ちょっと前の話だけど、
テレビの番組で地下アイドルと、そのファンとの交流が描かれていてた。
そのファンは中年男性でありモッサリした感じだった、
たぶん女の子にはモテていないだろう。
そのファンはアイドルと、軽い触れ合いをしていた。
ハイタッチをしてみたり、親しげに会話をしたりしていた。
ファンは楽しそうであり、距離感がちょうどいいと言っていた。
適度な近さで触れ合える距離感。
彼らの気持ちが僕はよくわかる。
ハイタッチとは憧れなのだ。
僕は高校生時代にクラスの女子とハイタッチしたかった。
「おはよー」と言いながら、ハイタッチしてみたり、
あとは・・
なんだろう・・
思い浮かばない・・
学生時代によくある風景のはずだ、
仲のよい男の子と女の子がじゃれあう行為・・
あと、どんなのがある・・
わからない、どんな風にじゃれあっているのだ。
わからないのは僕にそんな甘酸っぱい経験がないからだ。
よく考えてみたら、ハイタッチなんてのも普通はしないのかもしれない。
でも、僕にとったらハイタッチは憧れだったのだ。
モテない男にとって、クラスの女子とのハイタッチは一種の神話なのだ。
それを地下アイドルは知っていたのか、知らないのか、
もしかしたら「普通はハイタッチなんかしね〜よ、ば〜か」
と思いながらファンたちと交流していたのかもしれない。
地下アイドルとファンの距離感と、
高校生カップルの男女の距離感には、
決定的な距離感の問題がある。
前者は絶対に踏み込んではいけない領域があり、
後者にはそれがない、
つまり地下アイドルとファンのあいだには決定的な線引きがあり、
それ以上距離を縮めての、触れ合いはできない。
しかし高校生カップルの間にはそれはなく、触れ合いを深めて、
互いに抱き合いキスをしてもいい、もちろんその先もOKだ。
高校生時代に女子と触れ合いたいけど、触れ合えなかった者は、
その触れ合いたい衝動を心の奥底にしまい蓋をしてなかった事にしている。
しかし抑圧されたものは、必ず回帰する。
学生時代に女子と甘酸っぱい触れ合いができなかった者は、
後年、触れ合いを提供してくれる場所に赴く事になる。
先ほどのファンの場合は地下アイドルに、
かつて抑えていた衝動をぶつける事になる。
(このファンが高校時代に女の子と触れ合えなかったと仮定しての事だけど)
だけど、決して踏み越えてはならない線の前で再び葛藤することになる。
女子との触れ合いは可能だ、
しかしその先はどうなんだ、
またこれ以上先に進めないのか、
ずっと同じ場所でグルグル回りながら、
お金だけがなくなっていく。
地下アイドルとの距離感、
それはかつて経験したかった甘酸っぱい感じを体験させてくれる場であり、
それ以上でもそれ以下でもない。
その先の展開、抱き合ってキスはできるのか!?
アイドルとセックスはできるのか!?
それはタブーなのか!?
いやいや、可能かもしれない。
デリヘル嬢にアイドルのコスプレをしてもらえばいいのだ。
今はいろいろとコスチュームが選べるからな。
そしたら距離感はずっと縮まる、直接肌と肌の触れ合いもできるぜ。
でもなにか釈然としないものが残る。
本当に欲していたものはこれじゃない気がする。
高校生時代の恋愛は今はもうできない。
あの頃のドキドキ感はもう、味わえない。
過ぎ去ってしまった過去であり、もう終わってしまったのだ。
どんなに頑張っても時間は巻き戻せない。
過去の事実を受け入れて、現在のリアルを楽しく生きるしかない。
さあ、いまこそ地下アイドルを応援しに行こう!
そして「や〜元気か〜い!」とハイタッチをしようじゃないか!