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福島第一原発 今も汚染水が課題
3月11日 5時17分

事故から5年となる今も福島第一原発で大きな課題となっているのが「汚染水」の問題です。

汚染水の現状

1号機から3号機では溶け落ちた核燃料を冷やすため原子炉に水を注ぐ必要があり、これが高濃度の汚染水となって建屋の地下にたまっています。さらに地下水が建屋に流れ込んでいるため、当初、建屋内の汚染水は毎日400トンずつ増え続け、東京電力はこの汚染水をくみ上げて1000基に上るタンクで保管しています。

地下水流入の防止策は

東京電力はこれまで、建屋への地下水の流入を抑える対策に取り組んできました。おととしには建屋の上流側で地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」と呼ばれる対策を始めたほか、去年9月からは「サブドレン」と呼ばれる建屋周辺の井戸で地下水をくみ上げ、浄化したうえで海に放出する対策も始めました。東京電力の試算では、こうした対策によって建屋に流れ込む地下水の量は1日およそ200トンまで減ったとしています。

対策の柱「凍土壁」

さらに汚染水対策の柱とされるのが、1号機から4号機の建屋の周囲の地盤を凍らせて氷の壁で取り囲み、地下水の流入を抑える「凍土壁」です。先月には凍結の準備がすべて整い、原子力規制委員会での議論を経て近く認可が下りる見通しで、東京電力は「凍土壁」が完成すれば地下水の流入量をさらに減らせるとしています。東京電力は今後、建屋周辺の地下水の水位を下げながら流入量を減らし、平成32年までに1号機から3号機の建屋にたまった汚染水をすべて取り除きたいとしています。

遮水壁で新たな課題も

一方で、汚染水を巡っては新たな課題も浮上しています。東京電力は去年10月、汚染された地下水が海に流れ出すの抑えるため、護岸沿いに鋼鉄の壁を打ち込んで地下水をせき止める「遮水壁」と呼ばれる設備を設けました。せき止めた地下水は放射性物質を取り除く処理をしたうえで、海に放出する計画でしたが、せき止めた地下水の量や放射性物質の濃度が想定を上回ったため、処理しきれない地下水を建屋に入れざるをえなくなり、結果的に汚染水の増加のペースを速める形となっています。

汚染水の最終処分の行方は

福島第一原発の敷地内のタンクで保管されている汚染水の量は現在、80万トン近くに上っています。東京電力では、汚染水漏れの問題から使用をやめる予定だった簡易型のタンクも使って保管を続けていますが、最終的な処分方法について具体的なめどは立っていません。
これについて、東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏代表は「国の議論では、希釈して海に排水する方法や濃縮して管理する方法などいろいろ案が出ている。地元の方々と話し合い、どういった形がいいのか決めていきたい」と話し、国とともに福島県など地元と議論を進めていく考えを明らかにしています。

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