2016-03-12
■[ラノベ][最近のラノベ][上遠野]ブギーポップ・イン・ザ・カバー
風の噂によれば。
「ブギーポップが流行っていた頃のラノベというパッケージはちょっとかっこよかったが、最近のラノベはそんなものを読んでいたらコンプレックスも募るし異性にも笑われるぐらいかっこ悪い悪書」
であるらしい。
(^-^)
それはともかく。
今月の10日に、ブギーポップシリーズ最新作であり、記念すべき20作目となる『ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆』が刊行されました。せっかくなのでこの機会にブギーポップの「ちょっとかっこいいパッケージ」*1の歴史を振り返ってみることにしましょう。
重大なネタバレはなるべく避けるぐらいの配慮はしますが、たぶんときどき未読者の存在を忘れてる程度には内輪向けの文章です。すいません。
めんどくさいので、内容紹介は公式の(あまり説明になってない)ものをそのまま引用させてもらいます。すいません。
絵やデザインについては全くの無知なので、トンマなこと言ってたらすいません。
文中敬称略。すいません。
1.『ブギーポップは笑わない』
君には夢があるかい?残念ながら、ぼくにはそんなものはない。でもこの物語に出てくる少年少女達は、みんなそれなりに願いを持って、それが叶えられずウジウジしたり、あるいは完全に開き直って目標に突き進んだり、また自分の望みというのがなんなのかわからなかったり、叶うはずのない願いと知っていたり、その姿勢の無意識の前向きさで知らずに他人に勇気を与えたりしている。 これはバラバラな話だ。かなり不気味で、少し悲しい話だ。――え? ぼくかい? ぼくの名は"ブギーポップ"――。 第4回ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞。上遠野浩平が書き下ろす、一つの奇怪な事件と、五つの奇妙な物語。
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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・キャラ:ブギーポップ&その他?
・人数:2人?
シリーズ1作目にして上遠野浩平のデビュー作。タイトルキャラクターである“世界の敵の敵”ブギーポップとその、別人格?依り代?同一人物?とにかくそんな感じであるところの女子高生、宮下藤花が並んで、というか重なり合って立っている。
白地の真ん中にキャラを置き大きめの縦書きタイトル(ホラーっぽい文字修飾)で挟む、あとはキャラに重なるやや目立たない位置に英題(「Boogiepop and Others」)ぐらいというシンプルさだが、緒方剛志の絵柄やブギーポップのコスチュームデザインを含めて、これが当時のラノベ読者の目にどれほど印象的に映ったかというのは、現在の視点からはなかなか実感しづらいだろうと思う(自分も本当のリアルタイムでは触れてないので完全に分かるとは言えない)。白背景にヒロイン単独、というラノベ表紙の一パターンの先駆けとなった、とよく言われる。
デザイナーは鎌部善彦で、以後のシリーズも同様。自分は「デザイン」と「装丁」と「イラストレーター」の役割分担も分からないぐらいなので、詳しくはこちらの記事を参照してもらいたい。
ライトノベルの装丁におけるグラフィックデザイナーの比重の変遷:ARTIFACT ―人工事実―
この作品の場合、イラストに対して、特に細かい指定がされた訳ではないそうだ。緒方剛志氏が描いたキャラの立ち絵イラストがあって、編集者の人が特に注文をせず、自由にデザインしていいですと言っていたので、デザイナーの鎌部氏が小説の設定を活かし、二人の立ち絵を合成したデザインにしたという。
へー。
ちなみに、デザイナーは別(鈴木亨)だが、主人公(?)の“変身前”と“変身後”の姿を並べる表紙は、ブギーポップシリーズの準レギュラー、“炎の魔女”霧間凪が主役のスピンオフ作品、『ヴァルプルギスの後悔』の1巻でも採用されている。
ヴァルプルギスの後悔 Fire1.<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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カラー口絵の構成もそっくりなので、恐らくは意図的なオマージュだと思われる。『笑わない』に比べるとキャラの間に距離があるのは、宮下藤花とブギーポップ、霧間凪と魔女ヴァルプルギス、それぞれの関係性の違いを反映している……?
裏表紙は、宮下藤花が持ち歩いている「スポルディングのでかいバッグ」とブギーポップのコスチューム(帽子)。シリーズがもっともっともっと大ヒットしていれば、スポルディングとのコラボなどもあり得たのだろうか。
2.『ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター Part1』
ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPART.1|電撃文庫公式サイト
あなたは自分の心の中に、何かが足りないと思ったことはない? 他の人にはあるのに、自分にはそれがないと悩んだことはない? 欠けているものを誰かに埋めてもらいたいと願ったことはない? そのことなら、もう心配はいらないわ。すぐに“そのとき”が来る。新しい可能性がひらかれて、苦しみのすべては終わるときが来る。私の敵〈ブギーポップ〉が邪魔さえしなければ――。私? そうね、敵は私を〈イマジネーター〉と呼ぶわ……。第4回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろすスケールアップした新作。イマジネーターの手から君は逃れられるか……?
ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPart1<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
ブギーアップその1。
ブギーポップのマントの中身などによく使われているものと同じ?闇のエフェクトを背景にブギーポップがガンを飛ばす。こわい。この暗さは、この巻の夜のシーンの多さをイメージしたものでもある?
