9年ほど前、当時勤めていた会社の社員旅行で、初めて札幌へ行きました。
僕はそれまでずっと東北の田舎生まれ田舎育ちで、東京や大阪などの都会に行った経験は学生時代の修学旅行ぐらい。札幌どころか、北海道すら初めてというような状態でした。
札幌には、北海道一の繁華街として有名な「すすきの」があります。飲み屋に留まらず、お姉ちゃんのいるお店やエッチな事ができるお店も、すすきのには沢山あります。
そんなすすきので何をして遊ぼうかと期待に胸と下半身を膨らませていた僕ですが、当時はまだ二十歳そこそこのクソガキ。夜の街のことなど何も分からず、とりあえずは会社の先輩にくっついて回っているような状態でした。
すすきのは繁華街ですから、当然「キャッチ」と呼ばれる客引きのお兄さんたちも沢山います。皆さんそうだと思いますが、基本的に客引きに声をかけられても無視しますよね?僕も普段はそうします。
が、そこは初めての土地、すすきの。どのお店にすればいいのか…という状況で、僕と先輩は右往左往していました。
ただ、先輩はあらかじめ行きたい店の目星をつけていたようで、声をかけてきた客引きにその店名を告げながら探していました。
すると、
客引き「お店お決まりですか?」
先輩「◯◯ってお店に行きたいんだけど」
客引き「あ、それウチですよ!どうぞご案内します」
先輩と僕「おっ、すぐに見つかってラッキー」
みたいな流れで、すぐにそのお店に行くことができました。
しかし案内されたお店は、メイン通りの裏の裏の裏路地ぐらい行ったところにある、何だか怪しい雑居ビルの中…。しかも、店の看板はどこにもない。
僕「先輩…本当にここなんですか?」
先輩「うーん…結構有名な店なんだけど、まあ大丈夫だろ」
そして実際に店内に入ってみると、妙に暗い…。女の子の顔も見えるか見えないかぐらいの暗さ。
僕「…」
先輩「…」
どんなお店かというと、いわゆるキャバクラ(すすきので言うところのニュークラブ)に行きたかったわけです。ちなみに本州でキャバクラというと、普通にお姉さんとお酒を飲む店ですが、すすきのでキャバクラというと、いわゆる「おさわり」ができるお店を指します。ぜひ覚えておきましょう!(役立つとは言っていない)
で、先輩が目星をつけていたお店は、すすきのでも有名なお店。スタッフは若くて綺麗な女の子ばかりで料金もリーズナブルだということで、行こうという話になっていました。
しかし、実際に連れてこられたお店のスタッフはオバサンばかり。さらに、料金も高い。ボッタクリとまではいきませんでしたが、約1時間いましたが、2人で3万円ぐらいとられました…。
初めてのすすきのだというのに全然楽しくなくて、僕と先輩はトボトボと街中を歩きながら、もうホテルへ帰るか他の店に行ってみるか相談をしていました。すると、目の前に「お店はもうお決まりですか?」とまたもや客引きのお兄さんが。
ちなみにさっきとは違う人で、見た目はまるでヤーさんのようないかつさ。
先輩「いやーさっきさー、行きたかったのと違う店に連れていかれてさー」
客引き「マジですか!?ちなみに何て店ですか?」
先輩「◯◯って店」
客引き「…えっ?」
と急に顔が険しくなるヤーさん似の客引き。
客引き「…その店名、うちが経営している店なんですけど」
先輩「えっ」
僕「えっ」
客引き「ちなみに、その連れていかれた店って、どこにありました?」
先輩「あ、あのビルの中にあったはず」
客引き「ありがとうございます」
そしておもむろに携帯電話を取り出し、どこかへ電話をかける客引きのお兄さん。
客引き「おう、俺だ。◯◯ビルの中にある店で、うちの店の名を騙ってるところがあるらしいからちょっと調べてくれねーか?見つけたらタダじゃおかねえ!」
というような事を言っていたのを覚えています。こうなってしまうと、僕も先輩も「面倒なことになったかも…?」と軽くひいてしまいました。
その電話が終わったお兄さんはこちらに向き直り、
客引き「今回はご迷惑をおかけしたので、特別に格安料金でご案内します」
と、なぜか僕らがそっちの店に行くことになっていました。まあ、本来行きたかったお店だからいいかと先輩と話をして、僕らはそのヤーさん似に客引きのお兄さんに連れられて行ったのでした。そこではボッタクリやオバサンばかりということもなく、普通に遊ぶことができました。
現在はどうなっているのかは不明ですが、当時のすすきのはそういう嘘をついて違うお店に連れていく客引きや、無料案内所に入ろうとすると「ここ入るにはお金かかりますよ?」と言って自分の店に連れていこうとする客引きもいました。
繁華街に行く際には、ぜひ気をつけましょう。