二条城駐車場、10月着工へ 京都市、樹木伐採40本に
世界遺産・二条城(京都市中京区)敷地内で市の大型観光バス駐車場新設が計画されている問題で、市は9日夜、当初計画を変更し、規模を半減する見直し案を公表した。樹木40本を伐採する内容などに、自然景観や生活環境が破壊されるとして反対する住民が依然として多いが、市は同日までに、10月に着工する方針を固めた。
市は二条城東側にある東大手門前の景観を改善するため昨年3月、門前の既存駐車場を縮小する代わりに北西部の樹木を除去し、バス駐車場を整備する計画を策定。これに住民らが反発し、「世界遺産の魅力が失われる」と、約5千人分の反対署名を市に提出した。
見直し案では、北西部のバス駐車場を当初計画の半分の10台分とし、樹木伐採も約130本から約40本に減らして散策スペースを整備する。東側駐車場は、まずバス1台増の11台分とし、10月には乗用車スペースを120台から34台に減らし代わりにバス9台分を確保する。
案は住民ら約70人が参加した説明会で市が示した。市は「現実的な計画」と理解を求めたが、住民からは「(城近くの)二条駅周辺に200台以上の民間駐車場がある。パークアンドライドを推奨する市の方針は何だったのか」「年間通して既存駐車場のバス台数を多くすれば、新設は必要ない」と批判が出た。
市は「複数の駐車場に協力を求めたが断られた」「マイカーをこれ以上減らすと違法駐車が増え、近隣に迷惑をかける」と説明したが、住民から了承する意見は出ず、「市民より観光客の方が大事なのか」と怒りの声も飛んだ。
市は10月から樹木の伐採や移植を始め、来年3月の完成を目指す方針。「これが最終案。今後、説明会を開く予定はない」(市幹部)という。計画に反対する住民団体会員の奥野泰孝さん(63)=上京区=は「規模を半分にしても、世界遺産の景観と平穏な生活が失われることに変わりはない。完全に住民無視のやり方だ」と憤った。
【 2016年03月10日 22時10分 】