全く不思議ではないような気もする。
では、外国の料理はどうだろうか。
タイの列車の車内食の美味さは、シチュエーションも相まって筆舌に尽くしがたい美味しさであった。
他にも、チェンマイでローカルのスズメバチ料理も食べてみた。
これもビールに合う仕立てであった。
しかし、考えてもみれば、スズメバチ程度であれば、日本にも岐阜や山間部の地方料理ではしばしば見受けられるものである。
ダメだ。
こんなことではセンパイは超えれない。
どうしたものか。
なにかないものか。
そうして私はネットの海を彷徨った。
ゴーストのささやくままに。
。
。。
。。。
ん?
なに?
ふるさと納税でオオグソクムシ?
これだ。
これしかない。
理由は3つある。
①美味いらしい
グソクムシは、食べれる。
敬愛する昆虫食ライターのほそいあやさんが以前レポートしていた。そして、美味しいとおっしゃっていた。
これは、食べてみる価値がある。
②魯山人センパイも食べたことはない
さしもの魯山人センパイも、グソクムシは食べたことはないだろう。
それに、センパイご存命の当時、深海魚漁師なぞ絶対に居なかっただろう。
③ふるさと納税
ふるさと納税はかなりお得だと耳にする。
確定申告のときにどんな手続きが必要なのかはよくわからないが、練習もかねてここで一度挑戦しておいて損はない。
私は早速、焼津市のHPから申請書をダウンロードし、記入し、送付。
翌週、振込用紙が手元に届き、入金。
その翌週、確定申告用の証書が届く。
そして3週間後。。。
届きました。
中身はどうなっているのか。
果たして、美味いのか。
そもそも食べれるのか。
北大路魯山人センパイ!
みててください!
センパイの背中を追った後輩が!
貴方を超えたくて、意味わかんない深海の虫を食べますよ!
次回、食レポします!