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【大阪混迷 橋下市長再出発(上)】
「権力への挑戦者」の姿なく 維新は人心離れ結束緩む
バンザイもない。笑顔もない。再選を確実にした候補者が姿を現さない記者会見は勝者なき選挙を象徴していた。
23日夜、大阪市内の大阪維新の会本部。維新側はあらかじめ用意していた会見の机を「座ってやるような会見ではない」と撤去し、幹事長の松井一郎が直立して取材に応じた。「ムダムダ選挙といわれながら4人に1人が投票してくれたことに感謝している」。冒頭、2度も頭を下げた。
「何も報道しなかったのに当選したら記者会見を開けって。ふざけんじゃない」。22日夜、大阪・難波の高島屋大阪店前で最後の街頭演説に立った橋下徹は怒っていた。「今の市役所体制で暮らしを豊かにできるというなら、自民、民主、共産、公明は5年前にやってくれ」。盛り上がらない出直し選は橋下にとって想定外だったのだろう。
かつての橋下の言葉には「夢」があった。「政治には夢がないと面白くない。新しい国づくりに府民、市民と挑戦したい」。平成23年のダブル選で必死に呼びかけ、多くの聴衆に大阪の夜明けを予感させた。
国を動かし、「大阪都構想法」が成立。日本維新の会を旗揚げ、衆院選で第三党へと押し上げた。夢に突き進み政治力と存在感を膨らませた2年余りだった。「今回は僕を落とす選挙」。橋下はこの選挙で「都構想に反対なら落としてください」と繰り返したが、落選をみじんも考えていない橋下の言葉に有権者は冷めた。
「権力への挑戦者から権力者へ」。橋下維新の退潮を鮮明にした昨年9月の堺市長選での敗北後、維新は市民の橋下像の変遷をこう表現し、「大阪人好みから大阪人嫌いに」と分析した。今回の選挙に挑戦者はいなかった。