第166回国会 予算委員会 第3号
平成十九年三月五日(月曜日)
午前九時開会
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委員の異動
二月五日
辞任 補欠選任
山口那津男君 木庭健太郎君
渡辺 孝男君 遠山 清彦君
二月六日
辞任 補欠選任
岸 信夫君 中川 雅治君
西島 英利君 大仁田 厚君
西銘順志郎君 加納 時男君
森元 恒雄君 太田 豊秋君
二月八日
辞任 補欠選任
福島みずほ君 近藤 正道君
二月二十日
辞任 補欠選任
広田 一君 高橋 千秋君
前川 清成君 神本美恵子君
二月二十一日
辞任 補欠選任
神本美恵子君 前川 清成君
高橋 千秋君 広田 一君
二月二十二日
辞任 補欠選任
近藤 正道君 福島みずほ君
三月一日
辞任 補欠選任
福山 哲郎君 足立 信也君
三月二日
辞任 補欠選任
岩城 光英君 片山虎之助君
常田 享詳君 田村 公平君
三月五日
辞任 補欠選任
浅尾慶一郎君 平野 達男君
池口 修次君 小川 敏夫君
蓮 舫君 大塚 耕平君
木庭健太郎君 浮島とも子君
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出席者は左のとおり。
委員長 尾辻 秀久君
理 事
愛知 治郎君
金田 勝年君
坂本由紀子君
中島 啓雄君
吉村剛太郎君
小林 正夫君
櫻井 充君
芝 博一君
澤 雄二君
委 員
小野 清子君
大仁田 厚君
大野つや子君
太田 豊秋君
加納 時男君
片山虎之助君
佐藤 昭郎君
田村 公平君
中川 雅治君
中川 義雄君
南野知惠子君
松村 祥史君
松村 龍二君
三浦 一水君
山下 英利君
山本 一太君
足立 信也君
小川 敏夫君
大塚 耕平君
喜納 昌吉君
島田智哉子君
下田 敦子君
主濱 了君
白 眞勲君
平野 達男君
広田 一君
広野ただし君
前川 清成君
峰崎 直樹君
浮島とも子君
遠山 清彦君
鰐淵 洋子君
大門実紀史君
仁比 聡平君
福島みずほ君
国務大臣
内閣総理大臣 安倍 晋三君
総務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(地方分
権改革)) 菅 義偉君
法務大臣 長勢 甚遠君
外務大臣 麻生 太郎君
財務大臣 尾身 幸次君
文部科学大臣 伊吹 文明君
厚生労働大臣 柳澤 伯夫君
農林水産大臣 松岡 利勝君
経済産業大臣 甘利 明君
国土交通大臣 冬柴 鐵三君
環境大臣 若林 正俊君
防衛大臣 久間 章生君
国務大臣
(内閣官房長官) 塩崎 恭久君
国務大臣
(国家公安委員
会委員長)
(内閣府特命担
当大臣(防災)
) 溝手 顕正君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(沖縄及
び北方対策、科
学技術政策、イ
ノベーション、
少子化・男女共
同参画、食品安
全)) 高市 早苗君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 山本 有二君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(経済財
政政策)) 大田 弘子君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(規制改
革)) 渡辺 喜美君
内閣官房副長官
内閣官房副長官 鈴木 政二君
副大臣
外務副大臣 浅野 勝人君
財務副大臣 富田 茂之君
厚生労働副大臣 石田 祝稔君
農林水産副大臣 山本 拓君
農林水産副大臣 国井 正幸君
経済産業副大臣 山本 幸三君
大臣政務官
財務大臣政務官 椎名 一保君
文部科学大臣政
務官 水落 敏栄君
農林水産大臣政
務官 永岡 桂子君
経済産業大臣政
務官 松山 政司君
国土交通大臣政
務官 梶山 弘志君
国土交通大臣政
務官 藤野 公孝君
環境大臣政務官 北川 知克君
防衛大臣政務官 北川イッセイ君
政府特別補佐人
内閣法制局長官 宮崎 礼壹君
事務局側
常任委員会専門
員 村松 帝君
政府参考人
総務省自治行政
局選挙部長 久元 喜造君
法務省民事局長 寺田 逸郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
送付)
○平成十九年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
議院送付)
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○委員長(尾辻秀久君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
平成十九年度総予算三案審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(尾辻秀久君) 平成十九年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
本日及び明日は基本的質疑を総括質疑方式により行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑の割当て時間は八百四十分とすること、各会派への割当て時間は、自由民主党三百四十八分、民主党・新緑風会三百四十五分、公明党八十四分、日本共産党四十二分、社会民主党・護憲連合二十一分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
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○委員長(尾辻秀久君) 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。小川敏夫君。
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。よろしくお願いいたします。
まず安倍総理、総理に就任されて半年ぐらいでございますが、何か支持率が下がる一方でございます。安倍総理御自身は、なぜ支持率がこのように下がってきているのか、どのように原因を分析して考えておられるのか、そのお気持ちをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 支持率については、我々、その時々の支持率について謙虚に受け止めたいと、このように思っておりますが、そもそも支持率のために政治をやっているわけではなくて、我々はしっかりと結果を出していくことのみに専心していきたいと、このように思っているところでございまして、どうぞ小川委員におかれましては、私の内閣の支持率について御心配をいただくよりも、民主党の支持率について考えていただいた方がいいのではないかと、このように思います。
○小川敏夫君 この支持率が下がることについて、就任早々非常に高かった、これは当然それだけの期待が総理に集まっていたから高かったんだと思いますが、これが低下している原因は、私はこのように考えております。
すなわち、改革、改革といって高らかに大変いいことを言っているけれども、実際にやっていることは改革をむしろ後退させているようなこと、すなわち、言っていることとやっていることが違うんではないかということが原因であると私は思っておりますが。
その一つの例として、まず道路特定財源、これについてお尋ねしますが、総理は、就任早々、道路特定財源について一般財源化を前提に見直しと、このように約束しました。しかし、昨年末に取りまとめられた具体的な案は、この特定財源を一般財源化するということではなくて、全額を義務付けている仕組みを改めるだけだと。すなわち、特定財源という制度は残したまま、ただ単に道路予算を使った残りを一般の財源的に使ってもいいよと、こういう方向に取りまとめてしまいまして、特定財源を一般財源化するという当初の公約、大きく後退した内容で既に昨年末決着しておりますが、このように、総理、最初の公約を生かせなかった、このことについて御説明いただけますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小川委員の見方は全く私は間違っているというふうに思いますね。それははっきりとまず申し上げておきたいと、このように思います。
私は、昨年末の道路特定財源の見直しに関する具体策について、揮発油税を含めて税収全額を道路整備に充てることを義務付けているこれまでの仕組みを五十年ぶりに改めることにいたしました。来年の通常国会に所要の法案を提出をすると、これは施政方針演説でも述べたとおりでありまして、これは五十年ぶりの改革であって、揮発油税を含めてこれは抜本的に変えていくということであります。これ法案は来年出すわけでありますが、それを出すことを私はもう施政方針でお約束をしているわけでございます。そういうことも今までできなかったじゃないですか。
これを五十年で初めてやったわけですから、それを正しく見ていただいて、やはり事実は事実としてお認めになった方がよろしいんではないか、このように思うわけでございまして、現行の税率水準を維持しつつ一般財源化を前提とした見直しを行い、納税者の理解を得ながら具体案を得るという行革推進法や所信表明演説で示した基本方針にのっとり、今着々と前進をさしているということでございます。
○小川敏夫君 総理の答弁は二つのことについて大きく国民をごまかすようなことを言っております。
まず、総理は五十年ぶりに総理御自身がこの問題に手を付けた大英断者のごとく自分を披露していますけれども、総理、総理が就任なされる前の行政改革推進法で既に道路特定財源を一般財源化すると、そういう見直しをするということは総理が就任される前の行政改革推進法で既に法律で決まっておることを、ただ総理、同じことを言っただけじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど委員は決まっていることをやらなかったじゃないかということをおっしゃったわけで、決まっていることをやったじゃないかとおっしゃったんだから、やったんですよ。だから、それをやって来年の通常国会でその法律を出すということを決めたのは私が初めてであります。
○小川敏夫君 何か筋違いの答弁をされて困りますね。まず、御自身が、自分が大英断で一番先にやったとおっしゃるから、その点は違うでしょうと言ったわけで。
次に、中身の点。一言で聞きますが、この道路特定財源、揮発油税を例にしましょう。この特定財源を、特定財源というこの趣旨をやめて一般財源化にするんですか。特定財源をやめるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆる今までの税率を維持をしていくという中にあっては、この道路特定財源というこの形はある意味では、必要な道路は造らなければいけませんから、必要な道路は造っていく。しかし、それで集めたお金は自動的にすべて道路予算にしなければならないという今までの仕組みはやはり間違っているということでございまして、必要な道路のみを造って、それ以外の税収についてはこれ一般財源として使っていくということでございます。
今まではそれもできなかったということではないでしょうか。
○小川敏夫君 非常に言葉の説明のごまかしで、本質を逃げていますよね。私は聞いているんですよ。道路特定財源というのは、税率が高い云々で特定財源というんじゃないんですよ。税収を使う目的を法律で定めているから特定財源というんですよね。この特定財源というこの仕組みをやめるんですか、どうですかと聞いているんですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、私は申し上げているように、言わば完全な特定財源ということであればその目的しか使えないということになります。それは正に道路にしか使えないということになりますが、正に一般財源というのはいろいろな目的に使えるということであって、正に私は、揮発油税を含めて、言わば一般財源としていろいろな目的のために使うことができる財源に変えたと、こういうことでございます。
○小川敏夫君 私の質問に答えていませんね。要するに形は残す、すなわち特定財源というこの仕組みは残すわけですね。ですから、一般財源化を前提に見直すという当初の公約とはもう既に違うわけですよ、特定財源を残しているわけですから。
ただ、総理がおっしゃるのは、全額を道路に使わなくてはいけないという、全額を使わなくてはいけないという仕組みを、今度は、余った分は一般財源的に使ってもいいよと、こういうふうに改めたということであって、特定財源を廃止して一般財源化を前提に見直すという当初の公約とは違うことを言っているわけですよ。すなわち、特定財源というその仕組みを残して、道路予算を全部使って、残ったら一般財源の予算として使いましょうということだけで、当初の公約とは全然違う。
恐らく、今私の質問に対していろいろやじを飛ばす方、こういう方は抵抗勢力というんじゃないですか。そういう方の抵抗に押されて、結局当初の改革の、国民に説明したこの改革の中身と違うこと、ただ単に道路をどんどんどんどん全部造って、残った分だけ一般財源というふうに使いましょうと。これで何で本当の改革と言えるんですか。ひどい改革、改革の前進じゃなくて、そもそも道路、行政改革推進法で、法律でやると決まっているこの一般財源化を前提の見直しを、総理、あなたは後退させたんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 違いますよ。
まずは、今まではすべてこの税収は道路財源に充てなければいけなかったんですよ。今後は、毎年毎年の予算編成において、予算編成において当然必要な道路については歳出を決めていきます、決めていきます。それは、正にちゃんと査定をして、この道路は必要か必要でないかという査定をしていって、まず道路の歳出を決めていって、そしてそれ以外のこの税収については正に一般財源として出していく。一般財源と同じことですよ。ですから、それは正に一般財源化をしたということになるわけであります。
○小川敏夫君 まあ同じ議論を何回言っても始まりませんが、総理は全部を使わなければ特定財源じゃないんだというような言い方で物事をごまかしているわけで、別に一般財源化を前提に見直すというこの当初の公約、これは大きく後退しております。同じ議論をしてもしようがありませんから。
例えば、もう一つ、次のことを言いますけれども、例えば、やはり総理、改革の問題で、プライマリーバランスを実現するために二〇一一年度まで年三%ずつ公共事業費を削減すると、こういうことが総理が総理になられる前の昨年の四月段階では決定されておりました。しかし、総理は、この公共事業費三%の削減、これを三%ではなくて一%でもいいような、そういう方向でまた昨年の秋ですか、まとめられました。公共事業費、正に財政を立て直すために年三%ずつ削減しましょうという、総理が就任される前のこのお約束を、総理が就任されたら一%でもいいようにというふうにこの歳出改革を後退させてしまった、このことについてはどうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの道路財源について付け加えさせていただければ、道路を一メートルも全く次の予算では造らないということであれば、全部、おっしゃるように道路以外に使えるということできますよ。そんなのは全く机上の空論じゃないですか。当然道路は造りますよ、必要な道路は。その上で、余った分は、余った分は一般財源、それを今まで一般財源にできなかったものを一般財源にしたということで、これは極めて私は明らかではないか、このように思います。
そして、言わば一%から三%、しかし十九年度については三%を上回る削減を行っています。我々、幅を持たせたのは、これは今後果たしてどうなっていくかと、経済の動向とのかかわり合いについて幅を持たせたということであります。デフレがこのまま、現在の状況のデフレ脱却がまだできてはいませんが、今後インフレ傾向になっていくのかデフレが続いていくのかと、またそのときの経済の状況等々も、経済は生き物でありますから幅を持たせているわけでありますが、基本的には、今までのこの公共事業に対する削減姿勢は基本的には変わっていないということでございます。
○小川敏夫君 また議論が戻ってしまうかもしれませんが、総理、おかしなことを言いましたね。道路を一メートルも造ってはいけないかのように私は言っていませんよ。必要な道路は当然造るわけです。ただ、今の財源が、揮発油税、この税金は全部道路の整備のために使うんだというふうに、仕組みになっているのが特定財源ですよね。これを一般財源にして、一般財源の中で道路を造る必要があれば造りましょうと、だけど、教育のために、あるいは少子化対策のために使う必要があれば使いましょうと、これが一般財源ですよ。
私は別に、道路を造っちゃいけないとか、道路のために予算を使っちゃいけないとは言っていないんで、ただ、特定財源といって、税収が上がったものを全部道路に使わなくてはいけないと、道路整備のために使わなくてはいけないというこの特定財源の仕組みを、これをやめて、廃止して一般財源化するというのが正に道路特定財源の一般財源化でしょう。それを総理は、全部、特定財源というその仕組みは残して、ただ全部を使わなければ、道路整備にどんどんどんどん使って、残ったものを一般財源に使えばそれでいいでしょうと。特定財源という枠組みは残しているんですよ。だから言っているわけでね。
それで次に、私のその質問、公共事業費、三%が一%に下げた。そうすると、三%公共事業費を削減するという想定でプライマリーバランスを二〇一一年までに、二〇一一年度にバランスを取れるようにするという達成は、これ数字を達成できないですね、それだけ支出の削減ができないんですから。三兆円ほど支出の削減が不足すると。これについて、どこで穴埋めするわけですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、基本的には三%ということで私たちは目指していくわけであって、ですからこの平成十九年度においても三・五%削減したじゃありませんか。ですから、私は別に一%にしたわけではありません。
今委員は私が一%にしたかのごとくおっしゃっていますが、それに対しては幅を持たしたということであって、経済は生き物ですからそのときの、時々の状況によって変わっていくわけであって、それに対しては柔軟に対応をしなければならないということになっていくわけでございます。
ですから、見通しが違っていくということであれば、それに対して柔軟に対応していくのは私は当然のことではないかと思います。
○小川敏夫君 この昨年の四月の段階で三%の削減という計画を立てたわけですよ。総理も、そのころは総理じゃなかったけど、この計画を立案するその重要な一員であったわけです。その半年後ですよ。
じゃ、その半年後、いろいろな経済情勢がどうの、あるいは衆議院のあの質疑を見ますと、人件費とか調達費がコストが上がる可能性があるからということを説明されていましたが、半年後にはじゃ人件費が上がるということを見通せなかったんですか。去年の四月には人件費が上がるということの見通しができなかったけど、去年の秋には人件費が上がるという見通しになったと、こういうことなんですか。
わずか半年の間に、人件費の高騰が見通せる、見通せないという状況、経済情勢ががらっと変わったような、そんな情勢の変化はないです。あるのはただ、あなた方の政策が変わっただけです。どうですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、一%にするとは申し上げていません。ですから、幅を持たしたということであります。ですから、その半年で変わったとか、そういうことでは全くないということは申し上げておきたいと思います。
○小川敏夫君 じゃ、総理も加わって昨年四月に三%という目標を立てたのは、全く幅を持たせない、正に硬直した、非現実的な、そうした計画だったということですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) あと、そもそも一から三という幅については、これは小泉内閣のときの骨太の方針で決まったわけでありまして、ですから、当時私も官房長官ではありますが、それを先ほど、私のときにですね、私のときに変えたということではないわけであって、それは一から三に幅を持たせる、あのとき随分議論がありました。これはやはり、経済は生き物ですから、その段階から言わば縛ってはいけないと、こういうことではないでしょうか。
○小川敏夫君 つまり、今の厳しい財政をきちんと立て直すと、プライマリーバランスを、つまり健全財政を実現するために歳出削減三%を毎年やっていきましょうというのを、やっぱり一%から三%にしましょうと。幅を持たせたと言いますけれども、それは要するに歳出削減、財政改革のその目標値を下げたということでしょう。やはりこれは、本来の改革の在り方、これを後退させる方向で総理は実際に動いたんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の内閣になって、まず骨太の方針で、小泉政権の骨太の方針で一から三にしたとおっしゃいましたね。それは一にしたんではないんですよ。それは結果が明らかですよね。十九年度のこの予算は、三・五%減らしているじゃないですか。減らしているでしょう。三・五%減らしているんですよ。一%ではないということであります。
○小川敏夫君 予算に関しては、例えば補正予算で追加するとかいろんな方法もありますので、今ここで三・五%だからこれ二〇一一年度までずっとということではないんでですね。ただ、あくまでもやはり、これは国民の方、聞いていらっしゃるから分かると思うんですよ。三%ずっと削減すると言ったのが、いや、これからは一%から三%と、このように昨年暮れに宣言されたわけですから、これはやはり後退としか考えようがない。
で、総理、私は一番先に質問しました。これで削減額が年三%の予定ですと十四・三兆円削減できると。しかし、これが三%より低い削減でいきますと、それだけ歳出削減が減りますから、財政のプライマリーバランスを達成するためにはその分穴埋めしなくてはいけないと。そうすると、これはどこで穴埋めするんですかと私は聞いたわけです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども申し上げましたが、一から三ということは骨太で決めましたが、私の内閣の初めての予算では三・五をやっているんですね。ある意味では約束が違った。それは、三%じゃなくて三・五、〇・五多く削減してしまったという意味においてはそのときの計画とは違った。このように、その時々で変わっていくんですよ。ですから、一から三にして、それを上回る場合もあって、それが正に十九年度だったということは申し上げておかなければならないということでございます。
そして、私どもは、私どもはこのプライマリーバランスについては、二〇一一年にはプライマリーバランスをバランスを取る、黒字化をしていきたい、このように考えているわけでございます。その中におきましては、徹底して歳出削減を行っていかなければいけない。歳出歳入の一体改革を行っていくわけでありますが、国民負担の最小化を目指して歳出歳入の一体改革を行っていくわけであります。
まずは、この歳入を徹底的に見直していく、そして今年の末には税の抜本的な改革について議論を行っていきたいと、こう考えております。
○小川敏夫君 総理は、本予算で公共事業費を三・五%削減したと。しかし、私は言いました。補正予算で追加すれば、その数字も実現されないわけですね。そうすると、総理、三・五%削減したと、補正予算でももう公共事業費は追加しないと。ですから、本予算だけでなくて、この十九年度予算、歳出の中ですべてで判断して三・五%を必ず守ると。ですから、補正予算で公共事業費は追加しないんだと、こういうことも総理は今言っておられる趣旨ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今から補正予算、正にこの十九年度の予算を審議をしているときに補正予算の話なんかできるわけないじゃないですか。最初からそれが分かっていれば、分かっていれば補正予算なんということは起こらないんですよ。
補正予算というのは、正にいろんな事態が起こります。災害もそうでしょうし、そしてやはりこれは、経済は日本一国でこれは完結するわけではなくて、世界的にいろんなことが起こり得ます。そのときには柔軟に対応するのは当然のことではないでしょうか。それを今から縛ってしまっては、正に社会主義経済の失敗をなぞることになってしまうと、私はこのように思います。
○小川敏夫君 しかし、三%、公共事業費を三%削減するというのは正に縛っているわけじゃないですか、これからの予算の使い方を。それを、正にこれから二〇一一年度まで三%削減するということが正に政府の縛りとしてそういうことを約束されたわけでしょう。それが今、縛っちゃいけない、事業でどうする、経済情勢で変転する云々かんぬんだったら、そもそも何ですか、この三%削減するという数字を入れたこの約束は、国民への約束は。
ですから、今私の質問に答えなかったですね。要するに、じゃ三・五%と、本予算では三・五%削減したけれども、しかし年度が終わるまでの補正予算も含めたこの対応では、それについては結局約束できないということですね。そして、約束できない、しかし一%から三%の間で入れば、総理としては、昨年秋に出したこの約束はきちんと履行したことになると、こういう理屈になるわけですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、私どもは歳出歳入の一体改革において、まず歳出で何兆円カットするという目標を立てております。しかし、その際に、当初見込まれたような効果が出ないというケースもいろいろと想定もしていかなければいけない。正に経済は生き物でありますから、それに対しては、それを想定しながらこれは歳出歳入の中で考えていくという話になっていくわけであります。
○小川敏夫君 いずれにしろ、目標を下げちゃいけませんよ。いずれにしろ、総理が支持率が下がっている。結局、そうやって何か抽象的な言葉で、中身がない言葉でいろいろ取り繕おうとしているけれども、結局、国民はしっかりとやはり総理の、あなたの改革の姿勢を見据えているから、やはりあなたの支持率が下がる一方なんじゃないですか。
例えば、今一番大きな問題として格差問題がある。このことも総理の支持率が下がる一方の大きな要因の一つだと思うんですが、総理、あなたはこれまでの質疑の中で常に、格差を感じている人があれば対策を取らなくてはいけないと、こういう答弁をされています。格差を感じている人があればというのは仮定の一般論です。私は、総理の実際の認識としてお尋ねしたい。今、日本は格差社会という格差があると、ですから、あるから対策を取らなくてはいけないという御認識を総理はお持ちですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 景気回復の中において、この景気回復自体は正に企業部門の強化によっての景気回復であったわけであって、三つの過剰を解消する中での景気回復であり、またデフレ下の景気回復であったがために、これがなかなか家計部門への波及、あるいは地域全体への波及が遅れているのは事実であります。当然、そういう地域の方々、あるいはなかなか厳しい産業で仕事をしておられる方々にとっては当然格差感というのはあると、このように認識をしているわけであって、だからこそ、私は再チャレンジ支援の総合プランを作ったわけでありまして、二百三十七の施策を打っています。そして、千七百億円を超える予算を組んだわけでございます。
○小川敏夫君 要するに、格差があるという御認識ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この格差というのは常にいつの世にも格差があるわけであって、格差のない時代というのは恐らくないんだろうと、このように思いますね。みんなが同じ給料をもらっていれば、これは格差がない。どこに住んでいても同じ収入があれば格差がないということでありますが、格差が拡大をしているかどうか、そしてまたその格差がこれは不公平や不公正な競争の結果生まれたものであるかどうか。また、この格差はもう耐え得ることができないという格差であるかどうか、そうであれば正にそれは問題であろうと、このように思うわけでございます。
いずれにせよ、いずれにせよ、やはりこのままではスタートラインからしてなかなか将来に夢が持てないということを感じておられる方がおられるのは事実でありますから、そういう方々に光を当てていくのが正に政治の私は使命であろうと、このように考えているわけでございまして、だからこそ、先ほど申し上げましたように、その格差をまた固定化をしてはならない。何回でもチャンスがある、そういう社会にしていくために、再チャレンジの支援の総合プランをもう既に対策として作っているわけでありまして、予算も付けました。先ほど申し上げましたように、施策も出しているわけでございます。そしてまた、地域に対しても九本の、この国会に法律を出しまして、地域の活性化のための我々も努力をしてまいります。
○小川敏夫君 どうも格差を認めているのか認めていないのか、何か格差があることを認めておられるような趣旨にも取れるんですけれども。でも、拡大しなければ、不公正でなければ、耐えられない状況でなければ、そういうことでなければと、また、ればという言葉を使われて、ればという言葉を使うと仮定の一般論なんですよ。今の現状の認識と違う議論をされているのでね、もう一つ総理の答弁は、格差を認めているのか認めてないのか、答えたくないのかよく分からない趣旨なんですけれども。
一つその拡大の問題ですがね、この常用労働者の給与が、二〇〇一年から二〇〇六年までのこの五年間で三十五万一千三百三十五円から三十三万五千七百七十四円に減少していると。しかし、もっと分析してみますと、東京はその間五千百円増えている、三十六万九千九百円から五千百円増えている。一方、北海道は二十六万八千八百円から一万二千七百円も減っている。元々が東京の方が高い、北海道の方がかなり低い、にもかかわらず、東京はわずかながら増えているけど北海道は減っている。沖縄も減っている。
これは、やはり地域の格差が進んでいると、拡大しているということになると思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私どもはまず、この格差があるかないか、私は認めていないと、こうおっしゃっておられましたが、格差があるのは、これはもうずっと格差があるということで私は当然認めているわけであります。格差はいつの時代にもあって、その格差の中身について、どういう格差が問題かということを私は申し上げたわけであって、私の議論は、まず格差があることを前提にして議論をしているというのは、だれが聞いていてもこれは分かりやすい議論だったのではないかと、このように思うわけであります。
そこで、この正に改革の果実であるこの経済成長、景気の回復を地域に行き渡らせていくためには、更に私たちは成長を続けていかなければいけない、この景気回復の基調を変えてはならない、このように考えているわけであって、実際に有効求人倍率について言っても、だんだんだんだんこれは各地域にも拡大しつつあるのも事実でございます。もちろん、この北海道や四国などでは有効求人倍率の伸び率が相対的に小さくとどまっているのは事実でございますが、回復しているのは事実でもございます。
また、最近の地域情勢、地域経済の状況を生産、消費、雇用等の各種指標から判断している二〇〇七年二月の地域経済動向では、十一地域の景気判断のうち東海を力強く回復、北陸など五地域を回復としているわけでございまして、そういう意味においては、かつては回復をしていなかったところがだんだん回復をし始めているわけであって、それを更に全国に広げていくために成長力を底上げをしていきたいと、このように考えています。
○小川敏夫君 まず総理、格差はあると言うけれども、何かずっと格差があると言われると、何か格差が自然現象みたいに言われると困るんですよね。
私は、総理、あなたが小泉政権においても非常に枢要な地位を占めていた、まあ言わばその一角を占めていた、そういう期間も含めて、この五年間に限っても今のような格差が進んでいるじゃないですかと言っているわけでね。昔から格差は当然あるものだという話をされてしまっては困るんで、やはり小泉政権、そしてそれを引き継いだ、時間的に引き継いだという意味ですけれどもね、政策を全部という意味じゃなくて、引き継いだ安倍政権になっても、結局は格差は拡大しているんじゃないですかと、あるいはそうした政策のゆえに格差が生じているんじゃないですかと、こういうふうに聞いているわけでね。格差というものはずっと昔からあるんだと、これでは政治家としての、政府としての責任ある対策は取れないと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) だから、私の言っていることをよく聞いていただきたいと思います。格差はいつの時代にもあって、努力の結果あるいは能力の違いを無視してみんな同じ結果を得なければいけないというのは、これは誤った私は考え方であって、頑張った人たちが、汗を流した人が、一生懸命知恵を出した人が報われる社会をつくっていかなければならないと考えています。
その中にあって、日本においては正にこの格差や結果が固定化される懸念があるから、まずは、まず何回でもチャレンジできる社会に変えていかなければならない、働き方や学び方、暮らし方を変えていく必要があるだろうということにおいて、再チャレンジ支援策を作って、千七百二十億円それに予算を付けたわけであります。二百三十七施策、私たちは政策を打っているわけでございます。そこもまずよく見ていただきたい。最初に申し上げましたような前提がなければ、そういう政策をそもそもやる必要がなかったわけでありますが、そういう政策もちゃんと私たちは実行しているわけであります。
さらには、やはり今この経済の、私たちが進めている経済政策は、これは間違いがないわけであります。その中で、もちろんフリーターを常用雇用化するための二十五万人常用雇用化プランも進めてまいりますが、フリーターについて言っても、一番多かったときに比べて三十万人、十八年に、減少しています。十八年一年間だけで十四万人フリーターは減っているんですよ。このように、我々が進めている経済政策によってだんだんこの景気の言わば恩恵は広がりつつあると、これは数字が明らかに示していると、このように思うわけであります。
○小川敏夫君 一遍に幾つものことをしゃべられると、また議論が余り望洋としちゃうんですけれども。
総理は、要するに格差があることを認められて、今しっかり取り組んでいるじゃないかと、こういうふうにおっしゃる。ただ、そういう格差問題に取り組まなくてはいけないような格差を実はつくり出したのは、正に総理がまだ総理になる以前、小泉内閣の一員として枢要な地位を占めていた正にその政策の結果じゃないですか。
そして、もう一つ、私は総理の答弁の中で非常に気になる部分がある。すなわち、汗水流して努力した人が報われるのは当然だと。そのことだけは当然だと思いますよ。したがって、そういう人たちが恵まれた地位を得るといいますか、所得にしても資産にしても恵まれた状況を得ることができると。そうすると、そういう地位にならなかった、すなわち所得とか資産とか、正に恵まれない人たちは努力をしなかった人たちですか。すなわち、総理は、みんな正当に努力して、汗水流して努力した人たちがほかの人よりも恵まれて当然だと。じゃ、そういう状況にならなかった人たちは努力しなかったことだという理屈になるんですよね。
そうすると、総理は、東京の人は真っ当に努力したけれども、北海道や沖縄の人は真っ当な努力をしていないから、その分格差が広がってもしようがないんだと、こういうことですか。東京の所得が増えて北海道や沖縄の人の所得が下がっている、これはその地域の人の努力の差ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私はそんなことは一言も言ってないじゃないですか。ですから、格差がない社会は、これは私たちは実現しないし、それは目指していないという理由で私は今申し上げたわけであって、今、小川さんがおっしゃるようなことを認めるのであれば、もう政治は要らないという話になるわけであります。
これは、やはり産業によって、その時代によって、もう産業構造そのものが厳しい産業もあるわけであります。また、地域によっては、特定の産業に偏っていたりすれば、それは当然厳しいことになっていく。そこでは、やはり一生懸命頑張っていても未来が見えてこない、そう考えておられる、また感じておられる、実際にそういう状況の中にある人たちがいるのも事実であって、そういう方々や地域に光を当てていくのが私は正に政治の役割であると、このように考えているわけでございます。
そしてまた、そもそも人によっては、やはり一生懸命頑張っていても病気になることもあります。不幸にして生活の基盤を失う人もいるわけであって、そのためのセーフティーネットを私はしっかりと守っていくということも申し上げているということも今ここではっきりさせておきたいと思います。
○小川敏夫君 総理が、努力した人がそれに報われるのは当然だと、こういうふうにおっしゃられるものですから、そうすると、今格差に苦しんでいる人は努力しなかった結果なのかなと、こういう理屈になるのでお尋ねしましたが、ただ、それについて今総理はお答えしました、そういう趣旨ではないと。
それで、塩崎官房長官、何か産業構造だからと発言されましたね。格差は産業構造がもたらしたからだと、こういう趣旨ですか。質問通告していませんけれども、何か自主的に発言されたから質問しますが。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生、先ほど、地域別の、言ってみれば景気のアップ・アンド・ダウンの、いい悪いのその差があるというところで、努力だけにそれを、言ってみれば原因があるのかという御質問だったから、それは例えば私の四国とかですね、それから北海道、東北などは、どちらかというとかつては公共事業に頼ってきたところであり、またどちらかというと今いい輸出型の製造業が少ないところで、そういう産業が少ないところは相対的になかなか厳しいよねということを言っているので、この産業構造に起因しているところがたくさんあるんじゃないかということを言っているんです。個人の努力の話とはまた、それはまた全く別の問題だと思います。
○小川敏夫君 私ももちろん、東京の人が努力して北海道や沖縄の人がサボっているから格差が広がったとは思っていませんよ。おっしゃるとおり、そうした産業構造、産業の実態がそういう結果をもたらしたんだと思います。
ですから、総理、産業構造がそういう結果をもたらしたということは、正にそれは政府の経済政策がもたらした結果こういう格差が広がったと、こういうことじゃないんですか。もし違うんなら、なぜ東京は常用労働者の給料がわずかながら上がった、北海道や沖縄は元々低い上に更に下がった、なぜこういう現象が起きたんですか。そのことについてどういうふうに認識されていますか、お答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小泉政権の経済政策によって、これは産業、それぞれの産業、個別の産業によって差が出てきたということでは私はないと思います。それは、正にグローバルな経済になって、グローバルな経済の中でそれぞれの産業が勝ち残っていかなければいけないという大きな変化があります。そしてまた、さらには、今、IT革命という第三次のこれは正に産業革命が起こっている中にあって、その波に乗っていくことができるかどうかということも大きなこれは一つのファクターなんだろうと、このように思うわけであります。
ですから、これは何も政府の政策によってそういう変化が出てきているのではなくて、これは正に世界経済の大きな変化の中でそういう状況が生まれてきているわけであります。しかし、政府はそれを傍観をしているわけではなくて、正に厳しい産業の方々について言えば、そこで立て直しを図ることができるように、あるいはまた成長分野に移っていくことができるように支援をしていくのは私は当然のことであろうと、このように考えているところでございます。
そしてまた、やはり地方、地域の経済を支えている第一次産業、食を支える第一次産業に対しては当然、これは食を守るという観点からも私たちは支援をしていかなければならないと考えております。
○小川敏夫君 世界経済の中で企業が勝ち抜いていかなくてはいけないと、それはその部分だけ取れば誠におっしゃるとおりかもしれない。しかし、だから地域格差がどんどん広がってもいいんだということにはならないわけで、だからこそ、そういう経済の状況で地域格差が広がる広がるというそうした産業構造の変化があるなら、だからこそ政治の力でそういう格差がないようにするというのが正に政治の役割じゃないですか。その政治の役割を放棄してきたから、正に数字となって表れているわけでしょう、実際に。北海道や沖縄は、元々所得が低い上に、給与水準が低い上に更に下がっているんですよ。
それから、総理、何か非正規職員、先ほどの答弁ですが、正規職員が増えるような傾向にあるというような趣旨のお話をされました。実際上の統計を見ますと、平成十年、三千七百九十四万人から平成十八年で三千四百十一万人、実に三百八十三万人も正規雇用が減っておるわけです。ただ、ここ最近、すなわち平成十七年に比べて平成十八年は確かに七、八十万人正規雇用が増えています。
だけど、総理は、その増えている、わずかな増えている部分だけを取り出して増えている増えていると言いますけれども、実際には、大きな流れの中で正規雇用はどんどん減って、そしてこの五年、六年の間では大きく正規雇用が減っているんです。その一方で、総理は、平成十八年、最近は正規雇用が増えたと言っておりますけれども、しかし数字的には、正規雇用が増えた数よりも更に非正規雇用者が増えているんじゃないですか。どうですか。
この正規雇用が長期的なスパンでは大きく減っている、長期的というのはこの数年単位では大きく減っている。そして、昨年一年間、わずかに正規雇用はその前年度に比べては増えましたけれども、その一方で非正規の職員は増える一方、この現象について総理はどのようにお考えですか。──聞いてないですよ、別に。質問通告をしていないです。質問通告をしていないです。
〔国務大臣柳澤伯夫君「いや、数字の事実でございますので、私から説明したいと思います」と述ぶ〕
○委員長(尾辻秀久君) 指名を待って発言してください。まだ指名しておりません。
〔国務大臣柳澤伯夫君「ごめんなさい」と述ぶ〕