前巻とは逆に、文字サイズだけで言えば英題の方が大きい。文字の輪郭だけ(適切な表現が思い浮かばない)なのでやはり目立たないようにはなっているが。
裏表紙はスポルディングのバッグを持った宮下藤花。シリーズがもっともっともっと大ヒットしていれば(略)
3.『ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター Part2』
ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPART.2|電撃文庫公式サイト
君にはやらなければいけないことがあるかい? そうしなくてはだめだと思い込んでいることはないかい? それは君にとって本当に大切なことなのか、真剣に考えてみたことがあるかい? もし、君がどんなことをしてもやり通すというなら、それもいいだろう。だが、それが、何の望みも願いもない、ただの暴走であるなら、君は〈イマジネーター〉の手の中に墜ちているのかもしれない。もしそうなら、このぼく――〈ブギーポップ〉は、何度でも君の前に帰ってきて、そして“対決”するだろう――。ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞の上遠野浩平が書き下ろす、待望の新作。君はブギーポップに救われるのか、それとも……。
ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPart2<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
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・キャラ:その他(ブギーポップ以外)のみ
・人数:1人
キャラのアップは共通だが、Part1とは対照的な白背景。そして同様に、ブギーポップのこちらを真っ直ぐに射抜く視線とは異なり、悲しげに目を伏せ横を見る本作のヒロイン織機綺(全裸)
……と、(帯に引用されている台詞が織機のものだったため)思い込んでいたのだが、この少女がブギーポップの宿敵、〈イマジネーター〉こと水乃星透子であるという意見もあるらしい。言われてみれば、ブギーポップの黒に対応する白(「四月に降る雪」!)なんだから、そちらの方がふさわしいかもしれない。
……と、せっかく納得しかけていたのに、
『VSイマジネーターPart2』のカバーに描かれた少女は、イマジネーター水乃星透子なんですか? それとも藤花や綺?
という質問に上遠野浩平自身が、
この彼女が誰なのか、宮下藤花なのか織機綺なのかは、カバーを描いた緒方さん自身「知らん」と言っているのでわかりません(笑)。本当に「知らない」らしいです。
……もう知らん!
イラスト部分以外の形式はPart1に準ずる。
裏表紙は、「ナイキのでかいバッグ」(偽ブギーポップのコスチューム入り)を持った、本作の主人公?谷口正樹。ここもきれいに対応している。
ブギーポップ・イン・ザ・ミラー 「パンドラ」|電撃文庫公式サイト
君は運命を信じているかい? 自分たちの意志とは関係なく回っていく世界の流れを実感したことはあるかい? これは六人の少年少女たちの物語だ。彼らは未来を視ることができる不思議な力を持っていて、彼らの間でだけその能力をささやかに使っていた。彼らに罪はない。そして責任もない。しかし――「これ――ブギーポップ?」六人の予知にこの僕の幻影が現れた時、運命の車輪は回りだした……。第4回ゲーム小説大賞で〈大賞〉を受賞した上遠野浩平のブギーポップ第三弾。六人の選択は救いか、それとも破滅か……?
ブギーポップ・イン・ザ・ミラー 「パンドラ」<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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- 発売日: 2015/01/10
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・キャラ:ブギーポップ&その他
・人数:8人
ブギーポップを中心に、この巻のメインキャラクターである、未来を視る能力を持った「六人」と、世界の命運を握る少女・キトが配置されている。シリーズ中で最もブギーポップの出番が少ない部類の巻なのだが、それとは関係なくセンターは譲らないブギーポップ氏。
細かい話だが、初のタイトル横書きである。また、英題無し。これ以後しばらくの間は表紙に英題が掲載されることがなくなる。
裏表紙は、サブタイトルにもなっているパンドラの箱、だと思うのだが、箱から出てる帯状のものはなんなんだ?「災厄」?不明。
“ぼくは歪曲王。君の心の中にある歪みに君臨するもの。君が歪みを黄金に変えることができるまで、ぼくはずっと君の側にいるだろう――”二月十四日の聖バレンタイン・デイ。 都市のど真ん中に屹立する異形の高層建築〈ムーンテンプル〉の観覧イベントに集まった人々を巻き込んで世界が歪んでいく。人々に甘く囁きかける歪曲王は、すべてがねじ曲がったその世界こそ天国にいたる階段だという。そして、そこにはもうひとつの奇妙な影がまぎれていた。“やはり来たな、ブギーポップ……!”人の心に棲む者同士が相まみえる時、終わりなき一日が、幕を開ける。
ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
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・キャラ:ブギーポップのみ?
