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2016年03月11日

IoTで絶対に知っておくべきテクノロジーのトップ10、ガートナーが発表

ガートナーは、これから先の2年間で、すべての企業・組織にとって重要性が増してくる「モノのインターネット (IoT) テクノロジー」のトップ10を発表した。


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 本発表にあたって、ガートナーのリサーチ バイス プレジデント兼最上級アナリストのニック・ジョーンズ氏は次のように語っている。

「IoTには非常に広範囲の新しいテクノロジーとスキルが求められますが、多くの企業はまだこれらを使いこなしていません。IoTの領域では、テクノロジーとサービス、さらにはこれらを提供するベンダーが未成熟であるということがテーマとして繰り返し話題に上ります。IoTに関して取り組みを進める、あるいはこれから始める企業にとって、このような未熟性を念頭に置いて開発を進めること、ここから生じるリスクを管理することが、これからの重要なチャレンジとなります。また、IoTに関する多くのテクノロジー領域では、スキル不足も大きな課題になるでしょう」

 ガートナーが発表した2017年および2018年に注目すべきIoTテクノロジーのトップ10は次のとおり。

  1. IoTセキュリティ
  2. IoTアナリティクス
  3. IoTデバイス (モノ) の管理
  4. 省電力の短距離IoTネットワーク
  5. 省電力WAN (広域ネットワーク)
  6. IoTプロセッサ
  7. IoTのOS
  8. イベント・ストリーム処理
  9. IoTプラットフォーム
  10. IoTの標準とエコシステム

IoTセキュリティ

 IoTによって、広範囲に新しいセキュリティ・リスクと課題が生み出されます。その対象にはIoTデバイス自体だけではなく、IoTデバイスのプラットフォームとOS、通信、また接続先であるシステムさえも含まれます。通信を暗号化するとともに、「モノ」のなりすましやバッテリを消耗させるDenial-of-Sleep攻撃といった新しい脅威に対処して情報攻撃と物理的な改ざんの両方からIoTデバイスとプラットフォームを保護するために、セキュリティ・テクノロジーは欠かせない要素になるでしょう。多くの「モノ」に実装されているシンプルなプロセッサとOSが高度なセキュリティ・アプローチに対応していないという事実を踏まえると、IoTセキュリティは複雑な課題です。

「経験豊富なIoTセキュリティ専門家の数は少なく、セキュリティ・ソリューション間の連携はなく、複数のベンダーが混在しているのが現状です。ハッカーがIoTデバイスとプロトコルへの新たな攻撃法を編み出していく中で、2021年末までにさまざまな新しい脅威が出現するでしょう。このため、耐用年数が長い『モノ』には、そのライフサイクル全体を通じてアップデートしていくことができるハードウェアとソフトウェアが必要になります」(ニック・ジョーンズ氏)

IoTアナリティクス

 IoTのビジネスモデルでは、顧客行動の理解やサービスの提供、製品の向上、ビジネス・チャンスの発見と捕捉などを目的に、さまざまな方法で「モノ」が収集した情報を分析します。ただし、IoTには新たな分析的アプローチが必要で、新しいアナリティクス・ツールとアルゴリズムが求められますが、2021年末までにデータ量が増加し続ける中で、このようなIoTのニーズと従来のアナリティクスとの乖離はさらに広がっていくでしょう。

IoTデバイス (モノ) の管理

 長期にわたって使用し、相応の費用が伴う「モノ」には管理と監視が必要です。これにはデバイス・モニタリング、ファームウェアとソフトウェアのアップデート、診断、クラッシュ分析とレポーティング、物理的な管理、セキュリティ管理が含まれます。IoTの管理には、スケールアップに伴う新たな課題もあります。IoT管理ツールは、数千、場合によっては数百万ものデバイスを管理・監視できなければなりません。

省電力の短距離IoTネットワーク

 IoTデバイスの接続に無線ネットワークを使用する場合、範囲やバッテリ寿命、帯域幅、密度、エンドポイント・コスト、運用コストなど、相反するさまざまな要件のバランスを考えなければなりません。2025年末まで、省電力の短距離ネットワークが無線IoT接続の趨勢となり、その数は広域IoTネットワークを使った接続を上回るでしょう。ただし、ビジネスと技術のバランスを取るためには多くのソリューションが共存しなければならず、特定のテクノロジーやアプリケーション、ベンダー・エコシステムを基盤にする圧倒的な勝者も集団も存在しません。