○委員長(尾辻秀久君) 柳澤厚生労働大臣。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 大変失礼いたしました。
事実でございますので、私から数字の点は触れさせていただきたいと思います。
正規雇用者はずっと確かに平成十四年からずっと減ってきました。それは小川委員の御指摘のとおりです。ただ、今総理がおっしゃったのは、平成十八年に入ってこれが四四半期連続で増加をいたしましたよと、つまり時系列的に見ると、確かに数年ずっと傾向的に減ってきたものが、この一年反転上昇の傾向を示したと、そういうことを総理が今御指摘申し上げたということでございます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 正に今厚生労働大臣が答弁をしたように、最初に私がお答えをしたこの景気回復は企業部門の強化によって三つの過剰を解消する中での回復であったから、なかなか家計や雇用には回りにくかった。しかし、やっとその景気回復を続けることによって十八年には反転したということではないでしょうか。
今厚生労働大臣が答えたのに加えて、十九年春の新規学卒の就職内定率は、高卒が四年連続、大卒は三年連続で改善をしています。また、初任給について言えば、平成十八年は、高卒の初任給が二年連続、大卒の初任給が三年ぶりの増加になったわけでございまして、このようにだんだん景気回復基調を続けていくことによって労働市場をタイトにしていく、人材に投資をしなければ人を得ることができないという状況をつくっていけば必ず雇用は更に改善をしていくわけでありますし、給与面においてもこれは当然改善をしていくと、このように私は確信をいたしておる次第であります。
実際、有効求人倍率、全国で見れば一・〇六になっているわけでありまして、最低のときを倍近く上回っているわけでございますし、失業率もそうであります。我々は、更に今行っている経済の政策が間違いないという確信の下に成長路線を続けていきたいと思います。
○小川敏夫君 例えば、正規雇用の職員の収入分布、三百万円から四百九十九万円の人が三七・一%、五百万円から九百九十九万円までの人が三六・四%。すなわち、正規雇用の人のこの収入分布は大体そこら辺にある。
一方、非正規雇用のこの職員の給与、百九十九万円以下が五六・八%、それから三百九十九万円以下というふうに見ますと八九%。すなわち、非正規雇用の方のこの収入は非常に低い水準にある。これだけ収入格差がある。
そして、正規雇用はここ十年ずっと減っている。わずかに、昨年、そのうちのわずかに回復した。一方で、非正規の職員は増大する一方、昨年も増えている。これを格差の拡大と言わずに、何と言ったらいいんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 正規雇用者がどんどん減っていく中で、正に正規を首にして非正規が増えていけば、それは小川委員のおっしゃるとおりなんだろうと思いますが、しかし十八年には、正規が増えて、しかし非正規も増えている。つまり、経済全体が良くなり始めたわけでありますから、良くなり続けて雇用面にもそれが表れてきたわけでありますから、当然これは正規も増えてきた、しかし、かつ非正規も増えてきた。そして、私たちはその中で、正規、非正規の均衡処遇もこれは当然確保しなければいけないという中において、この国会において六本の労働法制の法案を提出をいたしているわけでありまして、そしてまた、再チャレンジ支援策の中においても、言わば派遣や非正規、パートの方々が正規社員になりたい、そういう道を歩むことができるような、そういう道をしっかりと私たちも政治の力で確保していきたい、拡大していきたいと、このように考えております。
○小川敏夫君 例えば、総理は有効求人倍率が上がっていると言っておりましたけれども、それは、正規と非正規を合わせた求人倍率は上がっていますけれども、正規、正規雇用だけの有効求人倍率はまだまだ下がっているんです。やはり、正規と非正規、あるいは先ほどもお話ししましたように地域の格差、これは広がっているんじゃないですか。そして、それに対して有効な手だてを打たないからこそ、正にその格差問題、大きな社会問題となって、総理、あなたの支持率低下につながっているんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 有効求人倍率は、これは、どんどんこれ改善をしているじゃないですか、全体で。それは、それが下がった方がいいとおっしゃるんですか。まず、それは上がっているということを申し上げている。そして、十八年には正規の雇用が増えているじゃないですか。これは減っているわけじゃないんですよ、増えているんですよ。正に私たちがやっていることが正しいから増えてきたんです、増えてきたんです。
そこで、非正規も増えておりますが、その中で大切なことは、私たちは、非正規の方が正規に行きたい、移りたいという方に対してはちゃんとした道をつくっていく、そしてそれと同時に、言わば社会保険についても、パートの方々についても加入が可能なようにしていく、そういう法制も作っているということであります。
○小川敏夫君 まあごくごく、全体の流れで大きくこういうふうに格差が広がり、労働者の給料が下がっているという中で、そのごく一部の、総理あるいは政府から見て都合のいい数字だけ誇張してすべてが成功している、うまくいっていると言われたら、これは国民は納得できないと思います。
総理、経済が良くなっている、確かに企業の収益は非常に上がっております。全企業、これは財務省、納税の関係で正しい統計だと思いますが、全国の全企業、この収益は、二〇〇一年二十八・二兆円から二〇〇五年五十一・七兆円と、国内の全企業の経常利益は大幅に増えております。さらに、この全配当金、株式の配当金ですね、これは同じ期間、四兆四千九百五十五億円から十二兆五千二百八十六億円に増えています。ざっと三倍に増えています。
総理、先ほど、汗を流した人が報われる、汗を流した人が報われるというのが当然だと言った。しかし、様々な職場で働いている労働者、職員の人の給与は実はその間下がっている。東京はわずかに上がりましたけど、日本全国平均では下がっているし、北海道や沖縄では大きく下がっている。一方、株式の配当、株を持っていれば汗を流さなくても得られるこの配当は実に三倍ほどにも増えているんです。
総理、確かに企業の業績はこの間上がりました。だから、経済もそういった面では良くなったかもしれません。しかし、実際に全国の職場で汗を流している人の給与が下がっている。一方で、この株式の全配当金、全企業の全配当金が三倍にも増えているという、これは余りにも不公平ではないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、正規雇用について言えば、先ほど来申し上げておりますように、四四半期連続で増加しているんですよ。正に正規雇用者は四四半期連続で増やしていると。そういう傾向に入ってきたということはまず申し上げておかなければならないと、このように思います。(発言する者あり)企業は、言わば正規雇用を増やす傾向になってきた。そして、先ほど申し上げましたように、申し上げましたように、言わば新卒者の給与も増やしたということであります。
そして、外野から、それは新卒だという声が上がりましたが、我々は中途採用という道も付けるべく、言わば再チャレンジにおいてまず隗より始めろで国は中途採用をスタートしたわけであって、それに倣って企業においても中途採用に、この雇用者を今増加しつつあるわけでございます。
その中で、言わば企業が株主に偏重しているのではないかと、こういうお話がございました。確かに企業は、企業の運営の上において株主をこれはある程度重視をするということは当然なんだろうと、このように思うわけでありますし、また経済がグローバル化する中で、企業に対するMアンドAに対する防衛措置等々も経営者は勘案をしなければならないと思います。しかし、それと同時に、やはり従業員がやる気を持って仕事をする、未来に夢を持たなければその企業は当然私は成長していかない、そのバランスが大切であろうと、このように思うわけでございます。
○小川敏夫君 総理、企業がこれだけ利益を大幅に増やし、配当金はこんなに増えています。しかしまた、総理、さらにまた、税制として総理は企業減税を更に進めていこうと、こういう政策を取ることをお考えですね。
○国務大臣(尾身幸次君) 企業関係の税制については三つのことをいたしました。
一つは、減価償却制度をほかの国並みに、九五%までしか認めていなかったことを一〇〇%にいたしました。
○小川敏夫君 分かっているからいいですよ、中身は。
○国務大臣(尾身幸次君) いやいや、大企業とおっしゃっているから。
それからもう一つは、中小企業の内部留保の課税制度を廃止するということにいたしました。もう一つは、中小企業の一人会社経費を八百万円から千六百万円に除外を拡大をいたしました。
以上、三つ併せて、企業が、経済のグローバル化する中で企業が日本という国を経済活動の拠点として選びやすいようにする、それから同時に、中小企業の活性化を実現するという観点から行いましたが、これはむしろ中小企業中心の減税でございまして、大企業優遇の減税ではございません。減価償却制度については中小企業も大企業も共通の減税でございまして、そういう意味では大企業減税をやったという批判は全く当たっておりません。
○小川敏夫君 もう分かっていることを教えてもらわなくて結構なんです。
総理、法人税率を引き下げようという、そういう方向で総理は検討されているんじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まだそんなことは全く決まっていないわけでありまして、いずれにせよ、この秋には抜本的な税制改正は行わなければならないと考えているところでございます。
○小川敏夫君 諸外国に比べて我が国の法人税率はまだまだ高いということで、法人税率を上げるという方向で議論しているんじゃないですか。それでは上げないんですか。失礼しました、上げるんじゃなくて、法人税率を上げるというのは下げるの間違いです。法人税率を、そして下げるという方向で検討もしていないんですか。やらないんですか、それを、総理。総理の方針を聞いているんです。これからの方針を聞いているんです。
○国務大臣(尾身幸次君) 法人税率ですね、実効税率が日本の場合大体四一%で、アメリカ、ドイツとほぼ同じ水準でございまして、ほかの国、三〇%台の国はたくさんございますが、そういう国と比べて基本税率が高いことは事実でございます。ただしかし、いろんな現在段階において財政が非常に厳しい状況もございまして、その点について今年度においては触らないということになったわけでございます。
今年の秋にはいろんな意味での税制の抜本改革をいたしますから、これは消費税も含め、また法人税も含め、所得税も含め、あらゆる税目を全部考えて、総合的な考え方の下に方向性を出していきたいと思っております。
どの税をどういうふうにするかということについては、まだ全く白紙でございます。
○小川敏夫君 法人税率を下げようということで実際は検討されているんじゃないかと思いますが、そのことについては白紙だということについて、私はにわかには納得いたしかねますが。
次に、配当金が三倍にも増えたと、この間ですね。例えば、この配当金課税については分離課税で、非常に優遇された税制にありますね。正に、株式を持っていれば汗を流さなくても得られるこの配当金の方は三倍にも増えている、そして優遇税制のままと。一方、総理が言っている汗を流した人が報われる社会という、その汗を流したこの全国の労働者、様々な職場で働いている職員の人たち、例えば定率減税が廃止されて、実質的に所得税は上がっておりますね。
こうした現象について総理はどうお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば企業は税金を払った後、配当しているわけでありますが、言わばこの株主に対する課税についてどうあるべきか。これは、言わば預貯金の利子に対する課税との関係等々も含めていろいろな議論を経た後に決まっているわけでございますが、しかし、この株について言えば、当然、年金の運用も正に株において運用を行っているところでございます。言わばこうした株価の動向等々にもこれはある意味では注意深く見ながらいかなければならないと、こういうことではないかと思います。
○小川敏夫君 総理が汗を流した人が報われるのは当然だと言うのとは違うような社会状況が現実に生じておるんで、総理のその格差の認識をただしたわけですが、残念なことに、恵まれた人、あるいは総理の言葉を使えば勝ち組さえ勝っていけばいいんだと、それに乗り遅れた人は結局しようがないという総理の姿勢が、私にはそういうふうに感じられます。
時間がもっと十分あればもっと議論をしたいんですが、総理がいろいろお話しした格差対策、それについても中身がないということは、また実際のその法案の審議の場で十分議論させていただいてその問題点を指摘したいと思いますが、次の問題点、論点について質問をさしていただきます。
慰安婦問題、正にアメリカの下院においてこの慰安婦について日本国が謝罪すべきだというような決議案が出るかもしれないというような状況になってございます。総理は、この慰安婦問題について国の責任を認めた宮澤内閣時代のこの河野当時官房長官談話、これについてまずどのようにお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この談話につきましては、さきの国会で答弁をいたしましたように、この河野官房長官談話ということにつきましては基本的に継承していくということを申し上げているわけであります。
○小川敏夫君 最近、総理は強制はなかったというような趣旨の発言をされましたか、この慰安婦の問題について。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その件につきましても昨年の委員会で答弁したとおりでございまして、この議論の前提となる、私がかつて発言をした言わば教科書に載せるかどうかというときの議論について私が答弁をしたわけでございます。
そして、その際私が申し上げましたのは、言わば狭義の意味においての強制性について言えば、これはそれを裏付ける証言はなかったということを昨年の国会で申し上げたところでございます。
○小川敏夫君 この三月一日に強制はなかったというような趣旨の発言をされたんじゃないですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、この強制性ということについて、何をもって強制性ということを議論しているかということでございますが、言わば、官憲が家に押し入っていって人を人さらいのごとく連れていくという、そういう強制性はなかったということではないかと、こういうことでございます。
そもそも、この問題の発端として、これはたしか朝日新聞だったと思いますが、吉田清治という人が慰安婦狩りをしたという証言をしたわけでありますが、この証言は全く、後にでっち上げだったことが分かったわけでございます。つまり、発端はこの人がそういう証言をしたわけでございますが、今申し上げましたようなてんまつになったということについて、その後、言わば、このように慰安婦狩りのような強制性、官憲による強制連行的なものがあったということを証明する証言はないということでございます。
○小川敏夫君 今証言はないと言いましたね。しかし、実際にアメリカの下院において、アメリカ合衆国の下院において慰安婦をされていた方がそういう強制があったという証言をしている、だから下院で決議案が採択されるかどうかということになっているんじゃないですか。
今証言がないとおっしゃいましたね。実際にそういう体験をしたというふうに証言している慰安婦が現にいるわけですよ。そういう人たちの発言は証言じゃないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば裏付けのある証言はないということでございます。
証言といえば、先ほど申し上げましたように、吉田清治氏の証言も証言じゃないんですか。全くこの人の証言はでっち上げだったということでございます。
○小川敏夫君 一度確認しますが、そうすると、家に乗り込んで無理やり連れてきてしまったような強制はなかったと。じゃ、どういう強制はあったと総理は認識されているんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この国会の場でこういう議論を延々とするのが私は余り生産的だとは思いませんけれども、あえて申し上げますが、言わば、これは昨年の国会でも申し上げましたように、そのときの経済状況というものがあったわけでございます。御本人が進んでそういう道に進もうと思った方は恐らくおられなかったんだろうと、このように思います。また、間に入った業者が事実上強制をしていたというケースもあったということでございます。そういう意味において、広義の解釈においての強制性があったということではないでしょうか。
○小川敏夫君 それは、業者が強制したんであって国が強制したんではないという総理の御認識ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これについては、先ほど申し上げましたように、言わば、乗り込んでいって人を人さらいのように連れてくるというような強制はなかったということではないかと、このように思います。
○小川敏夫君 だから、総理、私は聞いているじゃないですか。家に乗り込んで連れていってしまうような強制はなかったと。じゃ、どういう強制があったんですかと聞いているわけですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既にそれは河野談話に書いてあるとおりであります。それを何回も、小川委員がどういう思惑があってここでそれを取り上げられているかということは私はよく分からないわけでありますが、今正にアメリカでそういう決議が話題になっているわけでございますが、そこにはやはり事実誤認があるというのが私どもの立場でございます。
○小川敏夫君 アメリカの下院で我が国が謝罪しろというような決議がされるということは、我が国の国際信用を大きく損なう大変に重要な外交案件だと思うんです。
それで、事実誤認だから、じゃ、そういう決議案をもしアメリカ下院がすれば、事実誤認の証言に基づいて決議をしたアメリカ下院が悪いんだと、だから日本は一切謝罪することもないし、そんな決議は無視する、無視していいんだと、これが総理のお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、別に決議があったからといって我々は謝罪するということはないということは、まず申し上げておかなければいけないと思います。
この決議案は客観的な事実に基づいていません。また、日本政府のこれまでの対応も踏まえていないということであります。もしかしたら委員は逆のお考えを持っているのかもしれませんが、こうした米議会内の一部議員の動きを受け、政府としては、引き続き我が国の立場について理解を得るための努力を今行っているところでございます。
○小川敏夫君 河野談話は、単に業者が強制しただけでなくて、慰安所の設置や管理、慰安婦の移送に対する軍の関与を認定したと言っておるわけです。このことについて総理は認めるんですか、認めないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、先ほど来申し上げておりますように、書いてあるとおりであります。
○小川敏夫君 書いてあるとおりは、書いてあるのは事実ですよ、書いてあるのは。総理がそれをそういうふうに思っていますかと聞いているんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、書いてあるとおりでありまして、それを読んでいただければ、それが政府の今の立場であります。
○小川敏夫君 私は、この問題についての国際感覚あるいは人権感覚といいますか、全く総理のその対応について、私は寂しい限り、むしろ日本の国際的な信用を損なうことになっているんじゃないかと思いますが。
すなわち、下院において、そこで慰安婦の方が証言された、それが事実誤認だからもういいんだと言って通るほど、この国際環境は甘くはないと思います。むしろ、こうした人権侵害についてきちんとした謝罪なり対応をしないということのこの人権感覚、あるいは過去に日本が起こした戦争についての真摯な反省がやはりまだまだ足らないんではないかという、この国際評価を招く、こうした結果になっているんではないでしょうか。どうですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は全くそうは思いません。小川議員とは全く私は立場が違うんだろうと思いますね。
戦後六十年、日本は自由と民主主義、基本的な人権を守って歩んでまいりました。そのことは国際社会から高く私は評価されているところであろうと、このように思います。これからもその姿勢は変わることはないということを私はもう今まで繰り返し述べてきたところでございます。
小川委員は殊更そういう日本の歩みをおとしめようとしているんではないかと、このようにも感じるわけでございます。(発言する者あり)
○小川敏夫君 大変な暴言でありまして、私は、アメリカの下院でそうした決議が出ると、出るかもしれない、既に委員会では決議が出ているわけで、今度は下院、院全体で決議が出るかもしれないと。そのことによって生ずる我が国のこの国際的な評価、これが低下することを憂えて言っているんですよ。
○委員長(尾辻秀久君) 速記止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
質問を続けてください。小川敏夫君。
○小川敏夫君 私は、日本をおとしめるのではなくて、日本の評価が国際的により上がるようにということを願って、このアメリカの下院で、下院で決議が出るというのはこれは大変なことじゃないですか。そのことを憂えて私は質問をしておるわけですよ。それを、おとしめるとは何ですか。私が日本という国をおとしめるための発言だとはどういうことですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小川委員はその決議が正しいということの前提に立っておっしゃっているんですか。まず、そのことをお伺いをしたいと思います。
○小川敏夫君 決議が出ることを心配して、決議が出ることによって日本の国際的評価が下がることを懸念して言っているわけですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、この決議案には、決議案には明らかに事実誤認があるということを申し上げているわけでございます。
○小川敏夫君 被害者が議院で証言されているわけですね。その証言に基づいて下院が決議をすると。すると、その証言を信用ありとした下院の判断が間違いだと、だからもうそのことについては何の対応もしなくていいと、ただ事実誤認だと言っていればいいというのが安倍総理の姿勢ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、小川委員の発言の中にも事実誤認は含まれています。まず、下院は判断をしていません。まだ案でしかないというわけでございます。そして、私たちは対応をしております。
○小川敏夫君 私は出たと言ってないじゃないですか。委員会では、いや委員会ではもう決議通ってますよ。ただ、下院の院としてはまだ出ていないし、しかし出たら困るでしょうと言っているわけです。
総理、あなたが河野談話、これについて余り積極的にといいますか、前向きに取り組んでいるとは思えない姿勢がよく分かりました。
時間がありませんので、松岡農水大臣に事務所費のことについてお尋ねします。
大臣、衆議院でも何回も聞かれていますけれども、大臣のこの事務所は議員会館ですね。これ一つだけでほかに事務所はございませんね。
○国務大臣(松岡利勝君) 政治資金管理団体としては議員会館一つです。
○小川敏夫君 事務所は議員会館のほかにお持ちなんですか、その資金管理団体が。
○国務大臣(松岡利勝君) それはもう衆議院でも申し上げておりますが、今先ほど申し上げたとおりです。
○小川敏夫君 その資金管理団体の平成十七年の事務所費で三千三百五十九万五千四百二十八円が計上されている。これはどういう事務所費だったんですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それは、通常の事務所の維持に必要なその経費を計上したものが今の金額であります。土地代とか一切入っておりません。
○小川敏夫君 今、土地代が入っていないとおっしゃいました。では、何が入っているんですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それは、今先ほど申し上げましたように、法律に基づいて決められた書式に従って報告をしたものでありまして、ここで何が幾ら、何が一々どうこうという金額を、もう既に報告しているとおりでありますから、そのとおり見ていただければ結構だと思います。
○小川敏夫君 土地代は入っていませんって、自分の都合のいい部分だけ取り出して言って、自分の都合の悪い部分は言わないんですか。何が入っているんですか。何にも答えてないじゃないですか。
○国務大臣(松岡利勝君) 小川先生も法曹界御出身ですから、法の下に平等ということは当然御存じだろうと思うんですが、私ども法律に従ってきちんと報告をしているわけでありまして、ここで一々、小川先生に項目別に報告をしなきゃならない、そういう法律の定めになっておりません。
○小川敏夫君 松岡大臣、私は個人的な興味で大臣に質問しているんじゃないんです。国民の一人として、国民から選ばれた者として、政治家である、大臣であるあなたに対して、この政治資金を事務所費として計上したこの事務所費の内訳は何ですかと聞いておるわけです。大臣はもう既に説明をしたと言いますが、衆議院の会議録、予算委員会も農水委員会の会議録見ても、この事務所費の内訳は何であるか一切答えていませんよ。先ほど初めて一つだけ答えました、土地代は入っていませんと。じゃ、土地代が入っていない。じゃ、あとは何なんですか。一言も説明してないじゃないですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それは、通信費とかいわゆる通常の事務所の維持に必要な経費すべてが計上されておるわけであります。それ以上お答えすることについて、それはもう会計責任者がきちんとうちは計上して報告していますから、そのとおりであります。
○小川敏夫君 農水大臣に基本的なことをお尋ねしますが、事務所費でないものを事務所費に計上したら、これは虚偽記載ですね。あるいは、使ってはいけない使途のものを使ってはいけないところに使えば、これは違法ですね。そうしたものを事務所費に計上すれば、これは不正ですね。
こういう一般論についての御認識はどうですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それは一切ないというふうに私は報告を受けております。
計上に当たりましては、報告に当たりましては、担当の所管のところと相談をし、その上で整理をしておる、こういうことでありますから、先生の御懸念は一切ございません。
○小川敏夫君 議員会館は無償です、御存じのとおり。その事務所の賃料とか使用料が無償なのに、何で事務所費が三千三百五十九万も掛かるのか。すなわち、合理的に考えてこれは余りにも不自然なんですよ。だから聞いているんです。余りにも不自然だ。それについて、政治家として、国民の範となる大臣としてきちんとその中身について、これこれこれこれこういうことに使いましたから、だから疑問を抱かなくても結構ですと、詳細に説明するのが政治家としての義務じゃないですか。
○国務大臣(松岡利勝君) 説明をとおっしゃいますが、私どもは法律に定められた、求められたもの、これはすべて整えて報告をしているわけなんですよ、すべて。
今、何に使った、かにに使ったということで、おかしなものあるのかと先ほどお聞きになりましたが、うちは一切そういうものはございません。例えば、事務所費が、その家賃がただだからと、こうおっしゃいますが、じゃ、家賃がただでない人たち、というのは主たる事務所を国会以外に持っておられる方、こういった方でも、家賃を除いても私よりも事務所費が多い方は一杯おられますよ。例えば小沢さんなんかだと十数倍ですよ。けたが違う、けたが違う。そして、本来、政治資金規正法上運用を、(発言する者あり)ちょっと黙って聞いてください、運用をしちゃいけないと言われている。その運用に抵触するかしないか、そういった観点から、十数倍もあって、そして不動産を運用しているかも分からない、そういう観点で、そこに限って説明されたんでしょう。それ以外のこと、例えば家賃は取っておられるのか取っておられないのか、じゃその原資はどうなのか。
私どもの自民党は、政党助成金というのは極めて厳格な経理によってきちっとされていますよ。したがって、そういうことも含めて、私は、私どもは、何で閣僚だからとか、閣僚である前に議員活動なんですよ、閣僚である前に議員活動としてのこの経費について、だから前から申し上げている。じゃ、どういう基準でどういうふうに公開をするか、お互い平等に公平に、それが決まったらいつでも率先して公表しますと、こう申し上げているわけです。
○小川敏夫君 総務大臣に一点だけお尋ねします。
事務所費の中には土地購入費は含まれる、すなわちこれは合法ですね。
○国務大臣(菅義偉君) 購入については合法です。
○小川敏夫君 松岡大臣、事務所費のほかにも、この経常経費の中で光熱水道費というのがある。この光熱水道費、どこの事務所の分ですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それはちゃんと必要なものについて、掛かったものについて報告をしていると私は聞いております。だから、今、小川先生はその土地代のことだけお聞きになりましたが、私どものことも総務大臣に法に違反しているかどうか聞かれればいいじゃないですか。
○小川敏夫君 総務大臣、お尋ねします。
事務所費でないものを事務所費に計上したら、これは違法ですね。水道、光熱水道費でないものを光熱水道費に計上したら、これは違法ですね。一言で答えてください。
○国務大臣(菅義偉君) 虚偽であれば違法です。
○小川敏夫君 私は、松岡大臣、この計上されている光熱水道費はどこで御使用になった光熱水道費ですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それは報告しているとおりですから、私一々詳細を承知いたしておりませんが、(発言する者あり)いやいや、一々あなたたちだって全部自分で経理していますか。それは全部事務所で会計責任者がきちんとやっておりますが、掛かったものをちゃんと計上、報告をしているものと思っております。
○委員長(尾辻秀久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(尾辻秀久君) 速記を起こしてください。
○小川敏夫君 大臣は今、御自身、大臣御自身じゃ分からないですか。分からないで、すべて会計責任者がやったことで分からないという御趣旨ですか。もう一度答えてください。
○国務大臣(松岡利勝君) それは、もちろん代表として私が責任者ですから、そういう立場においては私が責任において報告をしていることになりますが、一々詳細の、何が幾ら、かにが幾らということにつきましては事務所できちんと整理をし報告をしておると、こういうことであります。で、私はそれは責任を持って報告しておる、こういうことであります。
○小川敏夫君 知っているか知らないかという事実を聞いているんです。知っているんですか、知っているけど言わないんですか。
○国務大臣(松岡利勝君) いや、法律どおり私はやっておるわけでありまして、その事務所で一々、これは光熱費、水道代が幾らだと、こういったようなことについて私が一々チェックしたり確認したりはしませんが、ちゃんと事務所においてそれは確認をし整理をし、私はそれを代表という立場で報告をしておると、こういうことであります。
だから、それはどういう金額でどうだということにつきましては、それは当然のことながら、こちらも承知をし了解をしたものとして報告をいたしております。
○小川敏夫君 大臣も承知して報告しているわけですね。だから聞くわけです。光熱水道費が計上されておりますが、どこで御使用の光熱水道費を計上しているんですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それは当然のことながら、主たる事務所としてのその議員会館の関係について報告をしておると、そのとおりであります。
○小川敏夫君 議員会館の部屋は、これ全議員平等ですから、すべて同じ条件で、水道も電気も暖房もすべて無償でございます。このすべて光熱水道費が無償の議員会館が事務所で、なぜ光熱水道費が計上されるんですか。お答えください。
○国務大臣(松岡利勝君) 私のところは、水道については今、何とか還元水とかそういったようなものを付けております。そういったようなこともあると思いますし、それからまた、光熱費につきましても、暖房なりなんなり、それは別途そういったものの分が含まれていると思っております。
○小川敏夫君 平成十七年度、年度じゃないですね、平成十七年の一年間で光熱水道費が五百七万円余りです。蒸留水の装置で数万円、暖房、何か、電気暖房の機械か何か入れているんですか。部屋は集中冷暖房ですからね、入れても数万円です。大臣のお部屋には、この還元水の装置や電気ストーブが百個も置いてあるんですか。五百七万円、議員会館の部屋で水道光熱費、すべて無償のこの議員会館の部屋で光熱水道費が五百七万円にもなっている、このことについてもう一度説明してください。
○国務大臣(松岡利勝君) いや、ここで詳細は、私は一々、これが幾ら、あれが幾らということは、今ここににわかには覚えておりませんが、それはまたきちんと確認してお答えしたいと思います。
○小川敏夫君 まあそんな、追ってなんて言わないで、覚えてないんだったら私とやり取りしながら思い出しましょうよ。
大臣、大臣の部屋に還元水があると言いました。還元水の何か水質を浄化する装置ですか、これ幾つありますか。御使用になっている部屋だから分かるでしょう、今。
○国務大臣(松岡利勝君) 事務所費で幾らかとか、光熱費が幾らかということにつきましては、いま一度あなたがおっしゃるように、ここでやり取りしながら覚えるほど、思い出すほど確認していませんから、それはきちんと確認してからお答えしたいと思います。
○小川敏夫君 いやいや、浄水器は何個あるんですかと聞いたわけで、何個あるんですか。
○国務大臣(松岡利勝君) 今ここで何本と言ってもし間違ってちゃなんですからね、これはきちんと確認をしてから間違いなくお答えをしたいと思います。
○小川敏夫君 暖房機はあると言いましたね。どういう暖房機があるんですか。どういう暖房機をお使いなんですか。
○国務大臣(松岡利勝君) それもしっかり確認をしてからお答えしたいと思います。
○小川敏夫君 この蒸留水と暖房機のほかに水道光熱費として計上されるものとして、大臣、思い当たるものは何かほかにありますか。大臣、だって毎日使っているお部屋じゃないですか。
○国務大臣(松岡利勝君) 毎日使っているとおっしゃいましても、一々そこを見たり、そういう確認をしながら使っているわけじゃないんで、先生もお忙しいんだろうと思うんですが、結構私らもそういったことを一々確認するような時間というのはありませんので、まあしっかり確認をして必要ならばお答えをしたいと思います、必要ならばですね。
○小川敏夫君 今、大臣ね、お部屋は毎日のように使っていると、だけど、使っているけど余り気が付かないと。すると、気が付くような存在としてはないから、ほとんど気が付かないような存在でしかないということですね。大臣、会話しながら思い出しましょうよ、忘れていると言うんだから。水の関係では水道の蛇口は一個しか付いていません。浄水器が一個付いています。ほかに何かこの水の関係で付いているものがありますか。
○国務大臣(松岡利勝君) 思い出してとおっしゃいますが、もしまた私が思い出し方が不確かだったら、またあなたはそこでどうこうとおっしゃるんですから、もう先ほど何度も言っていますように、こういうことで無駄されるよりほかの質問でもされて、ちゃんと確認して、必要なことは、必要なことはちゃんと必要な、必要な範囲でお答えいたしますから。
○小川敏夫君 あなたはね、大臣、松岡大臣、政治と金の問題、国民が政治倫理を確立してほしいと大変強い思いを持っている。それについておよそ信じられないような、すべて無償の議員会館の部屋の水道光熱費が五百七万円も計上していると。明らかに不正計上じゃないですか。そのように言われてもしようがないようなこのことについて、もうどうでもいいからほかのことを聞いてくださいと言う。何て政治倫理の意識を冒涜した、国民の思いを無視した言い方でしょう。
答えてください。水の関係で、水道光熱費ですから、水道のその水の関係で浄水器以外に何が付いているんですか、何か思い当たるものありますか。
○国務大臣(松岡利勝君) 私が申し上げたのは、この政治とそのお金の関係でどうでもいいなんてことを申し上げてないんです。そうやって時間掛けて思い出しましょうとおっしゃるから、それは不確かなことを答えて時間を無駄にするよりもきちんと確認をしてお答えしますからと、こう申し上げているわけであって、まああなたもそれは思い出しましょうと言ったって、こちらはそれはちゃんと確認をしてきちっと正確にお答えするというのが、必要な範囲においてですね、それが務めですから、そのことを申し上げておるんでありまして、あえて申し上げますが、確認をしてから必要な範囲においてお答えいたします。
○小川敏夫君 総理、今の松岡大臣の答弁聞いて国民が納得すると思いますか。議員会館、総理も議員としてお使いですよね。水道、電気、暖房、すべて無償です。その議員会館で使用した光熱水道費が五百七万円という、計上されている。これは明らかに虚偽の計上だと思わざるを得ないんですが、総理はどういう御認識ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この事務所費等については、その報告については法律で定められているわけでありまして、その法律の定めるところによって松岡議員も議員として届出をしているということではないでしょうか。
そして、それ以上の詳細について今後、どれぐらいの額以上はもう少し詳細について公表するべきだということが今後法律改正等、あるいはまた各党においてそれが一致した見解となれば、当然、私の内閣においてもその求めに応じて公表するというのは当然ではないかと思っております。
○小川敏夫君 将来どうしようという話を聞いているんじゃないんですよ。平成十七年のこの議員会館における光熱水道費、五百七万円も掛かるはずがないんですよ。どう考えたってあり得ない。すなわち、それは虚偽記載という不正ですよ、これは。明らかに不正と思われてもしようがない。これだけの事実を否定されても、総理、何も感じるところはないんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その細目については私は承知しませんよ、その蒸留水があったとかそういうことについてはですね。ですから、その中身については私は詳細について承知をしておりませんが、そもそもこの法令の定めるところによって松岡議員もそれは届出をしていると、そこには一点の曇りもないということを今申し上げたんだろうと、このように思うわけでございまして、今後、先ほど申し上げましたように、法令その他によって一定額以上についてはこのように公表しようということが決まってくれば、当然、我々も議員としてそれを公表するということは当然だろうと、こう考えております。
○小川敏夫君 松岡大臣、じゃ光熱水道費、それから事務所費について、その詳細、内訳を調べて公に発表するんですね、してくれるんですね。
○国務大臣(松岡利勝君) 今ついつい聞いておれば、小川先生特有の言い方でおっしゃいましたが、事務所費についてと。これは各党各会派でどういう基準で、多いとか少ないとか、主たる事務所が一か所しか、議員会館にあるからとか、よその事務所、よそにも何か所あるからとか、そういったことも含めて、平等にどういう扱いで公表するんだとなれば私は事務所費についてはそういたしますと、こう言っているわけでして、そして、今の光熱費について私も一々詳細をしっかり確認をしてこなかったものですから、今していないものですから、この段階においては。だから、小川先生の御指摘について、もしきちんと答えなきゃいけない範囲において、必要な範囲において確認をしたものがあれば答えますと、こう言っているわけです、必要な範囲においてですね。これはあくまで大前提としてここで申し上げておきたいと思います。
○小川敏夫君 松岡大臣、はっきり答えました。議員会館で使用した光熱水道費です、五百七万円と。明らかに虚偽記載ですよ、もうそう考えざるを得ない。にもかかわらず、何も国民の前で明らかにしようとしない松岡大臣、あるいはそれについて責任を問う、あるいは事実を解明させようとしない安倍総理のこの政治姿勢、やはり支持率は下がる一方ですね。
私、質問がまだかなりたくさん考えておったんですが、どうも教育のことについて一つだけ、本当はたくさん質問したかったんですが、私の意見を述べて総理に考えをお伺いしたいと思いますが、教員の質の問題について、なかなか総理は評価制度あるいは免許更新制度と厳しい側面をいろいろ取り上げて様々な措置を講じようとしておりますが、私が思うには、やはり全国の教員の方、多くの方は情熱を持って一生懸命取り組んでおられる。であれば、そうした情熱のある教員の方、この方たちをしっかり伸ばす、あるいはこれから有為な情熱ある人材にどんどんどんどん教職に就いてもらう。そういうために、ただ単に厳しい側面だけを更に厳しくするという観点ではなくて、より教員のやる気を出すようなそうした政策をより強く押し出していくことが必要ではないかと、私はそういうふうに思っておりますが、どうも総理の考え方は厳しい面だけですね、まるであたかも教員の方、多くが怠惰で無能であるかのような前提に立ったような政策であるように私は感じてしまうんですが、総理、そこのところの思いを聞かせていただけませんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、正に教育は人であると、このようにずっと申し上げているわけでありまして、そしてまた、今、小川委員がおっしゃったように、ほとんどの教員の皆さんは一生懸命子供たちの未来のために頑張っておられるということも必ず私は申し上げているわけであります。
