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事前復興計画策定 都道府県と政令市の3分の1余
3月11日 19時06分

事前復興計画策定 都道府県と政令市の3分の1余
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災害からの復興を迅速に進めるため、被災した地域の復興方針などをあらかじめまとめておく、事前復興計画の策定を進めている自治体は、全国の都道府県と政令指定都市の3分の1余りに上ることが、NHKが行った調査で明らかになりました。計画の策定を進める自治体は、地震や津波で大きな被害が想定される地域に集中していて、専門家は「ほかの地域でも備えを進めることが必要だ」と指摘しています。
東日本大震災では今月で国が「集中復興期間」としてきた期間が終わりますが、東北などの被災地では住宅の建設や防潮堤や道路の整備などが当初の計画より遅れるなど、復興の遅れが大きな課題となっています。
NHKは先月から今月にかけて、復興を迅速に進めるために、災害が発生したあとの地域の復興を事前に考え、復興マニュアルなどとしてまとめておく事前復興計画の策定が、どれだけ進んでいるかについて、全国の47の都道府県と20の政令指定都市を対象に調査を行いました。
その結果、事前復興計画について、東京都や愛知県、兵庫県など15の自治体が「策定済み」と回答し、「策定中・策定予定」と合わせて全体の36%に当たる24の自治体で事前復興計画の策定を進めていることが分かりました。
このうち、東京都や愛知県、和歌山県など、23の自治体は想定される南海トラフの巨大地震や首都直下地震で大きな被害が出ると想定され、対策が強化されている地域でした。
策定を進めている自治体に災害が起きた際に何が復興の課題となるかについて複数回答で尋ねたところ、「住民合意・協働の進め方」が83%と最も多く、次いで「予算」、「市街地などの都市計画」、「住宅再建や災害公営住宅」がいずれも38%でした。
一方、事前復興計画について「策定の予定なし」と回答した自治体に理由について尋ねたところ、「地域防災計画に復旧復興の取り組み方を書き込んである」が54%と最も多かったほか、「事前復興の定義が定まっておらず回答できない」と答えた自治体もありました。
事前復興に詳しい明治大学大学院の中林一樹特任教授は「復興が必要になるほどの大きな被害が出ることを、本当に受け止めているかどうかの差が結果に表れていると思う。震災では避難生活が長期化し、災害で助かった高齢者などが体調の悪化などで亡くなる震災関連死が増えているが、事前復興の取り組みを進めることは災害関連死を防いで復興を早めることにつながる。日本はどこで地震が起こるか分からず、すべての地域で準備しておくことが必要だ」と話しています。

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