産経WEST for mobile

【広島中3自殺】報告書(3)完「どうせ言っても先生は聞いてくれない」…指導の「魂」が欠落していた

記事詳細

報告書(3)完「どうせ言っても先生は聞いてくれない」…指導の「魂」が欠落していた

広島中3自殺更新

【学校経営について】

 本校は「感動と信頼」が学校経営のキーワード。しかし、生徒指導、進路指導を含め、学校経営上多くの問題があったことを認識し、深く反省し、校長としての責任を痛感している。その背景には、「これまで特に問題はなかった」「先例にならうことで良し」といった考え方があった。

 その結果、問題行動の事実確認やその後の指導が十分に行われず、誤った情報が残ってしまった。進路指導でも、推薦の基準を変更したのに、全教職員による十分な意見交流をすることなかった。生徒、保護者への周知もしないまま進路査定会議を行った。これらは、すべて校長としてのリーダーシップに課題があった。

 (男子生徒が自殺した二週間後の)12月22日、あらためて進路査定会議を開き、推薦基準を見直して、推薦しないとしていた生徒18人のうち15人の推薦を認めた。現在では朝8時20分にはすべての担任が学級で生徒を迎えあいさつができるようにしている。

 過去の荒れた状態から回復させる取組が、形としてのみ残り、指導の際の「魂」が欠落していた。

【教育相談体制について】

 A君は、教職員の誰にも相談することができなかった。A君は「どうせ言っても先生は聞いてくれない」という思いを保護者に話していた。このような思いを抱かせる不十分な教育相談体制になっていた。

【いじめアンケート】

 A君が1~3年時に回答したアンケートを調査すると全ての項目に「いいえ」と回答。同じ学級の生徒からもA君に関するいじめの情報はなく、現時点ではA君がいじめの被害にあっていたという事実は把握していない。

【結び】

 今回の課題のすべては、学校経営上の課題に行きつく。本校では、これまでも生徒指導上大変厳しい状況があり、学校を落ち着かせることを最優先に考えていた。しかし、規律維持を求めるあまり、押さえつける指導になっていたのではないか、過ちを犯した生徒や反抗的な生徒を排除するような指導になっていたのではないかと猛烈に反省している。

 この度の大変悲しい出来事を重く受け止め、(男子生徒の月命日にあたる)毎月8日を「教職員が自らの姿勢を問い直す日」、特に12月8日は「校内の取組を点検し、研修する日」として学校改善を進める。深い教育的愛情と教育に対する使命感を持って生徒一人一人の成長にしっかり寄り添い、生徒、保護者、地域に信頼される学校をつくっていくことをお誓いする。

(完)