・人数:1人
歪曲王の世界とおぼしき赤い空の廃虚に立つ、ややリアルタッチのフギーポップ。その背後には、ブギーポップに唯一手傷を負わせた実績によってシリーズ最強候補入りすることになった怪獣ゾーラギの巨大な頭部がぼんやりと見えている。ゾーラギを「キャラ」にカウントすべきかは迷ったが、とりあえずこの表紙については背景として扱うことにした。
今回見直して初めて気づいたが、このブギーポップ、マントから左手を出してるのは単にポーズを取ってるだけかと思いきや、さりげなく武器である極細ワイヤーを構えてる!ワイヤーの線が途切れ途切れで見えづらいが、これも本文に忠実な表現と言える。芸が細かい。
注目すべきは、中央で大きく存在を主張するサブタイトルの「歪曲王」の三文字。ブギーポップにはシリーズ共通のロゴというものがないので、こういったデザイン化された文字表現は珍しい。特に「歪」と「王」の歪みかたが良い。
裏表紙は、カップの中のコーヒーに映ったブギーポップ(竹田啓司の歪曲王)。芸が細かい(二度目)
6.『夜明けのブギーポップ』
君はこの世に取り返しがつかないことはないと思うかい? 辛い過去も、どうにかして精算することができると思うだろうか。それとも過去は、触れることのできない暗部でどうしようもないかな? 昔に起きたことはその後のすべてを決めて変えることはかなわないのだろうか? ……これはぼく、ブギーポップの誕生に関する物語だが、ここには四人の変わり者が登場する。彼らは探偵で、人の恐怖を喰らう者で、作家で、暗殺者だ。彼らが炎の魔女と出会うときに、四人が辿る道を、あなたは取り返しのつかぬ失敗と見るか、それとも――ささやかで不可思議な、六つの異形の視点から語られる、ブギーポップ最初の事件。
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:ブギーポップのみ?
・人数:2人
この巻で主に描かれる事件当時(藤花中学生時)のブギーポップの背後に、「現在」のブギーポップが幻のように立つ。ここでのメインはあくまで中学生ブギーであることを示すように、「現在」の側には背景も含めて色が非常に薄い。「現在」ブギーが作中で歪曲王の世界に存在していることを表しているのかもしれない。
「同一人物」である二人のキャラを縦書きのタイトルで挟んでいる、という意味では、これもまた一種の『笑わない』セルフオマージュなのかもしれない。やや話はズレるが、『笑わない』同様にサブタイトルを持たない、シリーズ中唯一のタイトルでもある。
裏表紙は、入院時(中学生)の霧間凪がベンチに座っている姿。「ブギーポップの誕生」も確かに描かれているものの、実質的に自分が主役であるはずの巻でこんなところに追いやられて不憫と言えば不憫ではある。
ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師|電撃文庫公式サイト
君は何かを取り逃が(ミッシング)してしまったことはあるかな? とてもとても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、目の前のことばかりに気を取られて見逃してしまったことはないかい? ……これはそういうことを繰り返さざるをえなかったある魔術師の話だ。彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの物語。冷たく鮮烈な甘さは、一瞬の、そう、このぼくブギーポップですら見逃してしまうほど速く、あっという間に溶けてきえてなくなっていくひとときの慰み──道化師と死神とそして夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しいお伽噺。
ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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・キャラ:ブギーポップのみ?
・人数:1人
作中のアイスクリームショップ「PW」(後の巻で名前が設定される)のシンボルである「磔」(死のイメージ)にちなんだ十字架に腰かけるブギーポップ。この十字架にはこの巻の主人公である合成人間・軌川十助の顔が彫り込まれており、その色も彼の肌の色に合わせた緑色となっている。分類を少し迷ったが、さすがに「キャラクター」にカウントするほどではないだろう。
ブギーポップの足元がはっきり見えているが、こういうタイプのスニーカーを履いているのは珍しい、ような気がする。
この巻から、イラストレーターである緒方剛志の名前も表紙でクレジットされるようになる。これはもしかして、このシリーズだけではなくレーベル全体での変化だったりするのだろうか?識者の見解を待ちたい。
裏表紙はストレートに、ミント味のアイスクリーム。輪郭線が太くてかわいらしい。
ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕|電撃文庫公式サイト
人の心の中にはひとつの卵があるという。その卵は心の中で表向きは無いことになっている何者かを貯えながら育っていき、殻の中で生まれ出るその日をずっと待ち続けているのだという。それが殻を破ったとき、その可能性はこのぼく、ブギーポップをも凌いで、世界を押し潰すかも知れない。……そして卵の指し示す運命はここにひとつの対決を生み出す。一人は既に最強で、もう一人はこれから殻を破る。だが宿命の秒読みは二人が出会うそのときまで刻まれ続ける。最強と稲妻、この二人は己の生きるたったひとつの道を見出すため、多くの者を巻き込み避けえぬ激突を迎えることになるだろう――謎のエンブリオを巡る、見えぬ糸に操られた人々の死闘の第一幕がいま上がる。
ブギーポップ・カウントダウン エンブリオ浸蝕<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
