田中克己「2020年のIT企業」

中小企業を強くする経営コンサルのカジュアル化

田中克己 2016年03月11日 07時30分

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 「経営コンサルティングをカジュアル化する」。freeeの佐々木大輔社長は、スモールビジネス向けクラウド型会計ソフトを展開する理由をこう説明する。具体的には、会計を中心とするバックオフィス業務をクラウド化し、会計士や税理士らが業務改革などの経営相談に多くの時間を振り向けられるようにすること。

 freeeは既存の会計ソフト会社とは異なり、「会計ソフトではなく、ビジネスプラットフォームを開発する」IT企業を目指している。

クラウド型会計ソフトのfreeeの狙い

 2012年7月に創業したfreeeのクラウド型会計ソフトは、15年末に累計40万を超える事業所で使われているという。導入が個人事業主から中小企業へと広がっているからだ。背景には、簿記など会計の専門知識がなくても帳簿を作成できるようにしたこと。料金も個人事業主が月額980円、中小企業が同1980円と安価にしたこともある。加えて、クラウドを駆使した法人向けのマーケティングからセールス、導入支援の体制を整えた。

 そこで、2015年12月に次なる成長に向けた新たな施策を打ち出した。1つは会計事務所との関係強化である。具体的には、会計事務所が提供するサービスを最新テクノロジで高度化すること。

 会計士らは顧客に依頼された記帳代行に多くの時間をとられており、データの入力や内容のチェックなどに1カ月、2カ月かかることもあるという。それでは経営の意思決定が遅れる可能性もある。そこで、個人事業主向けと同じように記帳を自動化し、顧客企業の会計データをリアルタイムに共有する。結果、記帳代行業務を大幅に軽減し、経営相談にのれる時間を増やせるというわけだ。

 現在、同社はこれらに必要な機能開発に多くのリソースを振り向けている。会計事務所にも生産性向上などのメリットがある。佐々木社長によると、クラウド型会計ソフトの活用が進む会計事務所の会計士らは1人で約100社の顧客を担当しているのに対して、進んでない会計事務所の会計士らが担えるのは20社程度だという。しかも、5倍の顧客を担当する会計士らは、経営相談などのサービスレベルも高いという。

 顧客企業も付加価値の高いサービスを求めている。「データを共有し、見えるだけでは価値はない」(佐々木社長)。さらなる自動化を進める一方、顧客企業の業務改革をはじめとする経営相談に役立つノウハウを蓄積し、会計士らに提供することも計画する。公開したAPIを利用した経営分析ツールなどを提供するIT企業も出てきた。

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