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福島第一原発事故 原子力政策に大きな影響
3月11日 5時06分

5年前の東京電力福島第一原子力発電所の事故は、日本の原子力政策に大きな影響を与えました。

事故後 原発ゼロに

事故から1年半後の平成24年9月、当時の民主党政権は、「2030年代に原発稼働ゼロを可能にするようあらゆる政策資源を投入する」と明記したエネルギー政策を決定し、事故前の積極的な原子力推進から大きく転換しました。定期検査に入って停止した原発は再稼働することができず、関西の電力需要のためとして福井県の大飯原発3号機と4号機は再稼働したものの、平成25年にはその2基も停止し、それ以降「原発ゼロ」の状態が続きました。

自民政権で原発利用へ

その後、自民党政権のもとで政策はまた見直されます。おととし原発について政府は「依存度を可能なかぎり低減する」としつつ、「重要なベースロード電源」の1つと位置づけ、事故を踏まえて作られた新しい規制基準に適合すると認められた原発については再稼働を進めるとするエネルギー基本計画を閣議決定したのです。去年には、経済産業省が、将来の電源構成、いわゆる「エネルギーミックス」を決め、2030年度には原子力発電の比率を20%から22%とすることが望ましいとしました。この数字を達成するには30基前後の稼働が必要だとされています。
ただ、原子力発電所の運転を再開することについてNHKが先月実施した世論調査の結果では、「賛成」が20%、「反対」が38%、「どちらともいえない」が37%でした。
期間:2月5日から3日間
対象:全国の20歳以上の男女
方法:RDD
回答:1063人(68%)

再稼働も安全性への十分な説明が課題に

これまでに再稼働の前提となる審査の申請は全国の原発の半数以上にあたる16原発26基で出されました。審査に合格したのは3原発5基でこのうち、鹿児島県にある川内原発の1号機と2号機が去年再稼働し、運転を続けています。福井県にある高浜原発3号機と4号機はことし1月以降、順次再稼働し、愛媛県にある伊方原発3号機はことしの夏以降再稼働する見通しです。
ところが、高浜原発4号機が先月トラブルで停止したのに続き、3号機も大津地方裁判所から運転停止を命じる仮処分の決定を受けて10日停止しました。決定は「住民の生命や財産が脅かされるおそれが高いのに、関西電力は安全性の確保について説明を尽くしていない」などと指摘しています。
今後審査に合格して再稼働する原発は増えるとみられますが、原発事故から5年がたつ今も安全性に対する懸念の払拭(ふっしょく) や十分な説明は依然、課題とされていて、国や電力会社はこうした課題に真摯(しんし)に向き合い、理解を得ていくことが求められています。

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