そこで、しかし他方、やはりこの時代の変化の中にあって教育指導においてもいろいろな新しい方法も試みられているわけであって、そういう中において教員の方々にも、時代の要請に合った教育の仕方、あるいは新たな方法があればそれに取り組んでいくという意欲を持っていただきたい、そのための教員の免許制度は導入をしなくてはならないと、こう考えているわけでございます。
と同時に、やはり一生懸命頑張っている先生方をこれは応援をしていくという仕組みもつくらなければいけないということも申し上げているわけであって、優れた教員、先生たちに対してはそれにこたえることも当然考えていかなければならないと私は思っているところでございます。
○小川敏夫君 時間が来てしまいましたので私の質問は終わりますが、どうも私の質問に正面から答えていただけない、あるいは不必要な答弁ばかり随分多かったようなことで、余り質疑が充実しなかった点を大変残念に思っております。
また、総理が私に対して、私が国をおとしめるというかのような姿勢に立っているという発言、これは断じて私は許すことはできません。
また、松岡大臣、私が国民の声を受けて──松岡大臣いないですね、その真相を解明したいという国民の声にこたえて質問していることについて、無駄なことをやめようという、そうした発言、これは断じて許すことができません。
この扱いについては、謝罪、議事録からの削除を要求しますので、委員長、よろしくお願いいたします。
私の質問はこれで終わります。
○委員長(尾辻秀久君) ただいまの件は後刻理事会で協議をいたします。
関連質疑を許します。大塚耕平君。
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
今、小川議員と閣僚の皆様方の議論を拝聴していて、小泉総理の座右の銘を思い出しました。よく、信なくんば立たずとおっしゃっておられました。これは、自分の信ずるところに従ってではなくて、信頼がなければ政治家たるもの立ってはならないという意味であったかと思っております。小泉総理もそのようにお答えになっておられました。この言葉、与野党とも重くかみしめて仕事に当たらなければならないということを今拝聴していて感じ入った次第でございます。
さて、国会論戦は、論戦によって政策の質を高める、野党の我々も納得できるところはどこか、あるいは納得できないところは何かというところを明らかにさせていただくということだと思っておりますので、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。
安倍総理は去年、御就任直後の所信表明演説において、人口減少の局面でも経済成長は可能だというふうに述べられましたが、これはどういう理屈ないしは仮定でそれが実現可能だというふうにお考えになっておられるのか、まずその点からお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 人口減少というのは、ただ生産人口、消費人口も減っていくわけでありますから成長にはマイナスの効果が出てくる、これは当然のことであろうと、このように思います。その中において、もちろん人口減少のスピードを食い止めるためにありとあらゆる我々、少子化対策を行わなければならないと、このように考えておりますし、事実その対策を打っております。
しかし、それと同時に、やはりしばらくの期間はこの人口減少の局面が続いていくわけであって、その中にあってはずっとこれは今後成長は無理なのか、私はそういう考え方は取っていないわけであって、この人口減少は、例えば先ほど申し上げましたように、生産性において、労働人口が減っていくわけでありますが、この生産性を向上することによってそれに対応することができるのではないかと、このように思います。
IT革命によって正に第三次の産業革命がある、このIT革命をしっかりと我々生かしていかなければならないと考えております。そうしたことを生かしていくことによって、またイノベーションによって生産性を飛躍的にこれは上げることが可能ではないか。例えば、日本のある金型メーカーは、一つの工程について四十日以上掛かっていた工程を四十数時間に短縮することができたわけであって、これは飛躍的な生産性の向上なんだろうと、このように思うわけでありますが、こうしたイノベーションによる生産性の向上、これは単に技術だけではなくて、いろいろなビジネスアイデア、あるいは新しい取組も当然これは入ってくるわけでありますが、そうした取組によって十分に可能になっていくのではないか。
そしてまた、もう一点はオープンな姿勢でございます。日本の消費人口は減っていくわけでありますが、言わば世界の人口に目を転じますと、アジアは中国やインド、人口が成長していくわけであって、そうした成長を日本に取り組んでいくオープンな姿勢が大切であると。そのためにはWTOの早期妥結、あるいはまたEPAそしてFTAを広げていくという努力もしていかなければならない。
こうしたイノベーションとオープンな姿勢によって我々、新しい成長戦略を着実に前進をさせていかなければいけない。そのことによって、こういう局面においても経済成長は十分に可能であると、こう考えております。
○大塚耕平君 丁寧に御説明いただきましてありがとうございました。
冒頭申し上げましたように、国会論戦、与野党の考え方を闘わさせていただくわけでございますので、私の意見も申し上げますので、なるほどなと思う点があればそれは是非採用していただきたい、これが国会論戦でございますので。
今総理は幾つか御説明くださいましたが、キーワードは生産性、イノベーション、オープンと、この三つぐらいがキーワードかなと思って聞いておりました。この国会の冒頭の施政方針演説でも議事録を拝見しますと、生産性を向上させ、成長力を強化することが必要ですと、四月をめどに生産性加速プログラムを取りまとめますと、こういう御発言がありました。
先週、面白いニュースを拝見しまして、面白いニュースといっても、大田大臣が発表になられました、五年間で生産性の伸び率を一・五倍にすると。すごいなと思ってこのニュースを拝見したんですが、この生産性というのは労働生産性のことを言っておられるんですか、総理。
いやいや、これは総理ですよ。
○国務大臣(大田弘子君) 事実関係だけ私の方から申し上げます。
労働生産性です。一人の労働者が一時間働いて生み出す付加価値の伸び率を五〇%上げるということです。
○大塚耕平君 じゃ、まあせっかくですから、大田さん、これは労働生産性の中の物的労働生産性と価値労働生産性と付加価値と三つありますけど、どれですか。答えだけでいいですよ、説明は私がしますから。
○国務大臣(大田弘子君) 付加価値です。
○大塚耕平君 総理、一緒にお考えいただきたいんですけれども、付加価値労働生産性を大田大臣は経済財政諮問会議でこの五年間で伸び率を一・五倍にするというふうにおっしゃったんですね。
念のためですけど、じゃ大田大臣にお答えいただきたいんですが、どのように一・五倍にされますか。
○国務大臣(大田弘子君) ITの本格的な活用、それからグローバル化、それから規制改革によって、消費者の立場に立った規制改革によって潜在的需要を掘り起こしていくということです。
少し計数的な点を申し上げます。
労働生産性について、過去十年の年平均伸び率は一・六%です。これを二〇一一年度までに五〇、五割増しの二・四%程度にするということです。先生も御案内と思いますが、八〇年代の日本は年平均三%弱です。それから、IT革新を実現したアメリカでは九〇年代後半以降年平均三%弱です。決して低いハードルではありませんが、日本においても十分に可能だと考えております。
○大塚耕平君 是非総理に一緒にお考えいただきたいんですが、この付加価値労働生産性、経済財政諮問会議で大臣の責任でお出しになった数字であります。これは計算の仕方、物すごく単純でありまして、生産量掛ける価格割る労働者数なんですよ。ということは、生産量を増やすか価格を上げるか労働者の数を減らすか、手段は三つしかないんです。どれで労働生産性を上げようというふうに総理はお感じになっておられますか。これは総理としてのお感じ方で結構でございます。政策の変数は三つしかないんですよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に労働者の数は減っていくわけであって、その中で我々は、この生産性が上がっていくというのは、言わば我々、生産の量を維持をしていくということになるんだろうと、このように思います。
そのためにも、我々、今のITのこの技術を十分に取り入れていくことも大切でしょうし、新しい取組等々のイノベーションに取り組んでいくことも当然私は必要になってくると、このように思います。
○大塚耕平君 いや、今のお話ですと、生産量を増やすか価格を上げるか労働者を減らすか、まあ労働者は減っていかざるを得ないとおっしゃったわけですから、そうすると生産量が増えるか価格が上がるか、計算上これしかあり得ないんですよ。
で、大田大臣が御説明になった、このようにして一・五倍にするとおっしゃった、このようにということによって生産量が増えたり価格が上がったりするんでしょうか。そこが、(発言する者あり)いや、これはだから冒頭申し上げましたように、納得できればなるほど政府の経済政策は立派だといって評価したいんですよ。ところが、生産性加速プログラムでこれからやりますというふうに経済財政諮問会議で絵で示されたここで書いてある内容では、今申し上げたように、直接的に生産量が増えたり価格が上がったりするというそこのプロセスが全然見えないんですよね。だから御質問を申し上げているわけなんです。
で、もう一個お伺いしますが、じゃ大田大臣、これは事実関係だけで結構でございますので。これ大事なんですよ。
さっきも申し上げましたように、生産性というのは総理の答弁で何回も何回も出てくるんです。生産性を上げるというのが総理の上げ潮路線の一つのキーワードになっているんですね。労働生産性については、そのプロセスは私はちょっと理解できませんけれども、労働生産性を上げたいというお気持ちは分かりました。生産性にはほかに大田大臣、何がございますか。
○国務大臣(大田弘子君) 量と価格を労働投入量で割ったわけではなくて、実質GDPを就業者数掛ける時間で割っております。実質GDPの上昇は、まず供給を示す潜在成長能力の上昇というところでとらえております。潜在成長能力を上げるものとして、IT化あるいはサービス業の生産性、あるいはグローバル化というものをとらえております。
○大塚耕平君 大田大臣、付加価値労働生産性だとさっきおっしゃったわけですよ。今おっしゃったのは、国民経済生産性といって生産性の四種類あるうちの別のものの説明しておられるんですよ。
いや、だから、私がお伺いしたかったのは、(発言する者あり)いや、これは今御質問があったのでお答えしますけれども、ちょっと違うんですよ。何でしたら今度しっかり御説明申し上げますが。
一月の二十五日に「日本経済の進路と戦略」というものをお出しになりましたね。ここでは、生産性について、全要素生産性という、TFPというものを上げるというふうにお答えになっておられますね。私がお伺いしたかったのは、これ、いいですよ、全要素生産性を上げるというのを目標にするというのは、これは別に反対はないですよ、私は。その中に含まれるものとして労働生産性以外に何がありますかという質問を今申し上げたんです。何がありますか。経済財政担当大臣としてお答えください。そういうことも分からないでこれをお出しになったんですか。
○国務大臣(大田弘子君) 私どももTFPで表すことも考えました。しかし、分かりやすさ、つまりこれから人口が、(発言する者あり)進路と戦略はそれで挙げております。生産性加速プログラムの目標は、人口が減る中で同じ時間働いて多くの付加価値を生み出すという意味で労働生産性で表示いたしました。
TFPと労働生産性の違いは資本の生産性です。
○大塚耕平君 おっしゃるとおりです。その最後のお答えが聞きたかったんですね。資本の生産性というものがもう一個あるんですよ。
総理が施政方針演説や所信表明演説の中で、人口が減っても経済の発展する国にしたいというそのお気持ち、それは私たちも一緒ですから是非そうしたい。しかし、そのための手段というのは、労働生産性を上げるだけではなくて、今大臣が、大田大臣がおっしゃった資本の生産性を上げるということも一つポイントなんですよ。
資本の生産性はどういうふうに上げますか、これについてはまだ何も御説明が出てきてないんですけれども。労働生産性を上げるだけですか、資本の生産性はこのまま放置するんですか。これ、総理が指示出せばいい話ですから。作ってないんだったらすぐ作りなさいと言えばいいわけだし。
○国務大臣(大田弘子君) 労働力人口が減ることによって労働者一人当たりの資本装備率が高まります。それによって資本の生産性が上昇いたします。
○大塚耕平君 大田大臣、是非一回、私、ゆっくり議論させていただきますので、今のお答えは間違っているんですよ。労働装備率、(発言する者あり)いや、今労働装備率とおっしゃいましたね。労働者一人当たりにどれだけの資本があるかというのは、逆に言えば一つの固定資産にどれだけの労働者が付いているかという労働装備率なんですよ。掛ける資本生産性が労働生産性になるんですよ。だから、労働装備率が上がると資本生産性は下がるんです。これ、トレードオフなんですよ。
いや、私が申し上げたいのは、総理、このことをせっかく国民の皆さんが聞いてくださっている中で延々とやってもしようがないんですが、(発言する者あり)いやいや、しようがないんですが、つまり組立てが間違っているということです。組立てが間違っているので、委員長、これは予算委員会ですから、どのように日本の経済を成長させるのかという最も大事なポイントについて私御質問させていただいているんです。それが、資本生産性と労働生産性についてのこれまで政府から出てきている説明が理屈に合わない説明が出てきているから私は質問をさせていただいているわけです。だから、これは一度きちっと、労働生産性のところだけにスポットを当てて御説明になるんじゃなくて、資本生産性も入れて、その結果、進路と戦略ですか、それに出てきた全要素生産性がこうなるんだという全体像をお示しいただかないと分からないんですね、これは。
おまけに申し上げますと、資本生産性が上がれば労働生産性は低くても全要素生産性は上がるんですよ、計算式上は。ですよね。だから、一月にお出しになった全要素生産性の目標は、労働生産性でこれだけ、資本生産性でこれだけ、もし目標にしようとするんだったら、今、大田大臣がおっしゃったように、資本生産性を上げたら労働生産性は別に上がらなくても上がるんですよ、下がってもいいぐらい。この辺についてきちっと御説明いただかないと、なるほど安倍さんの上げ潮路線は大したものだというふうに評価できないんですよ。
もう一個聞きますよ、大田大臣。じゃ、労働生産性足す資本生産性が全要素生産性ですか。
そんなこと一々聞かないでくださいよ。分かんないでこの資料を出したんですか。
○国務大臣(大田弘子君) そのとおりです。
○大塚耕平君 いや、違います。
全要素生産性は、労働生産性と資本生産性の合算、差引きでは出せないんですよ。その差額というのは技術進歩率というんです。それが総理の言っておられるイノベーションでしょう。だから、いいですか総理、いや、納得していただければ、採用していただければいいんです、私どもの考え方を。労働生産性足す資本生産性足す技術進歩率が全要素生産性なんですよ。だから、総理のおっしゃるように、イノベーションが物すごく進めば別に働く皆さんに労働生産性を高めろというような目標をあえて課さなくてもいいわけですから、僕はイノベーションを進めるという総理のこの上げ潮路線の大方針はいいと思うんですよ。それをお伺いしているわけですよ。
で、もうここまでの御説明でもお分かりのとおり、生産性を高めるという目標には賛成です。しかし、それをどのように高めるか、どの部分を高めるかということについて断片的に出てきている情報が間違っていますので、一度しっかりと整理をしてトータルな資料をお出しいただきたいということを総理にお約束いただきたいんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の進めているこのイノベーションについては正しいとお認めをいただきまして、私も大変満足をいたしております。
ただいま極めて大塚先生のアカデミックな御議論があったわけでございますが、是非私どもの大田大臣と議論を深めていただきたいと、このように思うわけでございまして、また必要な、大塚委員がこういう資料を出せということであれば、あらかじめまたこの委員会等々において質問の通告をしていただければよろしいのではないかと思います。
○大塚耕平君 いや、総理、喜んでいただいたのはうれしいんですが、余り油断しないでくださいね。別に、ここの委員会の席で質問をするのでそれを予告してくださいということではないんです。
私が申し上げたいのは、生産性をどうやって上げるかというのは安倍総理の経済政策、上げ潮路線の一番の核心なわけですから、それについてトータルに我々が、ああ、なるほどそうなのかと思うような資料を出すようにきちっと指示をしてくださいということを僕はお願い申し上げたんです。指示してください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この議論を出すというのは、いや、資料を出すというのはどういう意味でおっしゃっているんですか。
○大塚耕平君 いや、だから、全要素生産性を上げるといって、二〇一一年までに、何ですか、一・五%程度までに上昇させるというまずゴールが先に設定されたわけですよ。その中身は、労働生産性と資本生産性と技術進歩率、この三つで構成されると。で、これは、労働生産性については先週、付加価値労働生産性といって、これを五年間で伸び率一・五倍にするといって堂々と経済財政諮問会議で資料を出されて、翌日の新聞にも、言わば、国民の皆さん、労働生産性を上げましょうというのが目標だと、国家の目標だといって報道されたわけですよ。しかし、さっき大田大臣にお伺いしたら、それは国民経済生産性だと言って、最初に付加価値労働生産性だと言ったことと違うものだというふうにおっしゃった。
この一点を取ってももう混乱しているんですよ。だから、安倍政権の経済政策の信頼性を増すためにもきちっとした生産性についての資料を、今後の政策運営についての資料をお出しくださいと。それがなければ信頼が得られないわけですから、政策の中身について。信なくんば立たずということになりますよということを申し上げているわけで、いや、総理がここで指示していただければいいんです、大田さん、しっかりまとめて我々が納得できるような資料を出しなさいと言っていただければそれで結構ですから。
○国務大臣(大田弘子君) 間違っていると言われますとお答えせざるを得ませんが、先生のお考えのように、残差としてTFPをとらえるものもありますが、先ほど申し上げた労働生産性の中に技術進歩率を含めて計算しております。
○大塚耕平君 労働生産性の中に技術進歩率を含めるという定義を私は初めて聞きましたが、今度、じゃ、ゆっくりそれについては議論をさせていただくので、そういうことがトータルで分かるようにお仕事をしてくださいということを申し上げているんです。
総理にお伺いしたいんですが、じゃ、その一番大事な技術進歩率のところですね、技術進歩率、イノベーションを起こす起こすと言っておられますけれども、これをどのようにイノベーションを起こされますか。これも安倍政権の経済政策の一番のポイントですね。先ほど冒頭の御説明の中で、キーワードは、生産性、イノベーション、オープンというこの三つだったと思います。イノベーションをきちっと起こしていただければ確かに技術進歩は起きるわけですから、いいことになると思います、私も。
さて、このイノベーションをどのように起こされますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々の内閣では、あらゆる意味においての生産性を議論をしてまいるわけでありますが、そこで、言わば生産性を上げるということにおいては、先ほど申し上げましたように、ITの技術を取り入れていく、あるいはまたそうした形で生産性をこれは更に向上させていくということでありますから、さらにはまた、あらゆる意味でのイノベーションですね、技術の分野におけるイノベーションもありますが、新しい取組、新しい考え方、新しいビジネスアイデア、またサービス分野におけるイノベーションということもあるんだろうと思います。その分野への投資を促していくための政策を推進していきたいと考えております。
○大塚耕平君 これはやはり内閣府が年末にお出しになった生産性に関する資料で、新聞記事です、これは。「日本の生産性 規制緩和で七・五九%向上」と、これは一九九五年から二〇〇二年。これはもう発表された資料ですが。
つまり、今、規制緩和という言葉は総理の御説明で出てこなかったですが、規制緩和などもこれもイノベーションを起こすための重要な政策手段だという、こういう理解でよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新しい取組を行っていく上においては、当然規制緩和ということは重要なこれはかぎになっていくと思います。ITの分野においても、五年前と比べれば、この分野では規制緩和がかなり進んだのではないかと、このように思います。
○大塚耕平君 規制緩和は私も必要だと思うんです。ところが、私も政治家としてもう六年近く仕事をさせていただいているわけでありますが、小泉政権下で行われた規制改革が、ある部分は正しかったけれどもある部分は間違っていたという、あるいはやり過ぎたというふうに思っていまして、一番分かりやすいのが、イノベーションとは何の関係もない、例えばタクシーの台数をやたら増やすという規制緩和、これはある時点までは正しかったと思います。しかし、今タクシーの運転手さんたちは各地域の最低賃金すらも確保できないような状況になっている。この規制緩和はイノベーションと何の関係もないばかりでなく、やややり過ぎた規制緩和だったなと思っているので、これは巻き戻しが必要なんです。
先ほど小川議員とも、格差があるないという、また衆議院に続いたそういう議論がありましたが、格差があるないという切り口もありますが、間違った、行き過ぎた規制緩和はきちっと巻き戻して、それによって被害を受けている人たちの生活を守るということが必要ではないかというふうに申し上げているわけです、我々は。
そこで、この内閣府がお出しになった資料、原本は恐縮ですが読んでおりません、この新聞記事だけですので。この新聞記事によりますと、八割以上の規制が減った通信産業では経済全体に占める付加価値額のシェアも上昇したと。一方、二割程度しか規制が減らなかった建設業や農業の付加価値のシェアは低下したと。規制が強い医療、農業、金融などの規制緩和の押し上げ効果が今後は大きいと。医療や教育など公共的なサービス業は〇・一二ポイントの効果があると予測しているとか、こういうふうに報道されています。中身はそう間違っていないと思いますが。
そこで、総理が御期待しておられるようなイノベーションを起こすためには、タクシーの台数を増やすというような規制緩和ではなくて、今ここで内閣府が指摘しているように、医療や農業における生産性を下げているような規制をまさしく緩和する、そのとおりなんですよ。
そこで、医療についてだけちょっとお伺いをしたいんですが、どうして日本では新しい抗がん剤とか欧米ではきちっと使えている薬や医療材料がすぐ使えない、ないしは日本の企業がそれを開発して医薬品医療機器総合機構という認可組織に申請をしてもなかなか認可が下りない。
総理はなぜだと思いますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、治験等に例えば米国に比べればある程度長い時間が掛かると、このような指摘もあるわけでありますが、それには国内のいろいろな事情があるということでございます。
○大塚耕平君 柳澤厚生労働大臣のもう腰が立ちそうな状態になっているんですが、ちょっとお待ちください。今日はこのことが本題ではないので、延々とこれを議論させていただくつもりはありません、これをというのは医療についてをですね。
ただ、私も六年間政治家として活動してきた中で、なぜ日本では欧米で使えているような抗がん剤が使えないのか、そして欧米の企業が開発できる新しい薬や医療機器を開発できないのか、そんなことはないのになと。日本の企業は実力があるわけですから、総理も言っておられるように。
いろいろ調べていくと、一九九〇年の日米構造協議のときに、いわゆるMOSS協議です、日本の医療産業は余り発展させないような方向で対応しようという日米政府間の密約があるということをおっしゃる方々もいます、厚生労働省の関係者にも製薬企業の方々にも。これは本当かどうか私は分からないです。
その点については、総理は、そういうものがあるかどうかということについて御感想をちょっとお伺いしたいんですが。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはございません。
また、治験に時間が掛かる、これはいろいろな意見があります。やはりある程度慎重にやった方がいいということもありますし、例えばまた日本の保険制度等々とのかかわりもあるんだろうと、このように思うわけでございます。また、医療機器については内外価格差があるわけでありますが、この数年で相当縮小してきたのではないかと、このように考えております。
○大塚耕平君 まあ、そのあるかないかというのは、これは関係者しか分からない話ですし、私はあくまで業界関係者の皆さんが巷間おっしゃっておられることを伝聞情報としてお伝えしただけでございます。その点は御了解をいただきたいんですが。
ただ、もしそういうものがあるとすれば、そういうものを撤廃し、そして、よその国ではどんどん開発ができる薬や医療機器、こういうものが日本ではなぜ開発ができないのか、認可を受けて販売ができないのか、使えないのかということについてきちっとメスを入れる規制改革、これが総理がおっしゃっているイノベーションを起こすための本当の規制改革だと私は思いますので、その点についてはしっかりと厚生労働省にも指示をしてやっていただけるという御理解でよろしいでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま委員がおっしゃった問題意識を私ももちろん、そんな、日米のそんな密約なんかはございませんが、しかし、この治験等に時間が掛かる等々の問題について私も問題意識を持っております。
この分野についても、もちろんこの分野においては安全ということは極めて重要でございますが、そのことに留意をしながら、患者の立場に立って新しい有効な医薬品は早く使いたいと、こうみんな思っているわけでありますし、また特にがんの患者さん等、生死にかかわる病の中にある方々にとっては正に大変重大な問題でございますから、そうしたこの分野においてもしっかりと我々、言わば無駄な意味での時間が掛かっているということはないようにしなければならないと、このように考えておりまして、そういう意味においての規制の緩和等も既に指示をしているところでございます。
○大塚耕平君 総理がかねがね言っておられますように、日本の企業は実力があるんです。そんな欧米の企業に負けるようなことはないと私も思っています。にもかかわらず、医療の分野では後れを取ってしまうということは何か理由があるわけでありまして、そういうことをリーダーシップを発揮して改革をしていただくのがまさしくリーダーシップでございますので、大いに期待をしております。
そして、この労働生産性、生産性については改めてまた議論をさせていただきますが、大田大臣に一言申し上げておきますが、先週発表された、労働生産性伸び率を五年間で一・五倍にすると。役所の方に聞きました。ここに書いてある、ジョブ・カード制度を構築したり福祉の雇用推進五か年計画とか、何かいろいろここに書いてありますけれども、こういうものをやるとどのような理屈で一・五倍になるんですかと聞きましたら、特に理由はありませんと、一・五倍を掛けただけですと言っておられましたので、いやいやいや、首振られるんでしたら今ここで説明しなくちゃいけなくなりますよ。定量的な、計量的な根拠は何もないんですよ。いやいや、いいです、いいです。だから、ゆっくり今度議論をさせてください、大臣室に行きますから、私、ちゃんと。だから、ここについて信頼性がないと安倍政権の上げ潮路線信用できないんですよ、だから。だから、決して私は上げ潮路線、まあこの後また上げ潮路線の根拠についても議論させていただきますが、それそのものを否定しているつもりはないんですが、それが論理的に信頼できればの話ですよ。だから、そういうことを申し上げているんで、一応、大田大臣、ちょっと心の片隅に留めておいていただければと思います。
それと同時に、先ほど、医薬品医療機器総合機構、治験に時間が掛かるとかという話が出ました。確かに物すごい時間が掛かるんですよ、日本は。だから、がんでお悩みの日本の多くのがん患者の皆さんがどうして欧米で使えている薬が使えないんだと言って悩んでいらっしゃる。これはもちろんいろんな理由があることは私も理解しておりますので、全部を否定するつもりありません。しかし、そういう組織の労働生産性こそ上げてほしいですね、五年も掛けずに。国民全体、勤労者全体に対して労働生産性を上げるというようなことを、新聞でこれを国家目標にするというようなことをおっしゃる前に、行政組織の労働生産性を上げるということを是非総理には取り組んでいただきたいということを申し上げて、次の質問に移らさせていただきます。
さて、上げ潮路線の論理的根拠ということをちょっとお伺いしたいんですが、その上げ潮路線を取ると成長するということで、成長なくして財政再建なしということも総理は言っておられるんですが。
お手元に資料を配らしていただきましたが、(資料提示)実は小泉総理は、改革なくして成長なしというキャッチフレーズで、いや、私、別にこの小泉さんのキャッチフレーズに反対したことは一回もないですよ。本当に改革してくれればそれでいいと思っていましたから。で、安倍総理がそれを引き継がれるのかなと思ったら、成長なくして財政再建なしというふうにちょっと変えられたんですね。別にこれも、ちょっと聞くと、別にまずいことではないなという気がするんですが。
私、でも、安倍さんのこの方針を聞いたときに、まだ私がサラリーマン時代、議員にならしていただくちょっと前でしたが、お亡くなりになった小渕さんが言っておられたあのウサギ論争を思い出しちゃいましてね。いや、まず財政再建が先だと言っていた、まあ私たちもどちらかというとそういう立場でした。そういう主張に対して、いやいや、経済成長すれば財政再建が可能だと、二匹のウサギは追えるんだと言って、一兎論、二兎論とウサギ論争というのが二〇〇〇年前後にありました。先輩の議員の皆さんも御記憶にあると思います。
そこで、総理にお伺いしたいんですが、お亡くなりになった小渕総理のこの経済成長と財政再建の二匹のウサギは追えるんだという政策は成功したでしょうか、失敗したでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そのときの政策としては、正に財政出動をして景気を引き上げて、景気を良くして、そして財政再建をしていこうということであったのではないかと、このように思うわけでありますが、もちろん、それは結果としては債務残高の急増になってしまったのではないかと、このように思います。
○大塚耕平君 非常に冷静かつ、何といいますか、謙虚にお答えいただいて、大変有り難いと思います。これ、成功したって強弁されると、そんなことはないでしょうと私言わざるを得なくなっちゃうんで。
小渕さんのときに、平成十一年度、政府の経済見通し、平成十一年度の予算でプラス〇・五になると言っていたのが、名目成長率ですね、実際はマイナス〇・七、平成十二年度はプラス〇・八になると言っていたのが実際はマイナス〇・八、そして債務残高は、今総理がいみじくもおっしゃってくださったように、そのままずっと右上がりなんですよ。だから、残念ながら小渕総理の二兎論は、結果としては、一生懸命一命を懸けてお仕事をしてくださったんだとは思いますが、結果としては数字を見る限りは失敗したんですね。
今回、安倍総理のおっしゃる上げ潮路線、成長なくして財政再建なし、これ実は二兎論と全く一緒なんですよ。今回は成功するという根拠は何でしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の成長路線というのは、先ほど申し上げましたように、イノベーション、そしてまたオープンな姿勢によって経済成長を図っていくというものであって、言わば財政出動、安易な財政出動はしないということでございます。
そのエンジンは、例えば規制緩和であったり、このイノベーション、新しい取組等でございまして、生産性を上げていくことによって経済の規模を拡大をしていく、その経済の規模の拡大によって家計も潤い消費も伸びていくということであって、そしてそれによって自然増収を図っていくことにつながっていくのではないかと、このように思うわけであって、言わば対立概念としてとらえているのではなくて、経済成長をすることによって、今申し上げましたように経済の規模を拡大し自然増収を図っていく。そしてそれはさらに、例えば財政出動によって、更なる言わば需要の拡大ということを求めるということではなくて、財政再建にしっかりとこれは充てていくということでございます。だからこそ、十九年度の予算におきましても四兆五千億円という新規国債の減額、過去最大の幅の減額を行ったところでございます。
○大塚耕平君 安易な財政出動はしないということで、そこは小渕政権の二兎論とは一線を画するという、そのお気持ちは分かりました。
だから、今日はこれ予算委員会ですから、参議院予算審議が始まったわけであります。先ほど小川議員の御質問の中でのやり取りにもありましたが、安易な財政出動はしないというのが小渕政権との違いだというふうにおっしゃいましたが、例えば公共事業関係費、これ先ほども若干議論になりましたが、マイナス三・五%、確かに減らしておられます。でも、去年はマイナス四・四ですから、小泉さんのときより削減率は減っているんですね。おまけに、去年の骨太の方針二〇〇六、今後五年間の財政再建シナリオとして、二〇一一年度までに五年間で少なくとも十一・四兆円の歳出削減をすると言っておられるんですが、安倍政権になったら三年ぶりの増額予算なんですよ。
だから、お気持ちは分かりました。お気持ちは分かりましたが、そのお気持ちと出てきた予算の中身がちょっと違うなということから先ほどの小川議員の御質問にもなったと思うんですが、その矛盾についてはどのようにお感じになっておられますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど一%、三%議論がありました。この三%を上回って三・五%、十九年度は公共事業を削減をいたしました。
そこで、今議員が、十八年度については小泉内閣の最後の予算は四・四%を切ったじゃないかということでございます。ここについては、言わばこのときに税源移譲を行った、三位一体の改革を行って税源移譲を行ったわけでありまして、この税源移譲分が乗っているということでございまして、この税源移譲分を引けば十八年度は三・一になるわけでございまして、十九年度の方が三・五で〇・四ほど多く削減をしているということではないかと思います。
○大塚耕平君 今、その安易な財政出動はしないというお気持ちと出てきた予算を去年までのトレンドと比較するとちょっとその傾向が違うんではないかという、私はそういう御質問を申し上げたんですね。
今回思わぬ税収増があって、その税収増を使えるからという御説明は衆議院でも何回もお伺いしていますし、本会議でもお伺いしたんですが、しかし、財政再建がやはり課題だと思っておられるなら、増収分は全部きっちり財政再建に使うべきではないかなと、私は個人的にはそう思います。
その上で、総理は、確かに今ちょっと景気は良くなっているんですが、その景気が良くなっている理由についてどのようにお考えになっておられますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど、税収増はありました。確かに税収増はあったんですが、しかしそれと同時に、例えば社会保障費も七千数百億円増えているんですね。そこから二千二百億円切ったんですが、それ全部切らなければいけなくなってしまいますから、それはできない。
私は、最初にお約束をしたように、一人一人の社会保障の給付の質は落としてはならない。ですから、二千二百億円は切った。しかし、それは効率化を図ったのであって、それ以上切っていけば、これはやはり一人一人の給付の質を落としていくことにつながるということでございます。地方交付税特会は合わせれば六・三兆円の財政再建を行ったと、このように私は自負をしております。
景気回復についての私の見解を聞かれたわけでございます。この言わば構造改革の私は結果であろうと、この景気回復は、このように思うわけでございまして、それは、小泉総理が登場した約六年前には不良債権は山ほど積まれていたわけでありまして、当時は口を開けば不良債権の話であったわけでありますが、今はもう正にそれは全く不良債権問題はなくなったと言ってもいいと、このように思うわけでございます。
そしてまた、言わば失業率においても、当時は四・八%ぐらいだった。しかし、改革を始めて一時は確かに痛みが伴った、ですから五・五%まで上がってしまったわけでありますが、更に改革を続けることによって今四%ぐらいにだんだん落ち着いてきたわけでありまして、更にこの四%を切ることができるかどうかという水準に落ちてきたと、このように思うわけでありますが、基本的にはこの構造改革を進めてきた結果ではないかと、このように思います。
○大塚耕平君 いや、この辺は意見の違いがだんだん明確になってきていいと思います。小泉総理ともこの点は議論させていただいたんです、私は。小泉総理は構造改革は着実に進んでいるとおっしゃったので、まあ全く進んでいないとは言わないけど着実とは言えませんねといって、私も申し上げた記憶があるんですが。
構造改革というのは、一九九〇年代の半ばにこの言葉が普及し始めたときには、不要不急の財政支出を削減して財政赤字を減らしていくというのが構造改革の最初の目標だったような気がするんですね。だから、財政赤字が減っていればいいですよ、でも減っていないんですよ、現実には。小泉さんは、まあ五年間、長かったということもありますけど、歴代の政権の中では一番財政赤字を増やしたんですね。
今、構造改革が今景気が良くなっている理由だという御認識を御説明くださいましたが、私は違うと思います。小渕さんのときに確かに景気は大変な状況でございました。その結果、小渕さんはいろんな手を打たれて、その後の小泉総理も、それを引き継ぐ部分と引き継がなかった部分とありますけれども、経済政策を運営されて、今若干良くなっているのは事実です、一部の指標を見るとですね。ただ、格差が存在しているのも事実ですよ。
小渕さんのときの課題が何であったかというのを整理してみました。(資料提示)ごらんのとおりでございます、お手元にあるとおりでございますが。経済成長と財政再建の二兎を追うと言ったわけですから、経済成長においては、不良債権問題を何とかしなきゃいけない、そして成長のエンジンたる新しい産業をつくらなければならない、こう言っていたんですね。財政再建、これは財政の不均衡をなくして歳出の硬直化を是正して、本当に国民の皆さんが言わば働きやすくて、それこそ生産性の上がるような歳出構造にしていくと、こういうことが課題であったと私は認識しています。
これは、僣越でございますが、私なりの主観で通知表を付けさせていただきました。うまくいったのは大手行の不良債権問題。これはうまくいきました。でも、これは御承知のとおり、国民の皆さんから金利収入を移転して、つまりゼロ金利政策をやって超金融緩和政策で実現したことです。輸出産業、今大好調です。まあ、輸出産業の皆さんが好調なことをしたら別に喜ばしいことで、否定はしません。しかし、これもアメリカ、中国の好景気と、今申し上げました超の上に超が四つか五つぐらい付く金融緩和による実質円安なんですね。総理、実質実効為替レートという本当の日本の円の実力は二十一年ぶりの円安なんですよ、今。これはプラザ合意のときと同じですから。だから、輸出産業が良くなるのは当たり前。
さて、財政再建はどうなったか。これは御承知のとおり、小渕政権以来、大幅な国民の皆さんの負担増になっております。負担増になったけれども、負担は掛けるけど皆さんに心配はさせないよということであれば、それはそれで理解できなくはないんですが、残念ながら将来不安は拡大している。だって、年金については、これから保険料は上がる、給付は下がる。医療については、リハビリに日数上限が付いちゃった。療養型ベッドはなくなってしまった。介護型ベッドなんかは十三万床全部廃止。将来不安が高まっています。そうなると、この財政再建は、大幅な負担増、そして給付の切下げをやって、プライマリーバランスの均衡まで若干近づいてきましたけれども、本当にそれでいいのかということについては私は疑問があります。
そして、総理は構造改革の進捗によって今の景気が良くなったという御認識を示されましたが、私の意見は違います。一つは、これは衆議院以来ずっと議論になっている勤労者の皆さんの労働分配率、相当下がりました。これは人件費を切り下げるということを含めた合理化、そして超金融緩和、それに伴う円安、この三つで今の経済環境があるわけで、決して構造改革が進んだからではないと私は思っております。そのことについて、総理、私の意見についての感想をちょっとおっしゃっていただきたいんですが。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私はそういう考え方ではありません、感想としてはですね。
まず、小泉改革を進める中において財政規律はしっかりと守っていくという姿勢を強く示したわけであって、それに対してやはりこれは世界の市場がこれはやはり日本は財政規律を守って財政再建の方向に進んでいくと、このように私は理解をしていたと、こう思うわけであって、それがやはり長期金利に対しても影響しているんだろうと、このように思うわけであります。
そして、さらには、やはり先ほど申し上げましたように、不良債権のこれは処理を行った、これにはやはり決断が必要であったわけであって、低金利、ただ低金利をやっていればいいというものではなかったと、このように思うわけでございます。当時はいろんな議論があって、企業が苦しんでいるんだからそんな不良債権の処理を急ぐべきじゃないという意見も随分あったのも事実ではないかと、このように思うわけであって、それはやはり当時の決断があって不良債権の処理ができたと、こう私は思うところでございます。