水色の背景の中で、眠るように体を折るブギーポップ。この背景は単なる水というより、後述する『炎生』との対応を考えると、“イナズマ”高代亨と“最強”フォルテッシモの最初の激突シーンの状況である「雨」かもしれない。タイトルの文字は背景よりもはっきりと露骨に水をイメージした加工がなされている。
ブギーポップの腰に、折り畳まれたスポルディングらしきバッグがベルトでくくりつけられているのが見える。なるほど、着替えた後はこうやって持ち歩いていたのか……
裏表紙は、この巻と次巻でキーとなる、人の眠れる才能を引き出す存在“エンブリオ”の、この時点での容れ物である携帯ゲーム機。モデルについて、ポケットステーションだ、いやビジュアルメモリだ、という議論があったとかなかったとか。
ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生|電撃文庫公式サイト
世界って奴ァ悪意に満ちていると思わんかい? 普通に生きているつもりでも、どこで足下掬われるかわかったもんじゃねえよな――オレはエンブリオ。人の心の中の殻をぶち破らせる存在。望むと望まざるとに関わらず、オレに触れたものは過剰な可能性を引きずり出され、災厄に巻き込まれることになる……そしてその厄災が今、最強と稲妻の再対決を呼ぶ。この命運を賭けた決闘が決着の時を迎えるとき、街は震撼し、高らかな炎が上がり、そしてブギーポップの奴は悪意(ウィキッド)たっぷりに運命に介入してきやがるのだ……不思議なエンブリオを巡る死闘の果てに待つのは地獄か未来か、それとも――
ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
炎の中、落下していくかのように見えるブギーポップ。姿勢としては『浸蝕』とほぼ同一だが、構図が180度回転している。
この「炎」は、言うまでもなくイナズマとフォルテッシモの最後の対決シーンのイメージだろう。タイトルの文字も、ちょっとやり過ぎなぐらいにメラメラと燃えている。
『浸蝕』と『炎生』の表紙を横に並べると、互い違いのブギーポップの姿が、ブギーポップのコスチュームにもその意匠が取り入れられている「陰陽太極図」(陰陽マーク)の形に見えなくもない。どうだろう。
タイトルと著者・イラストのクレジット、電撃文庫マークの位置まで『浸蝕』とは左右逆になっており、徹底的に対になるものとしてデザインされたことがうかがえる。
裏表紙は、『炎生』終了時点での、そしてこれ以降シリーズ中の現在に至るまでのエンブリオの容れ物である、エジプト十字架型のアクセサリ。これも『浸蝕』と対になっている。美しい。
ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド|電撃文庫公式サイト
“世界の敵”とはなんだろうか? ヤバいことばかり考えている奴がそうだというのなら、この世は既に敵だらけだろう。このオレ、霧間凪には難しいことはわからない。だがその善悪の境界線みたいな所をブギーポップの奴は歩いている気がするし……そしてオレが中学生の頃に出会ったあの変わり者の女、九連内朱巳もまた、両方にまたがる場所に立っていた気がする。悪を恐れず、善に怯まず――あの「傷物の赤」はそういう少女だった――生命を停められた被害者たち。どこから襲ってくるか予測不能の敵。無為なる危機に対し霧間凪は如何に戦うのか。そして背後には迫りくる黙示録の予兆が……切ない恋心が“心のない赤”に変わるとき、少女は何を決断するのか。
ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:ブギーポップ&その他
・人数:3人
マントの中にいつものキラキラした闇が広がるブギーポップを背景に、“炎の魔女”霧間凪(中学生)と、今回のメインキャラクターである“傷物の赤”九連内朱巳が、ほとんど密着するように立っている。百合である(断言)
右から順に、前を向く九連内朱巳、を横目で気にしている霧間凪、という二人をかすかに横目で見て(見守って)いるように見えなくもないブギーポップ、という構図だろうか。
10巻目にして遂に表紙への登場を果たした霧間凪。もっとも、後に『ヴァルプルギスの後悔』で毎回表紙を飾ることになるのだが。
久しぶりに英題があるが、「BOOGIEPOP PARADOX」の部分のみと中途半端な形になっている。まあ、この巻の英題は「HEARTLESS RED―THE UNUSUAL CONTACT OF VERMILION HURT & FIRE WITCH」とやたら長いので、これを表紙に入れるのは難しいかもしれない。そのせいではないと思うが、表紙での英題の復活はこの巻のみの一時的なものにとどまり、本格的な再開にはまだ時を待たなければならない。
サブタイトルの文字色は、当然のように赤。
裏表紙は、目次での「空洞の天狗」という誤字(正しくは「空洞の狗」)で有名(?)な、“死”を抜き取られたビーグル犬。影の中に光る白一色の目が印象的。
ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト|電撃文庫公式サイト
君は知っているかな、あのホーリィとゴーストの伝説を?あの若い男女二人組の犯罪者はあまりにも誤解されすぎている。強盗、騒乱、破壊活動を繰り返した彼らは別に悪いヤツじゃあなかった。衝動で暴れていた訳じゃない。世の中に反抗してた訳でもない。二人はただひとつの選択をしただけ――それは“だって、ほっとけないし”という気持ち。だが哀れな世界の敵<ロック・ボトム>を解散しようとした彼女らの行動は数々の悪を呼び寄せ、遂には死神であるぼく、ブギーポップとの対面を呼ぶ――悪に依存せず、正義に従順でもない二人組が、後先考えない陽気な犯罪と空回りのあげくに辿り着く先は生か死か?あるいは――
ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:その他のみ
・人数:2人
この巻の主人公である、ホーリィ=濱田聖子とゴースト=結城玲治が、いかにも「犯罪者」なサングラスをして廃虚の中に立つ。この廃虚は、本編終盤で崩壊した工場のイメージだろう。
