【サンパウロ=宮本英威】キューバと欧州連合(EU)は11日、キューバの首都ハバナで会合を開き、両者の関係改善に向けた合意文書に調印した。EUが1996年にキューバの一党支配体制の変更を求めたことなどから、両者は対立していた。合意を機に人権問題を含めた政治対話、経済協力の拡大を進める。
キューバのロドリゲス外相は「過去に例のない非常に重要な一歩だ」と合意を歓迎した。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は「両者の関係で歴史的な日だ。お互いの信頼と理解が向上する」と述べた。
EUは2003年、キューバ政府が反体制活動家を弾圧したことなどからキューバの人権問題を強く批判。キューバはこれに反発し、関係は冷え込んでいた。
14年4月にEUとキューバは関係改善に向けた交渉を始め、これまで7回の会合を重ねてきた。今後はEU加盟各国で批准の手続きに入る。両者は数カ月以内に開く予定の人権対話を通じて、関係改善を進める見通しだ。
キューバにとっては15年7月の米国との国交回復に続く成果で外交関係の円滑化につながる。米国に加え、欧州からの投資や経済協力の資金の流入につながりそうだ。
キューバを巡っては、米国が国交回復に向けた過程で経済封鎖の一部を解除した。今月20~22日にはオバマ大統領がハバナを訪問する予定で、関係改善は徐々に進んでいる。モゲリーニ氏は米国の経済封鎖が、キューバでの事業拡大を考える欧州企業の障害になっていると指摘したうえで「封鎖は時代遅れで終わらせるべきだ」と述べて、米国に経済封鎖の全面解除を求めた。