川田俊男
2016年3月11日12時28分
政府は11日、原発事故時に放射性物質の拡散を予測するSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)について、自治体が避難指示に活用することを「妨げない」とする見解を示した。東京電力福島第一原発事故で正確な予測ができず、国は使わないことを決めたが、自治体は活用を訴えていた。
官邸で開いた原子力関係閣僚会議で、全国知事会が求めていた19項目の要望への回答をまとめた「原子力災害対策充実に向けた考え方」を決めた。新年度までに防災基本計画などに反映させる。自治体の要望に応える姿勢を示すことで、原発再稼働への地元同意を得やすくする狙いもある。
回答ではこのほか、原発事故で国が住民に屋内への退避指示を出していても、自然災害で緊急避難が必要になったときは、自治体が独自の判断で避難指示を出せるとの見解も示した。原発事故の収束作業にあたっては、自衛隊と警察といった「実動組織」の参加を含めて「国が責任を持って対処する」と明記した。
要望は昨年7月、東電柏崎刈羽原発のある新潟県の泉田裕彦知事らが中心となってまとめた。泉田氏は林幹雄経済産業相と省内で会談し、「ようやく避難計画をつくる端緒がつかめた」と評価する姿勢を示した。(川田俊男)
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