太陽の60億倍の重さがある超巨大ブラックホールからジェットと呼ばれるガスが光速に近いスピードで激しく噴き出しているのを観測したと日本と韓国の共同研究チームが12日、発表した。ブラックホールの謎の一つであるジェットが生まれる仕組みの解明に役立つ成果という。
観測したのは、地球から5440万光年離れたM87銀河の中心にあるブラックホール。ジェットの長さが5千光年もあることが知られている。
チームは国立天文台が岩手県や鹿児島県、沖縄県などで運用する電波望遠鏡4台と韓国にある3台の計7台で合同観測を実施。2013年12月から約半年かけて、ブラックホールに極めて近いジェットの根元部分を詳しく調べた。その結果、噴出直後のジェットが広がる速度は光速の80%以上と判明した。
重力の強いブラックホールには周囲からガスが落ち込む一方、落ち込まなかったガスは重力を振り切って噴き出し、ジェットが形成される。これまではジェットはゆっくり噴出し、その後、光速近くにまで加速すると考えられていた。
国立天文台の秦和弘助教は「より詳しく観測し、ジェット形成の仕組みに迫りたい」と話している。成果は14日から東京都内で開かれる日本天文学会でも発表する。〔共同〕