そしてまた、もちろん金利の御指摘はそのとおりであろうと、このように思っているわけでありますが、しかし、それは一時的なこれは言わば経済の非常に厳しい状況の中での判断で、その判断は別にこれは政府がしたわけではなくて日銀が行ったわけでありますが、それは正しい判断であっただろうと、このように思うわけでございます。しかし、最近、〇・二五ずつ二回ほど金利は上がってきたということではないかと、このように思うわけでございますが、しかし、それと同時に、やはり経済全体のこの構造改革、当時は三つの過剰を解消するという努力を、確かにこれは民間の方々が大変な血のにじむような、これは政府の努力だけではなくて企業が努力をした結果でもあるのではないかと、このように思います。
○大塚耕平君 それは、確かに経済政策というのは難しい部分もありますから、国民の皆さんに全部細かく御説明できない部分もあると思います。しかし、この大方針とかキャッチフレーズというのは、名は体を表すでございますので、実は何となく使っているキャッチフレーズにも深い意味があると私は思っていましてね、改革なくして成長なし、これは別に反対じゃなかったんですよ。でも、安倍さんの言っておられる成長なくして財政再建なし、上げ潮路線、これは私は反対であります。
なぜならば、根拠がはっきりしないから、今日の生産性の話でも。これは、はっきりして私納得できたら賛成しますよ。でも、今の段階ではどうも上げ潮路線の根拠がはっきりしないのと、そして今の景気情勢が良くなっているということについての現状認識が間違っておられるから、間違った認識に基づいた経済政策は失敗する確率が高いですから、反対です。
そして、なぜ私が小泉さんのキャッチフレーズに共鳴を覚えていたか。それは、大体は正しいからなんですね。本来あるべくは歳出改革なくして成長なしではないかと私は思っております。そして、その歳出改革こそが本当に国民の皆さんが望んでおられる、例えば医療や介護や年金や雇用、これは二十年前の高度成長期や人口が増えているときと違うわけですから、そのときの常識では、歳出、つまり予算の配分もがらっと変えないと、国民の皆さんが安心して元気に働ける、そのことによって労働生産性というのは結果として上がるんですからね、実は目標じゃないんですよ、労働生産性は。そういう歳出改革がなされるならばいいだろうなと思って改革なくして成長なしという小泉さんのキャッチフレーズはうまいこと言うなと思って感服したんですが、小泉さんの五年間で残念ながら、改革は改革でもタクシーの運転手さんの数をやたらに増やすというような規制緩和であって、今私が申し上げたような意味での改革ではなかったのが残念だったなと、こう申し上げているわけであります。
ところで、上げ潮路線ってよく言いますけど、これはあれですか、総理がお付けになった言葉ですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 恐らく、私の記憶によれば、私はこの言葉を使ったことは一回もございません。
それと、先ほど私が、言わば成長なくして財政再建なしと言ったのは、景気が悪くなってしまっては税収も落ち込んでいくわけでありますし、更なる歳出削減を行えば不安も感じるでしょうし、更に景気は悪化していくと、結果として財政は再建しないということであって、決して成長路線と財政再建は相対立する概念ではないと、こういう考え方から、我々は、成長しながら、そして財政再建も行っていくということでございます。
○大塚耕平君 いや、お気持ちは分かります。しかし、その成長をどうやって実現するかというときに、今日も冒頭議論させていただいたように、労働生産性を上げるんじゃなくて、資本の生産性を上げたりあるいは技術革新を起こすと、資本の生産性上がれば労働生産性とはトレードオフですから、別に国民の皆さんに過度に負荷を掛けなくても全要素生産性は上がるようになってますから、そこのプロセスが正しく、しかも全体像が見えるように御説明いただいているなら、総理のおっしゃる考え方にも賛同できる部分はあります。
私が調べた限りというか、国会図書館の方にも御協力いただいて教えていただいたんですが、上げ潮路線というのは多分この言葉からきているんではないかと。(資料提示)ケネディ大統領の、ア・ライジング・タイド・リフツ・オール・ボート、多分これじゃないかとおっしゃるんですね、この頭の部分。なるほど、上げ潮だなと。多分評論家の方かどなたかがお付けになったんじゃないかなと、それが独り歩きし始めているんじゃないかなと。今日は英語の大変堪能な塩崎官房長官がおられますけれども、これが多分語源ではないかと思うんですね。しかし、この文章全体はすべてのボートを上げるからということであって、実はケネディ大統領の取った経済政策は企業減税もやったけど、大幅な所得税減税もやったんですよ。ところが、安倍総理の経済政策は、片方はやったけど片方はやっていないんですね。
私が申し上げたいのは、いや、これは対立軸が分からないというふうに我々もよく批判されますので明確にしなきゃいけないと思っています。あえて、上げ潮という言葉がマスコミで定着していますので満ち潮なんという言葉、引き潮ではちょっと困ったなと思いましたから、上げ潮に対しては満ち潮。つまり、今の上げ潮路線は、先ほどの小渕政権のときの論点整理で申し上げたように、国民の皆さんの負担増と給付切下げで、確かにプライマリーバランスの均衡に向かって一歩近づいていることは、これは事実です。それは、だから、評価します。ただ、それもたまたま超金融緩和とそれに伴う為替円安と大変な合理化に伴う景気回復による増収も影響していますので、一〇〇%評価はできませんが。
したがって、どうも安倍さんの言っておられる上げ潮路線、安倍さん御自身が言っておられるわけではありませんが、財政均衡のための負担引上げ潮路線だなと。私たちが望んでいるのは、それは反対されるかもしれませんが、そうではなくて歳出改革をやってほしいんですよ、本当に国民の皆さんが望む歳出改革。そうしていただければ、満足度の高い、まさしく国民の皆さん全員が成長できる満ち潮路線になるんではないかと。
私は、これ、例えばこれが映画のタイトルだとしたら、これ全文が映画のタイトルだとしたら、みんなが満足するということですから、この最初のところだけだと上げ潮ですけど、全文を多分一言で映画のタイトルで翻訳者が訳したら、ひょっとしたら満ち潮という言葉になるのかなとも思うんですが、これは単なる思い付きですので余り深くお考えにならなくて結構だと思うんですが。
さて、そこでこれでございます。(資料提示)もう谷垣さんの時代から財務大臣は、日本はこの社会保険料と税金の負担率、いわゆる政府の言う国民負担率が四〇%、アメリカに次いで低い国なので、低い国なので、これを高くしたい、高くさしていただかないと、ある程度高くさせていただかないと、つまり財政運営ができない、国の運営ができないと、こういう御説明をずっとしておられるんですね。でも、これはあくまで政府の言う国民負担であって、本当に家計の皆さんが感じていらっしゃる国民負担と私は違うと思っています。
なぜならば、スウェーデンやフィンランドや、ヨーロッパは、日本の言う国民負担率が六割、七割でも、皆さん日本の方ほど文句言いませんね。なぜか。お預けしている社会保険料や、お預けしているじゃないですね、国民の皆さんが政府に一時的に預けている社会保険料や税金を使って、どのような医療、介護、年金、雇用、教育政策をやっているかという、つまり財源から出てくる政策の中身、つまり歳出の中身ですよ、歳出の中身がある程度納得できるから、日本の国民負担率よりもはるかに高くてもある程度御納得をいただいている。
そこで、実際は、このように仮にこの縦の箱をある家計がもらっていらっしゃる所得だとすると、税金と社会保険料引かれます。確かに、平均で四〇%です、財務大臣、そんなものですよね。だけど、そこから医療費自己負担も、私の任期中でサラリーマンの方も二割から三割に上がりました。去年は、先ほども申し上げましたけれども、介護療養ベッドは十三万床全廃、医療型療養ベッドも二十五万床から十五万床。行き場がなくなって保険も利かないから医療費の自己負担上がっています。リハビリの日数にも上限付いた。脳梗塞の方は百八十日。百八十一日目からどうするんだと、根性で治せという国かと。介護の自己負担も上がっています。個人年金保険料も上がっています。雇用保険料、毎月毎月納めているけれども、イギリスのように公的職業訓練をやってくれるわけでもない。教育費はOECDの先進国と比較すると公教育に係る予算は非常に少ない。だから、老後が心配だから老後の蓄えもやっぱりしなきゃいけない。
本当の国民負担というのは、老後などへの蓄え、この部分も含めて、ちょっとこの線が下にずれていますけれども、これら全部を含めたのが本当の国民負担であって、つまり預けた税金と社会保険料で一体何をやっていただいているのか、政府に。そのことを全部含めた上での国民負担率を言わないと、財務大臣、これは生活実感と違うんですよ。
私はそう思っていますので、総理、政府の言う国民負担ではなくて、本当に今家計の皆さんが十年前と比べてどのような家計の状況になっているか。つまり、本当の可処分所得はどのくらいなのかということに議論の軸を置いてこれから経済政策を組み立てていくというお気持ちはございませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆる私どもが申し上げている国民負担率というのは、義務的、強制的な義務的に、強制的義務として払っていただいている税や保険料でございまして、それ以外の個人の年金とか個人保険とか、あるいはまた義務教育以外の教育費、そしてまた窓口での負担等は、医療、介護の窓口での負担は入っていないわけでございますが、しかし一つの見方として、海外との比較の上においては一つの指標ではないかと、このように思います。
○大塚耕平君 今前向きな御答弁いただいて、一つの指標ではないかとおっしゃったんですね。これ、一国の総理がそのように御答弁されて議事録に残るということは大変な前進なんですよ。
ということであれば、こういうデータを各国比較できるようにそろえて、それで議論をさしていただけますね。先ほどの生産性についての御指示と同様に、この国民負担、国民負担と言うときに、政府が第一次的に集めている社会保険料と税金のことだけではなくて、実質的に家計に掛かっている国民負担のところにきちっと調査をした上で今後御議論をいただけるという、それも一つの見方だとおっしゃったので、そういう視点の議論もしていただけるということでよろしいですね。再確認です。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、政府が果たすべき役割は何かという議論なんだろうと、このように思うわけでありますが。ですから、どこの負担までを入れて国民が感じている負担だと、これは正に国民が感じている負担の言わば測り方であろうと、このように思うわけでございまして、それはあらゆる観点からもちろん考えていく必要はあるだろうと、このように思います。
○大塚耕平君 ふわっとした御答弁だったんですけど、いや、でも、そういうときに総理、是非まさしくそういうときにリーダーシップを発揮してください。ちゃんと数字を調べて、本当に今、国民の皆さんの家計の負担がどうなっているかということを調査した上で真摯な議論をしていくというふうにおっしゃっていただければ、これ今、全国民の皆さん見ていますからね。そのことを期待しているんですよ。規制緩和であっても、タクシーの台数をやたら増やすというふうな規制緩和ではなくて、なぜ日本では医療が欧米のような医療にならないのかというようなことについてメスを入れるような規制改革をやるとか、そういうリーダーシップを発揮していただければ私はしっかり政権運営をしていただけるんではないかと思いますよ。
ただ、たまたま今日の読売新聞ですけど、これまた医療のことで恐縮なんですが、医療、介護両方ですが、びっくりしましたね。去年の介護型療養ベッド全廃、医療型療養ベッド二十五万床を十五万床、そういう動きに伴ってもう家に帰らなきゃいけない人が出てきたと。読売新聞の今日の一面です。「「在宅」床ずれ十二万人」、老老介護、褥瘡ですね、寝たきりで。褥瘡ですね、褥瘡。これ大変なことですよ。
日本は何でもアメリカのまねすればいいというわけじゃなくて、社会的入院が必要な住環境であったり、あるいは家族構成であったりしてきているのかもしれないですから、ただ単に社会的入院を減らすために療養型ベッドを減らして追い出せばいいという、そういうことではないということも、これもつまり国民の皆さんが今何で困っていらっしゃるかということに目を向ける政治の本質なんです。
で、総理に一つ今日は言葉をお伝えしたいんですが、後楽園ってございますよね。後楽園、まあ今は東京ドームと言いますけれども。あの後楽園というのは、先憂後楽からくる後楽園でありますが、民の憂いを先立ちて憂い、民の楽しみを遅れて楽しむ。つまり、何に困っていらっしゃるかということにむしろ国民の皆さんより早く気が付いて手を打って、国民の皆さんが、ああ、これはいい国になったな、楽しいなと思えるようになってから御自分が楽しむ、これが政治の本質であるということを言っている中国の中世の格言からきて後楽園、先憂後楽というのが出てきているわけであります。
是非総理には、格差はあって当たり前というのは、それは事実としては、それはみんなが平等になることはできませんよ。だけれども、少なくともこの小泉改革の間で評価できる部分も一部分あったかもしれないけれど、相当程度困る方が増えたという現実に目を向けてくださいということが実はこの格差論争の本質であって、格差があるかないかという、そういう水掛け論をするんではなくて、総理のお気持ちを私たちは聞かしていただいているんです。
先ほど申し上げましたような家計の実態に目を向けて、確かに表面上の国民負担率は低いけれども実際は医療、介護、年金、雇用あるいは教育、こういうものに掛かる家計の負担が増えている、その現実にこれからは率先して目を向けていくおつもりがあるかないか、その点についての御決意をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 繰り返しになりますが、私は格差があって当たり前でそれを放置をしていていいと、このように申し上げているのではなくて、格差の中身についてこういう格差であれば問題だということを私は正確に申し上げているわけであって、そうした格差に対しては私たちはしっかりと対策を打っているということも申し上げてきたわけでございます。
ですから、今頑張っておられる方々が将来に夢が持てるような、そういう政策を私たちが行っていくのは、これはもう正に私はそれこそ政治の使命であろうと、こう考えている次第でございまして、この予算におきましても、先ほども申し上げましたように、言わば何回も挑戦していく、チャンスに満ちあふれた日本にしていくためには、また、困難な状況にある人がまた立ち直って仕事を持って頑張っていけるような日本にしていくために、この再チャレンジ支援の総合プランの中でも千七百二十億円予算も組んでいるわけでございまして、そういう施策はしっかりときっちりと前進をさせていく考えでございます。
○大塚耕平君 ありがとうございました。
いずれにいたしましても、今日申し上げましたような論点も含めて、またきっちり御説明いただいて、我々は是々非々の論戦をやらせていただきたいなと思っております。
どうもありがとうございました。委員長、終わります。
○委員長(尾辻秀久君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十六分休憩
─────・─────
午後一時開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、平成十九年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。
関連質疑を許します。櫻井充君。
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。午前に引き続いて質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、タミフルの問題についてお伺いしたいと思いますが、地元の仙台でも十四歳の子供さんがタミフルを服用した後に亡くなられました。心から御冥福をお祈りいたしたいと思います。
この件に関して、実は十代の子供さん方が三名亡くなっておりますが、厚生労働省としては、因果関係はなく、そして今回、こういう形でこれからも継続投与してくださいという措置をされましたが、この措置は適切だというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) タミフルにつきましては、この因果関係は定かではないと私どもは考えておりますが、いずれにしましても、本年の二月十六日、愛知県蒲郡の十四歳の女性、それから二十七日、今先生御指摘のように、仙台市の十四歳の男性が高層階から転落死するということで亡くなられました。私からも深く哀悼の意を表したいと、このように思います。
それで、このタミフルでございますけれども、私どもとしては、小児科の先生方による個別の死亡症例ごとの評価、検討、それを総括するところの薬食審の安全対策調査会、こういうようなところでその評価について確認をいたしているということが第一点。それから第二点は、小児等における異常言動等の発現状況に関する疫学的調査、これは疫学的な方ですけれども、そういうことで、タミフルを服用したかどうかによって異常言動の発現に有意な差が見られなかったことから、こうした死亡事故とタミフルとの因果関係につきましては現時点で認められていないということでございます。
そういうことを踏まえまして、今回、タミフルについては予防的な意味で通達を医療関係者に発出したという状況にございます。
○櫻井充君 それはそれで分かりました。
ちなみに、私も数年前タミフルを服用した経験もございます。ただ、僕は今回、厚生労働省から資料をいただきまして全症例の報告を読ませていただきました。それともう一つは、今日は皆さんに資料をお配りさせていただいておりますが、インフルエンザによる年齢階級別死亡者数、これはお手元に資料行っているかと思いますが、これをまず見ていただきたいと思います。
問題になるのは僕は十歳以上だと思っていますが、十歳から十四歳までの方々というのは、年間に十例も実はインフルエンザで亡くなっていません。二枚資料を配っていますが、例えば平成十三年以降どうかというと、これはタミフルが使用された後なんですが、総数としてはほとんど変わっていないんですね。これは十代だけではなくて、実は四十代ぐらいまではインフルエンザではほとんど亡くならないと。問題は、乳幼児の場合とそれから高齢者に対してどう投与するかということになるんだろうと思うんです。
特に、今回のように異常行動を取るのは十代の子たちに集中していること、そしてたまたまこれは亡くなっているから分かっていることであって、もう少し小児に対しては多いのではないかという指摘もあることから考えると、私は、現時点で十代で使う必要性がないんだと思っています。私は、一人の内科医の立場とすれば、私が臨床医であれば、これは僕は十代の子たちにはタミフルは投与しないであろうと。我が子であれば絶対投与いたしません。
ですから、そのことから考えてくると、きちんとしたこういうデータがあれば、私は何も危険を冒して投与する必要性はないんじゃないだろうかと、そう考えますが、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) インフルエンザの治療に当たりましてタミフルを使用するか否かは、基本的にはそれぞれのお医者さんが患者の状態を十分診察した上で個別的に判断されることであろうと、このように思います。
十歳代の子供に処方する必要があるかどうかについても、一律に制限をするというようなことではなくて、あくまでも各患者の症状や容体によって個々の医師が判断すべきことであると考えておりまして、医師が判断する際に必要となる副作用等の情報は添付文書の形で広く記載するとともに、個別の副作用報告や研究成果等についても現在情報提供に努めているということでございます。
○櫻井充君 その答弁だけお伺いすると、万が一事故が起こった際には、そうすると責任は現場で使った医者ということになるんでしょうか。
つまり、私が申し上げたいのは、これだけのデータをお示ししているわけです。国としての方向性はどうなるのか。今回は慎重投与という形になっていますが、私は、現時点であれば少なくとも十代の子たちだけは使用禁止にすべきではないのか。
それから、アメリカなど外国の場合は治験でフェーズ3までで、実は八・一キロ未満の子供たちに使った例はないんですね。日本だけは一歳以上の子たちに、まあ実は治験などもやっておりまして、処方もされるような形になっています。亡くなった子供さんの中で実は八か月の子供、症例もありまして、そうすると果たして適切に使われているのか。これは現場の先生方が御判断されていることもあるので一概に申し上げられませんが、ここまでデータがそろってくるとすれば、リスク管理上、私は国から、国から、行政側からそのようなことを言うべきではないのかなと。これは極めて大きな問題で、人の命にかかわることです。
総理としては、今の我々のやり取りを聞いてどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま厚生労働大臣が答弁をいたしました。慎重な投与をしていると、そしてその上において各先生方の御判断ということでございますが、この因果関係がまだ科学的に証明をされていない中にあって厚生労働省としてそういう指導をしていると、このように認識をいたしております。
○櫻井充君 因果関係がはっきりしないまま継続して使い続けて悲劇が起こっているのは、この国のずっと医療事故の僕は特徴だと思っていますよ。
ですから、多分病気になっている、罹患、病気になっている期間そのもの自体は短縮する可能性があったとしても大きく予後を変える可能性が少ないとすれば、私はこういうリスクのある薬を使うのは基本的に中止するべきではないか、この十代の子たちに限っては中止するというのが原則にするべきではないのかなと、そこの点だけ一応申し上げておきたいと思います。
それからもう一つ、今度は少子化の問題についてお伺いしていきたいと思いますが、その少子化の問題の中で一つ大きな問題は、私は産婦人科の問題なんだろうと思っています。特に、助産師さんたちの問題で、これはるるいろんな議論がされていることは私はよく分かっておりますが、現在のところ厚生労働省の調査として助産師さんの数が足りているのかどうか。もし、足りていないとすれば、いつごろから厚生労働省はその点について気が付いていたのか。まず、この点について御答弁いただけますでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 平成十七年末に作成いたしました第六次看護職員需給見通しにおきます助産師の需給見通しにおきましては、常勤換算で、平成十八年末、需要が二万七千七百人、供給二万六千人とされております。これは充足率としては約九四%ということでございますが、実際にこれを達成したかどうかは、平成十九年秋に、以降に判明することとなります。
助産師の就業者数については、これは言わば常勤換算ではありませんが、平成十七年末で二万七千余人でございまして、対前年比で約千人の増となっておりまして、需給関係としては増加傾向にあるということでございまして、そういうことを総合的に勘案いたしますと、相当程度の充足の状況にあるのではないかという認識でございます。
ただ一方、個々の病院や診療所によっては助産師が不足しているという声があることはこれは承知をいたしております。病院での出生数と診療所での出生数の比率から考えると、病院に比べ診療所で働く助産師の割合が少ないというふうに認識しているところでございまして、この状況を解消するために、いわゆる潜在助産師への就業のあっせん、研修の推進、それからさらに定時制の養成コース等による助産師の養成に努めていこうとしているところでございます。
○櫻井充君 これは看護師問題、看護師さんの問題とも同じでして、要するに人はいるけど就業していない人たちがいてと、全く現実的には同じですね。
臨床の現場で、もし今看護師さんがやられている業務を助産師さんに担っていただかなきゃいけないとすると何人ぐらい助産師さんが必要だ、そして、その上で、いつごろからこのぐらい足りなかったんだ、若しくは、現実的にはいつごろから厚生労働省としては、本来、本来法律上に定められていることとすると、これは平成十四年の通知どおりやらなければいけないんだとすると、どのぐらい足りていなかったのかということを厚生労働省はいつから知っていたんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、先ほども申し上げましたように、第六次看護職員需給見通しの中の助産師さんの需給の見通しというものを立てているわけでございます。そういう意味で、不足というものを数字上でいえば、需要二万七千七百人に対して供給が二万六千人であるということからまいりまして、この段階でも既に需給の間には開差があったということでございます。しかも、そういうことの上に、実は先ほど申したように病院と診療所との間でのまた開差もあるということでございまして、そういうことでは私ども、なおこの開差を埋めるための努力をしなければならないと、このように考えておりますが、いずれにしても、違いとしてはどうかといえば、今言ったような数値になると、千七百人ぐらいの開差があるということでございます。
○櫻井充君 産婦人科学会で出している数字はたしか六千人から七千人ぐらい現場で足りないんじゃないかと、そういう数字になっていますよ。
私は、もう一つお伺いしているのは、いつごろからそういう状況を認識していたのか、僕はその点についてお伺いしているんですけど。
○国務大臣(柳澤伯夫君) このような形で需給の見通しを立てましたのは十七年末ということでございますので、今回こうした形で助産師の不足状況を明確に認識し得たのはこの調査によってであるということでございます。
○櫻井充君 ひどい話ですね。要するに、今まで全然調査していなくて、平成十四年に課長通知で助産師以外ができなくなると。そのときに、僕は制度上、今の法律上の定義からいうとそうなのかとか、これは要するに助産という、出産という、出産そのもの自体の定義とか、これからいろいろ議論しなきゃいけない部分あると思いますよ。しかし、現状出ている課長通知なりを見てみると、平成十四年度には助産師さんしか内診などができないような通知になっているわけですよ。そうすると、現実的にその時点で可能だったのかどうかということを厚生労働省は何も知らないであの通知を出されたということですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、櫻井委員の指摘をされた問題というのはいわゆる内診に係る厚生省の通達ということでございますけれども、これはいろいろなことを総合的に勘案して、本当に安全な助産ということを確保するためにはやはりこういう形で内診を助産師又は医師に限るということで、それ以外の者が行った場合にはこれは法違反になるということを決定したということでございます。
○櫻井充君 私は、いつからそういうことが分かっていて、まあ要するに現実対応できるのかということなんだと思うんですね。
大臣、私の知り合いの仙台の産科の先生も実はこの問題で辞めたんです。御自身も高齢だということもありましたが、そのことで違法で、いろんな形で訴えられるんだとすると、もうやっていけないということで辞められました。
実は、これは仙台に限ったことではなくて、全国でこういうことが起こってきていて、いわゆるお産難民という人が四十万人にもなるんじゃないか、五十万人にもなるんじゃないかというふうに言われているわけですよ。
日本は、今や世界のトップクラスである、出産するときの安全性というのは。これは、戦後間もないころは家でほとんどの方が出産されていて、病院などで出産される方はわずか二%しかいなかった。そのために、毎年、昭和三十年のデータですと、年間三千人強の女性が出産で命を落としていると。それから、十万人程度の子供さんたちが、胎児が、生まれてすぐに亡くなっていたと。もう現在はそういうことはなくて、九九%病院や診療所で出産した結果、お産で亡くなった女性は四十九人しかいない、亡くなった赤ちゃんは五千五百四十一人でしかないと。つまり、安全は、僕は十分今でも確保されてきているんだと思うんですね。
そうすると、ただし問題はもう一つ、横浜地検で今回のことについて判決が出てくる中で、処理が相当でないとした理由の中には、背景にある産科医療の構造的問題を指摘しているわけです。この構造的問題をずっと解決してこなかったのが、実は厚生労働省ですよね。このことをきちんとしてこなかったから、今になって厚生労働省が慌ててああいうことを言ったって、現場では何ともできない、現場の医者の問題じゃないですよ、これは。今度は、出産する人たちがどこで出産したらいいかという、場所がなくなってしまうことです。
田舎の病院で、一個産科があったとしますよ。ここがもし、これやめなきゃいけなくなったらどうなりますか。何時間も、山道、掛けて大病院まで行くんですよ。その間にもし子供さんが生まれてしまったときに、手当てどうするんですか。そういう現実的なことを考えなければいけない中で、厚生労働省はこれまでどういう対応を取ってこられたんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 助産師さんの不足の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる潜在的な方々を、看護師さんと同じですけれども、これを顕在化させるということで、私どもそのマンパワーの確保に努力をしているわけでございます。
今委員が仰せられるように、安全なんだということで日本の医療について評価をしていただいているのは有り難いわけですけれども、やはり少数と、相対的な数でいえば確かに少数になりつつあるということはこれは有り難いことですけれども、しかしそれにたまたま遭遇されたお父さん、お母さんの中には、やはりどこまでも安全を追求したいというお気持ちを強く訴える向きもありまして、私どもとしては、やっぱり法令違反は法令違反として整理をして、その上に立っていかに要員を確保するかということに努めていくべきだろうと、このように考えております。
○櫻井充君 私が申し上げているのは、もう一つ違う点なんですよ。法令違反なら法令違反でも結構ですよ、厚生省の考え方は。じゃ、法令違反を今までずっと許してきたんじゃないですか。皆さんがそうやってずっと許してきたんじゃないですか。あなた方が行政としてきちんとチェックする行動を取ってこなかったからこそそういう問題になっているわけじゃないですか。違いますか。その責任は僕は極めて大きいと思いますよ。厚生省が何もしてこなかった、そして急にこういう形にしてしまったからこそ現場で大混乱している。つまり、行政の不作為を現場の医者や、それから患者さんたちに押し付けているのが私は今の厚生労働省だと思いますけどね。いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 恐らく、通達のことについて先生から……
○櫻井充君 通達だけじゃありませんよ、体制の問題です。
○国務大臣(柳澤伯夫君) お話をなさっている観点かと思いますけれども、あの通達自身は別段改めて方針を転換したとかということではなくて、やはり法令の解釈というものをきちっと確定、確認をしたと、こういうものであるわけで、答弁としてはやはりその上に立って、いかにマンパワーを確保するかということに私どもとしては努めるべきであろうと、このように考えるわけでございます。
○櫻井充君 答えになっておりません。答えになっていませんからね。
いいですか、今までの行政不作為のことを私は言っているんですよ。つまり、だからこそ今になって顕在化したわけでしょう。顕在化する前に、じゃ何もチェックしていないじゃないですか。そして、対応を取ってこなかったじゃないですか。
これから、今就業されていない助産師さんたちに働いていただきます。だけど、どこまで働けるか分かりませんよ。もしこれの穴埋めができなかった場合には今度は夜間の助産師学校をつくりますと言いますが、そうやって何人、毎年何人生まれてくるんでしょうか。その間どうするんですか。その間は、じゃ厚生労働省の言う違法行為はそのまま放置するんですか。それとも、それを全部取り締まるんですか。今、現実論、取り締まってしまったら、出産のできない病院は一杯出てきますよ。
それで、私が申し上げたいのは、現実がどうのこうの以前に、厚生労働省としての産科の体制をきちんと取ってこなかったでしょうと。産婦人科の医者が減少しているだけの問題じゃありませんよ。医者の問題だけじゃなくて、実質は助産師の問題もあって、そういうことに手だてを取ってこなかった厚生労働省の責任は極めて重いんじゃないでしょうか。大臣は少子化の問題に関して随分前に本当に不適切な発言をされましたが、実は大きな問題はこういうところにあるわけですよ。安心して近くに病院がなくなったら出産できませんよ。また少子化に拍車が掛かるんじゃないですか。
まあ多分幾ら言っても押し問答になるので、私は一つ提案しておきたいのは、今働いている方々を生かすのであれば、一年間深夜の学校に行ってくれということよりも、例えばその助産行為の中、助産師さんたちがやれる行為の中のある一部分にだけ限定して、そしてそこの部分に関して研修を受けていただいて、早期にそのこと自体が、早期にその人たちが就業することがある種許されるような状態をつくるべきではないか。その代わり、これは限定があって、助産師さんの数をもちろん増やしていって、いずれその数が足りて、助産師さんたちでちゃんと賄える状況になるまでの暫定措置としてやらない限りは何ともならないんじゃないのかなと私は思いますけどね。大臣、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まあ櫻井委員は専門家でいらっしゃいますから、その専門家としての見地からそういう御提案はお聞きはいたしますけれども、私どもがいろいろと専門の方々あるいは実際に事故に遭われた方々なぞのお話を総合して判断いたしますと、その一部だけを研修してそういったことが実施されたとしても、法的にそれをとがめるということをなくしたらどうかと、こういうことについては非常に大きなちゅうちょを感じるわけであります。
それは、出産の要は経過の確認ということがそうした行為のねらい、目的でございますけれども、しかしその出産の経過の確認ということは、これは先生、釈迦に説法で大変恐縮ですけれども、そうした一定の行為だけではなくて、総合的にこれが行えるということが大事であるということを聞いているわけでございまして、その一定の行為だけが解禁というか、法に触れないという、研修の上ではあっても、そうしたことをやったとしても問題の真の解決にはならないと、こういう認識を持っているわけでございます。
○櫻井充君 今、現場で困っているからそういう案を出してみただけの話でございます。
大臣は、今、専門家でないというお話でした。大臣は専門家じゃないんですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まあ私の立場は、要は、いろんな専門家の方々のお話を聞いて、それを最終的に行政としてどうすべきかということを判断する、そういう責任を持った立場だと思っております。
○櫻井充君 そうであったとしても、私は専門家ではないのでという形で僕は逃げられるというのはおかしな話だと思いますよ。つまり、自分自身がその立場に立たれれば、専門家としてきちんとやっていけるように努力されるのが当然のことであって、答弁の際に専門家でないということをおっしゃられることは不適切である。
つまり、もし御自分の専門が例えば元々大蔵省、財務省ですから、そうであったとすれば、そういう大臣に僕は就任された方がよほどいいんじゃないのかなと、その方が能力が発揮されるんであればそうされるべきではないのかなと、そう思いますけど、安倍総理はなぜ柳澤大臣を厚生労働大臣に任命されたんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 柳澤大臣は大変謙虚なお人柄ですから、そういう謙虚な見地から専門家じゃないというふうにおっしゃったんだろうと、このように思います。厚生労働行政についても、自民党の政調会長代理として大変な知識を持っておられる方だと、このように信頼をして任命をしたところであります。
○櫻井充君 総理、今の厚生労働大臣とのやり取りを聞いて、その点でのちょっと御所見をお伺いしたいんですが、要するに、今までの法律上であれば、これは厚生労働省の見解ですからこれからもう一度議論しなければいけませんが、厚生労働省の見解とすれば、今の看護師さんたちがそういうことをやられるのは法律違反だと。まあそれはそれとして、そうなってくると、今度はその方々がお辞めにならなきゃいけなくなると。現実、現実ですね、そうすると、その方々が助産師さんにちゃんと代わればいいんですよ。これそうしたら全く問題ないんですから。数が本当に足りているかどうかのところで、はっきり言って足りているかどうかまだ分かっていないわけですよ。
そうすると、私のところの地元の話も出しましたが、辞めていく方々もおられるとすると、少子化対策という点でいうと僕は大きな問題になるんじゃないのかなと、そう思いますけど、総理としてはいかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど厚生労働大臣から答弁があったわけでありますが、言わば潜在的な助産師の方々にできる限り現場に復帰をしていただく、あるいはまた看護師の方々に助産師の資格を取っていただくと。そのために十九年度に創設をということで、学校を八校、四十人の定員を八校つくると、四、八、三百二十人ですか。そうしますと、言わば一年間で養成が、まあ半年でありますから大体一年掛かるとして、一年間で養成をすると、そういうあらゆる努力はしていかなければいけないと考えております。
○櫻井充君 あらゆる努力をしても追い付かないから申し上げているところでありまして、もしそこのところでやれるのであればこんな問題になっていないわけですよ。ですから、そこら辺のところはもう少し柔軟に対応していただきたいなと。これは、本当に産科医院がつぶれてからいろんな対応を取っていっても遅くなるので、これは改めて御検討いただきたいと思います。
もう一つ、少子化のことについて御質問したいと思いますが、(資料提示)これは三十五歳から三十九歳における未婚率の推移でございます。これは、青のマークが男性でして、それからオレンジが女性ですが、これ見てお分かりのとおり、ここ二十年ぐらい急激に結婚しない男性、女性が増えてきております。こういう形で未婚の方が増えれば少子化が進むのは極めて当然のことなんじゃないのかなと思いますが、総理として、この未婚の原因というのは一体何だとお考えでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いわゆる出生率の低下傾向というのは、近年の傾向ということではなくて、第二次ベビーブーム以降三十年間ずっと残念ながらこの傾向にあるわけでございまして、一九七三年の二・一四から二〇〇五年には一・二六に低下をしています。これは、ただいま委員が御指摘になった、言わば未婚化や晩婚化の進行と夫婦が持つ子供の数の減少にあるわけでございますが、言わば、もちろん結婚しない人が増えれば子供の数は当然減っていくわけでございまして、そういう意味においていえば昨年、少し足下において、その前年度に比べれば結婚する数が少し回復傾向が見えたということは明るい兆しではないかと、このように思うわけでありますが、結婚したいと思っていてもできない、ちゅうちょするという障害があるのであれば、そういう障害を取り除いていく努力をしなければならないと思っております。
○櫻井充君 質問に答えていただけてなくて、何か障害があるんならそれを取り除かなきゃいけないという御答弁でした。何が障害だと総理はお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、言わば家庭生活と仕事の両立ということにおいて、それが困難である、あるいは核家族化によって家庭の養育力が低下をしている、あるいはまた親族や近隣から得られた支援や知恵が得られにくいといった育児の孤立感、そしてまた若年失業の問題など、若者の社会的自立が難しくなっているという、そういう状況もあって、例えば九〇年代には未曾有の経済不況、経済的な不況の状況が長く続いていたということもあるのではないかと、このように思います。また、長時間労働等の働き方の問題もあるのではないかと、このように思うわけでございます。また、地域において子育て支援がまだ十分に、先ほど申し上げましたように、地域の養育力が低下をしている中において、地域における子育て支援がまだ十分に展開されていないということが原因ではないかと思います。急速な少子化の進行に歯止めを掛けられない、社会的なそうしたことが背景になっていると、このようにとらえておりますが、また育児休業制度など、政府の施策の効果が十分に浸透していない面があることも要因であると、このように思います。
そこで、今般策定をいたしました「子どもと家族を応援する日本」という重点戦略におきまして、すべての子供、そしてすべての家族を大切にすると、基本的な考え方に置きまして、働き方の改革を含めた幅広い分野で対策の効果的な再構築、実行を図ること、すべての子供を、すべての家族を、世代を超えて国民みんなで支援をする国民総参加の子育てに優しい社会づくりを目指すことにしております。
最近の出生数や婚姻数に見られる明るい兆しを確かな流れにできるように、内閣の総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○櫻井充君 総理、るる御説明いただきましたが、今は子供を産まない理由だと思うんですね。私がお尋ねしているのは、なぜ結婚しないのか。結婚しないことに対しての障壁が先ほどおありだということですから、それは一体何なんだということを私はお尋ねしているんですが。