イラストと表紙デザインの順番がどうなっているのか詳しくは分からないが、濱田が右、結城が左に立っているおかけで、うまい具合に縦書きのサブタイトルをそれぞれのキャラに対応する形で配置することができている。
裏表紙は、ホーリィ&ゴーストの黒幕である、包帯だらけのイタチ“スリム・シェイプ”。こういうマスコット的なキャラクターがブギーポップにはわりとよく登場する。
12.『ブギーポップ・スタッカート ジンクスショップへようこそ』
ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ|電撃文庫公式サイト
君にはツキがあるかい、それとも万事うまくいかない感じかな? 変なジンクスがつきまとい、何をしていいか分からないって経験はないかな? だが逆に、ジンクスを自由に身につけることができるとしたら、その人間は運命を我がものにできるということになるのかも知れない。君は運命を手に入れたら何をするだろうか……街の奇妙な店が売るものは、人に楽しみと不安を等価値に与え、何処とも知れぬ場所に導くだろう。だが、その先に待っているのは口笛を吹く死神で――運命を操ろうとする者たちと、それを眺める者と、それを断ち切る者たちが奏でる断音符(スタッカート)だらけの耳障りな交響曲が悪夢と未来を同時に歌う――。
ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:ブギーポップ&その他
・人数:4人
楢崎不二子、伊東谷抄造(シェイムフェイス)、そして柊(オキシジェン)、三人の「ジンクス・ショップ」関係者を見下ろすようにブギーポップが浮かんで?いる。背景はちょっと分かりづらいが、これまでにもシリーズ中で何度か登場した、二つのビルからなる百貨店「ツインシティ」だろうか?ジンクス・ショップがこの二つのビルの間に建っているという設定だし。
ほとんど色のない世界の中で、ブギーポップと、オキシジェンの左手から伸びる「運命の赤い糸」だけがはっきりと色を持っているのが鮮やか。ブギーポップの視線の先で「糸」が途切れているのは本編の内容をさりげなく予告しているとも言える。
「運命の赤い糸」に合わせて?タイトルの文字色も赤(から黒へのグラデーション)。まさかスイッチスタンスの血の赤ってことはないだろうと思うが。
裏表紙は、「糸」に囲まれ、猫(別作品で「ロキ」と名付けられている)を抱く「博士」こと末真和子。彼女もシリーズ準レギュラーなのだが、表紙にはなかなか縁がない。
ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス|電撃文庫公式サイト
“君の胸の奥のその「動機」とやらは、実は空っぽなんじゃないのかい……?”ブギーポップに復讐する。ただし誰のためでもなく、己自身のために──その執念に取り憑かれた少年が、内気な少女織機綺と共に“牙の痕”と呼ばれる地に足を踏み入れた時、混迷は幕を開ける。メビウスの輪のように表裏も定かでない異界に迷い込んだ二人の前に現れたのは、心の闇から顕れた爆弾の群と、鬼とも人ともつかぬ奇妙な子供“ブリック”だった──己の迷いに気づけない少年と、迷いの弱さに悩んでいる少女と、何処に行くべきかさえ知らぬ魔物が彷徨う──そこは境界。果てなき虚空と、儚き想いとの狭間に位置する迷宮に“破壊”が渦を巻くとき、死神が人に告げる言葉は断罪か、赦しか、それとも──
ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
毎度おなじみキラキラした赤黒い闇を背景に、宮下藤花がブギーポップへと“変身”する過程の中から四つの瞬間を切り取って手前から並べた、ということなのだろうか?
この演出はカラー口絵のキャラクター紹介部分とも共通しており、時間の流れの混乱が扱われている本編の内容と何らかの関連を持たせているのだとは思うのだが、はっきりした意図は分からない。が、とにかくカッコいいことだけは間違いない。
またしてもサブタイトルの文字色が赤だが、今回は謎の子供“ブリック”の「赤レンガのような」肌の色を意識したものか。
裏表紙は、ブリックが収められていた、爆弾製造者メビウスの黒いアタッシュケース。メビウスはこの巻の裏主人公とも言える存在なので、適切なチョイスだと思う。
ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟|電撃文庫公式サイト
彼女の敵は世界。周り中のすべてを焼き尽くしても、なお足りぬ怒りと憎しみの対象──理由などない。生まれたそのことが間違いだったとしか言いようがない。生きながら冥界にいるのと同じように、心が凍てついている。……でもその心の中にひとつだけ例外がある。喩えるならば神話のオルフェのように、一度は死んだはずの人間を助けにあの世まで下りていき、死神にも挑んだ少年の──嘘で塗り固められた世界の謎に挑もうとする者と、さらに大きな嘘を押し通すため、謎を利用しようとする者たちが織りなす、これは虚しき仮面劇の物語。その欺瞞の行き着く先に待つものは、燃える世界か、凍れる未来か──容赦なきブギーポップは彼女たちに如何なる裁きを下すのか?
ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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・キャラ:ブギーポップ&その他
・人数:3人
共に世界の敵である「炎」と「氷」のMPLS、杉乃浦春海(ワン・ホット・ミニット)と六嶺美登里(フォーリン・グレイス)を背にブギーポップが厳しい視線(髪に隠れて片目だけ)をこちらに向ける。世界の敵二人の不安げな表情と、帯に引用されているセリフ「殺すだけのぼくは、とても不寛容(イントレランス)で――」のせいか、ブギーポップの「絶対殺す」感がいつもの三割増しに見える。
本編での扱いを反映してか、ワン・ホット・ミニット(ヒロイン、ないし主人公)の方がフォーリン・グレイスよりやや大きめに描かれている。背景も、これはたぶん炎のイメージだろう(その代わりにフォーリン・グレイスは長く白い髪がうねっている?)
