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日本酒とワインの醸造の違い

3.日本酒醸造の特徴とワイン醸造の特徴を両方法の違いがはっきりわかるようにさせて説明する。

 わが国の酒税法では、酒は“アルコール分1度(容量比で1%)以上の飲料”と定義されている。
 この中でも日本酒とワインはその製造法から、醸造酒に分類されている。醸造酒とは、デンプン含有穀類の糖化もろみや含糖質物質を発酵させ、その“もろみ”をそのまま、あるいは濾過したものである。発酵型式により次のように細分される。
 ●単発酵酒:糖類を原料とし、アルコール発酵のみを行った酒がワインである。
 ●複発酵酒:デンプン質原料を用い、糖化作用とアルコール発酵を組み合わせた酒。単行複発酵酒と並行複発酵酒に分けられるが、清酒は糖化とアルコール発酵の両作用を同時に行う型式の並行複発酵酒である。
① 清酒(日本酒)
 清酒はわが国の伝統的な醸造酒で、税法上は“固有の清酒”(純米酒)と、醸造工程でアルコール、その他の添加物を加えて増醸した“アルコール等添加の清酒”に分けられる。
 清酒は米を原料とし、米麹のアミラーゼで米のデンプンを糊化させ、清酒酵母により発酵させてつくる醸造酒で、そのアルコール含量は16~20%と醸造酒の中でも最もアルコール含量が高い部類の酒である。次に清酒の製造工程を示す。
ⅰ)酒造米と原料水
 米の粒は大きくて心白が多く、蛋白質や脂質の少ないものを用い、精白歩合は75~70%程度行う。高度の精白によって製品は風味がよくなり、色が淡くなる。米を精白すると、その主な成分は次のようになる。
精白した原料米は、水洗・水浸漬・水切りした後、連続蒸米機などで蒸して蒸米とする。
 酒造用水には硬水または中硬水が用いられる。塩素・カルシウムイオンは糖化を、リン酸・カリウム・マグネシウムイオンは麹菌や酵母の栄養源となり発酵を助ける。アンモニウム・鉄イオン・マンガンなどの有機物は清酒の着色や香味を悪くするため少ないほうがよい。
ⅱ)麹と酒母
 原料米の一部を麹とし、これによりもと(酒母)や、“もろみ”として仕込んだ蒸米の中のでんぷんや蛋白質を分解させる。麹の調整は、蒸米を約35℃に冷却し、これに種麹を0.1%くらい散布し、麹菌アスペルギルス・オリゼを繁殖させる。30~40℃、42~44時間で麹となる。
 酒母は、蒸米に麹および水を加えて清酒酵母サッカロミセス・セレビシウスを純粋培養した液をつくる。酒母の種類とその特徴を下に示す。
 生もと系の酒母では、次の図に示したように、自然に混入してくる硝酸還元菌や乳酸菌を繁殖させて雑菌の繁殖を防止し、酵母の繁殖をはかる。速醸系酒母では、はじめから乳酸を添加して雑菌の繁殖を防いで酵母を増殖させる。
ⅲ)仕込
清酒の仕込みは、酒母の中に蒸米と麹と水をそれぞれ3回に分けて添加する。この混合物をもろみと呼び、麹による蒸米の糖化と、酵母によるアルコール発酵を並行して行わせる。もろみの発酵は、15~30日である。
ⅳ)製品
 発酵の終ったもろみは、圧搾濾過し、清酒と酒粕に分ける。しぼった清酒を無菌濾過し、無菌充填すれば「生酒」という商品になる。この生酒を60~65℃で5~10分間加熱・殺菌(火入れ)してタンクに貯蔵し、一定期間熟成した後、びん詰などを行い、一般の清酒商品とする。
 製品の標準収量は、純米酒(米と水だけでつくった清酒)の場合、原料白米1,000kgから清酒1.8kl(アルコール含量20%換算)と酒粕260kgである。
 現在の市販清酒には、純米酒のほかに本醸造酒(白米1,000kg当り120l以下の醸造用アルコールを使ってつくる清酒)、吟醸酒(精米歩合60%以下の高度精白米を使い、低温でゆっくり発酵させてつくった果実のような芳香を放つ清酒)、生酒(もろみをしぼって得た酒を一切加熱せずに商品としたもので、フレッシュでフルーティーな香味をもつ清酒)など、特徴ある清酒が多い。