総理ですよ、総理。総理、総理ですよ。総理の認識ですから。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 統計的にどういう調査の結果であるかということは、厚生労働大臣から、これは数値でございますからお答えをさしていただきたいと、このように思うわけでありますが、これはやはり結婚観の変化ということもあるんだろうと、このように思います。長い間の傾向でございますから、晩婚化が進んでいる。
ですから、その晩婚化が進んでいるという背景においては仕事と家庭、家庭の中には子育てということも入るわけでありまして、家庭を持って子育てという中においてその両立が難しいという中にあって、結婚そのものにちゅうちょを感じている人たちが多い。その方々は、言わば晩婚化あるいは未婚化ということになっていくわけでございます。
そしてまた、先ほど申し上げましたように、未曾有の不景気が続いたということもあるんだろうと、このように思うわけでございます。
○櫻井充君 ここは総理のどういう認識なのか、つまり、総理は様々な問題について、後でまた質問いたしますが、いろいろな会議やそれから委員会等をおつくりになられて、対策を取られようとしております。そうすると、なぜ結婚しないのかということに対しての分析をされないと、まずその未婚の父や未婚の母を増やせということであれば話は別ですが、基本的なお話をすれば、結婚するということがまず先になりますから、結婚する人たちが増えない限り、少子化の問題というのは解決しないんだろうと思うんですね。
ですから、その点でいうと、総理はそこら辺の認識をきちんとされる必要性があるんじゃないのかなと私はそう思います。
そこの中で、一つ興味深いデータがございます。(資料提示)これは、年収の、年収別の配偶者のいる割合です。年収別です。男性と、男性のこれは、男性の場合を示しておりますが、男性の場合は六百万から六百九十万円以上の方は七八・九%結婚されている。これはちょっと済みません、三十歳―三十四歳の方々の数字を申し上げておりますが、ところが、年収が百五十万から百九十九万円の方だと、わずか三四%しか結婚されていないんですね。つまり、ここにも実は所得というのが物すごく大きな影響を及ぼしてきています。所得が低ければ、結婚したいと思っても結婚できないということです。
それから、男性の就労形態別配偶者のいる割合ですが、これは正社員の方々は五九・六%結婚されていますが、非典型雇用の場合は三〇・二%、それからいわゆる周辺フリーターと言われるような方々は、わずかに一六・八%しか結婚していないということなんですね。
ですから、このことから考えてくると、所得格差を是正するということが、まず一つは結婚をしていくということにつながっていくはずですし、結婚観の前に、結婚をしたいとかそういう前に、この給与体系を何とか変えなければ、私は、結婚する人たちはなかなか増えないだろうし、今のままずっと未婚率が増えているわけですから。
そこのところは極めて重要だと思いますけれども、総理としてはいかがお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が先ほど答弁をいたしましたように、一つの原因として九〇年代の未曾有の不況があったと、長く続いた。これもやはり所得の低下にこれは直接結び付いていくわけでありますし、将来への不安感ということもあって、なかなか結婚にちゅうちょを感じる人が多くなったということではないかと、こう思います。その中で、だんだん今景気回復をしておりますし、また初任給も上がってくると。
こういう明るい兆しが出てきた中で十八年の出生を見てみますと、出生数は前年を上回っております。三万二千人上回っておりますし、婚姻数も一万七千八百五十組増えていると、こういうことでございまして、我々この景気回復の波を確かなものにしていきたいと、このように思っているわけでありまして、そしてそれがだんだん家計にも及んでいくように、あるいはまた給与にも及んでくるようにと、こういう方向を目指していきたいと思います。
○櫻井充君 総理、今のデータを見てのちょっと感想をお願いしたいんですけれども、それはどういうことかというと、今私はお見せしたとおり、やはり所得や働き方によって結婚できる人たちに差があるんだと、私はそういうふうに読んでいますが、総理としては今のデータを見てどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、私はそのとおりだろうと。今までのアンケートの中においても、ある程度所得等に不安を感じるというデータが出ております。
○櫻井充君 ありがとうございます。本当にそのとおりだと思うんです。
で、もう一つ問題があります。それは一体何かというと、もう少し具体的に言いますと、先ほど、午前中若干増えたというお話でしたが、雇用形態、雇用者数の推移を見てみると、この青い折れ線グラフが正規雇用でして、赤いのが非正規雇用ですが、正規雇用がどんどん減って非正規雇用が増えてきていると。そしてもう一つ、給料を見てみると、男性の正社員と男性の非正規の社員の給料を比較すると、半分でしかないと。
要するに、雇用形態そのもの自体を改善しない限り、私は今の状況を大きく変えることにはならないんじゃないだろうかと。そこのところを履き違えて、今のところトレンド上少し上がったようなお話をされていますが、大きな流れで言えば、大きな流れで言えばそういう傾向が続いている限りは何ともならないんじゃないのかなというふうに思いますけど、総理はいかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大きな流れでそういう傾向が私は続いてきたというふうに思います。そして、それが大きな流れとして私は変わりつつあるのではないかと、こう思っているところでございまして、言わばこの正規雇用についても四四半期連続で増加に幸い転じたわけでございます。
しかし、ただそれを見ているということだけではなくて、やはり非正規のままでは不安を感じてなかなか結婚できないと、こう思う方が男女とも多いのではないかと思います。ですから、正規に移りたいという方があれば正規に移っていけるように、あるいはまた非正規の中においても正規雇用者と均衡の待遇を目指していく、あるいは厚生年金への加入もパートにおいてもこれは考えていかなければいけないということで、今回労働法制について六本の法律を出しているところでございます。
○櫻井充君 本当にその正規雇用に移りたい人たちが正規雇用になっているのかどうかというのは、極めて大きな問題だと思うんです。
例えば、この間、新聞の広告の欄にメガバンクの一つが窓口業務の女性を募集していたんですが、何と時給千円で募集されておりました。これ、時給千円ということは、年額に直すと年収二百万円でしかないんですね、これ正規に働くと。つまり、そういう形で本来雇い入れられるであろうと思われる多額の利益を出しているメガバンクですらそういう状況にあることから考えると、私は総理の御認識はかなり懸け離れているんではないのかなと、そういうふうに思います。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) しかし、それは個別に見ていけば、いい兆しもあるのも事実でありますし、東京都の衣料品販売会社は、契約社員の六千人のうちを、五千人に正規の社員に転換を図っているところもございます。また、メガバンクの一つ、これは日経新聞でございますが、りそな銀行は、新卒でりそなに入行した後、育児のために退職をした方が、またパートで入職をして、その後正規社員になったという例もあるわけでございまして、そうした例を増やしていかなければならないと考えております。
○櫻井充君 じゃ、そうすると、総理はこれからは上向いていくんだというようなお考えなんだろうとは思いますが、仮に上向いていってもある時点のところまで本当に戻るんだろうかということに対して僕はかなりの疑問を感じております。
そこでお伺いしたい点は、なぜこういう非正規雇用が増えていったと総理はお考えなんでしょうか。
○委員長(尾辻秀久君) 柳澤厚生労働大臣。
○櫻井充君 いや、総理ですよ。専門家じゃない方に答えてもらう必要ないですよ、そこのところは。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今呼ばれましたので。
今正規雇用のことをちょっと総理からもお話しいたしましたけれども、この櫻井委員のあれです、委員の御提出の資料で、平成十四年から十七年にかけて確かに正規雇用というのは非正規雇用とはさみのようになった形で、それはそういうふうにお作りになっているわけですが、だんだん低下してきましたけれども、十八年でほぼ十四年の水準に戻りました。これは、三年掛けて落ちてきたのを三千四百四十三万人くらいに、四半期、十八年の四半期を通じまして増加をした結果、ほぼ十四年のレベルに戻るというような事態になりました、正規雇用が。
したがいまして、やはり今総理が指摘をしたように、これは一つはやはり労働需給の逼迫ということが展望されているということがあると思うんですが、同時にハローワークで、先ほど来総理も、正規を希望するそういう方々にはできるだけ正規になってもらう、常用雇用化を考えるという施策をやってまいりましたけれども、それをハローワークは全国のハローワークの事業所に徹底させる形で真剣な努力をしてくれています。そういうような行政的な努力もあってそうしたことが実現されたというように考えておりまして、したがいまして、我々が考えるべきことは、この傾向を定着させ、更に進化させ進展させていく、強化していく、こういうことが必要だろうというふうに考えております。
○櫻井充君 済みません、じゃ、私最新のデータを持ち合わせておりませんで、どうしてもちょっと古い、我々は役所と違いまして新しいデータがないので、そうだったのかもしれませんが、しかし、非正規雇用はじゃどうなっているんですか。非正規雇用そのもの自体は一体どうなんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 非正規雇用も増えているという状況です。ただ、最近、ごく最近になりまして、正規雇用の増加の方が非正規雇用の増加を上回るような、そういう状況になっていると、こういうことでございます。
○櫻井充君 しかし、要するに非正規雇用そのもの自体も増えているわけでしょう。増えているわけですよね。そうすると、労働者の割合でいえば、昔の、昔の正規と非正規の割合よりは非正規雇用の割合の方が高いという、その認識は間違ってないですね。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 委員御指摘のとおりです。しかし、この非正規の中にある派遣労働者などの意識調査によりますと、これを選択されてそういう形態の労働に従事しているという方もいらっしゃいまして、実は、できるだけ早い時期に正社員として働きたいという人が三〇%近く、二七%いらっしゃるのに対して、今後も派遣労働者として働きたいと希望する者も、ほぼ同じパーセンテージの人たちがこの意思を表明しておりまして、この問題というのはやっぱり労働形態の多様化をやはりそういう方々が歓迎しているというか、そういうことを受け入れていると、こういうこともあります。
ですから、問題は、そういう正規以外の形態の労働を選択した場合にも、所得の面においてもう余り大した格差というか、大きな格差を生じないようにしていく、均衡の取れた待遇を確保していくということに努力をすべきだろうと、このように考えて、今我々はその方向での行政を心掛けている次第でございます。
○櫻井充君 しかし、それは本当にそうなのかどうか。つまり、あきらめている方々も随分いらっしゃって、今そこの部分、そういう形でないと自分たちは就職ができないからと思っている方もかなりいらっしゃるんじゃないでしょうか。
内閣府の調査によると、その非正規雇用の方々の悩みというのを調べたものを私は見せていただきましたが、たしか七割弱ぐらいの方が雇用に対しての不安感を抱いていると。ここは正規雇用の方々と決定的に違っていることであって、私はどうも、これはお互いのデータの見方が、見ているデータが違うのかもしれませんが、私は必ずしも大臣がおっしゃっているようなこととは違うんじゃないかというふうに思っているんです。
いずれにしても、非正規雇用がじゃなぜ増えてきたのかということが僕は一番大きな問題だと思っているんですよ。要するに、社会の問題でいうと、今の不安定な社会を生んでいることそのもの自体は、雇用の安定化、それから若しくは収入といった方がいいんでしょうか、収入が不安定であることそのもの自体が一番大きな不安なんではないのかなと、そう感じています。
そこの中で労働法制を調べてみると、あるところから要するに派遣労働者法が変わっていくわけですよね。いわゆるネガティブリストといって、そうですね、ポジティブ、あれネガティブ、済みません。ちょっと、最初は、ちょっとごめんなさい。最初はこれだけしか、ポジティブリストから、ごめんなさい、ポジティブリストからネガティブリストに変わっていった。要するに、これしか派遣は認めないという中から、今度は逆に、これだけは駄目であとは全部派遣で認めますよと、そういうような改正を九九年に行って、二〇〇三年に更に職種を狭めていった結果、私は、私は非正規雇用が増えていったんではないのかなと感じておりますが、その点についてはいかがでしょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 非正規雇用の増加というのは、実は労働法制の変化あるいは改正というものと、その以前から実はそういった傾向が表れていたということでございます。
そして、確かに、今、櫻井委員が言われる、指摘されるように、私どもの労働派遣法あるいは職業安定法におきまして規制の緩和が進んできたことも確かでございますけれども、これ目盛りによってグラフも変わるかもしれませんが、基本的になだらかに非正規雇用というものが増加してきていると、こういうことがございまして、この派遣法あるいは職業安定法の改正によって大きくその増勢の角度が変わるというような、そういう姿には認識されないということでございます。
もちろん、これは先ほど来総理が言われているように、長い間の日本経済の低迷、こういうものが背景にある中で、国際競争、ボーダーレスの経済社会が、国際経済が実現された中で日本企業が生き残りを懸けていろんな選択をしてきたということを全く否定するつもりもありませんけれども、客観的なグラフ等から読み取れるところは今申したような状況にあるということでございます。
○櫻井充君 大臣、先ほど、ちょっと今の問題から前に戻って、非正規雇用の人たちの数の方の増加よりも正規雇用者の方が増えているというお話でした。
最新のデータを今同僚議員からいただきましたが、実は、平成十八年度は、やはり同じように、いまだに、十八年度に限って、十八年に限ってみれば非正規雇用の方の方の増加の方が多いというデータのようですよ。今そういうふうにおっしゃったじゃないですか。でも、実際のところはそうじゃないですよ。
これ、総務省の統計局の中の調査を今同僚議員が持ってきてくださいましたが、これは大臣の認識全然違うんじゃないんですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) お答え申し上げます。
私が申し上げましたのは、つい最近の十―十二月の数字でございまして、十―十二月期におきましては、前年同期差でございますけれども、平成十八年十―十二月期、正規雇用者が五十九万人増えたのに対して、非正規雇用者は二十二万人の増加にとどまったと、こういうことで、第四・四半期に関する限り、今申したような状況にあるということを先ほどちょっと触れさせていただいたということです。
○櫻井充君 ずるいですね。だって、十八年って先ほどおっしゃったじゃないですか。十八年、一年間でいったらそれは増えていません。非正規雇用の方が増えていますよ、十八年だったら。大臣がおっしゃったのは十八年のわずか一部の期間であって、一部の期間だけたまたまそうかもしれないものを、さも十八年にそうなっているようにおっしゃることそのもの自体おかしいんじゃないですか。ここのところは言っておきますけどね、いや、もう結構ですよ、それはずるいと思いますね。
なぜかという、なぜ、なぜかというと、ここから大事なことに入りますが、なぜ私は、また対日要望書かと言われるかもしれませんが、九六年に日本における規制緩和、行政改革及び競争政策に関する日本政府に対する米国政府の要望書というのが九六年に出てまいりまして、そこの中に雇用政策があって、日本の労働市場は全般的に労働力コストを高くし、労働者の移動を妨げるある種の特徴を持っているからこれを何とかしろと、それからネガティブリストとすべきであるとか、そういうような要求が実は九六年にアメリカから突き付けられております。
それに対して、平成十年の四月の三日ですね、九八年外国貿易障壁報告書への日本政府のコメントとして、労働者派遣事業についても、対象事業の範囲のネガティブリスト化、派遣期間、労働者保護のための措置等制度の全般的な見直しについて今期通常国会に改正法案を提出し、その施行時に実施に移すことになっていると、こういってアメリカに報告しているんですね。つまり、こういう労働のことに関しても、実はアメリカからの要望を受け入れて変えてきているという実態があるんじゃないでしょうか。
こういうことを言うとまた違うというふうに言われますので、ついでに申し上げておきますが、規制改革要望の中で、規制改革要望、平成十六年の十一月の要望の中で、一番は日本経済団体連合会ですが、二番目は何と外国政府のアメリカが二番目になってきておると。つまり、そういうようなところで要望を受け入れて、結果的には日本の労働者が苦労するようなことになっているんじゃないんでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 突然の御指摘ですので、私は、今委員が仰せられたことについてここで確認をするというその用意がございません。その点は申し訳ないんですけれども。
私は、規制改革あるいは行政改革にも、党におりましたころ、よくこれに携わったことがありますけれども、当時、自民党の中の行政改革あるいは規制改革に携わった人たちの中には、やっぱり日本の労働法制がもう余りにも硬直的だと、これもう役所の中で最も硬直的な分野ではないかというようなことを私ども話し合っておりまして、やっぱり私どもは主体的にもこのことをやっぱり何とか打開をして、もちろん労働者の権利あるいは生活の保護ということにはこれはもう十分な配慮を払いつつでありますけれども、やはりそうした規制改革を進めていく必要があるということを議論し合っておりました。その中に、今委員の指摘したようなことがわずかでもあったかといえば、私が記憶する限りは、もうほとんど全くなかったということを申し上げたいと思います。
○櫻井充君 対日要望書の話になると大体トーンダウンされるんですね、これは。ですから、別な観点からもう一度、じゃ、規制改革会議のことについてお伺いした後でもう一度この点について戻っていきたいと思いますが、規制改革会議というのは本来は何をする目的でつくられた会議なんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 規制改革会議は、内閣総理大臣の諮問に応じまして、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方、国や地方の事務事業を民間に開放することなどを含めておりますけれども、そうした基本的事項を総合的に調査審議するというのが内閣府本府組織令に書いてございます。
○櫻井充君 渡辺大臣から御答弁いただいたとおり、法律にはそのように定められております。
そこの中で、今年の二月の十三日に規制改革会議から「教育委員会制度の抜本的見直しに関する規制改革会議の見解」というのが出されております。教育委員会制度の抜本的見直しというのは、これは経済に関することなんでしょうか。
この点について、まず、教育の問題について安倍総理にまずお伺いしておきたいのは、総理は教育のことが最重要点課題の一つだとおっしゃって、幾つかの会議を作られました。総理は、本来の教育の問題はどこで議論されるべきだと思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の内閣においては、教育再生が最重要課題の一つでございます。その中におきまして教育再生会議を立ち上げ、そこで議論をしています。もちろん、法律にのっとって中教審があるわけでございますが、当然、この主たる議論の場は教育再生会議であり中教審であると、このように私も認識をしております。
その中において、この規制改革会議が、経済的な規制だけではなくて教育や医療等の分野の社会的規制についても、それらが国民生活や産業活動に及ぼす影響等の観点から調査審議を進めてきたということでありまして、その一環として教育委員会について会議で議論がなされたということではないかと思います。
○櫻井充君 そんなことを言ったら全部規制改革会議の要求事項になるんじゃないですか。教育委員会制度まで、これが経済のことに関係するというふうに本当に言えるんでしょうか。
文部科学大臣にお伺いいたしますが、この規制改革会議の見解というのは、文部科学省からしてみれば余計なお世話さまじゃないんでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど総理が答弁を申し上げましたように、再生会議でもいろいろな御意見があります。規制改革会議が何かいろいろおっしゃることも、それは、経済に最終的にかかわってくる分野について御発言があることは、それは私は別に否定はいたしません。中教審は、法律に基づいて教育の制度その他について審議をする場でございます。
最終的な判断は国会にゆだねるわけでございますから、どういう最終的な法律の仕組みを出すかは、法律の提出権がある、憲法上は議会とそれから内閣と、二つしかないわけでございますから、内閣が出す場合は、内閣、つまり実質的には安倍総理の決断において出すわけでして、いろいろな御意見はあくまで参考として重視させていただくということです。
○櫻井充君 本当は、越権行為だという御答弁をいただくことを期待しておりましたが、そういうふうにいただけないのであれば。
実は、規制改革会議というのは、所掌事務を遂行するため必要があったときは、結局、ごめんなさい、所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の陳述、説明その他必要な協力を求めることができるというふうに法律上定められておりまして、実は、ちょっと正確な日付は忘れましたけれども、先日、規制改革会議の方から文部科学省に対しての説明を求めたはずですが、文部科学省はこれをお断りになっておられます。
今日の夕方、実はまた規制改革会議から文部科学省の方に要求が来ておりまして、意見陳述をしろというような要求が来ているはずなんです。これはオープンにされていることでございます。ホームページで確認いたしました。なぜそのときに出られなかったんでしょうか。そして、今日は出ていかれるおつもりなんでしょうか。
私は、私の結論から申し上げておきますが、規制改革会議そのもの自体は経済のことであって、こういうことに関して僕は口出しすべきじゃないと思っているんですよ。ですから、私は、大臣から越権行為だ、余計なお世話さまだと言っていただきたいんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 経済に関することが私の所掌していることに全くないというわけではありませんので、立派な人材を育成しなければ将来の経済成長の糧になるイノベーションを担当する人もできないわけです。
ただ、いろいろお聞きになりたいことがある場合は、私が申し上げたのは、やはり私が所管している文部科学省についてお聞きになりたい場合は、私に正式の文書をお出しになるべきだということを申し上げたんです。
○櫻井充君 分かりました。
それではもう一点、別な観点からお伺いしたいんですが、この二月の十三日に規制改革会議が見解を出されました。見解を出されるからには、会議が開かれているのが普通だと思います。ところが、規制改革会議のホームページを見ましたが、会議が開かれた形跡がございません。この会議は、この見解を出すための会議は開かれたんでしょうか、開かれていないんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 二月十五日の見解のことでしょうか。
○櫻井充君 十三日です。
○国務大臣(渡辺喜美君) 十三日。
十五日に見解を表明しているはずでございますが、このときは会議を開いているいとまがございませんでした。私の聞いているところでは、メールや電話のやり取りによって、言わば持ち回りのような形で最終的な合意を行ったと聞いております。
○櫻井充君 持ち回りで会議ができるということは、どこに明文化されているんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) その持ち回りというのはちょっと言葉として適当ではないかもしれませんけれども、いずれにしても、今の時代、全員集まって、一か所に集まって、それで会議を開かないと合意ができないんだという時代ではないと思うんですね。これは、もうまさしくいろんなコミュニケーション手段がたくさんある中で、きちんとコミュニケーションを行った上で合意を行ったわけでございますから、これは何ら問題がないと考えております。
○櫻井充君 それでは、委員長、お願いがございます。そのメールのやり取りの一切を情報公開していただきたい、この予算委員会に提出していただきたいと思います。委員長にお願いします。資料請求です。
○委員長(尾辻秀久君) 後刻理事会で協議をいたします。
○櫻井充君 持ち回りのこの議事は、議事ということにしておきましょうか、これは正式な議事ですか。もう一度お伺いします。位置付けは正式な位置付けですか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 規制改革会議の方針の決定というのは、御指摘のように合議で行われます。
この教育委員会に関する件は、実は初めて行ったものではないんですね。私が大臣に着任するはるか以前から、見てきたような口利いて済みませんけれども、もう何年も前からこれやっているんですね。したがって、その延長線において、教育再生会議の結論を待って議論を再開をしたと、こういうことでございますから、突然降ってわいた話ではないということであります。
○櫻井充君 それでは、もうちょっと詳しくお伺いしたいと思いますが、教育再生会議の一次報告に対して、規制改革会議の見解が出されております。この見解を出すために規制改革会議は何らかの会合を持たれておりますか。もう一度申し上げますが、再生会議の一次報告に対しての報告を出すために、何らかのメンバーが当然議論しなければ私はこういうものが出てこないと思いますが、それについての議論はなされているんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 規制改革会議のメンバーが常に会うときには公式なものでなければいけないというわけでもなかろうと思います。すなわち、これは勉強会という形でやることだってあるんですね。この新しい規制改革会議のメンバーというのは、これも私が大臣になる前に決まったメンバーでございますけれども、勉強会という形でワーキンググループを開催することはございます。
○櫻井充君 勉強会ということですから、これは非公式的な会だということでよろしいですね。
○国務大臣(渡辺喜美君) そのとおりでございます。
○櫻井充君 非公式な会合を開いて検討したものが、規制改革のその名前を使って見解を発表されるということそのものがおかしくないですか。しかも、この規制改革会議のトップは、たしか大臣がトップでいらっしゃるんでしょうか。そうなってくると、これは大臣の、ここの規制改革会議のメンバーの中に、たしか会議の構成の中の委員名簿の中に担当特命大臣と入っておりますから、そうすると、これは大臣の決裁の下これは出されているんですね。
もう一度、二点あります、二点ありますが、これは、非公式なものの会合の中でただ単純に出されることに対しての異論はないのかどうか、大臣はそこの中のメンバーで決裁をされているのかどうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) その非公式な勉強会というのは一月の二十六日に開かれたと聞いております。また、先ほど御指摘の教育委員会についての提言は二月の十五日に出されております。したがって、一月の二十六日の非公式の場で決定されたものとは承知いたしておりません。二月十五日の見解発表に当たりましては、私がその最終的な文案のチェックを行っております。
○櫻井充君 こういう非公式な会合の場合には謝金等は出ているんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 非公式な勉強会では謝金は出しておりません。
○櫻井充君 それでは、このときの、では一月二十六日のときに非公式で行われた会合の議事録はありますか。若しくはメモのようなものはあるんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 議事録はないと聞いております。
○櫻井充君 メモは。
○国務大臣(渡辺喜美君) メモは、よく分かりませんが、何か出回っている話を聞いたことがございます。
○櫻井充君 メモは出回っているということは、メモはあるということなんでしょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 正式なものではなくて、事務連絡のようなものだと聞いております。
○櫻井充君 行政組織においてこういう所見を出す際に、極めて大事な所見なんです、これは。安倍内閣の中での最重要課題である教育制度に対して、規制改革会議という法律で定められている会議が正式な見解のその公式文書を出すわけですよ。その公式文書を出す際に、非公式な勉強会をちょっと開いただけでこのようなことをやるということは、行政手続上問題があるんじゃないんですか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 新しい会議のメンバーが決まりまして、そのメンバーが公式ではないが非公式に勉強会をやろうということで集まったわけですね。で、そこで何か最終的な合意形成が行われたということではございません。したがって、そういう勉強会を重ねて、それぞれの意見を言い合いながら、規制改革会議として従来から議論をしてきたその延長線で新たな提案をするということはあってよろしいのではないでしょうか。
○櫻井充君 そういうことをやっていると、やる気のある官僚は本当にもう嫌になってしまうんじゃないですか。つまり、行政側からすれば、責任を負ってやって、まともにきちんと手順を踏んでやっていこうと思っている中で、そこの部分を、僕は、渡辺大臣がそういう形で答弁されるとは正直思っていなかったんですよ。つまり、そういうことを僕は正していかれる方だと思っておりました。
もう一点申し上げますと、今回の規制改革会議のメンバー選びも相当いい加減だったと思うんですよ。それはなぜかというと、政省令の改正とメンバーを選ぶのとどちらが先だったですか。
○国務大臣(渡辺喜美君) これも私が大臣になる前の話でございますので、見てきたような話で恐縮でございますけれども、公表は、予定者の発表を行いましたのが昨年十二月の二十七日、内閣府より公表を行っております。規制改革会議の政令案につきましては、一月の二十三日に閣議決定をいたしております。
いずれにしても、これも総理から新たな会議を設置するようにという御指示がありまして、そのため、早急に体制を整えるためにあらかじめ予定者の公表をしたと聞いております。
○櫻井充君 それは、言い訳は幾らでもできると思うんですが、本来であれば、どういう目的の会にするから、だからどういう人を選びましょうという形にするのが筋だと思うんですよ。
そうすると、これは閣議決定されたのが、規制改革会議令については、閣議決定は一月の二十三日、そして公布、施行が一月の二十六日ですよ。しかし、委員の任命は、昨年の、前年の十二月の二十七日に公表されているんですよ。手続が全く逆です。こんないい加減なことだけやられております。
そして、任命されたのが一月三十一日であるにもかかわらず、非公式的な会合とは言いながらも、今大臣は、一月の二十六日にもう会合を行っていると。そして、そのことが、実は規制改革会議のこの間の、二月の、僕の資料は日付は二月の十三になっておりますが、二月の十五日の公式発表になったと。つまり、委員にまだ正式に任命されていない時点で非公式の勉強会をやったものそのもの自体がたたき台となって、そして規制改革会議の見解として出されることそのもの自体、私はおかしいと思っています。
渡辺大臣の名誉のためにもう一言だけ申し上げておきましょう。
メモらしきものは出回っておるらしいのですが、これは定かではありません。これが本物かどうか分かりません。あのときと、いろいろ言われると困るので。
ただし、私はそのメモらしきものの内容を読ませていただくと、議長は何と、会長は何と言っておられるかというと、我々がその見解を出したときに総理との見解相違があるとたたかれる可能性もあるので、渡辺大臣との会合を持ち、意見を合わせる必要があると。大臣に意見を言わせた上で、それをサポートする形がよいのではないかと、ここまでばかにされております。
まだあります。別な委員からは、大臣との意見調整が利けば流れを変えてくれる可能性もある、まとめた見解を大臣経由で総理に訴えて、山谷補佐官に指示させる流れがよいのではないかと、ここまで言っていますよ。
こういうことを、こんな、何ていうんでしょうか、越権行為のところで、しかも非公式的な会合を開いて、そしてこういう形でゆがめていこうとしていることこそ私は問題があるんじゃないかと、こういうことこそを正すのが、私は渡辺大臣だからこそできると思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(渡辺喜美君) そのメモに何と書いてあるかは見ておりませんので分かりませんけれども、規制改革会議というのは伝統的に非常に自由な論議を行って提言を出してきたものと承知をいたしております。この規制改革会議の提言が最終決定ではないんですね。最終決定はあくまで政府が行う、内閣が行う、あるいは場合によっては担当大臣が行う。そして、法令、法律改正が必要だったら、これは国会で御審議をいただいて、国会が最終的に決める。きちんと民主的コントロールが利いているわけでありますから、何ら問題はないと考えております。
○櫻井充君 まあ渡辺大臣、利用されないようにしていただきたいなと、そう思います。
要するに大臣が、大臣というのは極めて役割大事、当たり前ですが大事でして、要するに行政をコントロールするのか、行政からコントロールされてしまうのかというところがありますから、是非行政側をコントロールしていただければ有り難いと、そう思います。
じゃ、規制改革会議の中で、僕は前々から、これまで議長を務められた方が利害の抵触に当たるんではないかということをさんざん指摘してまいりました。これに対して、政府は利害の抵触に当たらないというふうになっておりましたが、それでは、議長を務めていた企業から、その企業から規制改革の要望が上がったことはありますか。
○国務大臣(渡辺喜美君) これも私が大臣になる前の話でございますが、当時議長をされておられた方の会社からの要望が上がったということは聞いております。
○櫻井充君 聞いております、はい。
実は、その企業から二百弱の要望が上がっております。
いいでしょうか、要するに、先ほど総理は不公平なやり方で、不公正なやり方で格差が拡大するようであれば問題だというお話がございました。規制改革会議の議長をある民間の会社の方が約十年近く務められました。その方の企業が規制改革の要望を上げてまいりました。まともな議論ができるんでしょうか。
一例、挙げておきましょう。
タクシーの規制緩和の話が随分出ておりますが、その企業はタクシーのレンタル、リースを行っております。タクシーの台数が増えれば多額の利益を上げることができます。
もう一つ、タクシーのメーターやそれからタクシーの前にありますパネルを作っておるメーカーがありますが、この方も実は規制改革会議のメンバーです。つまり、タクシーの台数が増えればこの人たちは多額の利益を上げることができます。
一方で、運転手さんはどうでしょうか。仙台のタクシーのドライバーの方々は、これしゃれでも何でもなくて、タクシーの規制緩和で約千台近く増えたんですよ。そこで給料は、手取りで三十万ぐらいだった方々が今十五万から稼ぐ方で無理して二十万ぐらいですよ。
つまり、規制改革会議というのは自分たちの企業の利益を上げるために使っているだけと言われても私は仕方がないんじゃないか。しかも、その会社の方は多分、リース事業をやられていて、実は現在もそこの会社の副会長の方がそのリース事業協会の副会長、副社長かな、ごめんなさい、現の副会長が今の会社の社長さんがやられている、まあ要するに関係者がここの中にいるわけです。
そうすると、実は会社本体からもこの年に四十件、これは平成十六年の六月の要望ですが、民間企業から四十件あっただけではなくて、このリース事業協会からも実は五十七件あると。このことを考えると百件近いものが出ているんです。その会社単体だけじゃないんですよ。
そうやって自分のところの企業が利益を出すための、こういう形で改革をしてくれといって出しておいて、その社長が議長で議論をしていった。そしてこの企業はめちゃくちゃ大きくなっています。これを利害の抵触と言わずして何なんでしょうか。こんなの反則ですよ。──ちょっと待ってください。総理、先ほど総理は、総理は不公正なやり方で格差が拡大するんなら問題だとおっしゃっていました。まさしく問題なことがここで起こっているとはお思いになりませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今度は新しくメンバーが替わりましたが、以前のメンバーも今回のメンバーも、それぞれ個人としての見識に着目をして委員をお願いをしていると、このように承知をしております。
また、委員長が独断でこれは規制緩和していくということは決められないという仕組みになっていると思います。言わばこの委員の中で議論をしていく中において合議で決めていくということではないかと、このように思うわけでございまして、その時々の判断として正しい規制改革を進めてこられたと、このように思います。
また、委員を任命する際にも、言わば規制改革という観点から改革に取り組んでもらいたいと、そういう見識が豊かであるという観点から指名がなされたと、このように承知をいたしております。
○櫻井充君 私はそういうことをお伺いしておりません。これは利害の抵触に当たるんじゃないかということを申し上げているんです。利害の抵触というのは、自分たちの立場を利用して自分たちの企業に対して利益をもたらすような形にしていると。
これこそ実は、皆さんがよく何かがあるとアメリカがとかグローバル化がと言いますが、アメリカでこんなことが起こったら、もうこの人、犯罪者で捕まってますよ。日本はなぜそういうことがずっと許されるんでしょうか。
もう一度お伺いします。私は利害の抵触に当たると思いますが、総理はいかがですか。──駄目、駄目だ、総理だよ。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 後ほど担当大臣からもお答えをいたしますが、この規制改革については、言わば会社の代表ということで選んでいるのではなくて、言わばその個人の見識に着目をしてお願いをしているということでございます。その中で規制緩和について議論がなされてきたわけであって、言わば自分のための利益誘導を図った結果ではないと、このように理解をいたしております。
○櫻井充君 疑いを掛けるような方がずっとトップにいらっしゃることは一体どうでしょうか。ましてや、それだけの見識のある方であれば、自社の名前、そして自分の関連している業界団体からそういうものが出た場合には、自分が議長を降りて出すというのが私は筋だと思いますよ。
私は、ですから、そこがおかしいと。規制改革会議というのは、まるで規制緩和をすれば全部の人たちが潤うようなことだけずっと言われ続けていますが、私が調べている範囲でいうと、この会議に参加できる人たちだけが利益を得て、そうでない人たちに対して恩恵というのはない、むしろマイナスになっているんではないのかなと、そう考えます。
総理として、もう一度お伺いしますが、今のようなやり方を私はすべきでない、少なくとも、少なくても自分の関係しているようなものに関しては上げられないとか、そういう一定の歯止めを掛ける必要性があるんじゃないかと思いますけれども、総理として、渡辺担当大臣は昔のことだというふうにおっしゃって、自分のことでないとおっしゃられますから、是非総理の言葉、総理、総理はここの委員長の任命権者ですから、議長の任命権者ですから、総理はどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 見識を持った経済界の方にお願いをする場合は、しかし、その分野において、その業界の分野において全く規制緩和についてお願いがないということは、むしろ私は今の世の中では少ないのではないかと、このように思います。
しかし、そこは我田引水になってはならない、そういう見識を持たなければならないわけでありますが、しかしそのことはやはり常に委員の方々も自問自答されながら、そうならないように、そうは誤解されないような行動を取っていただかなければならないと思うのは当然のことでございますが、しかし、規制緩和について言えば、これは経済を成長させていく上においては、活性化を図っていく、また生産性を図っていく上においては大きな私はエンジンの一つであろうと、このように思うわけでありまして、この規制緩和、規制改革を行ってきたことは私は間違っていなかった、その結果が今のこの景気の回復にあると、これは確信をいたしておるところでございます。
○櫻井充君 答弁に僕はなってないと思っていますけれども。
もう一つ、ある企業の方が、これは株式会社の学校参入に対して不適当であると持論を変えなかったら、このメンバーを外されているんですよね。まあこの方はそうおっしゃっています。ですから、そういうことを考えると、本当に、本当にきちんとした形で議論されているのかどうかというのは極めて危ういんではないかと。
そしてもう一つ、総理、やはり私は、総理に任命権があるんだとすれば、やはり利害の抵触に当たるような人は基本的に外すとか、若しくはその案件そのもの自体は一時保留にするとか、若しくは議長を選ばれるんであればそういうことと全く関係のない方を選ばれるようにしないと、これは皆さんから見ればおかしいんじゃないかなと。これは庶民から見れば絶対におかしいと思いますよ。