ついに英題が帰ってきた!通常タイトルの下に小さく添えるという形ではあるが。
裏表紙は、サブタイトルにも含まれているギリシャ神話の吟遊詩人、オルフェウスの竪琴。
ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド|電撃文庫公式サイト
彼女は彼が好きで、彼は別の彼女が好きで、でも彼女が好きな人には恋人がいて……そういうありふれた三角関係に、合成人間どもの異形なる死闘が──逃げ続けて隠れる者と、それを追いながらも己の恋のみを追い求める者と、そいつらを喰いものにしている怪物と──奇怪なる三角形が重なるとき、そこにひとつの質問(クエスチョン)が生まれる……「ブギーポップってなんだよ?」憶えていること、忘れてしまったこと、消えてしまった愛と、友情と、夢と──答えの見えない問いかけを巡る、これは想い出せそうで、でも決して想い出せない物語。死神をさがしながら、消えてしまった過去をたどる少女たちの運命の先にあるのは、解放か、あるいは沈黙か……?
ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
ブギーポップが空中に浮かんでいる。のではなく、靴で血を引きずった跡があることから分かるように、作中の合成人間メロー・イエローの能力による空気を固めて作った見えない足場に立っている。これとほぼ同じ状況が本編中に実際存在しているという、ブギーポップでは比較的珍しいタイプの表紙イラスト。
本編のほぼ忠実な再現でありつつ表紙単体として見てもシンプルかつ力強い絵面。四方八方に飛び散った血の跡の殺伐さと、やや幼めに描かれたブギーポップの顔のギャップ。などの点から、個人的には最近のブギーポップ表紙の中で特にお気に入りの一枚。……と思ったが、奥付け確かめたら、これもう8年前なんだな。さすがに「最近」は無理があるので、ブギーポップ後期の中で特にお気に入り、ということにしておこう。
色合いがセピア調なのは……まさか「セピア・ステイン」という合成人間がいるから……?(「思い出」が鍵となっている内容だから、だと思うが)
フォーマットというほどではないが、この巻で採用されている英題の形式(スタンプのような?文字)が、ここから数巻続くことになる。配置はまちまちだが。今回と次回の『スキャット』では、通常タイトルの下敷きになっている。
裏表紙は、やきそばを食べるメロー・イエロー。かわいい。
16.『ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット』
ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット|電撃文庫公式サイト
自由ってなんだろうな? なんでも自分の思うように生きることかな。でもその思ってることが他人の受け売りに過ぎなかったら、そいつは自由な意志って言えるのかな。おれたちが思ってる正しいことって、本当はどれくらい意味がある? ……あいまい(ダークリィ)でよくわからない。人生の意味をはっきり決められるヤツがいるとしたら、そいつは噂の死神ぐらいしかいないんじゃないんだろうか──とある平凡な町を舞台に、統和機構最強のフォルテッシモと、無敵の能力スキャッターブレインが激突する。普通の中学の学園祭を背景に、少女たちと少年が化け猫が歩く奇妙な風景を求めてさまよう。ふたつの相容れない事象が交錯するとき、ブギーポップが指し示す事実とは……?
ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/01/10
- メディア: Kindle版
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
ブギーアップその2。今回の表情は、なんだろう、けだるげ?ウエメセ?
『沈黙ピラミッド』と同じく、いや、それより一層セピアが強調されているが、こちらは、MPLS〈スキャッターブレイン〉の能力が舞台となる町を覆い何もかもをあいまい(ダークリィ)にしていることの表現なのではないか、と考えているのだがどうだろう。
もしも上の解釈が正しいのだとしたらの話だが、舞台となる土地全体が何かの影響下にあることを色の変化で表現する手法は、アニメ『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』に似ている。
裏表紙は、デフォルメされた、真駒以緒、相原亜子、無子規憐の、音梨中学写真部の女子三人。と猫マーク?他二人は普通にかわいいのに、なぜ相原亜子だけ眼鏡の奥の目が見えない、変態っぽい描き方されてるんだ……
ブギーポップ・アンノウン 壊れかけのムーンライト|電撃文庫公式サイト
あんたには好きな娘っているかい。俺も恥ずかしながら片想いの相手ってやつがいる。その娘が何を考えているのか、それが知りたくてしょうがない。でもそんな俺にブギーポップはこんな風に言う……「彼女のことを好きなら、君は世界の敵と戦わなきゃならないだろうね」それって一体どうすりゃいいんだ? ――三人組の男子に仲良し三人娘、どこにでもいそうな子供たちが何気なく惹かれた先に待っていたのは、触れた者すべてを死へ誘う奇妙で歪な蝙蝠の影だった。謎が謎を呼ぶ中であらゆる絆が壊れていき、何も信じられない暗闇に落とされたとき、彼らが求めるのは月光の下での優しい終末か、それともさらなる悪夢に突き落とす黒帽子の死神か……?
