女性小説家の韓江氏が英文学賞候補に=韓国人初

女性小説家の韓江氏が英文学賞候補に=韓国人初

 韓国の女性小説家、韓江(ハン・ガン)氏(45)の連作小説集『菜食主義者』英語版が国際ブッカー賞の候補に選ばれた。

 国際ブッカー賞は世界的に権威のある英国の文学賞、ブッカー賞の国際版。英訳された外国小説も対象とし、2005年から隔年で授賞している。受賞者と翻訳家には5万ポンド(約810万円)が贈られる。今年は韓江氏やノーベル文学賞を受賞した日本の大江健三郎氏を含め13人が候補に挙がっている。12カ国・155作品の中から予備審査を経て選ばれたという。韓国人作家が同賞にノミネートされるのは初となる。

 07年に韓国で出版された『菜食主義者』は、幼いころの肉食に関するトラウマから菜食にこだわるようになった女性を主人公にした3編の連作小説集。自分をかんだイヌを父が捕まえて食べてしまうのを見て衝撃を受けた主人公は、大人になってからほかの生命を食べることを拒むようになり、木のようにやせ細っていく。

 韓江氏は「(詩人で小説家の)李箱(イ・サン)のメモにある『私は人間だけが植物だと思う』という文章がずっと記憶にあり、とうとう植物になりたい人間の話を書いてしまった」と語る。収録作のうち、『蒙古斑』は尻に蒙古斑を持つ主人公にビデオ・アーティストの義兄が抑えきれない性欲を覚え、不倫を犯すというストーリーだ。女性が持つあざの青みを使って密やかで魅惑的な官能のイメージを表現しようとする義兄の姿を通じ、極端な耽美主義の世界を探索した。

 同書は昨年初めに英語版が出版され、英紙ガーディアンや米紙ニューヨーク・タイムズなどの大手メディアから高い評価を受けた。ガーディアンは書評で「小説は感覚的で挑発的、激烈で、説得力のあるイメージと驚くほどの色彩、心をかき乱すような問いかけにあふれている」と紹介した。

 ニューヨーク・タイムズも先月、同書が「米国の文壇に突風を巻き起こしている」と紹介。韓江氏の小説は「信じられないほど残酷な内容を非凡なほど叙情的な散文で描き出した」と評価した。また「K-POPが世界に広がっているにもかかわらず、欧米の出版社が韓国の生き生きとした多彩な文学を見過ごしているのはおかしい」とする学者や編集者、翻訳者の意見を伝えた。

 国際ブッカー賞は来月13日に最終候補6作品が発表される。受賞作は5月16日に発表される。

朴海鉉(パク・ヘヒョン)文学専門記者
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