総理は本当におかしいと思っていないんですか。──いや、いいですよ。総理の認識だ、総理の認識。総理。こんなの時間の無駄だって。おかしいよ、おかしいよ。過去のことってまた言われるんでしょう、どうせ。
○国務大臣(渡辺喜美君) これは規制改革というのは一体だれのためにやるのかと、それは国民のためにやるんですよ。規制改革が一部業界のためとか、そんなことで行われるわけじゃないんです。したがって、委員の方々はそれだけ高い公共心をお持ちのはずなんです。これだけ、これだけ国会で批判を受けて、自分の会社のために、自分の業界のために提案をするような、そんな委員は今はいませんよ。(発言する者あり)前の、先ほど、先ほど御指摘の委員の方、お二人とも今は委員ではございません、ついでながら。
○櫻井充君 この方がここの特命担当大臣なのかと思うと、正直言ってがっかりしますね。
今、いいですか、私はちゃんと具体的に例挙げているじゃないですか。こういうような形で自分ところの利益が上がるようなことをしているじゃないですかということを申し上げているはずですよ。何聞いているんですか。だから、皆さんからそういう疑いを、国民のための規制緩和が進んで、それで経済が良くなったらいいんですよ。
何回も申し上げておきますけど、規制緩和でじゃどうなったんですか。非正規雇用が増えていっているんでしょう。給料どんどん減っているんでしょう。そして、そのために結婚もできない人たちが山のように出ているんでしょう。
じゃ、もう一つ例挙げておきましょうか。(資料提示)こうやって、大学の進学だって決められてくるんですよ。
年収四百万以下の人見てください。親が望んでいる、子供に対しては大学に行ってくれというのは四〇%ぐらいですよ、せいぜい。ところが、一千万を超えている人たちは、大学や大学院に行ってくれというのは九〇%もある。まさしくこれは所得によって行き先が違って、今の悲しいかな学歴社会の中でいったら、もう格差は固定しているも同然じゃないですか。
つまり、こういうことそのもの自体がずうっと行われていったら、この国は一体どうなるんでしょうか。問題があるから私はさんざん指摘して言っているわけですよ。残念ながら、渡辺大臣にもそれから安倍総理にもこういうことをお話ししてもなかなか理解していただけないんだなあということだけ分かりました。
それでは、もう一つ大事な視点でお伺いしておきますが、引きこもりということも実は今の中で極めて大きな問題になってきています。その引きこもり対策というのは一体国はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) まず、学校のことについて申し上げますが、いわゆる不登校という人たちは、本人に原因のある人が約四割おられます。友人関係、これはいじめその他、これも大体四割おられます。親子関係をめぐる問題など家庭に原因がある人が約二割ということでございます。
もう時間がございませんのでるる申し上げませんが、スクールカウンセラーその他学校の先生が一番私は苦労していると思いますけれども、このような子供を学校へ登校させるために、いい学校環境をつくる、そのために地域社会、御家族等と協力をしながらやっているというのが現状です。
先生がおっしゃった引きこもりというのは、このうちの、もちろん会社へ行かずに引きこもりという方もおられますが、一定割合でございますけれども、それがどの程度の割合であるかというのは、残念ながらその原因を特定はいたしておりません。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いわゆる引きこもりでございますけれども、これは厚生労働省の見解としては、単一の疾患や障害の概念ではないということで、言わば就学、就労などの自宅以外での生活の場が失われている一つの社会的な状態を示すものと考えておりまして、様々な要因が複雑に絡み合って発生してきていると、このように思っております。
対策ですけれども、各都道府県等の精神保健福祉センターや保健所におきまして相談を受けておりまして、また援助の方法等を盛り込んだガイドラインを都道府県や指定都市等に配布するなど、相談活動の充実に努めているところでございます。
また、専門家の養成を図らなければならないということで研修会を実施しておりますし、また、児童福祉に理解と熱意を有する大学生等を児童福祉司等の助言、指導の下で家庭に派遣する等、言わばメンタルフレンド事業とか、あるいは保護者を支援するための学習会、交流会などを実施する、そういう事業を支援をしているところでございます。
○櫻井充君 僕は、今まだ月二回ほど医者として診療しております。不登校と引きこもりと拒食症の患者さんを診ておりますが、共通していることは、家族の関係が皆さん、申し訳ないけど悪い。ただし、家族の関係が悪いから皆さん不登校や引きこもりになるわけではありませんが、私が診ている範囲で言うと、例外なく家族関係に問題はあります。
それから、本人に自信がない。それは自分自身が認められた経験がないからです。そして、こうあるべきだということを極めて、親御さん、親の方がかなりきちんと教育されている方が多くて、こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないということを言われてきている子供さんたちが多くて、そのために、自分はここまでやらなきゃいけないんだと、それを相当高いハードルをもって臨んできてしまっていることと、それから、親にいい子であらねばならぬという部分が強くて、周りの目を気にしていると。ですから、自分に自信がなく、こうあらねばならぬというところが強くて、周りから評価してもらいたいと、そういうように考えている人たちがかなり一杯いて、その部分を解決していかないとなかなか良くなってまいりません。
ところが、今回の国の政策を見てみると、そこの部分が本当に解決できるのかどうかというのがかなり僕は危ないと思っているんです。例えば、そのスクールカウンセラーの方というのは、それは確かに制度上はそうかもしれないけれど、その人たちの間にいい方もいらっしゃれば残念ながらそうでない方もいらっしゃる。しかも、学校に置かれる期間が短期間である。ましてや、引きこもりの場合にはなかなかそういう方々と接触することができないから、親のカウンセリングをずっとやっていかなきゃいけないわけですが、そこの中での方向性が残念ながら僕は違っているがゆえにむしろ悪化していっている人たち、こじれていっている人たちがかなり多くいらっしゃるということです。
もう一点申し上げたいのは、その子たちはかなり能力の高い子たちでして、私のところも実はその摂食障害の方二人、秘書として雇い入れましたが、物すごく優秀で、二年ほどたって精神的に立ち直って、一人は今度市議会議員選挙に立候補する予定にしておりますし、もう一人は今一部上場企業で働いております。ですから、そういう点から見てくると、この資源のない日本にとってすごく大事な人材だと思っているんですね。
そこのところで一つお願いがあるんですが、不登校の場合に、今学校の先生が相当責められているところがある。今の教育再生会議やいろんなところの場面で見てくると、教師の厳格化なんとかだと、厳しくしろとか、いじめた場合にはもう場所を移せとか、そんな話ばかりされていて、それでは僕はその病んだ、心の病んだ子供たちそのもの自体が決して良くならないと思うんですよね。ですから、そういう点から考えると、もう少し学校の先生方もどういうふうにして当たっていったらいいのかということをきちんと学ぶべきだと思っているんです。
私は仙台で、今度教育委員会の皆さんと協力して、学校関係者、行政、それから医療スタッフのところでもっときちんとした方向性を持った形で不登校対策に当たりたいと思っておりますし、地元の引きこもりの施設の方々とも連携して、そこのところ、施設は実は国から今までずっと補助金が出ていたんですが、障害者自立支援法の関係で支援が打ち切られるかもしれないと。ここまで二百人近い引きこもりの子供さんたちを引き受けて就労まで何とか頑張ってこられているところも、国の制度によって駄目になるかもしれない。私のところに相談に来られて、何とか臨床心理士の方を、それから理解のあるお医者さんをと言われて、私は今度そこで協力させていただくことにしているんですけどね。ですが、そういううまくいっているところも、国の勝手な改正によって実は補助金カットされるかもしれないような状況なんですよ。
ですから、もう少しソフトの面で、ハードの面で何をします、かにをしますではなくて、ソフトの面でもう少しきちんとした方向性なりなんなりを打ち出していかないと良くならないんじゃないのかなと、そう感じております。
総理、いかがでございましょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 教育再生会議の中にも、発達障害や、またADHD等々の方々に対してずっと専門的に接していた方も入っていて、その観点からも意見を述べていただいているわけであって、これは先生たちに対して厳しいことを議論しているわけではなくて、そういう子供たちに対してどう対応していくかということについても真剣な議論が再生会議ではなされているということも申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。
また、障害者自立支援法との関連についてお話がございましたが、個々個別について言えば、それはどうなっているかということは個別の事情を見ながら我々も対応していかなければいけないと、こう考えているわけでありますが、障害者自立支援法を導入をした結果、利用した方の率は一一%増えているわけでございますし、また今回の補正予算、また本予算において千三百億円の処置をとっているわけでございます。
いずれにいたしましても、先ほど委員が御指摘になった不登校の子供たちがだんだん増えているのも事実でございますし、その不登校の方々にはそれぞれ、子供たちにはいろんな理由があって、成績が優秀な方もいるというのも、私もそれは事実だろうと、このように思います。そういう中にあって、先生のみにこれは責任を押し付けるだけではなくて、言わば社会全体がそうした子供、お子さんたちに対して対応していくという仕組みをつくっていかなければいけないと、このように考えております。
○櫻井充君 ありがとうございます。
伊吹大臣にも改めてお伺いしたいと思いますが、学校の先生とも話をしてみると、やっぱり正直言ってどうやっていいのか分からないと。それから、家族にも問題があるなと思っても、どこまで学校の先生が家族の関係の中に介入していっていいのかも分からないと。一方で、今度はそういう問題が起こると、全部学校側の責任になって学校の先生が怒られてしまうので、あとは、事なかれ主義と言ったら怒られるかもしれないけど、触らず何とかこのまんま穏便にみたいなところもあって、積極的に関与できていかないというところもあるんだろうと思うんですね。
今回の制度改正の中で、今申し上げましたが、やはり厳しいことだけ言っていったんでは学校の先生は萎縮していくんだろうと、やっぱりそう思いますので、もう少し夢を持って自分たちが教育に当たっていけるような、そういう体制をつくっていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(伊吹文明君) まず、個別の政策について申し上げれば、問題を抱える子供などの自立支援事業というのを予算計上いたしまして、約十三億円の予算を確保し、これで各学校現場でそのような問題を把握していただきたいと考えておりますが、もっと大きな視点でいえば、先生がお二人の、まあ患者さんという言葉は適当じゃないかも分かりませんが、お預かりになって見事に社会復帰の道を開かれたのは、正に先生がそれだけの能力とそして背景を持っておられたからだと思うんです。
学校現場でそのことをやはり担っていただかなければならないのは教師なんですね。従来からいうと、三世代の家族があり、そして地域社会が充実しておりましたけれども、今それらが実質的に崩壊をしたり縮小したりして、家族で教育をしていた、あるいは地域社会で子供をしつけていたというのがすべて学校の先生に私は懸かっていると思います。ですから、人材確保法ができた、昭和四十一年だったと思いますが、そのときの一か月の超過勤務は大体まあ十時間ぐらいだったです。今は、我が省の調査によれば約三十時間強の超勤をしておられる。
ですから、安倍総理は、教育再生を自分の内閣の最優先課題だとおっしゃっていただいておりますので、既に概算要求の出ておった十九年度予算においても、当然増経費がある社会保障以外では、文部科学の予算だけをプラスに判断をしていただいたわけです。そして、特に教育の実質的な予算は四%以上伸びております。
しかし問題は、安倍内閣が概算要求から担当する今年の暮れで、先生がおっしゃっていためり張りの付いた、しっかりやっていただく先生にお報いしていくための予算をどの程度確保するかと。これはもう我々の責任であろうと思っておりますし、予算を確保した限りは、研修あるいは免許等によって立派な教育を子供さんに果たしていただきたい。両々相まって国民にこたえていくんだと思っております。
○櫻井充君 ありがとうございます。しかも、自分のところの御評価もいただきまして、本当にありがとうございます。
安倍総理、今の伊吹大臣の御答弁に対して何か補足がありましたらお願いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々が目指しているこの教育改革は、すべての子供たちに高い水準の学力とそしてまた規範意識を身に付ける機会を保障しなければいけないということでございまして、そういう意味において、学ぶこと、また人と接することについていろんな困難を抱えた子供たちは決して置いていってはならないわけであって、すべての子供たちに対して我々は対応していく、だれも子供たちを後ろには置いていかないという姿勢で進んでいきたいと、このように思うところでございます。
また、櫻井先生のところで、そのように見事に、対人関係に問題があると、こう言われていたお子さんが言わば市会議員ということは正に対人関係の専門家にならなければならない分野に進まれた、正にそのように立派に自立をしていく、それが一番大切ではないかと、このように思います。
あと、先ほど私答弁の中で、障害者自立支援法に対しての三年間で千二百億円を千三百億円と間違えて申し上げましたが、千二百億円でございました。
○櫻井充君 ありがとうございます。
まだ市議会議員に当選したわけではありませんので、是非受かってほしいなと本当に心から思っております。
最後に、ちょっと以前からおかしいと思っていたことについて質問させていただきたいんですが、年金の問題なんですけど、生活保護と比較するとやっぱりどうしても僕は年金まじめに払っている人たちの方が不利なんじゃないのかなと、そう思うんですね。
これ、お手元に資料をお配りしておりますが、(資料提示)基礎年金だけだったとすると六万六千円しか受け取れないと。例えば、ここに書いてありますが、高齢者単身世帯で六十八歳の方だと、東京都ですと八万円ぐらい、それから地方ですと六万二千円と、もう東京都内の方はこれだけで実は六万六千円を超えているわけです。地方の方は、じゃ年金の生活者の方が有利なのかというと、そうではありませんで、ここに書いてありますが、介護保険であるとか医療費などは一般世帯の方は一割負担を強いられておりますが、その生活保護の方は無料であるとか、ここに書いてありますが、今問題になっております放送受信料も実は生活保護の方は免除されているということになると、わざわざ今基礎年金が一万四千円弱ぐらいでしょうか、そのお金を支払ってまで六万六千円の年金を受け取るよりも生活保護を受けた方が有利になってしまうということなので、まじめに働いてまじめにやっている人たち自身が、言葉は悪いかもしれませんが、損をする、ばかを見ると、そういう社会になっているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 数字は今委員が御指摘になられたとおりだと思います。ただ、これはもう本当に釈迦に説法でございますけれども、やはり生活扶助の基準に基づく生活保護世帯に対するその措置と年金とはもう全然制度の趣旨が違っているということの基本に立ってこれは考えていただきたいとお願い申し上げる次第です。
これは、やはり年金というのは、ずっと長く働いてこられて、そして一応生活の基盤というものを築いてこられた、あるいは場合によっては資産もお持ちだということの中で、老後の生活について一定の、何というか、支援というか補助をしていく、資金的に言えば、そういうものでございます。
他方、生活保護というのは、もうそういうものを全部勘案した上でなお生活費に足りないところがある方々に対してその足りない分を補助していくということでございますので、例えば今委員の御指摘の介護の保険料というようなものが一体どうなっているかということについても、やはり年金の方の人には、それを改めてどうこうということではなくて、全体としてこれを受け止めていただく、それからまた他方、生活保護世帯というのは必要な費用としてそれをやはりカウントしないとならない、こういう違いが出てくるわけでありまして、基本的にやっぱり生活保護とやっぱり基礎年金であろうとも年金というものにはやっぱり制度の趣旨からする違いがあるということは申し上げたいところでございます。
○櫻井充君 担当大臣のコメント、まあ御所見は分かりました。
総理はこの数字を見ておかしいと思いませんか。つまり、この水準であったとすれば、年金の要するに給付額等を見直さなきゃいけないんじゃないか。だって、年金は元々介護保険料とかの天引きがない予定で作られているわけであって、実際六万六千円よりもっと低くなるわけですよね。ですから、これは総理の御所見をお伺いしておきたいんですが、やはりおかしいと思って制度を変え、制度というか、まあそれは制度上はそうだということはそれはそれでもよろしいですが、額はちょっと変更しなきゃいけないんじゃないかとか少し見直さなきゃいけないかなと、そういうふうには思われませんか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この基礎年金には、言わば基礎年金の中には衣食住ということについて、これは将来仕事を引退しての老後に対して備えて、それは賄える額ということでございますから、それ以外の費用というのは当然あるわけでありまして、それについては別途蓄えていくということが期待されるわけでありまして、その中には介護保険の保険料等々も入ってくると、こう考えるわけでありますが、しかし、理屈においてはただいま厚生労働大臣が申し上げたとおりであります。
確かに感覚としては、ずっと毎年毎年保険料を払っている年金と生活保護の額というのはどうだろうと、こう気になるのは事実であろうと、このように思うわけでありますが、しかし、生活保護の方はそのときの収入とか資産というのをこれ厳格に見られるわけでございまして、厳格にこれは調査された上での給付ということになるわけでありまして、そこのところは私はかなり大きな違いではないだろうかと、このように思います。
○櫻井充君 極めて個人的に言えば悲しい答弁でして、いずれにしても、こういうのは全部政治の場で決まっていきますから、政治の場で格差を是正するつもりになれば格差が是正できますし、それから、格差があるというのはそれは総理のおっしゃるとおりだと思いますよ、それは、給料に差があるようにですね。プロ野球の選手だってみんな給料に差があるんですから。ですが、今は格差がどんどん拡大していることが問題であって、そしてそれは実は国の政策によってそういうふうになってきている。個人が幾ら頑張ってもそこの部分が何ともならない。それは年金だって、今のように一生懸命払っている人たちよりも生活保護の方が多いという、こういう制度を分かったら、本当にみんなまじめにやっていくんだろうか。まじめに働いている人たちが、まじめにきちんとやっている人たちが報われる、そういう当たり前の社会をつくっていっていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 関連質疑を許します。平野達男君。
○平野達男君 民主党・新緑風会の平野でございます。
残った時間を私が質疑をさしていただきたいと思います。
私も、午前中、大塚委員がやりました成長戦略に関連しましてちょっと質問をしたいと思います。午前中は生産性向上につきまして、労働生産性の問題あるいは資本生産性の問題、あるいは技術進歩率、かなり高度な議論があったんではないかと思いますが、私はもうちょっと大ぐくりの議論をちょっとさしていただきたいと思っています。
その前に、内閣が閣議決定した「日本経済の進路と戦略について」、この中に、今後五年間で新成長経済への移行を目指す、成長のステージへと引き上げていくと、新しいステージに引き上げていくんだというようなそういうフレーズで書かれていると思います。新しいステージというんですから、多分、じゃ前のステージがいつから始まってどういうステージだったのか。
安倍総理はよく、下村さんと都留さんの論争の議論をよく国会でも出されておりました。これは今から五十年前の池田内閣の倍増計画のときにできたのでありますが、これで、これを踏まえますと、五十年ぐらいのタームで考えておられるのかなという感じもするんですが、まず冒頭それについての御見解をちょっとお伺いしておきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 午前中の議論でもあったわけでありますが、言わば一九六〇年代、七〇年代と何が違うかといえば、まずは少子化の社会に突入をしたと、そしていよいよ人口が減少していくということでございます。そして、もう一つは経済がグローバル化をしている、そしてさらには、IT革命が進行中であるということでございまして、こういう中にあって我々はそうした状況の大きな変化の中で成長路線を新たにこれは立ち上げていかなければいけないと、こういう認識でございます。
○平野達男君 いや、その議論は午前中お聞きしたんです。私がお聞きしたのは、その前の成長ステージというのはどういうニュアンスで、認識でとらえているかというのをお聞きしているんです。今総理がおっしゃったのは、これから考えておられる成長ステージです。その前の成長ステージ、成長の段階というのはどういうイメージでとらえているかということの過去の認識を聞いておるんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) かつては日本の経済はずっと右肩上がりで来ました。人口も増えていく。そういう中で新しい技術革新がございました。そして、その中でまた魅力的な新商品、三Cと言われた新商品も出てくる中で需要が喚起をされ、経済は高度成長をしてきた。また、国民の中においても、もっともっと日本全体のインフラの整備をどんどん進めていけという声も非常にこれはコンセンサスとして存在したのではないかと、このように思います。
○平野達男君 私は、今言った総理の答弁の中でのコンセンサスというのはキーワードだと思っています。
そこで、お手元にちょっと資料を用意させていただきました。(資料提示)これは、国内総生産の伸び率の推移をちょっと記したものであります。国内生産の伸び率というのは、これは経済成長率と同じですね。これは名目のデータです。昭和四十二年からのデータを記しました。お手元にあと実質も参考までにちょっと記してあります。
何が言いたいかといいますが、この国内総生産というのは、民間最終消費支出と設備投資、これにはまあ概念上住宅も入れてあります。それから政府支出、あとこれ政府公的資産形成もここに入れてあります。と純輸出という、この四つの項目から成ります。
この図を見ていただきたいのですけれども、ここにはGDPと民間最終消費支出の伸び率をずっとプロットしました。ほとんどこれは民間最終消費支出と経済成長の伸び率というのは同じ歩調を歩むんですね。それで、設備投資はこういう形でかなり動きます。これは経済の動向によって動きます。ちなみに、これちょっと図が小さいんですが、平成十五年から十七年、十八年についてはこれはかなり設備投資が伸びていまして、これが今名目の経済成長率を引っ張っているという構図になっていますね。
ちなみに、設備投資というのは何かといいますと、今の消費を将来も続けるための設備投資、あるいは今の消費よりもっと将来いい消費をしたいための設備投資、あるいはもちろん外需というのもありますが、そういう概念だと思っています。
そこで、さっきの話に戻りますが、こういう形で民間最終消費支出、実は国内総生産の大体五五%前後でずっと推移しています。今回のこの経済の、新成長経済の中では、この消費がどういうふうに推移するんだ、需要がどのようになっていくんだということについては全く話がないんです。これについては、総理、どのように思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 過去、正に日本の高度経済成長時代から今日に近い段階までは正に官が主導であったと、このように思うわけでございます。
そういう時代から、今後は自由と規律を基盤とした正に民主導の経済成長に入っていくということではないかと、このように思うわけでありますが、今後、今の御質問についてお答えをさせていただきたいと、このように思うわけでありますが、正に単年度においては需要を予測をして予算を組んでいくわけでございますが、中長期的にはその時々の、中期的には言わば需要がどれぐらいあるかどうかということよりも、言わば供給サイドから見て生産性等々を勘案して計画を立てていくということではないだろうかと思います。
○平野達男君 下村さんは、総理は下村・都留論争というのを何回か取り上げていますから、じゃ下村さんの理論をちょっと聞きますが、一九六〇年代、どのような理論を展開されましたか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、池田勇人当時の内閣総理大臣が国民所得倍増計画を構想するに際しまして、下村治氏が高度成長の継続は可能であると、このように主張をいたしました。一方、都留重人氏は、国民所得を高めるよりもいろいろな階層の間の所得格差を縮めるということこそ最大の問題であると、こう主張したわけでございます。言わば、成長することによって、正に結果としてその果実を均てんすることによって格差は縮小していく。
一方、成長よりもまず現在、今のこの格差をこれはなくしていかなければいけないというのが都留重人の理論であって、それが言わば下村・都留議論であって、その結果どっちが正しかったかということは今やもうこれは明らかではないかと、このように思います。
○平野達男君 下村さんは別にこういうふうにも言っているんです。需要と供給が同じ、相まって成長が起こるんですよということを言っているんです。これは、当時の大蔵省の金融財政事情の中で大来さんと下村さんの有名な論争があるんです。この中で下村さんが言っているのは、成長が格差を是正するということじゃなくて、それももちろんあるかもしれません、それは下村さんと都留さんの議論です。私がお聞きしたのは、当時下村さんが言ったのは、成長が起きるためには供給と需要サイドがマッチングしなくちゃ駄目だということを言っているわけです。
それで、じゃ高度経済成長は何が起こったか。これは私の考え方ですけれども、日本と欧米の中には格差がはっきり見えていました。そして、先ほど総理が言った、コンセンサスと言いました。日本国民はいい生活をもっとしたいということで具体的なイメージ持っていたんです。
それからもう一つ、総理は官主導でやったと言われましたね。それも私は認めます。官主導は何やったか。それは、供給条件を変えたんです。何を言いたいかといいますと、当時は、需要というものについては何だかんだと議論しなくても、需要はこういう方向で伸びるという方向がある程度見えていた。だから、供給条件について傾斜生産方式とか、そういった生産ということに重点を置いていくということで経済が成長するという、そういう議論をすればよかったんです。ところが、今の私たちの生活は、どういう生活を目指していくのかということに対してのコンセンサスが本当に私はできていると思わないんです。そういう議論をしないまま、ここに生産性向上というのが出てきている。
ここで言っているのは、少子高齢化が成る。それは労働人口減りますね。労働人口減りますから、成長を上げようと思ったら一人当たりの生産性を上げる、こんなの当たり前ですよ、これは。だけど、これはあくまでも数字上の話であって、政策の話じゃないですね。
私が今ここで言いたいのは、需要というものがどういうふうに喚起されて、それがどういう生活になっていくかということに対しての議論が今回の成長戦略の中では全く欠落しているんではないかというふうに思うんですが、総理、どのように思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳しくは大田担当大臣から答弁をいたしますが、専門的な議論がしたいのであれば是非大田さんに聞いていただきたいと、このように思うわけでありますが。
私の成長戦略というのは、むしろ国民一人一人、働く人の立場に立って考えているわけでありまして、今日よりあしたを良くしていこう、また今年よりも来年が豊かな年にしていく、そのためには成長していかなければいけないわけでございます。そしてまた、言わば私たちの大切なセーフティーネットである年金の仕組み、あるいはまた医療保険もそうでありますが、こうした仕組みを支えていくためにもその基盤となる言わば経済を成長させていかなければならないということでございます。
その中にあって、人口が減少している、これは午前中も議論があったわけでありますが、人口が減少していけば労働力も減少していきますし、またあるいは消費者の数も減っていくという中にあって、我々はイノベーション、そしてまたイノベーションによって生産性を上げていく、あるいはまたオープンな姿勢によってマーケットを世界に広げていく。こういう努力をすることによって人口減少局面にあっても経済が成長していくことは十分に可能であると、このように確信をいたしておるところでございます。
そしてまた、それは政策ではないということをおっしゃったわけでありますが、やはりイノベーションを促していくということをしなければいけないわけであって、またITを活用するための障害を取り除いていくというのは正に私はそれは政策そのものではないかと、このように思います。
○平野達男君 先ほどのグラフをちょっと思い出していただきたいんですが、成長するためには今までの流れからすると個人消費が伸びなくちゃ駄目なんです。生産性向上、イノベーション、イノベーションということで設備投資だけがんがん進んで、外需が伸びたとしてもいいですよ。ただ、外需がずっと伸びたとしても、今の国債の、為替相場は変動相場制ですから、これも限界が来ます。
繰り返しますが、経済成長をするためには、過去の経過からいっても、これからの流れからいっても個人消費が伸びて最終消費、我々の生活の消費が伸びていかなくちゃ駄目なんです。
ところが、総理がいろいろ言われましたように、私どものこれから人口が減っていきます。特に生産年齢人口、十五歳から六十四歳以下はうんと減っていきます。その中で、個人消費を伸ばしていったら、一人頭の個人消費はもっともっと伸びるんです。
個人消費伸ばすのは簡単なんですよ。これは、話変えますけど、車を二十年使っていたやつをこれから十年で買い換えりゃ、これ伸びます。背広を五着ですけど十着買ったら、これも伸びる。もっと言いますと、日本人は消費カロリーが今、農林水産省では一人当たりの消費カロリー二千六百キロカロリーになっています。しかし、厚生労働省のデータでは二千キロカロリーになっています。差は何か。全部残飯ですよ。残飯なんだけど、二千六百キロカロリー相当分の消費を食べるものと残飯とやって消費しているから、これがGDPなんです。
だから、浪費大国になろうということであれば浪費大国でも、これはアメリカが浪費大国とは言いませんけれども、じゃんじゃんじゃんじゃん消費して物をどんどんどんどん投げていけば個人消費はばんばん伸びるんです。だけど、私らが求めているというのはそんな生活じゃないですね。これからは、環境問題もあれば、いろんな問題がある。
繰り返しますが、経済成長がゼロ%だとしても、個人消費の伸び率がゼロ%を維持するためには一人当たりの個人消費が伸びていかなくちゃならないんですよ。ましてや、ここで言う二%か三%の実質成長率をやったら、私たちの個人消費はがんがんがんがん伸びなくちゃ駄目だ。それに対しての具体的なイメージが伝わってきませんね。
繰り返しますけれども、高度経済成長のときはゴールが見えていたんです。頑張ればいい生活ができるというのが見えていたんです。今回は成長しなければ財政再建ができない。社会保障の制度が構築できない。それはそのとおりです。しかし、その前に、成長するためには私どもの生活がどうなっていくのか、そういう姿が見えないんでそこはどうなるんでしょうかということをお聞きしているわけです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今先生が御質問になった我々が進めているこの政策を進めていけば、例えばイノベーションを進めていけばどういう世界になっているかということは、先般発表したイノベーション25において御説明をしているとおりでございます。
そしてまた、今私どもが対象としている消費者は国内だけではないんです。世界を相手にしていこうと。アジアにおいては中国やインドは人口がどんどん増えていく。こういう方々をもこの成長を取り込んでいくことが大切であって、だからこそ私たちはWTOの早期妥結あるいはFTA、EPAを広げていこうということになっていくわけであります。
例えば、フィンランドは、ノキアという会社は世界に売っているわけであって、決してあの会社がフィンランドの国民だけを相手にしていたんではああいう規模の成長はなかった、これは当然のことではないかと思いますね。ですから、日本において、無駄な消費を喚起する必要はありませんが、イノベーションにおいて次々と新しい製品は生まれていくということは十分に可能であって、事実、携帯電話がそうであって、あるいはテレビにおいても大画面あるいはデジタル化が進んでいるのではないかと、このように思います。
○平野達男君 その可能性は否定しません、その可能性はですね。じゃ、どこから二%という数字が出てくるのか。まあ、それは午前中の大塚さんの議論にも今度は連動します。
私が言いたいのは、個人消費が個人レベルの中で、人口減少下の中では黙っていてもゼロ成長の中でも個人消費伸びてくるんです。名目成長維持する、ゼロ%を維持するにもですよ。ところが、経済減少社会の中において、かつ実質成長率を上げたら個人消費をどんどん増やさなくちゃならない。さっき総理はアジアがどうのこうのと言われましたけれども、輸出依存型で、輸出依存型というのは、繰り返しますけれども、これは限界があります。これで一番失敗したのは、日本はこれはバブルの崩壊で失敗しているんですから。外需が伸びると思って設備投資をやって、結局それが伸びなかった。それで設備過剰になって、過剰債務になって、過剰人員を抱えたわけです。最大の原因はやっぱり国内消費が伸びなかったということだったんだろうと思います。
そういう意味において私は今必要なことは、人口減少社会だから生産性向上じゃないんですよ。まず、私どもがこれからどういう生活をしていくのか、その結果として成長率がどういうふうになっていくか、その中で成長率を、その成長率を維持するためにどういうイノベーションが必要なのか、そしてそこから導き出せる成長率がひょっとしたら一%かもしれないんです。もし一%だったら、これは先ほど総理が言われたように財政運営、それから年金の運用にも全部影響していきます。もし一%だったら、それこそ今まで竹中大臣と延々と議論した名目成長率と金利との議論にまた戻るんです。
しかし、財政再建しなくちゃならないから成長しなくちゃならない、年金制度をやりながら成長しなくちゃならない、これは私は論理としておかしいと思いますよ。それは、これは下村さんが、下村さん、都留さんと言いましたけれども、後で金融財政事情の論文お渡ししますが、これをしっかり言っている、そこなんです。もし都留・下村さんの議論で成長、格差などと、そういう議論で言われるんであれば、私は勧めますけれども、下村さんの議論をもう一回見ていただきたい。そして、経済成長は何するかといったら、私らの生活を良くするためですよ。しかし、その成長の姿というのは全然見えない。ここに私はこの成長戦略の最大の問題点があると思います。
更に言えば、今必要なのは、今必要なのはこんな薄っぺらな議論じゃないですよ。あの一九六〇年代に延々とやった下村さん、大来さん、都留さん、あの議論を喚起するようなことをあなたがやらないと駄目だと思うんですよ。これだけの、これからの少子高齢化、人口減少の中に入って日本の社会、日本の経済はどういう方向で伸びるんだ、その議論を喚起することなんですよ。
ところが、ここでぽんと言っちゃったのは、人口が減りますから生産性向上です、その結果、実質成長率二%高位ですよなんて、全然こんなの議論になっていない。だから私は、これはおかしい。おかしいというか、何にも伝わってこないんですよ。そこを伝えて、どういう社会をつくっていくかという議論を喚起するというのは、私はこれ総理の責任だと思う。
ところが、総理はその認識もちょっとないような感じだと本当に私はがっかりした。私、今日は、都留・下村さんのことを相当精通していると思ったから今日こういう議論したんだけど、全然してないですね、申し訳ないけど。
だから、そういう中で、今ちょっと言い過ぎたかもしれませんが、何かコメントがあれば、ちょっと私もしゃべるのに疲れましたんで、どうぞ言ってください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この後、大田大臣からも答弁をさせますが、それは伝わらない人には伝わらないんだろうというふうに今思ったような次第であります。
ですから、私が述べているように、人口減少社会に入っていく中にあって、やはりもう成長しないのか、そう思ってはならないんだと、十分に成長していく可能性があるということを私は申し上げているわけであって、そしてその成長は、何も財政再建のために成長するということではない。しかし、成長したことによって財政再建にもプラスになる。そして、私が申し上げましたのは、社会保障制度の基盤を強化していくためにもこれは成長が必要であるということを申し上げたわけであって、成長を横に捨ててならないということでございます。
そして、その中にあって、人口が減少していく中にあって、当然これは言わば生産性を上げなければどうしようもないじゃないですか。そして、IT革命を、これを生かしていかなければいけない。今世界でも低廉なブロードバンド網を、これはインフラ整備しつつあるわけでありますが、それを十分に活用しているかといえばそうではないわけであります。そしてまた、高齢化が進んでいるわけでありますが、言わば高齢者の方々へのサービスという新しい分野もあるわけであります。保育のサービスもあるでしょう。サービス分野においてのサービスにおいてはまだまだやるべきこと、あるいはまた需要は十分に出てくるわけでございます。そうした需要に十分に私たちはこたえていかなければいけない。そして、やはり世界に対しては競争力を持って世界の需要にこたえていくということも当然私は大切なことではないかと、このように思います。
あとはまた、大田大臣からも答弁させていただきたいと思います。
○平野達男君 人口が一割減りますと、名目成長率は変わりません、個人消費の割合も変わりません、すると、一人当たりの個人消費は一割伸びるんです。そういうことなんです。
だから、私は、成長が駄目だとか云々じゃないんです。一人当たりの生活がこれからどういうふうに変わっていくかということに対してのもっともっと具体のイメージが欲しいと言っているわけです。成長しなくちゃならないからという今の大臣のあれは分かりました。だけど、私らの生活が本当にどういうふうになっているんだという具体のイメージが付かなかったら、じゃ、どういうふうに供給条件を変えようとか規制緩和をしようかというのは見えてこないと思うんです。そのことを私は繰り返し申し上げておきます。
繰り返しますが、下村・都留議論のときは目標が見えていたんです、追い付けだから。あの車いいね、あの冷蔵庫いいね。冷蔵庫、当時あったか知りませんが、そういうのが見えていたんです。ところが、私は、イノベーションなんという言葉と、ITと言われて何だと。七十歳の方が、八十歳の方がITやっていると、ばたばたと、こういう図もいいかもしれませんが、私は余り好ましい構図だと思わない。
それからもう一つ、一つだけ言っておきますが、感想だけ申し述べておきますけれども、イノベーション25でしたっけ、あんな、言葉悪いけれどもがっちり言わせていただきますけれども、大学生のレポートみたいなの書いたって駄目ですよ。本当に、本当に私らの生活というものに根差した議論をしていただきたい。あんなものを何ぼやって、中間報告であろうが最終報告でやったって訴えませんからね。これだけ申し上げておきます。
何か反論があれば、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) イノベーション25については、担当大臣の高市さんからも答弁させてくださいよ、そういう今誹謗中傷に近いことをおっしゃったんですから。(発言する者あり)誹謗中傷ですよ、大学生の論文とかですね。それは正に余りにも私は失礼だと思いますよ。
つまり、二〇二五年にどういう社会になっているか、イノベーションを進めていけばどういうことが可能であるか。これはまた、技術の革新だけではなくて、社会のシステムも変えていかなければいけない。このように社会のシステムが変わっていくということもお示しをしているわけであって、これは是非担当大臣からも答弁させていただきたいと思います。(発言する者あり)
○平野達男君 委員長、いいです、いいです。
○委員長(尾辻秀久君) 平野達男君。
○平野達男君 今、失礼じゃないですかと言われましたね。これは先ほどの午前中の小川委員の話にもありますが、確かに大学生のレポートというのは表現としては不適切かもしれません。ただ、私が言いたいのは、ああいうものを出してごまかして、経済成長の経済運営を誤っていたら、そちらの方がよっぽど問題ですよ。そういう問題意識を言っているわけですよ。
それで、総理がもし25と言うなら、高市大臣に振らないで、あれはこういうものです、こういうものですって、テレビあるんですから、あなたが自身の言葉で言ってくださいよ。(発言する者あり)いいですよ。総理、総理言ってください。総理言ってください。総理が言ってください。