ブギーポップ・アンノウン 壊れかけのムーンライト<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
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・キャラ:その他のみ
・人数:3人
今回のメインキャラクターである6人の少年少女の内の「仲良し三人娘」、宮下藤花、中条深月、歌上雪乃が、画面のこちら側にある「何か」を見て、藤花はそれに手を伸ばしている?という絵。最初は意図がよく分からなかったのだが、月を見上げているのだという意見をどこかで聞いて、なるほどと納得した。もっとも、背景にあるのもやはり月に見えるので、確定させていいものかは迷うのだが(ついでに、女子高生が笑いながらカツアゲしているように見えるという意見もあった。こわい)
藤花と深月の二人が前に出て雪乃がやや小さめなのは、やはり作中での扱いの反映というか格の違いというか。
ブギーポップ抜きで宮下藤花がいるという非常に珍しいパターン。『笑わない』『ロスト・メビウス』表紙の藤花と見比べて、目の大きさに驚いてみたりするのもおもしろいだろう。
英題は、左上隅に追いやられた上に今度は著者・イラストレーター名の下敷きに……
裏表紙は、今回の世界の敵〈バット・ダンス〉が可視化されたもの。作中では「コウモリの影」としか表現されていないのだが、まん丸の体にコウモリの羽根を生やしたものとして描かれている。かわいい。
ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン|電撃文庫公式サイト
何も思い出せない――私が目覚めたとき、そこにあったのは奇妙な黒帽子と黒マント、そして生物を一瞬でばらばらにしてしまう能力だった。そんな私の耳に届く不気味な噂“ブギーポップは人が最も美しいとき、醜くなる寸前に殺してくれるんだって”その特徴はなんだか、私の黒帽子と変に一致していて……。何も覚えていない彼女と、何もかもを拒絶している彼女と、自分では何も決められない彼女が出会うとき、世界の裏で錆びついていたはずの呪いが動き出す。人々の心に染み込んで、すべてを崩壊させてしまう悪夢が滲み出てくる。生ける屍が徘徊する衰都の騒乱を征するのは死神の断罪か、幻想少女のイマジネーションか……?
ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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・キャラ:ブギーポップのみ
・人数:1人
ブギーアップその3。
以外に言うことがないかもしれない。と焦ったのだが、
ブギーポップ・ウィズインさびまみれのバビロンについて - 藤四郎のひつまぶし
ブギーポップシリーズ2作目のVSイマジネーターのころから、シリーズ通して大きな存在感を発揮しているイマジネーター、水乃星透子とブギーポップという2人の重要人物を連想させるあらすじ。
そしてこの表紙。
これもVSイマジネーターPart1を連想させます。
なるほど(それ以外に言うことがない)
いや、別に悪い表紙だとは全く思わないが、絵自体のことは分からないので、物語内容と結び付けられる要素がないとだいぶ語りにくい。なので許してもらいたい。
今回の英題は、他の文字とはほとんど重なっていない(「電撃文庫」とちょっとだけ)し、全体が表紙内に収まっているぞ!と思ったら、帯で隠れる位置だよ!どうも、何らかの事情により、英題は入れたいがあまり目立たせたくない(目立たせられない)というジレンマでもあったのではないか、と勘ぐりたくなる扱いである。この巻をもって、少なくともこの形式の英題はひとまずお役御免ということになった。いつかまた帰ってきてくれると信じて、その時を静かに待とう。
裏表紙は、久しぶりのSPALDINGと脱ぎ捨てられたコスチュームだが、これは宮下藤花ではなく「偽ブギーポップ」である不破明日那たちのものかもしれない。
19.『ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック』
ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック|電撃文庫公式サイト
君は堕落したいかい? 自分の意志なんて面倒なものを投げ捨てて、だらしない世俗に流されて安易な満足に耽りたいかな? 先に待つのは愚鈍さだと感じつつも、ずぶずぶと暗い情熱に溶け込んでしまいたい? その湿った衝動こそデカダント・ブラック。そいつが危険か、このぼくブギーポップにも今ひとつ掴みきれなくて──二人のストーカーがお互いの監視対象を交換し、より陰に潜むと選択したことが奇妙な運命を呼ぶ。世界の命運を決する死神に取って代わろうという怪異な欲望が、関わった少女たちの心を汚染していく。事態を解決しようとする風紀委員長の新刻敬も、否応なくそのどす黒い退廃に引きずり込まれていく。あげくの果てに彼女が選択するのは容赦なき断罪か、それとも共倒れの崩壊か──?
ブギーポップ・チェンジリング 溶暗のデカダント・ブラック<ブギーポップ> (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平
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・分類:ブギーポップ&その他?
・人数:2人
ブギーポップと「ちびブギー」が背中合わせに座っている。
表紙に「ブギーポップ」が二人いる、という意味では『夜明け』と似ているのだが、ここでの「ちびブギー」が本編中に登場するものと同じ存在だとすると、少なくともブギーポップの「同一人物」ではない。悩んだ結果、設定を尊重して、このちびブギーは「ブギーポップ以外のキャラクター」にカウントすることにした。
ちびブギーは、カラー口絵及び挿絵でも描かれているが、雰囲気がだいぶ異なる。マントの中身が描かれているかどうかで印象が変わっている、だけとはちょっと思えないレベル。どちらも別方向にかわいいので問題ないが。
デカダント・ブラック(=人の心の暗闇)の流れを扱った本編の内容の表現として、黒いブギーポップのコスチューム、白い背景、黒い制服スカート、白いハイソックス、など、白と黒のコントラストが強調されている。のは分かるのだが、サブタイトルの上部分(「溶暗のデカダン」あたり)の、赤かったり青かったりするのはなんなんだ。識者の見解を待ちたい。
裏表紙は、この巻の最重要存在と言ってもいい、蝶ネクタイを付けたフレンチブルドッグ。この犬も、毛色が白と黒になっている。作中には特に毛色の記述がなかったはずなので、純粋にナイスデザイン。
20.『ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆』
ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆|電撃文庫公式サイト
君は世の中が間違っていると思ったことはあるかい?
