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日本ユニセフ協会は悪いのか?

釣られておきましょう。

この記事の目次

  • 1 日本ユニセフ協会は悪いのか?
  • 2 日本における「ユニセフ」ブランドは誰が作ったのか?
  • 3 NPOを評価する基準を

日本ユニセフ協会は悪いのか?

ひろゆき氏が下記のような質問を、アグネス・チャン氏に投げかけています。

「今一番大事なのは、子供達の為に私たちもできることを考える事です。」

と仰られていますが、アグネスさんが募金先にあげている日本ユニセフ協会は、2012年度、募金の81%しか、ユニセフ本部に送っていません。

一方、ユニセフ親善大使をされている黒柳徹子さんは、募金の100%をユニセフ本部に送っているそうです。

http://www.inv.co.jp/~tagawa/totto/hope.html

子供のためを思えば、100%をユニセフ本部に送っているユニセフ親善大使の黒柳徹子さんを薦めるべきではないでしょうか?

アグネス・チャンさんへの公開質問状 : ひろゆき@オープンSNS



「中抜きしている!」みたいな批判は寄付を集めるNPOには付きものでして、個人的には強烈な違和感があります。

…で、ぼくの意見を書いておこうと思ったら、すでにいい感じの匿名ダイアリー(ひろゆきの日本ユニセフ&アグネス叩きについてそろそろ一言いっとくか)が上がっておりました。とりあえずご一読ください。

善意で無償奉仕を行う個人ボランティアを引き合いに出して日本ユニセフでの19%の資金利用が「ピンハネ」「中抜き」だと叩くのは、ボランティア活動やNPO活動全体にとって、非常に悪い結果を招く。つまり:

・個人篤志家かつ資産家である黒柳徹子氏の有形無形の「持ち出し」への寄生を正当化する
・NPO組織の運営に関わる人々の労働コストを「買いたたく」ことを正当化する
・慈善活動への関与は無償または廉価で行われるべきだという間違った社会通念を固定化する

からだ。


もうホントに同感でございます。


日本における「ユニセフ」ブランドは誰が作ったのか?

これで記事を終えるのも何なので、上記の記事で指摘されていない点をあえて追記すれば、「日本ユニセフ協会」が予算や人員を割いてマーケティングをしているから、日本人の多くが「ユニセフ」を信頼している、という背景も指摘しておくべきですね。

その意味で、黒柳徹子氏が多額の寄付をユニセフに送ることができるのも、日本ユニセフ協会の活動が背後にあります。日本ユニセフ協会が頑張って募金活動、啓発活動を行っているから、ぼくらは「ユニセフ」を知っているわけですね。

もしも、黒柳徹子氏が「ユニセフ」ではなく「オックスファム(Oxfam)」への寄付を呼びかけていたとしたら、多くの日本人は「え、オックスファムってどこ?」と疑問に思い、寄付することをためらっていたでしょう(Oxfamは日本にも支部がある、世界的なNGOです)。


ぼくらが「ユニセフを”知っている”」「ユニセフを”信頼している”」背景には、日本ユニセフ協会の歴史的な努力があります。それは、他の国連機関の知名度の低さを見ればすぐにわかることです。

その意味で、明示的に語られてはいませんが、日本ユニセフ協会の機能というのは、「日本においてUNICEFのブランド価値を高め、効率よく寄付を集める」ことだと考えてよいでしょう。

「81%をUNICEFに拠出し、19%を日本国内における啓発・広報・ファンドレイジングに割いている」というパフォーマンスをどう見るかは価値観によりますが、ぼくは道義的に問題のない範囲だと思います。

彼らのパフォーマンスを評価した上で、黒柳徹子氏に寄付したい方は、黒柳徹子氏の口座に振り込めばいいでしょう。これはもう、あなたの判断なので誰も口出しできません。

日本ユニセフ協会に寄付すると税額控除が受けられるので、ぼくだったら日本ユニセフ協会に寄付しますね。個人の口座に振り込むというのも、なんだか気持ちわるさがありますし(というか、黒柳徹子氏のサイトは寄付がどこに渡っているのかが、よくわかりません…)。


NPOを評価する基準を

ただ、非営利組織全体の透明性の低さについては、少なからず問題があるのも事実だと思います。日本ユニセフ協会に対する感情的な批判も、多くの人が「そもそも『NPO活動』がなんであるか、どういう部分にいくらのお金が掛かるものなのか」を知らないという無知によるものでしょう。

この分野では日本財団が透明性の高いデータベースを運営していますが、まだまだ一般人への知名度・NPO団体の利用度は満足のいく水準ではないように思えます。

難題であるのは承知ですが、「一般の人が各種NPO団体の活動・資金使途にまつわるわかりやすいデータを簡便に入手できる仕組み」「信頼のおける評価機関により非営利活動の格付け、可視化」は、日本社会に求められていると思います。


この分野が発達している米国だと「Charity Navigator」なんてサイトがありますね。「継続的に低評価のNPOトップ10」「ファンドレイジングに多額の資金を費やしているNPOトップ10」「継続的に赤字のNPOトップ10」なんて赤裸々なランキングが掲載されています。

財務諸表の掲載はもちろん、直感的にわかりやすいグラフ評価も取り入れています。

スクリーンショット 2013 11 14 15 15 32

イメージ的には、こういうサイトが日本でも立ち上がると、市場環境が変わるでしょうね(NPOの評価サイト立ち上げは日本に必要だと考えているので、企画を持っている方はぜひぜひ関わらせてください)。


しかし、ひろゆきさんくらい頭の良い方が、なんでこんなよくわからん批判を繰り出してくるのか、ちょっと理解ができません…どういう意図があるんでしょうね。

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