○国務大臣(大田弘子君) まず、私の方から進路と戦略の背景にある需要の考え方を申し上げます。
下村さんも、確かに有効需要圧力に関し課題を提供しと言っておられます。私も同じようにこれから需要が重要だと考えております。そのために供給力を改革するんです。人口が減る中にあっては、家計を起点とした成長の姿、つまり消費者が求める新しい商品、サービスが生まれることが必要だと考えております。そのために供給サイドを改革すると。現在でも、もっと健康を維持したい、あるいは医療を受けたい、あるいは良い保育サービスを受けたいという潜在的なニーズがあり、それに十分にこたえ切れておりません。そのために、消費者の立場に立った規制改革をやったり、あるいは新しい商品、サービスをつくることによって消費を喚起していくと。その消費革新によって成長を持続させるということが何より重要だと考えております。
○平野達男君 じゃ、この議論は、これ時間がちょっとあれなんで、このあれだけで、紹介だけでちょっと打ち切らせていただきます。
下村さんはこう言っているんです。経済の成長、発展の過程は有効需要圧力と供給能力との相互関係の調整だと。供給能力については、自由な企業の創意工夫に任せよと言っているんです、供給についてはね。じゃ、政治家は何をやるか。民族の進むべき方向についての高い識見、あるいはビジョンによって指導されるべきだって言うんです。そして、有効需要圧力に関してどのような問題についてどのような課題提供をしていくか、これが政治の課題だと言っているんです。このことを紹介しておきます。
これ、時間がございましたらまた議論さしていただきますが、今日の議論の中では、私はこれに沿った総理の答弁はちょっと聞かれなかったというふうに思います。いずれ金融財政事情、差し支えなかったら、私、後でお届けしますから、ちょっと見ていただきたいと思います。
それから、次の質問に移ります。
都市と地方の財政力格差の問題についてちょっといろいろ議論をさしていただきたいと思います。
今、東京都の一人当たりの地方税収入、これは都税それから市税、二十三区全部含めますが、一人当たりの税収入、地方税の収入と例えば岩手県、これは私の、岩手県出身なんですが、これ三倍ぐらいの開きがあります。これはある意味では当たり前かもしれませんね。固定資産税、それから法人事業税、法人住民税、東京に集中していますし、地価も高い、賃金も高いですから。それで、しかし、その財政需要には、一人頭に掛かる需要、例えば教育費、医療費、これは大体同じであります。
そこで、この三倍の格差を埋めるために何が使われているかといいますと、一つは地方交付税交付金ですね。それから、もう一つは補助金です。補助金でもいろいろありますが、特に効果的なのは農業とか公共事業という地方向けの補助金であります。ところが、この地方交付税、それからいわゆる地方向けの補助金と言われるものが最近どうも額が非常に圧縮されてきている。これが都市と地方の中でのいろんな人の格差の問題を生む一つの原因になっているんじゃないかと思いますが、財務大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 地方交付税ですね、平成十五年と、今この表にございますように、平成十九年と比べますと、平成十五年が十八兆でございましたのが平成十九年には十五兆になっております。ですから、そういう意味では確かに地方交付税は、これは三位一体の影響もあるわけでございますが、減っているわけでございます。
ただ、交付税はそういうふうに減っておりますが、税収の方は、平成十五年、三十二・二兆円でございましたのが、十九年には四十・四兆円というふうになっておりまして、八・二兆円増加しております。税源移譲分を除きましても五・六兆円増加しているわけでございます。
したがいまして、合計して地方の使えるお金は、十五年度の五十・二兆円から五十五・六兆円と、プラス五・三兆円増加しておりまして、税源移譲の影響を除きましても二・七兆円の増加ということになっております。
じゃ、国と地方の関係がどうかといいますと、国の財政事情、債務残高の税収に対する比率という数字がございまして、国が債務残高が現在六百七兆円であります。地方交付税などを地方に移転した後の税収が三十九・八兆円でございまして、この税収と債務残高の比率が十五・三倍ということになっております。他方、地方は債務残高が百九十九兆円でございまして、地方税に地方交付税などを加えますと五十六・四兆円でございまして、三・五倍であります。つまり、収入と債務残高の比率が、国は十五・三倍で地方は三・五倍ということでございますから、総体としては国の方が地方に比べて非常に財政が厳しいと、こういうことになっております。
それから、もうちょっと続けさせてください、大事なところですから。(発言する者あり)いや、今お話しのところに行きますから。
それで、プライマリーバランスが、一般会計のプライマリーバランスは、国が四・四兆円の赤字であるのに対して地方が五・四兆円の黒字でございまして、国と地方という関係から見ると、国の方がはるかに地方より厳しい財政状況にある。
それを前提として、今おっしゃいました地方同士の格差というのが実はかなりございまして、東京はどういうことになっているかというと、東京のいわゆる基準財政需要と基準財政収入の差が一・四兆円という数字がございます。これは財源超過額と言っておりますが、これの反対に悪い方の、比率の悪い方の県で言いますと、島根、高知、鳥取、長崎、秋田、宮崎、沖縄、和歌山、この八つで大体財源不足は一・四兆円でございまして、この点について、いわゆる東京に典型的に表せられるような財源の過剰と、それから各地の田舎の方の県の財源不足というのが非常に深刻になっていると思っております。この問題については、私も総務大臣と相談をしつつ、今後真剣に取り組んでいく必要があると考えております。
○平野達男君 聞いておらないことも随分長々としゃべられたんですけれども、逆にこういう答弁を担当大臣にやられますと、質問がまた総理に集中しますよ。答弁は、私が聞いたのは傾向の話を聞いただけの話で、具体の数字はまた後でこれから議論していきますから。
じゃ、そこまでいろいろ話をしていただいたんで、私もちょっとまたパネルを出しますけれども、(資料提示)これは地方交付税額の推移なんです。平成十五年から十九年まで、十九年についてはこれは予算、これから、今審議している案ですね、十八・一兆あったのが十五・二兆までこれ縮減されました。
この中で何が変わったかといいますと、これは昨年の予算委員会の中でもさんざんやりましたけれども、一般会計からの特例加算をごんごん切ったんです。私はあのとき、予算委員会のときにも言いましたけれども、三位一体改革というのは、地方交付税に関しては、この一般会計特例加算をゼロにするための改革じゃないかということを盛んに言いました。結果的にはこうなりましたね。そして今、この国税五税分というのは、これは地方交付税法で定められている税率ですから、これは法律改正しないとできません。
それで、今、この十四・六兆のところに、まあこれは税収が伸びて、税収というか、今景気がちょっと上向きですから、法人税とか酒税とかそういうところは伸びていますから、地方交付税の五税もちょっと伸びたんです。ただ、伸びた一方で国庫支出金はだんだんだんだん削減になっています。その結果どういう状況になっているか。
もう一枚の表をめくってもらいたいんですけれども。(資料提示)これは、青森、岩手、秋田、これは平成十八年度予算までの推移をちょっと書きましたけれども、(発言する者あり)奈良県は、済みません、機会がありましたらやりますけれども、青森県、岩手県、秋田県、これはこの五年間で二〇%以上下がっているんですね。東京はもうほとんどこれ、いったん下がってまた持ち直して、長期的に見れば横ばいであります。だから、こういう傾向になっているんですね。
そこで、今財務大臣が言われましたように、国の財政もうんときついんです。今回の平成十九年度政府予算では、ある意味では歴史的なことになりましたね。それは、予算の中の社会保障費と国債費が五〇%以上、超えたんです。社会保障費はこれからもどんどん増えていきます。国債費も今回二十五兆発行していますから、二十五兆のままずっと発行を続けたら、これは一千五百兆まで増え続けます。利息は今非常に低い。だから、言いたいことは何かといいますと、国債費はまだ増え続ける一方だということです。そういう中で財源をどこに持っていくかというのは、多分財務大臣、本当につらいと思います。しかし、かといって地方にそれを全部しわ寄せされても困るんですね。
そこで、平成十九年度予算にもいろいろ議論になったようですが、法定五税の取扱い、これからどうされますか。総務大臣、これはもう遵守という方向でよろしいですか、堅守という方向でよろしいですか。答弁は簡単で結構です。
○国務大臣(菅義偉君) そのとおりです。
○平野達男君 財務大臣、どうですか。
○国務大臣(尾身幸次君) 先ほど私が申し上げましたのは二点ありまして、一つは、国と地方の財政状況を比較してみると、先ほどの債務残高の倍率のように国の方が地方よりもはるかに厳しい。しかし、もう一つ目は地方の間で格差が非常にある。この格差の問題については総務大臣ともよく相談をしながら改革をしていかなければならない。例えば人件費の抑制等についてはやっていかなければならないと考えております。
そういう中で……
○平野達男君 いいです、分かりました。もういいです。十分です。
○国務大臣(尾身幸次君) いいですか。
○平野達男君 国の財政がきつければ、すべて地方交付税を削減しなくてもいいんです。どうしてもきつければ国庫支出金を削ればいいんです。削るという意味じゃないですよ。私は、地方にとっては地方交付税の方がよっぽど有り難いと思っています。何でか。
例えば、今医師不足という問題があります。岩手県のある自治体では、医師の確保のために独自で四千万ぐらいの予算を計上するんです。こんなものは国の制度の中ではないんです。それは、自治体の中での財源捻出なんです。自由なお金を使える財源で捻出するんです。それから、自治体は、これから人口減少社会に入っていきますから、いろんな意味で創意工夫しなくちゃならない。だから、補助金に頼れるところは頼るんだけれども、頼らなくちゃならないところがありますが、基本的には地方交付税の方が有り難いという、そういう声が強いです。
それで、本当に歳出削減をするんであれば、法定五税については実は触れないという五年間、宣言をしてもらいたいんですよ。そしてその上で、財政再建をするんであれば国庫支出金の改革ですよ。そういう方向にやるべきだと思いますが、これは総理にちょっと、所見をちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) これは率直に申し上げさせていただきますが、地方の財政が厳しいから交付税をカットをするのをやめろとおっしゃいますが、トータルとしての地方財政と国の関係は国の方がよっぽど厳しいわけであります。したがいまして、国の方が地方より厳しいという状況を考えると、地方の人件費抑制等、国並みの抑制努力をしていただきたい。
しかし同時に、地方の間での格差というのが非常に深刻でございます。これは今おっしゃるとおりでございまして、その問題は総務大臣ともよく相談をさせていただきますが、国として、国家全体として調整をするということに真剣に取り組まないといけないと、こういうふうに考えておりまして、その後の点においては私は委員の意見と全く同じだと思っております。
○平野達男君 私が言いたいのはこうなんですよ。地方財政は、まず地方税収入、それから地方交付税交付金、それから国庫支出金が三つの財源なんです。そして、どうしてもこれから財政、歳出がきついというんであれば、地方交付税には手を触れないでいただきたいと言っているんです。そして、国だって大変だから、どうしてもきついんであれば、国庫歳出改革を進めればいいんです。補助金をなくすとか、そういう方向性を持つべきではないかというふうに言っているんです。
総務大臣、どうですか。多分、総務大臣に言ったらそのとおりですということになるんでしょうけれども。
○国務大臣(菅義偉君) 先ほども申し上げましたけれども、地方財政の健全化、このために地方も歳出を抑制をしていく、併せて二〇〇六年におきましては、骨太二〇〇六で地方交付税の現行法定税率を堅持すること、このことを実は明記をいたしておりますので、そのことは是非御理解をいただきたいと思います。
それと、一言付け加えさせていただきたいんですけれども、先ほど委員からお話がありました交付税がどんどん減少している。しかし、これは国、地方を通じた歳出抑制ですね、それと同時に税収の増加に伴って財源不足が非常に縮小しておりますので、そういう形になって交付税の特例的加算が縮小してきているのであって、交付税を国が元々縮小しようということでやってきたのではなくて、地方税が上がってきたので減ってきていると。ちなみに、今年は総額、昨年と比べると五千億円増額になっております。
さらに、上下水道等を始め、それぞれの地方自治体が五%以上の高金利で借りているものについては今年五兆円繰上償還をすることにさせていただいていますので、一応は今年の予算については六団体を始め皆さんから私は評価をいただけるものというふうに思っています。
○平野達男君 今総務大臣から話された税収が伸びているというのは、これはマクロ的な話ですね。いわゆる、全国合わせてそうなっているということです。しかし、これを都道府県別に見たら、例えば岩手県なんかは税収なんかそんな伸びていませんよ。伸びているのは、東京、愛知とか、そういうところなんですよ。その中で交付税の、もう今、今回五税が確保されましたけど、そこに圧縮が加わる、補助金が少なくなってくる。すべてがやっぱり今地方自治体にしわ寄せが行くんですよ。私は、それはある意味ではやむを得ないと言ったら語弊がありますけれども、繰り返しますけれども、国の財政がきついということも分かっています。だから、あとはどういう財源を地方に回すかということについて、やっぱりこれは地方交付税重視ということを言いたいということを更に申し上げておきたいと思います。
そこで、先ほど来、財務大臣がいろいろお話しされていますいわゆる税収の格差の問題でありますが、これは総理にお伺いしますが、東京都は伝え聞くところによると今回住民税を軽減するそうであります。これは、別に軽減するからいいことだと思います、低所得者層に配慮していますから。しかし、そういうことをやりたくてもやれない自治体がたくさんある。片っ方でやれる自治体がある。これをどのように思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、正に東京都の御判断だろうと、このように思うわけでございます。しかし、その中でやりたくともできないところがあるのも事実であって、そうした調整機能も今まで我々この仕組みとして持っているわけでありますが、今後、こうした地方都市、地方間の言わば不均衡をどのように是正をしていくかということも検討していかなければいけないと考えております。
○平野達男君 財務大臣、先ほどから答弁されていますから、どうですか、改めてちょっと見解をお伺いします。
○国務大臣(尾身幸次君) どういうふうにするかは別として、やはり地域間の格差、今東京とその他の県に象徴されるような地域間の格差というのは、これは総務大臣ともいろいろ相談しなきゃいけませんが、何らかの形で是正をしていく必要があると考えております。
○平野達男君 何らかの形で是正をする、非常に前向きの発言ではなかったかと思います。
ちなみに、今回の、参考までに申し上げておきますと、新聞情報によりますと、東京都税、これは二十三区も入るようですが、四兆五千億から五兆三千億円に伸びるという、八千億なんですね。八千億という税収の伸びはどういう伸びかといいますと、東北六県の中から福島県の県税を除いた分、五県の十八年度の県税に匹敵するんですよ。大変なすごいあれなんですね。だから、東京都自体は、もうどっかの国の予算規模からすると、一国、韓国なんかよりも大きいぐらいの規模の予算を持っているわけですから、まあ、これはこれでいいですよ、いいことですから。
ただ、やっぱりその不交付団体という枠組みの中で、景気が良くなれば税収が伸びた分だけどんどん増えるという仕組みになっている。だから、そういうことに対して、国土の均衡ある発展という今更そういう古い言葉を持ち出す必要もないんですけれども、何らかの是正措置がやっぱり必要じゃないかなというふうに思います。今これをやっているのは、国税がやっておりますね、国の方では。国はこれを、国税は一定の割合を地方に配分してやっているわけですから、これを地方税についてもやっぱり考えるべきじゃないかと私も思います。
やり方としては、ひとつ参考までに申し上げておきますが、幾つかあると思います。財源を拠出してもらって、財源を一つの中で、自治体で、東京からも出してもらう、すべての自治体からも何%かずつを出してもらって、財源プールしてまた配分をするとか、あるいは後進地域補助率差額というのがありますが、後進地域のその補助率差額というのがあって、財政力のないところに補助率をかさ上げする制度ありますね。これは、東京都に申し訳ないんですけれども、かなり財政力があるわけだから、同じその補助金を出すにしても、自分の位置よりもちょっと低くていいんじゃないか、その財源を地方に回すとか、いろんなやり方があると思いますよ。
是非、そういうことを総務大臣もちょっと検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 私もさきの財政諮問会議で、東京問題というのを地方財政を所管する立場から実は提案をさせていただきました。ただ、この水平的財政調整制度、このことにつきましてはそれぞれの地域の皆さんの理解を得なきゃならないという問題もありますけれども、しかし、このまま放置しておく問題じゃないということのまず私は問題点としてこの間は指摘をさせていただきました。
そして、この税制、当然改正のときというのはあると思いますけれども、偏在の小さい消費税、地方消費税、こうしたものに私は置き換えることが必要ではないかなというふうに思っております。
○平野達男君 そういうやり方もあるということですね、考えられるということですね。分かりました。
そこで、ちょっとテーマが、これは地方応援プログラムに移りますが、総務大臣、これはちょっと今日時間がありませんから、趣旨を改めてここで説明、私からとうとうと説明しませんが、要は成果が出たところに地方交付税を多く配分しますよという、そういう趣旨ですね。これは地方交付税の趣旨からいったらやっぱりおかしいんじゃないかと思うんですが、これはどうでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 私が総務大臣に就任をしたときに二つのことを考えました。
一つは、地方に安心感を与えなきゃならない。先ほど委員からずっと指摘されましたけれども、交付税どうなるか分からない、予見可能性を高めることが一つ。そしてもう一つは、地方が元気がないから、地方に元気を出させる政策というのを考えなきゃならないと思いました。
先般、私、委員のお地元岩手へ行ってまいりましたけれども、非常にこの財政力指数が低いところでも地域の特色を生かして大変、例えば宮古市なんかは子育て日本一ということを目指して頑張っておられました。出生率を言うといろいろ御指摘されるかもしれませんが、一・六七まで出生率が上げているという、そうしたいろんな地方があります。
私は、地方のそうした特色とか魅力を生かして地域が活力を与えられるように、安倍内閣、正に地方の活力なくして国の活力なし、この考え方の下に考え出したのがこの頑張る地方応援プログラムでありまして、交付税というのは二つの算定基準がありまして、一つは義務的経費だとかそういう福祉の基礎的な問題ですね。それと同時に、全国過疎地、全国的な問題で過疎地もありますし、さらには行政改革の政策的課題による経費というものを今までも計上してきています。
そういう意味で、頑張る地方応援プログラムというのは、正に地方の魅力を生かすために全国一律の基準の中で客観的な成果指標、それに基づいて交付税にあるいは特別地方交付税に上乗せをして地方に活力を出してもらおうと、そういうことであって、使い道はあくまでも交付税でありますから自由にということであります。
○平野達男君 私は、地方交付税というのは、もう単純に言ったら、基準財政需要額と基準財政収入額の差を埋めるわけですね。成果の出たところが基準財政需要額が上がるという論法が分からないんです。そこをやるためには、いろんな恣意性をやって指数をいじらなくちゃならない。(発言する者あり)そこが、今後ろから出ていますけど、裁量行政になることをうんと心配する。地方交付税は地方の独自の財源だと言っているわけだから、これは一定のルールを定めて一定のルールでやるというのが原則なんです。
今回、三千億という額的にも非常に小さい。まあ考え方の趣旨はいいですよ。しかし、そうやって地方のあれを促す促すと言っていますけれども、額的にも小さい。やり方自体がちょっと腰砕けになっている感じがするんですよね。こんなことをやるよりは、私は、地方交付税は地方交付税って一定のルールでやった方がいいというふうに私は思います。
これは私の意見ですが、総務大臣、もし感想があれば。
○国務大臣(菅義偉君) それは地方の行政の長の皆さんから、例えば行政改革、幾らやっても地方交付税は逆に減ってしまうと、同じような財政規模の中で。そういうインセンティブなもの、やりがいがあるものをつくってほしいという意見も数多くありました。そうした中で、地方に活力を出すために私ども今回考えたものでありますので、是非御理解をいただきたいと思います。
○平野達男君 私は、もしそれをやるんであればやっぱり補助金でやればいいと思います。地方交付税はやっぱり地方交付税です。いったんこういうことやり始めますと、やっぱり地方交付税の配分について自治体がいろいろ迷い始めますよ。これは、先ほど総務大臣が言いましたように、予見可能性というのはうんと大事なんです。総枠と配分の考え方、これは一定のルールでガラス張りに私はすべきだと思います。そのことをちょっと申し上げておきたいと思います。
ちょっと時間がありませんので、次のテーマに移らせていただきます。
次は農業問題であります。余りちょっと松岡大臣に政策議論をするというのは、ちょっと午前中の議論を聞いててちょっと正直言ってやりづらいんで、松岡大臣、本当、身辺本当にきれいにするんなら、きれいになっていると思うんですが、質問する方も非常にやりづらいですね。そのこともちょっと申し上げておきます。今ちょっと時間がありませんので。
それで、これからは、今回、今農村の中では品目横断対策ということで直接支払方式、私らの方で直接支払と言っていますが、を導入しようとしています。最大の問題は何かといいますと、これは選別政策を導入したことですね。今までの農政というのはすべての農家が対象でした。その形態にこだわりませんでした。ところが、今回、個別農家については四ヘクタール以上、集落営農については二十ヘクタール、生産法人についても二十ヘクタールという、そういう基準を設定いたしました。
それで、私どもは同じ直接支払するんならば、全農家、やる気のある農家全部対象にすべきだということを申し上げたら、総理は、それは農業構造を固定するんではないかと、固定させる政策だからまずいんだというふうな答弁をされていましたけれども、それはそのとおりの答弁でよろしいんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 担い手の方々が将来我々の食の安全を担って頑張っていく、そういう方々を支援をしていく。そしてまた、それと同時に、やはりこの四ヘクタールだけではなくて、集落営農の方々、集落営農という形で小さな、面積的には小さい方々もやる気のある人が集まっていけば、そういう正に未来を切り開いていくことができる、そういう農業をつくっていこうということでございます。現状の言わば追認型ではなくて、新しい時代を切り開いていかなければいけないということでございます。
○平野達男君 制度論の考え方としては私も理解します。ただ、今農村でどういうことが起こっているか。日本はこれから人口減少社会にもう入っています。それで、一方で東京は、人口の動きを見ますとまだ入超です。関東全体としても入超なんです。人口移動が起こっているんです。岩手県でも小さなあるところでは人口が増えつつあります。しかし、日本全体がずっと人口が減っていく中では、どっかが急激な勢いで人口減少を受け入れなくちゃならないわけです、理屈上はですね。それは私は農村じゃないかと思います。現にその兆候はもう既にあちこちで現れている。
黙っていても農業従事者、農家人口はずっと減ってきました。これからももっと減るんです、残念ながら。減らないようにするためにはいろんな政策をやりますが、マスとしての人口が減っていますから。現状を見ても、限界集落という言葉が今いろいろ出ていますが、いろんなところで、この集落が消滅しそうだというところが岩手県内でもあちこち見られる。
何が言いたいかということなんですが、黙っていても農業従事者は減っていくんです、このままでは。その一方で、耕作放棄地は、日本の農地面積は四百七十万ヘクタールありますけれども、耕作放棄地は統計上三十六万ヘクタール。私はもっともっとあると思います。何でこんな耕作放棄地が起こるかといったら、農業やめる人が増えていて、受け手がいないからです。先ほど言いましたように、今のこのままだったら、人口減少でどんどん農業やめる人が増えていきます。そして、ここに選別政策ですよ。
この選別政策を裏から見たらどういうことになるかといいますと、四ヘクタール未満の農家の人は、やるなら勝手にどうぞ、できれば農地を手放して担い手に農地を渡してください、どうしても嫌だったら集落営農やってくださいと、こういうことです。つまり、農業就業人口はもっと、従事者はもっともっと減らしてもいいというんです。今の基幹的農業従事者の六割は六十五歳以上ですよ。これから十年、十五年、二十年の中で、農村はすごい変貌をします、残念ながら。
そういう中では何が必要かといったら、住民の要するに自分たちのことは自分たちでやるんだと覚悟して、自分たちの方向は自分たちで決めるということだろうと私は思います。そこで、こういう選別政策を入れたというのは、私は今、農村については大きな混乱が私は生じていると思いますが、松岡大臣、どのような認識でおられますか。
○国務大臣(松岡利勝君) お答えいたしますが、平野先生は十分御理解はいただいた上でおっしゃっていると思うんですが、おっしゃるとおり、人口は減りますね。そうすると、まあ大体これは先進国共通ですけれども、特にフランスもイギリスも日本も一緒ですが、ずっと人口は減ってきました。ずっと減ってきました。大体半分ぐらいになっていますよ。その上で、イギリスとかフランスは人が減った分が、その分の農地が残った人に集積をしている。日本はいろんな土地に対する考え方やいろんなこともありまして、そうならなかった。多少はなりましたけれどもね、脆弱なまま残っておると。
そこで、先生、これからじゃどうするかなわけですよ。これからどうするかというとき、先生は選別政策でそれは切捨てだとおっしゃる。我々はそうじゃないんです。選別政策で切捨てじゃないんです、これは。逆に、切上げ政策で底上げ政策なんですということをずっと申し上げておる。それはなぜかと。
○平野達男君 それは全然違う。
○国務大臣(松岡利勝君) いや、だって、先生ね、そうおっしゃいますが、じゃ、じゃですよ、今八十の人が、七十の人がいる、まだなお頑張っている、二反か三反だと。じゃ、その人は今のまま固定して、じゃ、あなた頑張っている間はお金払いますと。じゃ、それから何にも変わらないまま時間がたったら、それはそのまんま後は放棄されていってしまいます。
それを我々は、たとえ二反でも三反でも、たとえ一反歩でも、これを出す人は出し合ってもらって、足し合ってもらって、そして集落営農という大きな姿でそこでまとまってもらって、そしてそういう形で農地も集約化されておれば、これは、じゃおれは新しく新規参入で担い手になってもいいと思う人もいるでしょうし、正に受皿としてそういう大きな可能性をつくっておくと、そういうことを我々は申し上げている。それを進めようとしているんであって、正に構造政策として、一人で頑張っていける人は一人でどうぞ頑張ってください、認定農家として。また、企業経営で、法人経営で、生産法人で頑張ってもらう人もそれはまた頑張ってくださいと。しかし、なかなか一人一人個々ばらばらではこれは立ち行かない人たちには、みんなで足し合ってもらって、出し合ってもらって、まとまってもらって、固まってもらっている。
だから、私はよく言うんですが、一人で泳いで渡れる人はどうぞ川渡ってください、しかし、なかなか泳げないし、もう泳ぐ力もなかなか難しくなったという人はみんなでまとまって固まっていかだでも作って、そして、よし、じゃみんなで渡ろうかと、こういったような、そこに今度は担い手さんでこぎ手さんが来て、私が、じゃそれならひとつ一番中心になっていかだをこいで向こうに渡しましょうと、そういった人たちが来れるような、そういう状況をつくっておくと。
したがって、今民主党がおっしゃっているそのまんま戸別所得補償政策と、これは本当に議論しなきゃいけませんが、戸別所得補償政策、あれはできないと私は思っています、国際的にも国内的にも。したがって、そこも考えたときに、私は今のままではますます、今のまま現状、人口が減っていく上で、元々衰退してきたものが、ますます衰退がそのまま伝わってずっと続いてしまう、そう思っていますから、我々が今やろうとしていることは、総理も申し上げましたように正に打開をする一番大きな方向だと、こう思っております。
○平野達男君 私の認識、松岡大臣とこれは農林水産委員会でも随分議論しましたけれども、多分松岡大臣も分かっておられると思うんですが、分かった上での発言されていると思います。
私は、これから農村うんと変わっていくんです。農地の出し手は黙っていてもどんどん出てきます。それを、農地の流動化はだから大事です、大事なんです。これをやらなくちゃ駄目なんです。先ほど言いましたように、基幹的農業従事者の六割は六十五歳以上です。そこに人口減少の波がかぶる、農業就業者がいなくなったのは当たり前、ある意味ではこれは自然の流れになっちゃっているんです。その中で流動化を進めるというのは、これは賛成なんです。
ところが、四ヘクタール、集落農家でなければ駄目だというのは、これがおかしいと言っているんです。私が言いたいのは、農地は守っていかなくちゃならないんですよ。先ほど言いましたように、今三十六万ヘクタール超の耕作放棄地があるんだから。私は、二ヘクタールの個人農家でも、隣のおじいちゃんがいて、私はやめますという人が利用権設定で五反やったとしても、それは地域にとってはうんと有り難いことなんですよ。一ヘクタールの経営やっている人が、隣のおじいちゃんがいて、おじいちゃんがやめて、農地を受け取って耕作してくださいと。分かりました。それは地域にとってはうんと大事なことですよ。それは松岡大臣よく分かるでしょう。
そういう中で、四ヘクタール、二十ヘクタールなんて基準を設定したというのは、ここは私はこれからは地域が、本当に今農村は本当に財政的にも非常に苦しい中で、自分たちのことは自分たちで考えていく、行動しなくちゃならないときに来ているんです。その中で基幹となるやつは農業ですよ。農業についても、じゃこの地域の中でどういう方策でやるかというのは地域で決めてもらえればいいんです。ところが、集落営農でなくちゃ駄目だ、四ヘクタール以上でなければ駄目だ、何のためにこれをやるんでしょうか。
農地を守るためにはどうすればいいんだろうか。地域を守るためにはどうすればいいんだろうか。くどいようですがもう一回言います。もう一回言います。四ヘクタールだって、二ヘクタールの人がいたとして、その人が農地を流動化して農地を受け取って耕作をしてくれたら大変有り難いことなんです。そういうことを全く無視されて、全くとは言いません、ちょっと無視されているんじゃないかと思います。
それからもう一つだけ言わせてもらいますと、今回の政策は業しか見てないんですよ。業と補助金の効率化。農村がどういうふうに変動するかというその社会情勢に対する配慮が私は足りないと思う。そのことも農林水産委員会でも何回も申し述べましたけれども、今日はあえて、今日はテレビ入っていますからね、繰り返し述べさせていただきましたけれども、もう一度松岡大臣、何か反論がございますれば。
○国務大臣(松岡利勝君) 農林水産委員会でも、平野先生とは随分これはいろんな議論いたしました。また、させていただきましたし、まあお互い水掛け論、平行線というのもずっとあったと思います。
それは、例えばこの構造改革、やっぱりどうしても農地の集約というのはこれからの方向を考えると必要なわけですね。それは、ヨーロッパは先に構造改革やっちゃった、やっちゃったと。いやいや、先にやったんですよ。だから、例えば、先生、フランスでも条件不利地域で、日本で言えば中山間地域です、ここだって三ヘクタール以上という、条件不利地域でも向こうは掛けているわけです。そこで、ところが今中山間の所得補償十二年から我々やってますが、これは地域としてとらえて、農地の規模は日本は掛けてないんですよ。
だから、そういう中でやっぱり集約を図っていくには、一定の基準、しかもそれも、これは認定農家ですから、四ヘクタールというのは。で、集落営農としてはまあ二十ヘクタールと言ってますね。中山間は十ヘクタールでいいと。そしてまた、おおむね八割でいいと。そして、生産調整とかいろんなことをやっておれば、これはぎりぎり認定農家と同じ四ヘクタールでもいいという形に、そしてまた経営規模が多様化しておればいろんな、これはまあ経営構造が複合経営であればこれは一定の所得があればいいというふうに、いろんな選択肢、柔軟性のあるものつくっているわけです。
いずれにしても先生、方向としては私はこれから農村の果たす役割、物すごい大きいものがあると思っています。環境の問題でも、これは下流域、都市地域の安全の問題でも、じゃそれをどうやって発展をしていくかというときに私が言っているのは、これは先ほどから議論出ていますが、消費をどう増やすか。やっぱり消費が増えないと生産増えませんから、そういう意味でも輸出を増やす。それからまた、新たな農業の領域として、環境対策にもこたえながらバイオマス、こういったことの生産も拡大していく。
そういうことをやる上で、そういったものをやるとするとどうしても経営基盤の土台はもっとしっかりしておかなきゃならない、こういうことでありまして、これはとらえ方、考え方で先生とは立場が違うこともあって平行線なのかもしれませんが、私も先生が言う一端は分かっています、先生もお分かりの上でこれはいろいろ言われていると思うんで、これはまたあえて言わせていただきました。
我々は、本当に日本の農業の総合力を最大限に発揮していきたい、そういう方向を目指して、皆さんに御苦労で困難な面も掛けますが、是非御理解をいただきたいと、こういうことでお願いいたしております。
○平野達男君 私は、誤解のないように言っておきますが、集落営農も否定しません。集落営農をやれるところはやったらいいです。ただ、繰り返しますけれども、今のこれからの農村、特に農山村の実情は、今、松岡大臣の話されているイメージはあくまでも平場の条件のいい農業地帯なんです。そういうところじゃなくて、もっと人口が減っていく、そういう中でどういう農業を展開していかなくちゃならないか、それから農村政策を展開していかなくちゃならないか、それをセットで考えなくちゃならないのではないかということを言っているわけです。これは、残念ながら水掛け論です。
私の視点はずっと農山村なんです、私の視点は。そこで本当に今どういう状況が起こっているか、そのことをイメージしながら言っています。本当にやる気のある農家の方も、十分、六十五歳以上で体の続く限り続けたいと言っている。だったらやらせたらいいんです。その人が農業だけじゃなくて地域を支える柱になるから。そういう観点を農林省はいつから忘れたんでしょうかね。忘れたと言えばまた安倍大臣に言い過ぎだって怒られるから、ここは訂正しますけれども、私は、そこはちょっと忘れているような気がする、そのことを申し上げておきたいと思います。
それから最後に、ちょっと時間がなくなりましたけれども、その前にこれ、岩手日報に「とことん住民力」という記事を連載されました。これは、これから迎える、あるいは今迎えつつある農山村の現状をずっとつぶさにルポルタージュした記事です。私はこの住民力という言葉が本当に好きなんですよね。財政的に今支援しようと思ったって、先ほどの議論がありますけど、なかなかできない。あとはもう住民力ですよ。
そこで、だから農業をどうするか云々なんかについても、余り基準とか何かで言うんじゃなくて、さあ、どうしましょうかといったら、みんな分かっていますから、もう担い手がいなくなるというのは、農村では。じゃ、あの人が多分やってくれそうだなというのは大体イメージとしてつかんでいるんです。それを大事にしてもらいたいということなんです。重ねて申し上げます。
時間がなくなりましたけど、最後に一問質問させていただきます。
配当課税についての、これは原則二〇%が今一〇%になっております。これが平成十九年度で終わる予定ですが、今回の提案では、二十年度まで延長するということになっています。片っ方で、ちなみに、この配当課税で二〇%を一〇%にしたことによって、どれだけ減税されているか。これ、時間がありませんから詳しくはちょっと申し上げませんが、私の試算では少なくとも二千億、場合によったら二千五百億ぐらいあると思います。これは個人ですからね、個人の減税ですからね。それから一方で、平成二十年度から母子家庭、母子家庭は今いろんな就業支援とか何か言われますけれども、なかなかこれがうまくいっていない。児童手当が今のまま行ったら、これ削減されるんですね。
それで、配当課税というのは、これは一年間延長で、繰り返しますけど、二千億を超える減税効果ですよ。児童手当は年間の予算だけで、まあ三位一体の改革がありまして補助率下がりましたから補助金は下がっているんですが、一千三百億ぐらいだったと思います。その給付が、今のままこのまま行くと下がるということでビルトインされている。これは、ちょっと公平さに欠けるんじゃないかという、感情論で今物を言っています、かなり感情論で。だけど、現場の感覚からいうと、これはやっぱりおかしいという声が大きいと思います、大きいです。
総理、これどういうふうに思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 上場企業、上場株式会社の上場株式等の配当に係る軽減税率については、金融所得の損益通算範囲の拡大策等について検討を行う観点から、その適用期限を一年延長して廃止をするということとしておりまして、適切なものであると考えております。
軽減税率は高額所得者優遇であるとの御批判があるのは事実でございますが、延長期間の間に今申し上げましたような検討を行った上で軽減税率を廃止をするということとしておりまして、ですからそういう意味におきましては、一年後にはこれを廃止をするということになるわけでございます。
一方、母子家庭の児童扶養手当についてでございますが、これは平成十四年の法改正において、従来の児童扶養手当中心の経済的支援から、これは当時も自民党と民主党でかなり建設的な議論が私はなされたと、このように記憶をしておりますが、その中から、就業、自立に向けた総合的支援へと転換したことに伴って、その位置付けを見直したわけでございます。
確かにそれは、この二つを並べると、感情的にはそれは先生と同じ感情を持つ方は私は多いのではないだろうかと、このように思うわけでありますが、しかしこれは、二つはまた別のものであって、母子家庭の児童扶養手当についてのこの法改正は、先ほど申し上げましたように、言わば就業の支援に力を入れていこうと。言わば福祉から自立に向けて歩み出すことができるような環境をつくっていく、そこに重点を置いていこうということでこれを進めていくということではないかと、このように思います。
○平野達男君 時間ですからまとめますが、いずれ私は配当課税についての延長をうたうんであれば、これは私は反対ですけれども、母子家庭はその削られることに対してうんと今不安を持っている。同時に、やっぱり凍結というのは言うべきだというふうに思います。これを重ねて申し上げたいと思います。
時間になりましたので終わらせていただきますが、いずれ経済成長の問題については時間があればまたいろいろ議論さしていただきたいと思います。
どんどはれというのは、どんどはれというのは終わりという言葉でありますから、最後に、ですからどんどはれと言いたくて今、ちょっと今その準備をしていたんですが、どんどはれと言わせていただきまして、ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) これにて平野達男君の関連質疑は終了いたしました。
以上で小川敏夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(尾辻秀久君) 次に、片山虎之助君の質疑を行います。片山虎之助君。
○片山虎之助君 自由民主党の片山虎之助でございます。
今から自民党といいますか、自民党の時間で、私が一番バッターでございますので、お疲れのことと思いますが、今日は五時まででございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと、こういうふうに思います。
恒例ですけれども、テレビ中継で国民の関心は大変強うございますので、できるだけ国民の皆さん、見ていただいたら分かっていただくということが必要なものですから、分かりやすい質問を、難しいことは分かりませんから、分かりやすい質問をいたしますので、是非分かりやすい答弁をお願いいたしたいと思いましてね。
今回は往復の試行なんですね。今まで参議院の予算委員会は片道でございまして、質問者の時間だけカウントされたんですが、今回は試行ということで与野党合意で往復になりまして、私、往復でやるの初めてなんじゃないかと自分で思うんですけれども。そうなりますと、余り答弁が長いと困るんですね、質問が長いのも皆さんあれでしょうけれども。そういう意味では、是非簡潔でストレート、直截な御答弁をお願いできればと、こういうふうに思っております。
そこで、まず総理、総理におなりになったのが去年の九月二十六日で、総裁になられたのが九月二十日だったと思いますけれども、五か月何日で、まあ大変激動の、波乱万丈とまではいきませんが、大変な五か月ちょっとであったと思います。いろんなことがありました。
