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【東京】

「あと20年、学ぶ孤児ら支援」 返済不要の「みちのく未来基金」5年

 東日本大震災で親を亡くした子どもたちが無償で大学や専門学校へ通えるよう援助する公益財団法人「みちのく未来基金」(仙台市)の活動が五年目を迎え、これまでに四百三十四人が支援を受けて進学した。基金の代表者が十日、都内で会見し「あと二十年支援を続ける」と決意を述べた。(皆川剛)

 みちのく未来基金は、震災孤児と遺児を対象に、大学や短大、専門学校の入学金や授業料を卒業まで援助する。年間三百万円が上限で返済は不要。大学院へ進学する場合も対象になる。

 二〇一一年十月、「阪神淡路大震災で子どもたちへの支援が不十分だった」との思いから、ロート製薬(大阪市)の呼び掛けで創設。同社とカルビー(千代田区)、カゴメ(名古屋市)、エバラ食品工業(横浜市)が共同運営し、震災当時ゼロ歳の子が大学院を修了する三六年までの活動を掲げる。

 会見は、宮城県女川町出身で基金の支援を受ける慶応大三年の阿部真奈さん(21)が司会を務め、ロート製薬の山田邦雄会長は「学生たちはそれぞれ悩みを乗り越えて歩いている。私たちも一緒に学びながら息の長い支援を続けたい」と話した。原資は四社の拠出と寄付で賄い、これまでに二十三億八千万円が集まった。

 厚生労働省によると、東日本大震災で親を亡くした十八歳未満の子は千七百八十二人(昨年九月一日現在)。基金は各都道府県や学校を通して支援対象者の把握に努めており、昨年秋には震災三カ月後に生まれた遺児を見つけた。現在も「中学生以下を中心に十分捕捉できていない」といい、保護者らからの連絡を求めている。

 問い合わせは事務局=電022(343)9996=へ。

 

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