記事詳細
【北朝鮮拉致】
自衛隊は拉致被害者を救出できないのか? ドイツの事例を参考に元自衛官らが訴える「奪還シナリオ」の必要性
こうした経緯から、今後北朝鮮との間で被害者帰国に向けた交渉を実現するため、荒木氏は「北朝鮮にいうことをきかせるには、力でやるしか方法はない。北朝鮮の中で金正恩が『このままいくと爆弾を落とされる』『日本がキレたら何をするかわからないと』いうふうに思えば、交渉に乗ってくる可能性はある」と話した。
実現しなかった拉致被害者救出作戦
シンポジウムでは、民間による拉致被害者救出が過去に検討されたことがあったことも明かされた。
昭和53年8月に北朝鮮に連れ去られた増元るみ子さん(62)=拉致当時(24)=の弟、照明さん(60)は平成14年終わりごろ、るみ子さんと、るみ子さんと一緒に拉致された市川修一さん(61)=拉致当時(23)=救出作戦の実施を提案されたという。
照明さんによると、作戦を提案したのは、元北朝鮮工作員の安明進(アンミョンジン)氏。「現在でも増元るみ子さんと市川修一さんの所在地がある程度わかる。連れ出せるはずだという相談があった」という。
しかし、るみ子さんと市川さんの2人を同時に救出するのは困難だという見通しを伝えられ、「どちらか一人残されたほうはどうなるのだろうという危惧があったのでプロジェクトを断らざるをえなかった」と振り返った。
荒木氏も15、16年前に、民間軍事セキュリティー会社の関係者から、特定の被害者奪還を提案されたことがあったと説明。「そのときはそこまで考えがいたっていなかったのと、それ以上に一人だけ取り返すということについてどうしても抵抗があって、なんとなく立ち消えになった」というが、「どこかで(救出作戦を)決断しなければいけない時期はくるという可能性はある」と話した。
関連ニュース
- 【緯度経度】なぜ日本政府は拉致事件をもっと世界で発信しないのか? ワシントン駐在客員特派員・古森義久
- 【拉致問題】蓮池透氏の著書「冷血な面々」に家族から怒りの声続出!「救出運動の邪魔しないで」「明らかにうそ。講談社も責任を!」
- 【北朝鮮拉致】「安倍首相のやり方ではうまくいかない」蓮池透さん 昨年の講演内容詳報
- 【北朝鮮拉致】拉致被害者に日本語の響きを… 短波ラジオ「しおかぜ」で歌うミュージシャンの思い
- 【北朝鮮拉致】「横田めぐみさんは君が代を歌っていた」 金賢姫元工作員が明かした衝撃の新事実 母・早紀江さんの眼に涙があふれ…
- 【元CIA要員の極秘証言(上)】工作員450人超を聴取したスペシャリストが語る金正恩政権の闇