省電力WAN (広域ネットワーク)

 広いカバレッジを必要とし、比較的低い帯域幅、長いバッテリ寿命、低廉なハードウェア・コストと運用コスト、高い接続密度を特徴とするIoTアプリケーションにとって、従来のセルラー・ネットワークでは技術的な機能と運用コストの最適な組み合わせを提供することができません。広域IoTの長期的な目標、それは数百bpsから数十kbpsまでのデータ・レートを実現しながら、全国規模のカバレッジ、最長10年のバッテリ寿命、低価格のエンドポイント・ハードウェア (5ドル前後)、ベース・ステーションや同様の基盤に接続している数十万に及ぶデバイスのサポートといった要件を満たすことです。最初の省電力広域ネットワーク (LPWAN) はベンダー固有のテクノロジーを基盤にしていましたが、長期的に見た場合、ナローバンドIoT (NB-IoT) が優位を占めることが見込まれます。

IoTプロセッサ

 強力なセキュリティと暗号化のサポートや消費電力、OSのサポートに十分な先進性、アップデート可能なファームウェア、内蔵のデバイス管理エージェントなど、IoTデバイスの能力は、使われているプロセッサとアーキテクチャによって決まります。どのハードウェア・デザインでも同じように、機能、ハードウェアのコスト、ソフトウェアのコスト、ソフトウェアのアップグレードの可能性といった特性の間には、いずれかを追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという複雑なトレードオフの関係があります。このため、プロセッサ選びには深い技術的なスキルが求められます。

IoTのOS

 WindowsやiOSをはじめとする従来のOSはIoTアプリケーション用に設計されたものではなく、大量の電力を消費するとともに高速なプロセッサを必要とし、場合によっては保証済みのリアルタイム・レスポンスといった機能を提供していません。またこれらのOSのメモリは小型のデバイスには大き過ぎるだけではなく、IoT開発者が使用するチップをサポートしていないこともあります。結果として、多くの異なるサイズのハードウェアと機能のニーズをサポートできるように、IoT固有の多様なOSが数多く開発されています。

イベント・ストリーム処理

 一部のIoTアプリケーションは、リアルタイムの分析が必要な超高データ・レートのデータを生成します。1秒当たりの生成イベント数が数万というシステムは一般的であり、一部の通信環境やテレメトリ環境では1秒当たりの生成イベント数が数百万に上ります。このような環境をサポートするために登場したテクノロジーが、分散ストリーム・コンピューティング・プラットフォーム (DSCP) です。一般的にDSCPでは、並列アーキテクチャを使用することで、リアルタイム分析やパターン認識などの実行に伴う超高レートのデータ・ストリームを処理しています。

IoTプラットフォーム

 IoTプラットフォームでは、IoTシステムの数多くのインフラ・コンポーネントを単一の製品に同梱して提供しています。これらのプラットフォームのサービスは、3つの主なカテゴリに分類できます。(1) 通信、デバイスの管理と監視、セキュリティ、ファームウェアのアップデートなどの低レベルなデバイス管理と運用、(2) IoTデータの取得、変換、管理、(3) IoTアプリケーションの開発 (イベント駆動型ロジックやアプリケーション・プログラミング、ビジュアライゼーション、アナリティクス、エンタプライズ・システムへのアダプタなどを含む)。

IoTの標準とエコシステム

 エコシステムも標準も正確にはテクノロジーではありませんが、最終的にはAPIとして具体化されます。IoTデバイスは相互接続して通信を行わなければならないとともに、多くのIoTビジネスモデルは複数のデバイスと組織の間におけるデータ共有に依存しているため、標準およびこれらに関連するAPIは不可欠な要素です。

 今後多くのIoTシステムが登場し、スマート・ホームやスマート・シティ、医療といった分野ではこれらのエコシステム間でビジネスと技術の激しい競争が繰り広げられるでしょう。IoT製品のメーカーは、複数の標準やエコシステムをサポートする派生品を開発するとともに、これらの製品のライフサイクル全体を通じて標準の進化や新しい標準と関連APIの出現に適応していくために、製品をアップデートしていく準備をする必要があります。

 その他の詳細は、「Top 10 IoT Technologies for 2017 and 2018」で提供されている。

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