② ワイン
 ブドウ果実中の糖を、直接酵母によって発酵させて得られる酒がワインで、世界で最も古い酒である。ワインの種類は多く、製造法、色、味、用途などから分類される。生産量の多いワインは、赤ワインと白ワインである。
ⅰ)製造方法
 ワイン製造には完熟果を用いる。糖度の高いものがよいが、低い場合は、糖類を加えて(補糖という)糖分24~25%にする。赤ワイン用には赤~黒色系のブドウを用い、白ワイン用には緑色系のブドウを用いる。
 わが国では、赤ワイン用にマスカット ベリーA、白ワイン用に甲州がよく用いられる。
ⅱ)赤ワイン
 このワインは、果皮部に多い色素(アントシアニン系色素)や、種子部に多いタンニン類を溶出させるので、果皮と種子を含む破砕果に酒母を加えて仕込み、発酵させる。
 果実は生で用いるので、野生酵母、その他の雑菌を含んでいる。発酵中にこのような雑菌が繁殖するのを防ぎ、また、褐変を抑制するため、果実を破砕すると、ただちに亜硫酸を100ppm程度加えておく。亜硫酸には、色素を溶出しやすくして安定化させる作用もある。
 ワイン用の酵母としては、加熱処理した果実中でワイン酵母(サッカロミセス・セレビシウスなど)を培養し増殖させたものを原料の3~5%用いる。25℃前後で10日間程度発酵(主発酵)させ、色素やタンニン類が充分に溶出したころに搾酒して果皮、種子などを除き、糖分がほとんどなくなるまで発酵(後発酵)を続ける。 発酵後沈降してくる酵母、果肉片などを“おり”として除き、タンクで2~3年熟成させる。年に2~3回おり引きし、酒石やタンニン類を除去する。
 次いでこれをびん詰し、コルクで打ち栓して寝かせ、熟成させる。熟成中に渋味や酸味が和らげられ、香味がよく、口当たりのよいワインとなる。
ⅲ)白ワイン
 このワインは、色素の溶出を抑え、渋味を少なくするために破砕果に亜硫酸を加え、ただちに搾汁する。果汁に酒母を加えて15℃前後で10日間程度発酵させる。
 甘口ワインは、糖分を3~4%残して発酵を止めるため、亜硫酸を加え、濾過して酵母を除く。辛口ワインでは、おり引き後、残糖がなくなるまで後発酵を行う。タンクで1~2年熟成し、びん詰貯蔵するが、赤ワインとほぼ同様に行う。白ワインではとくに褐変を嫌うので亜硫酸を100ppm程度は残存させる。上品な芳香をもち、渋味が少なく、澄んだ淡黄色のワインがよい。
ⅳ)ロゼワイン
 赤ワインと同様な仕込みを行い、1~2日間発酵させ、果皮の色素を一部液中に溶出させた後、圧搾分離した果汁のみを白ワイン同様に発酵を行ってつくる。その他白ワインと赤ワインを混和する方法によっても作られる。
ⅴ)ワインから生まれたその他のワイン
* 発泡酒:ぶどう酒中に発酵で生成した炭酸ガスを溶かし込んだものである。シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で産する発泡酒で、後発酵の終ったものを瓶に詰め、少量の砂糖と酵母を加えて密封し、発酵させたものである。
* シェリー酒:スペインのヘレス地方でつくられる酒精強化ぶどう酒。主発酵の終った白ワインにブランデーを加え、さらにシェリー酵母により発酵を行ったもの。
* ポートワイン:ポルトガルのドウロ川上流の特定地域でつくられる酒精強化ぶどう酒のこと。発酵が半分ほどすすんだところでグレープブランデーを添加して、アルコール度数を20℃前後まで上げ、発酵を止め、ぶどう酒の中に糖分を残す。10年ぐらい貯蔵する。甘口である。
* 貴腐ワイン:貴腐ぶどうから作られる酒である。貴腐とはかびの一種であるボツリヌス・シネラが過熟したぶどうの果皮上に繁殖し、果皮のロウ質を溶かし、水分が蒸発してぶどうがしぼんだ状態になったものである。この貴腐ぶどうは糖分だけではなく他の成分も濃縮させており、これから作られるぶどう酒は香りが高く、味は濃厚で、黄金色をした最高級の白ワインである。 
  

-------使用参考文献--------
1.図解 食品加工学           遠藤金次 他編  医歯薬出版
2.食品加工学              露木英男 編著  共立出版
3.食品加工学              岩田隆  共著  理工学社
4.栄養・健康科学シリーズ 食品加工学  小川正  他編  南江堂   

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