C&F Green Energyは2006年の創立後、現在まで、アイランド島とグレートブリテン島を中心に1000基以上を出荷した実績がある。製品の出力は10kWから250kW、20kW帯に需要が集中しているという。
「日本国内では20kW未満に市場性があるため、風車本来の潜在性能は20kW以上あるものの、出力を19.5kWとした(図6)」(漆谷氏)。風速が5m/sの場合の年間出力量は4万3799kWh(キロワット時)、6m/sの場合は6万6299kWhになるとした。
C&F Green Energyの風力発電システム自体にも2つの優位性があるという。1つは風車の制御に優れること、もう1つはシステムの常時監視だ。
風車を高度に制御することができれば、発電性能は向上する。「ナセル後部の風向風速計からデータを得る。そのデータを用いて風向にリアルタイム追従し、風速に対しては翼の迎角を制御する。従って、同じ風を受けていても他社製品よりも発電量が高くなると考えている」(同氏)。
発電を開始するカットイン風速は2.2m/s、19.5kW出力を得る規格風速は9.0m/s、安全のために自動停止するカットアウト風速は25m/sだ(図7)。
「風車は温度計と振動計を内蔵しており、3G通信を経由してアイルランド側で24時間365日監視し、異常を検知する。この情報は顧客も閲覧できる。当社は年に一度の保守管理サービスを実施する」(同氏)。このようなリアルタイム監視は、風力発電の管理・保守(O&M)サービスとして優れているといえるだろう。
漆谷氏はFIT制度終了後にも、今回の風力発電システムが役立つとした。「アイルランドでは、発電した電力を自家消費し、不足したときに系統から購入するという使い方が広がっている。CF20 JAPAN Limitedを設置後、20年が経過した後は、国内でも自立電源として利用可能だ」(同氏)。
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