オーストラリア 2016/03/11(金曜日)
日豪の海・空軍、共同訓練実施[政治]
日本の防衛省は9日、オーストラリア海・空軍との共同訓練を実施するために海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦「はくりゅう」と護衛艦2隻などをオーストラリアに派遣すると発表した。派遣期間は3月15日〜5月28日。4月15日には日本の潜水艦がオーストラリアに初めて寄港する。オーストラリアが計画する次期潜水艦の導入で、日本やドイツ、フランスが受注を狙っており、今回の共同訓練により、そうりゅう型製潜水艦の能力や、日豪両国の安全保障上の協力関係の深さをアピールする狙いがあるとみられる。
防衛省海上幕僚監部によれば、対潜水艦や通信などの訓練を、シドニー周辺海域で実施するという。海自は潜水艦のほか、はつゆき型護衛艦「あさゆき」とあさぎり型護衛艦「うみぎり」、護衛艦搭載のヘリコプター2機を訓練に派遣する。派遣部隊はシドニーに4月15〜26日に寄港する予定だ。
■最新艦が豪艦のベースか
三菱重工業は7日に、最新のそうりゅう型潜水艦で7番艦の「じんりゅう」を海上自衛隊に引き渡した。同艦は最新技術を導入したことで、従来の同型艦に比べてエンジン音が小さく、潜行時間も長いなど性能が向上したという。オーストラリアがそうりゅう型を採用した場合、次期潜水艦はじんりゅうの仕様がベースになるとみられる。
■受注なければ「豪日関係は後退」
民間外交シンクタンクのローウィー・インスティチュートに所属し国防問題を専門にするロッジビーン氏は、このほど日本を訪問し複数の防衛省関係者と潜水艦問題について懇談した。日本側関係者は同氏に対し、オーストラリアが次期潜水艦で日本の潜水艦を採用すれば、日豪間の戦略的関係に恩恵があるものの、受注がなければ「日豪関係が後退する」と述べたという。
■独受注なら、豪企業の海外進出促進
一方、ドイツの複合企業大手シーメンスはこのほど、ドイツの造船企業ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)がオーストラリアの次期潜水艦建造を受注すれば、TKMSとともに応札するシーメンスを通じ、オーストラリアの関連企業が海外の国防サプライチェーンと協業することが可能になるとしている。これにより、オーストラリアの国防関連企業の海外進出を促進できるとしている。