もし不満があるなら君は反逆しなければならない。だが気をつけなきゃならないのは、君の行動でとても迷惑する人が出ることと、このぼく、ブギーポップに殺されてしまうかも知れないってことだ――統和機構内部の勢力争いに巻き込まれてしまった織機綺と谷口正樹。若い恋人たちに科せられた試練は、自分自身をも裏切るいびつな心の影と直面することだった。お互いのためと考えながらも、決断できない弱い精神が二人を苦しめる。その中で浮かび上がってくるのは、かつて世界を滅ぼしかけた危険な呪いと、己を見失った人々の混乱した焦燥――思考に潜むオルタナティヴ・エゴという罠から、綺たちは脱出して正しい道を見出すことができるだろうか……?
ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆 (電撃文庫)
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
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・キャラ:ブギーポップ&その他
・人数:3人
お互い背を向けて、逆の方向を向く谷口正樹と織機綺。その間の画面中央やや奥に、目を閉じ手を広げて浮かぶ?ブギーポップ。
正樹と綺に関しては、これはもうあからさまに「想いがすれ違う恋人たち」の表現なのだろうし、本編の内容と照らし合わせてもふさわしいものだと思う。だが、このブギーポップは何だ。ポーズからすると恐らくはキリストの磔刑のイメージのようだが、だとして、なぜここで?
作中に「生贄となってもらう」という台詞は存在するが、その対象はブギーポップではない。また、綺の回想として、PW(『ペパーミントの魔術師』の)と思われるアイスクリーム屋にまつわる正樹とのエピソードが存在し、PWと言えば「磔」、なのだがこれもさすがに遠すぎるだろう。識者の見解を待ちたい。
これは本当にどうでもいい話なのだが、角度の関係でブギーポップの制服スカートの奥に、足の付け根、というか尻肉がかすかに見えている。本当に全く完璧にどうでもいい話なのだが。
サブタイトルの文字サイズが、「オルタナティヴ・エゴの」部分と比べて「乱逆」の二文字はだいぶ大きくなっている。たしかに強調したくなるようなインパクトのある単語ではある、「乱逆」
帰ってきた!思いのほか早く英題が帰ってきた!配置こそ『沈ピラ』〜『さびロン』にはなかった形(右端に、下から上への縦置き)だが文字形式はほぼ同様みたいだし、もしかして『デカブラ』に英題がなかったのは単に入れ忘れただけなのでは……?という疑いをつい抱きそうになる。英題の配置が『VSイマジネーター』に近いのは、綺と正樹の話だからか?
裏表紙は、統和機構内のサークル〈アンチタイプ〉のリーダー、ミニマムの顔。特にデフォルメのない人間キャラの顔のみ、というのは初めてか。
さて。
これでブギーポップシリーズ既刊20作の表紙をひととおり振り返ってみたわけですが。データ的な部分の集計としては、以下のような結果となりました。
- 表紙に描かれたキャラクターの平均人数:2.05人
これらも踏まえた上で「ブギーポップシリーズの表紙」全体について何が言えるかというと……よく分かりません。
目立つのはやはりブギーポップ単独のものですが、それ以外の形も初期から存在し続けている。表紙にブギーポップが登場するかどうかと本編の内容(ブギーポップの出番の多さ)の間にもあまり関係はないらしい。文字部分のフォントや配置もころころ変わるし、何より、先述のようにシリーズ共通のロゴさえない……といった具合に、とにかく捉えどころがない。
著者の別の版元での作品になりますが、たとえばソウルドロップシリーズなどは今のところ見事なまでに怪盗ペイパーカット単独縛りで、普通の意味での一貫性の美しさではこちらの方がはるかに上です。
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メイズプリズンの迷宮回帰―ソウルドロップ虜囚録 (ノン・ノベル)
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では、ブギーポップの表紙は何の一貫性もない場当たり的なものなのかというと、そうは思いません。「これはこうである」と決め込んでしまわずその都度改めて考えるという点において、これまでずっと「一貫」してきた、と捉えたいところです。そしてそれは、ブギーポップという作品自体とも共通する姿勢である、とまで言うと言い過ぎでしょうか。
ブギーポップの表紙といえば『笑わない』の印象が強いためか、例の「白背景+キャラ」の元祖(?)という点が主に強調されますが、実際はこのような型にはまらない変幻自在さこそが特徴なのです。これからも意外性のある表紙を期待したいですね。という建前めいた結論をなんとか絞り出したところで、今回は勘弁してください。
以上、新刊発売時恒例、感想めんどくささ故の適当なシリーズまとめでした。皆さんは、『ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆』の真面目な感想をちゃんと書いてくださいね。
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