李九段は「『アルファ碁』は後半に非常に強い。まったくミスがなかった」と言った。拮抗(きっこう)したまま終盤にもつれ込めば、ほとんどチャンスはないだろうとも言った。結局、李九段が第3局を前に下した結論は「序盤に勝負をつける」だった。何としてでも先制リードを取らなければ、それ以降は覆すのがほぼ不可能だと李九段は判断したのだ。
復碁の最中、李九段は「『アルファ碁』はうまい手を打つ」と何度か言った。当初の「1回も負けずにすべて勝つ」という考えは欲張りすぎだったことをはっきり認めた。しかし、それと同時に、「3局は勝てる」という確信も持ったという。全体的な力量を考えれば、決して自分が劣っているとは思えないというのだ。
第1局開始前の記者会見で、記者に「もし第1局を落としたら、どんな気持ちになるか」と質問されると、李九段は「そんなことはないだろうが、国際大会でそうした危機を克服した経験も多いので心配していない」と答えた。
李九段は、第3局を前に時間の使い方にも特に気を付けると語った。李九段は10日の第2局で146手に1回、152手にもう1回、秒読みに入り、154手から終了の60数手を残り1分で打った。「アルファ碁」も与えられた2時間を使い切ったが、秒読みは3回をすべて残したまま勝利した。秒読みの負担はどうしても人間の方が機械よりもはるかに強く感じるだろう。
李九段は11日朝に仲間たちと別れた後、午後まで熟睡した。もともと「夜型」の李九段にとっていつも通りのことだった。そして午後に目を冷まし、部屋のドアに鍵をかけて第3局の布石を考えた。対局前日には一切外に出ず、騒々しい雰囲気を避けて一人で過ごすのが、大きな対局を控えた李九段の過ごし方だ。