そこで、この時点での総理就任の御感想を、まあ昔のことを言うなと、おまえ言わせるなということかも分かりませんが、お聞きしたいのと、それから、総理は官房副長官あるいは官房長官として、小泉総理はもとより、森総理にも一番側近でお仕えしたわけですね。あのとき、総理というのはどういうものだと自分ではお考えになっておったか、なってみてどうだったか、違いがあるかどうか。ひとつよろしくお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、委員がおっしゃったように、森総理にも官房副長官としてお仕えをいたしまして、その後、小泉総理にも官房副長官またあるいは官房長官としてお仕えをいたしました。はたで見ておりまして、もう全くこれは私的な時間がないなと、このように思っておりましたし、とにかく、なったらなった次の日からたたかれると、このように思いました。一方、森さんの場合は、あんなにたたかれてよくやせないなと、このように思いながら見ていたわけでございます。
その後、私がその座に着くとは当時は思いも寄らなかったわけでございますが、言わば総理は、鋳型に入れて型を作っていくというのではなくて、言わば鍛造品のようにとんとんとんとんたたかれて、そしてその鋼が鍛えられていくと。それは正に精神力も鍛えられていくのかなと、今その途上にあるのだろうと、このように理解をいたしております。
○片山虎之助君 いやいや、それは、総理は変わられましたよ。今日の朝の答弁からもうぴしっと決めていますよ。いやいや本当に。やっぱりたたかれなきゃ駄目なんだね。私はたたかれても太っているだけでございますけれどもね。是非ひとつ頑張っていただきたい、ナンバーワン、オンリーワンでございますのでね。そういうふうに考えております。
そこで、総理の「美しい国へ」という本を読みました。あの中には闘う政治家ということの標榜はありますが、美しい国の定義ないんですね、あの中には。最初の所信表明でございましたか、施政方針でございましたか、あの中には説明ありました。しかし、あれは網羅的なんでね、また分からないんですよ。
私は、美しい国に日本をすることは賛成ですし、国民の多くもそれを望んでいると思いますがね、イメージがもう一つ分からない。人の心の、お互い思いやりや優しさのある国にするのか、あるいは国土や自然や都市景観が本当に美しい国にするのか、あるいは倫理や道義やそういう品格ある、そういう国を目指すのか、あるいは教育や文化や歴史を貴ぶような国にするのか、恐らく総理はみんなだと言われるかもしれません、経済も活力あって。
しかし、それではもう一つ分かりにくいんで、総理としてこれという美しい国のお考え、イメージを、正確でなくて結構ですよ。短く言うのは正確でないんですよ。小泉総理がそうだったじゃないですか。しかし分かりやすい。正確じゃなくても分かりやすいので、ひとつ美しい国の定義をお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 明治、大正期に日本を訪問した多くの外国人は、日本のことを称賛をしています。当時は、今と比べれば国力もまだまだよちよち歩きの状況でありましたし、国民も貧しかったのではないかと、こんなように思うわけでありますが、アインシュタインは、個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらのすべてを純粋に保って忘れずにいてほしい、こういう民族が世界に生存することを本当にうれしく思うと、このように述べていたわけでございます。
これは、やはり日本人の立ち居振る舞いが美しいなと、こう感じたのではないだろうかと、私はこのように思うわけでございまして、これは、質素であっても、たとえ豊かでなくても、その立ち居振る舞いが美しい、そういう日本人でありたいと、このように思います。そのためには、正に人材であって、教育をしっかりとしていかなければいけないと、このように考えております。
○片山虎之助君 そうですね、私が最初に言ったのに近いんですね。美しい立ち居振る舞い、優しさ、静けさ、そういうことの、非常に精神性の高い、そういうかつての日本をイメージされているんですね。私は、それをもっと分かりやすい言葉で、国民共通の、何といいますか、共通のイメージというんでしょうか、お互いその認識を共有するようなことを是非やっていただきたい。
私も、今度ポスターには、美しい国と元気な岡山を創るにしましたから。美しい国を、これはもう少し私自身も宣伝せないかぬと、こういうふうに思っております。
ところで、総理、今朝からそういう質問ありますが、支持率ですね。当初は大変高うございまして、それが今はかなり、ある意味では巡航速度風の支持率になりましたけど、まあ歴代の政権からいうと私は高いと思うんですよ。どうも最近は支持率、支持率、言い過ぎなんですよ。マスメディアが大好きなの。まあ、テレビは視聴率、政治は支持率かということになる。我々は支持率のために政治をやっているんじゃないんですよ。ただ、支持率は謙虚に受け止めますよ。受け止めるけれど、このために政治をやっているわけじゃない。しかも、これだけで政治が振り回されるようじゃ、我が国の政治の主体性は何かということになる、私はそう思いますよ。
まあ、たかが支持率と言うと怒られますが、されど支持率でございまして、(発言する者あり)そこで我々は、民意には敏感でなきゃいけません。私は支持率には鈍感であっていいと思うんですよ。本当の国民の意向、国民の心情には、これは敏感でなきゃいけませんですね。しかし、支持率に一喜一憂することはないんで。しかも、当初は大変目覚ましい、中韓の関係改善や、北朝鮮が核実験なんかやりましたから、これに対する制裁決議の鮮やかな全会一致も、外務省も頑張りました、もちろん総理は頑張った、外務大臣も頑張った、そういうこと、あるいは御祝儀も私はあったと思いますけれども、その後はメディアの包囲網ですよね。ただ、包囲網を突破するとか撃退するとか粉砕するとかということは要るんですよ。そこがちょっと私は、まあ官邸が悪いとは言いませんよ、言いませんけれども、ちょっと振り回された、そういう感じがややあると思うんで、もう五か月幾らたちましたから、もう腰を据えて私はやっていただくことが必要だと思う。
高浜虚子の「去年今年貫く棒のごときもの」と、私はあの句が好きなんですよ。私の体が似ているという意味じゃありませんよ。「去年今年貫く棒のごときもの」、是非、断固としてやることは断固としてやると、信ずることは思い切ってやると、総理、それが支持率を考えなくても支持率付いてくるんですよ。是非その辺のお考えをお聞かせいただきたい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 支持率については、正に先生がおっしゃったように、私は、謙虚に受け止めなければいけない、しかし支持率のために政治をするのではなくて、やはり政治は結果であって、結果がすべてではないかと、このように思うわけでございます。
例えば、私の祖父も決して人気の高い政治家ではなかった、人気が高い政治家ではないというか、極めて後半は不人気であったと、このように思うわけでありますが、しかし、三十年たって、四十年たって評価されるような政治家でありたいと恐らく本人も思っていたのではないかと、このように思います。
私は、長州の吉田松陰先生の座右の銘として、孟子の、自らかえりみてなおくんば、一千万人といえどもなおわれゆかんと。つまり、これは、自ら自省してみて、これは間違っていないんだという確信を持てば、断固として、断じて行うと。この気概と精神を持っていきたいと、こう考えております。
○片山虎之助君 是非それでお願いいたします。
そこで、今の内閣についてのいろんな評価がありますよ、総理。一つは、まあこれは必ずしも正確じゃないんですよ、メディアが言っているんですから、ばらばらで頼りないとか指導力が不足だとかいうのが一つ。それから、前の内閣ほど改革に熱心ではないと。私はこれはどっちも誤解だと思っている、私はですよ。
それは、リーダーシップだとかというのは、大きな声を出してパフォーマンスをやってということだけじゃないんだね。みんなが静かにまとまって成果を出すということなんですよ。それを中心でやるということがリーダーシップ、私は指導力だと思う。
それから、改革に不熱心だと。どこが不熱心ですか。私は、今まで憲法だとか教育だとか、本来の保守政権としてちゃんとやるべきことをなおざりにしてきたんですよ。今からやろうというんでしょう、総理が。これは本当の改革じゃないですか。防衛庁を省にするのも議論はありますよ。あるけれども、本当の安全保障の体制を整えようということなんだから、私、改革だと思いますよ。その上に、格差の問題でも社会保障の更なる充実でも地方分権でもやると言っているんだから、結果を出せばいいんですよ。総理、どう思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が改革の意欲がない、それは全く私も当たっていないと、このように自負をいたしておる次第でございまして、言わば、この戦後六十年たって、今こそ後回しにされてきた改革をやらなければならない。その一つが教育基本法であり、六十年ぶりにこの教育基本法を改正いたしました。それにのっとって教育の再生を断行していきたいと考えています。
また、憲法の問題にあっても、言わば政治スケジュールにのせるということを自民党は結党時に公約をしていたわけでありますが、なかなかそれが実現できなかったのも事実でございます。
また、防衛庁の省昇格については、岸内閣でその方針が、大体決めていこうということになったわけでありまして、池田内閣で閣議決定したのではないかと思いますが、今日までそれは実行されなかったことをなし得ることができたと、このように思いますが、更にこの改革の炎は燃やし続けていかなければいけない。
そして、正にそれは、ある意味では国づくりの礎をつくっていくための改革でなければならないと、このように思うわけでありまして、ぶっ壊すのは大体終わりつつあるわけでありますが、正にこれからは国づくり、石を一つずつこれは積み上げていくという努力が必要であろうと、こう決意をいたしておるところでございます。
○片山虎之助君 そこで、この国会、統一地方選もありますし参議院選もありますから恐らく会期延長は大変難しいと思いますけれども、是非、来年度予算の早期成立、あるいは税制を始めとする日切れ法案もできるだけ年度内成立して、それがすぐ四月から有効に機敏に執行できるような体制にしまして、是非今の、イザナギ景気以上の長さだけはなりました、中身はともかく異論がありますが、これを更に継続していく、あるいは改革を加速していく、こういうことを是非やっていただきたいと思いますし、それから、これから出される重要法案、国民投票法案なんか中身がほぼ固まっているんですから、いや、これをどうのこうのという、国会戦術なのか選挙戦略なのか知りませんが、私はどうかと思いますよ。あれは手続法、技術法なんですから。是非これも、憲法改正を各党本気で議論しているんだから、是非通してもらう。
あるいは、今言われた教育再生の三本、まあ教育委員会についてはいろいろ議論があるかもしれませんが、是非これも通していく。あるいは、公務員制度だとか社会保険庁だとか、年金等、厚生年金の一元化だとか、そういう、一杯ありますよ。それから、最低賃金法や労働関係のいろいろな法律もある。こういう法律を丁寧に議論して、丁寧に国民に説明して、この国会で上げていくということが安倍改革の方向を出すんですよ、安倍改革の基本をつくるんですよ。是非それをよろしくお願いしたいと思いますけれども、どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この国会、昨年の臨時国会もそうだったんですが、正に歴史のこれは大きな節目であり、今私たちがやるべきことをやらなかったら大変なことになっていく、そういう覚悟の下に臨んでいるわけでございまして、ただいま今委員がおっしゃった国民投票法も、憲法九十六条にこの改正手続が定められているにもかかわらず、その手続法を、我々はある意味では議員としての責任を果たしてこなかった、こんな思いもあるわけでございまして、大体、与野党間において話合いがなされてきて、建設的な話合いがなされてきたと、このように思います。憲法記念日までに何とか上げようという機運が盛り上がってきたことは大変私はすばらしいことではないかと思います。何としても私も議員としてその職責を果たしていきたいなと、こんなように思うところでございます。
そしてまたさらには、様々な改革が待ち受けているわけでありまして、特にこの国会においては教育再生のための法律がございます。あるいはまた、働き方いろいろ変わってきました。その労働法制についても六本法律を出しています。また、格差が指摘されている中で、地方を支援をしていく法律も九本出しているわけでございまして、また、やっぱり国民の安心である年金を支える社会保険庁の大改革にもこの国会を通じて取り組んでいかなければならないと思います。
○片山虎之助君 そこで、時間の関係ちょっと見ましたら、私は明日残りをやるようになるものですから、順番を、申し訳ないんですが、通告の順番替えて地球温暖化を次にやらせていただいて、格差問題はあと時間があればやらせていただきます。
そこで、地球温暖化なんですが、総理、まあ本当に今年は暖かいですよね。スキー場はみんなスキーヤーいなくて困っている。札幌の雪祭りも雪をどこかから持ってきたというんですよね。目に見える変化ですよ、これは。桜も恐らく一週間以上早く咲くでしょう。これは地球温暖化だと思いますよ。大豪雨がある、大干ばつがある、ハリケーンがしょっちゅう起こる、竜巻が起こるですね。
そこで、私はこの前知人に勧められて、おまえ、この映画を見ないようでは駄目だと言われて、「不都合な真実」というのを全く中身を知らず見に行ったんです、日比谷の方で。私はどういう映画か知らなかった。見たら、ゴアさんが出てくるし、久しぶりでお会いしましたが、ドキュメンタリー映画ですよね。しかし、大変映像も要領よくて、ゴアさんの思いもよくうまく絡んで、説得力ありました。私は本当に感銘を受けました。頭の中だけで地球温暖化を考えてというのは反省いたしました、いや、本当に。そのゴアさんがアカデミー賞を取ったんですね。長編ドキュメンタリー賞と主題歌賞。主題歌があったのかなと思いますけれども。そこで、彼は受賞のスピーチで、この地球温暖化を解決するのは、この危機を乗り越えるのは、政治上の問題じゃなくて倫理の問題だと。私は政治の問題でもあると思いますけれども、まず倫理の問題だと、こういうことを言われています。まあなかなか御達見だと思いますが。
何か新聞を見ていると、総理は私が行った次の日にお行きになっている。いかがでございますか、御感想は。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山委員が見られた次の日に私も拝見をしたわけでございますが、このままいくとホッキョクグマもおぼれ死んでしまうという、そんな内容でございまして、大変説得力があって、私は、この地球温暖化の問題は、主義主張を超えて、これは正に主義主張を超えたということにおいて言わば政治の問題からこれ倫理の問題ではないかと、このようにも思うわけでございまして、今年は東京にはもし雪が降らないということになれば観測史上初めてということになるそうでございます。先般、ロシアのフラトコフ首相と会ったときにも、ロシアも大変今年は暖かかった、まあ暖かかったといっても零下二十度が零下十度になったという程度だそうでございますが。
そういう意味においてはもう世界的な傾向であろうと、このように思うわけでありまして、日本も、これはますます京都議定書と名前が付いているこの枠組みにおいて責任を果たしていかなければいけないと。さらには、やはりアメリカとか中国とか、そういう主要排出国、途上国もそうですが、が入っていない、言わば枠組みの中に完全に入っていないわけでありまして、それを、そういう枠組みを正にポスト京都をどうするかということについては、日本がリーダーシップを発揮をしていかなければいけないと考えております。
○片山虎之助君 そこで、少しいろいろ環境省に教えてもらいましたら、IPCCというのがあるんですね、国際間パネルが。そこの作業部会の報告書で、これ全く現実に地球温暖化は進んでいると、それと、これは人の活動による温室効果ガスの影響だということの断定をしているというんですね。
それからもう一つ、スターン・レビューというのが、付け焼き刃ですからあれですけど、ございますが、その報告でも、これはイギリスでブレア首相に報告出したという話ですけれども、それによると、今行動を起こせば全世界のGDPの一%で対応できると、しかし今を逃すとその被害が五%になると、更にひどくなれば二〇%だと、こういうことを言っているようでございまして、今総理が言われたように、もう世界各国、首脳レベルで意見を統一して、まとめてどうやるかという時代なんですね。
ただ、それが例えばアメリカの問題や中国やインドの問題ありますよ。だから、それはその次に言いますけれども、今言った私の世界的ないろんな見解、報告、意見について、環境大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(若林正俊君) 片山委員が御指摘のように、昨年からこの地球温暖化問題というのは広く大きな関心を呼ぶようになりました。それは正にドキュメンタリー映画でございますアル・ゴアさんの「不都合な真実」がアメリカで公開されて大変な関心を呼び、多くのアメリカの国民がこの地球温暖化の問題を深刻に考え出したということが一つあると思います。
それからもう一つは、スターン・レビュー、イギリスのスターンさんがスターン・レビューを発表いたしました。このスターン・レビューの中でも、この地球温暖化の危険というのは正に地球、人類の危機だというような指摘をし、今なら何とか間に合うんじゃないかというような指摘をされました。
そういうような動きを受けまして、つい先ごろでありますけれども、国連の中に設置されております気候温暖化に関します政府間のパネルでございます国連機関が第四次の報告書、第一部会、報告書を出しました。大変ショッキングなことでございますが、この報告書の中で、この報告の結果というのはベリーライクリーと、ベリーライクリーというのは大体九〇%以上の確率で起こるんだという定義でございますけれども、人為的な起源温室効果ガスの増加によってもたらされるということのその結果は九〇%以上の確率だというようなことを明らかにしたわけでございます。
この五十年で地球の温暖化は予想をはるかに超えるスピードで進んでおりまして、もう委員が御承知のとおりでございます。このことは、地球の問題として言えば、エネルギー安全保障あるいは食料安全保障と並んで、気候の安全保障の問題というのは二十一世紀に地球が直面する最も深刻な問題だと、こういうふうに受け止めております。
○片山虎之助君 そこで、これからのこの問題のポイントは、二〇一三年からの、第一約束期間というんですか京都議定書のその後の、次期の取組の問題だと。そこで、パネルを、私も。(資料提示)
最近はこういうことに加わらないといかぬと思いますので、いやいやこれは、なかなかこっちが見えないね。テレビで見せてください。資料が皆さんありますから、あれ見ていただきたい。
これは、二〇〇三年度ですから平成十五年度ですね、占めるG20諸国の割合でございまして、これで見ますと、そのG8が、アメリカが入っておりますからG8のこの割合が四五%ですね。それから、このいわゆる排出量の多い二十番目までをまとめますと、G20が、G8以外が三三%で、両方が七八%。ところが、現在京都議定書を批准して義務を負っているのは、そこにありますように、削減義務を負う国、このロシア、日本、ドイツなんか始まりまして、これが三〇%だというんですね。三一%か、削減義務を負うの。だから、議定書の五%の義務を例えばやっても実際は二%になると、こういうことでございまして、やっぱりこの批准していないアメリカに分かってもらうということ。ゴアさんは、これを非難していますけどね。あるいは、この経済発展著しい中国やインドにも入ってもらう、その他にも理解してもらうということが是非必要なんで、これはどこの国という問題じゃないですね。地球を救うということなんですよ。地球の人類を救うということなので、すべての生物を救う、こういうことでございますんで、その下に書いておりますけれども、少なくともこのG20諸国の意思をまとめていくという、そのためにはまずG8、特にアメリカ、それから中国、インド、こういうことになると思いますが、総理は二十一世紀環境立国戦略というのをこの前、施政方針で言われておりますし、来年はサミットは日本ですから、総理が議長国の議長になる、こういうことでございまして、そういう意味ではひとつ強力なそれこそリーダーシップを、大きな声は出さなくても結構ですから、まとめていただいてみんなの意思を統合していただくと私はもう世界的な大変な大きな功績になると、貢献になると思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま委員がおっしゃったように、地球温暖化への対応には、米国や中国、インドを含む主要排出国による最大限の削減努力を促す実効性のある枠組みを構築をしていくことが何よりも重要であります。今先生が示していただいたこの図で大変それは分かりやすく理解ができたのではないかと、こう思うわけでありますが。
今年一月に訪問いたしましたイギリスにおいても、あるいはドイツにおいても、またフランスにおいても、そしてベルギーにおいても、またEUの本部においても、それぞれこのポスト京都の議定書についても、いや、ポスト京都についても議論が出ました。そして、私の方からも、是非このポスト京都においてこういう主要排出国を入れ込んだ枠組みをつくっていかなければならないと、このようにお話を申し上げたわけでございます。
現在、国連の下では、米国を含むすべての国が参加する長期的協力に関する対話の実施など、将来の枠組みづくりに関する議論が本格的に始まっております。今年のサミットはドイツで開かれるわけでありますが、メルケルさんも地球環境問題、温暖化問題を主要なテーマにすると、このようにおっしゃっておられました。
私も、日本としても、来年日本でサミットが開催されます。日本においても来年のサミットへ向けてG8での議論に有意義な貢献を行い、そこでの議論が米国等の主要排出国も参加する国際的な将来の枠組みの形成につながるよう、主導的な役割を果たしてまいりたいと思っております。先般、チェイニー副大統領と会談を行った際にも、ポスト京都において新たな枠組みをつくっていきたいと、その中において日本もリーダーシップを発揮をしていきたいと思っていると、日米間においてもよく協議をしていきたいと、こういうお話をしたところでございます。
六月をめどにまとめる二十一世紀環境立国戦略では、中期的かつ戦略的な今後の環境政策の方向性を明示をいたしまして国内に示していかなければいけないと。当然、それに向けては、政府だけではなくて民間も、すべての国民がそういう意識を持って参加をしていただくことが大切ではないか。そして、将来の枠組みづくりに対して世界において日本はリーダーシップを発揮をしてまいります。
○片山虎之助君 私は、もうこの環境問題、環境保全なんか一番日本にふさわしい、これだけ技術力のある、経済力のある、世界に貢献できる国はないと思うんで、是非総理にも頑張っていただき、関係の省庁にも頑張っていただきたいと思いますし、議員も頑張らないけません。
今、参議院は日中と独自の議員外交をやろうということで話をだんだん煮詰めて、かなりもう具体化しつつあります。日米については、衆議院とも一緒になってもっと議員外交を活発にしようと。どうも、最近は日本を素通りして中国に行くのが、議員さんが多いとかという説がある、アメリカですね。
そういう意味で、私はこの地球温暖化の防止をやる、阻止をやる、これは本当に議員外交にふさわしいテーマだと思いますし、特に次期の対策では、正にポイントはアメリカですね、それから中国なんで、是非そういうことで我々も、民間の皆さんにも努力していただくし、政府はもちろんですけれども、議員外交として努力する必要があるんじゃなかろうかと、こう思います。
そこで、総理、国際的にはいいんですが、それじゃ今度は国内的に、やっぱり日本が京都議定書で約束したことはしっかりと守っていく、こういうことは必要ですね。何か聞きますと、五パーだったものが、今の状況なら少し悪化して八・一になっていると、八・一削らないといかぬと、そのうち森林で三・九吸収するんだと、こういうことなんですが、それじゃ具体的にどうやるのかという、各省が共同してきちっとやる何か仕組みというのかな、そういうものが私は要ると思いますよ。
それからもう一つは、やっぱりゴアさんが言うように、国民の意識を変えるということですよ。小さなことはみんなできるんだから、小さなことをみんなやれば大きなことになるんで、小を積みて大になるというふうな、私は揮毫で時々書くんですけれども、是非そういうことを環境で国民の皆さんにやろうというこの認識を持ってもらう、一種の国民運動も必要じゃないかと思いますが、総理いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この京都議定書、正にこれは京都でこの会議を開いたという中において、日本にとってはなかなか厳しい条件であったわけでありますが、責任感においてこれは取りまとめを行ったということでございます。
二〇一三年以降の次期枠組みに関する国際交渉において、先ほど申し上げましたように、我が国がリーダーシップを発揮をするためにも六%の削減目標の達成は全力を挙げて取り組まなければならない課題であると思います。このため、各省庁が一丸となりまして再生可能エネルギーの導入拡大や徹底した省エネルギーの推進、対策の加速化を図るとともに、目標達成計画の総合的な評価、見直しを進めまして、目標達成を確実に期していかなければならないと思っております。
また、不要な照明を小まめに消したり、あるいは省エネルギー型の電気製品への買換えや、自動車を使わず電車など公共交通機関を使って移動するなど、国民一人一人ができることはたくさんあるのではないか。「不都合な真実」の映画の最後にずっと一杯出ていまして、環境に熱心でない政治家には投票するなと書いてありましたが、この国民一人一人ができることをみんなでやっていく、そしてまた、やはり意識改革も大切ではないかと。
この国民運動へとつなげていくように私ども率先して取り組んでいかなければならないと、この問題に真正面から向き合って、将来の世代に豊かな恵み、環境を私たちは手渡していく大きな責任があると、このように思います。
○片山虎之助君 総理がやると言うとすぐはやるんですよ。総理が好きな食べ物だったら一遍に売れるんだよ。総理が読んだ本と言ったらばっと売れるんだよ。総理がやるその省エネを始めとする環境保全の努力は是非本当に率先、やっていただきたいと、こういうふうに思います。
そこで、次に政治と金の問題に入りたいと、こういうふうに思います。
それで、事務所費についてはいろいろありますが、あれはやっぱり事務所費というのは、何というのかな、定型的、経常的なもので、こういうものには領収書の添付は要らないよと、こういうくくりにしているんですね。事務所の維持のために経常的、定型的なものは、事務的なものはということなんですが、ちょっとくくりが大きいかもしれませんね。だから、そういう意味では事務所費を細分化するというようなことはあるいはあるかもしれません。それから、領収書の添付も、一万円以上といったら大変ですけれども、どこまでどうするかもこれは私は議論すればいいと思う。そして、各党各会派が、政治資金規正法というのはずっと議員立法ですから、各党各会派が十分議論して合意をしたら、合意をしたことをみんなで守りゃいいんです。私はそれはそれでいいと思うんですけど。
もう一つ、不動産の取得、保有の方は、これはちょっと質が違うと私は思っております、これはですよ。それで、今不動産の取得、保有をされている方は四人おられる、四人。ところが、申し訳ないんですが、民主党代表の小沢氏以外の三人は全部合わせて三千六百五十五万円ですよ、取得額が。これはプレハブが事務所になったり何かしているケースなんですね。ところが、小沢さんの場合には、本当の事務所があって、それ以外に十二あるんですよ。本当の事務所が、報告によると、発表によると月二百万の家賃で借りている。だから、年間二千四百万ですよ。その事務所以外に十二ある。(資料提示)
これをちょっと見ていただきたいんですが、私もちょっとびっくりしたんだが、赤坂に六つあるんですよ、赤坂に六つ。それから、麹町と南青山、いいところですね、みんな。それで、いろんな名前で、一番上は元赤坂タワーズって百六・七八平米ですよ。その次の麹町はグラン・アクス麹町、七十八・七平米とかなんとか、こういうことなんですね。ずっとこれありまして、それで、使用状況というのが右、取得額がありますね。使用状況というのがその右にありますけれども、本来の事務所以外に小沢氏の書斎、執筆活動拠点と、こうなっているんです。それから二番目は、日米、日中交流団体に賃貸ですよ。その下も賃貸。それから、資料、機材が多いんでしょうね、保管庫がある。それ以外にまた事務所があるんですよ。これは何と書いてある、チェリス赤坂、百十七・一九平米。それから、外国人の秘書さんの事務所、宿舎が、大勢おられるんでしょうか、三か所あるんですよ、ですね。赤坂と、また赤坂ですね、クレアール赤坂と、それからデュオ・スカーラ赤坂。それからその下、南青山も外国人の秘書の方の事務所、宿舎。ラ・セーナ、何か字が小さいから分かりませんが。それから、それ以外に岩手の地元と盛岡と仙台にもマンションがおありになって、これが一番いいところのマンションだそうです。ジェネラス開運橋と、何ですか、何とか、勾当台公園とかというんでしょうか。それから、深沢に秘書の共同作業場、宿舎がある。こういうことなんですね。
それで、総務大臣、政治資金で、政治資金の運用として不動産の取得はできない、もちろん、だから保有もできないということに、政治資金規正法の八条の三だったかな、何かでなっていると思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(菅義偉君) 政治資金は民主主義の健全な発展を希求して拠出される国民の浄財であり、政治資金をリスクのある方法で運用することは国民の不信を招くおそれがある、こういう趣旨から平成四年の政治資金規正法の改正により第八条の三が設けられ、政治資金の運用方法を特定の安全かつ確実な方法に限定されるということになっています。具体的には、銀行への預貯金、国債証券、地方債証券等の取得や元本補てんのある金銭信託といった運用方法に限定をされております。
したがって、政治団体が金銭等の運用として不動産の取得を行うことは禁止されるものであります。
○片山虎之助君 今総務大臣が言ったとおりなんですよ。
そうしますと、政治資金でこれだけのマンションや土地、建物を持つ緊急性、正当性というのがあるんでしょうかね。しかも、二か所は貸しているんでしょう。貸しているということは家賃を取っているんで、運用じゃないんですかね。私はその辺がまあ分からない。とにかく、国会議員四人しか不動産の取得、保有がなくて、その三人は合わせて三千六百五十五万、お一人で十億一千二十万ですよね、お一人で。
しかも、この資金は、収支報告書によりますと、収支報告書によりますと、ほとんどは借入金なんですよ。しかも、同じ年度にほぼ同額の借入れをやっているんですよ。それは、金融機関と、あとは小沢一郎さん個人なんですよ、小沢一郎さん個人。大体ね、それは資料を見ればすぐ分かるんですけれども、取得された年に借入金でこの不動産を取得されているんです。
そうなると、それは陸山会という政治資金管理団体ですから、陸山会が小沢さんと金融機関から膨大な借入れをして、不動産を陸山会の資産として取得、保有して、ずうっとそれから政治資金で返していくんですよ、ですね。その政治資金の中には、例えば個人献金もありますし、あるいは政党支部から回ってきた、これはまあ企業献金でしょうね、そういうものがあるんですよ。ほとんどそれは大変な相似性があるんです、相似性が。
例えば、この上の三つですね。九四年から、九四年に四つ取得されていますね。この四つ取得されているのが平成、これは九四年ですけれども、このときに三億三千五百万の借入れを陸山会はしているんです。それは、大和って、今はりそなですが、これは一億九千七百万、小沢さんから一億三千八百万。で、七年には一億六千二百万、小沢さん個人から借入れをしているんですね。
恐らく、これは私は、税法上どういうことになるのかね。また、小沢さん個人もどこから借りてお貸しになっているのかもしれませんけどね、ですよ。トンネルみたいになっているのかどうか分かりませんよ。それは分かりませんけれども、収支報告から見るとかなりな相似性がある。
借入れでですよ、陸山会が借り入れて資産を取得して、しかもその資産が遊休的な感じもややありますよね、正直言って。こういうのはどういうことになるんだろうかというのは、私は疑問に思うんです。
そこで、この前の小沢さんの発表だと、それは自分の私しないということの確認書があると。それで、その確認書を見ましたら、陸山会代表小沢一郎と小澤一郎個人の契約なんですよ。それで、ただ、字が変わっています。陸山会代表の小沢さんの方は略字です、小沢さんの沢が。それで、個人の小澤一郎さんの方はあの丁寧な難しい字ですね。これは公正証書でも何でもありませんからね。それは、天下に宣言したという意味はありますよ。あるけれども、法的な拘束力はない。どういうふうに考えるのかなと、こういうふうに思うんですよね。
そこで、政治団体が、資金管理団体が解散した場合の財産の帰属というのはどうなるんでしょうか、総務省。
○政府参考人(久元喜造君) 政治団体が解散した場合における残余財産の処分方法についてでありますが、政治資金規正法において、政治団体が解散する場合の残余財産の処分方法については、特段の規定は置かれていないところでございます。
○片山虎之助君 まあこれが政治資金規正法のあれですけれども、規定がないんです。規定がないということになるとどうなるかというと、資金管理団体も人格なき、法人格なき社団ですからね、これは法務省の方の係になる。法務省、こういう場合のあれはどうなるんですか、解散の場合の財産は。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、法人格なき社団でございますが、これも法人格はありませんけれども団体としての実質がございます。そういう場合には、団体としての、ちょうど会社でいいますと定款に当たります内部規約がございますので、その内部規約で残余財産をどうするかということを決めてある。そういうことになりますと、その規約の規定に従うというわけでございますが、仮にこれがございません場合は同種の法人の規定を類推して考えるというのが一般的な考え方でございまして、その場合には、基本的には例えばその執行責任者が同種の目的の法人あるいは団体にこれを処分することができるというようなことになろうかと存じます。
○片山虎之助君 ちょっと今のところもう少し整理して話してください。規約があれば規約に従うんだね、規約があれば。ないときはどうするの。はい、類似の何とかというのは、具体的に言ってください。
○政府参考人(寺田逸郎君) 具体的に申し上げますと、その団体の性格を同じくする法人の規定に従うというようなことでございますので、基本的には、先ほど申し上げましたように、執行者が同種の目的を持つ団体に処分することができるというのが一般的にこの種の法人の規定でございますので、そういうことが同じような関係で成り立とうというように考えております。
○片山虎之助君 こういうことですか。それじゃ、陸山会というのが今その財産を持っているんですよね。で、解散するときは同種の、例えば小沢さんなら小沢さんの政治団体に財産を引き継ぐと、こういうケースですか。引き継がないときはどうなりますか。
○政府参考人(寺田逸郎君) これはどうされるかはその団体がお決めになることでございますけれども、法律の枠組みとしては同種の目的の団体に処分することができるということでございます。
○片山虎之助君 そうすると、まあそこで決めろということですよね。それで、その団体の代表者は小沢さんじゃないですか。そうすると、団体で決めろということでしょう。団体の代表者がまあ普通は決めれるんでしょうね、規約は知りませんけれども。
私は、こういうことがいいのかどうかという。政治資金というのはいろいろな税制上の優遇もされているんですよね、個人献金も企業献金も、でしょう。政治資金ですからね、原資は。借入金で返すのは政治資金で返しているんだから。こういうことが政治倫理上、私はいかがかなと。
なるほど、法は禁止していませんよね。ただ、問題があったから、今総務大臣が言ったように、平成四年の改正でですよ、これも議員立法ですけれども、恐らく、それで報告をしろと、年の、こういうことなんでね。これを普通に政治資金規正法が想定しているとは思えない、私はそういうふうに思いますよ、政治資金の在り方として、政治倫理上も。こういうことについては大いに与野党で話して、国民に疑惑を持たれるとすれば、やっぱりそれはしっかりするような私は対応が各党として、議員として、政治家として必要だと思いますが、総理、御感想をちょっと一連のあれで何かあれば。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、今委員が御指摘されたように、こんなように多額の不動産を所有するということは、当時、当時というか、この法律ができたときには想定されていなかったんだろうと思います。しかも、御本人の名義になっている。その名義の方は全部で三人しかおられず、ほかの方々は言わば選挙のときのプレハブ等の、それを名義になっていると、便宜的に。ということでありますから、事実上、小沢さん一人だけと言っても私はいいのではないかと、このように思います。
やはり、政治は信頼でございますから、この事務所費の在り方について、私は自由民主党に対して、党改革実行本部に議論をするように、政治資金規正法についても、改正も含めて議論するように指示をしたところでありますが、やはりこの不動産の所有の在り方についてもやはりこれは議論をする必要があるのではないかと、このように思います。
○片山虎之助君 しかも、これは、伝えられるところによると、事務所費で処理しているんですよね。領収書が要らないということ。だからこの前公開されたんだと私は思いますよ、事務所費なんで、事務所費で。だから、そういうことを含めて、政治資金規正法、議員立法ですから、それはいろいろ、いろんな議論があり、そのときの状況によってできたと思いますけれども、私は、そういうことはこれから各党しっかりして、見直していく必要があるいはあるんじゃないかと、こういうふうに思います。総理の今のお考えも聞きましたんで、よろしくお願いします。
そこで、次に格差問題ですけれども、格差についてはこれまたいろんな考え方や議論がありますが、私は、数字はともかく、実感としては、これだけ国民に受け入れられているということは、私は格差があると思います。ただ、格差があるのは当たり前なんですよね、自由主義経済では。格差がなくなってみんな平等なら社会主義社会ですよ。やっぱり競争があって、そこでいろんな知恵があって、努力があって、工夫があって、発想があって、そういうことの中に私は格差が出てくるのはやむを得ないと思うし、経済が拡大発展するときはいろんな格差が出てきますよ。地域間だって同じような地域だけじゃないんだから。経済力に大きな差があるんだから。
問題はですよ、午前中からの議論でありましたように、格差を拡大しない、固定しない、格差を縮小する努力をみんなでやるということですよね。私はそれが必要なんで、そのための努力は、一つは、これはもう釈迦に説法ですけれども、経済のパイを大きくするということです。経済の成長力を強めて経済のパイを大きくしないと、パイ小さくて分け合って何になりますか。取った、取られたという議論になる。大きくすることによってゆとりができるんですよ。
だから、そのためには今の景気拡大がもう六十一か月ですか、あれ平成十四年の一月からですから、もう六十二か月になるんですよね。中身は、実質はそれは昭和のイザナギ景気にははるかに及びませんけれどもね。しかし、私はこれを続けていくということが最大の努力をすべきで、その上で地方経済や中小企業やできれば農林水産業にも恩恵が及ぶようにしていく、みんなで努力していく、さらに、さらに、できればすべての家計が潤うように分配率を変えて、給料を出してもらって、人を雇ってもらって、ボーナスも上げてもらって、できれば配当も上げてもらうような努力をみんなでしていくということが一つ。
それからもう一つは、やっぱりうまくいかない人、そういう人にいろんな機会の平等を保障してやる、そういう仕組みをつくっていく。やる気があれば何かできるようなそういう仕組みをつくってやるということが、私、必要だと思いますね。それから、その上で、この前、官房長官なんでしょうか、どこでしょうか、官邸で、何とかチームがいろいろ発表しましたね、ジョブ・カード制度だとか、福祉から雇用へですか、それから中小企業の生産性の低いものを上げていくとか、私はああいうことをやってみたらいいと思いますよ。何でもやったらいいんですよ。
基本的な考えについて総理の御見解を伺って、今の底上げ戦略、それについてのお話を聞きます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 格差については、これは正にいつの時代でも差は、格差はあるわけでありまして、言わば頑張った人とそうでもない人、努力した人とそうでもない人を同じ結果にしたのでは、これはもう社会が沈滞してしまう、これはもう社会主義の失敗がいい例なんだろうと思います。やはり、一生懸命汗を流した人が報われる社会をつくっていきたい。しかし、その言わば格差を固定化してはなりませんし、あとまた、余りにもこれは社会的に容認できないという格差になってもいけないんだろうと、このように思います。
そこで、私たちは、まず何回でもチャンスのある、チャンスに満ちあふれた社会にしなければならない、この再チャレンジ支援の総合プランを推進をいたします。予算につきましても千七百二十億円、施策にしても二百三十七施策、施策をこの予算も含めて打ち出しているわけでございます。
このように、格差を固定化しない、またいろんな困難を抱えている人たちにもどんどんこの次のステップに上がっていけるような教育を受けたい、あるいはまた実習を受けて手に仕事を付けたいと思う人がいれば、そういうチャンスがあるような、そういう社会にしていかなければならない。もう一回勉強をしようと思った人が一回社会に出てからもう一回勉強をして、また自分が望む分野に進んでいける、そういう仕組みをつくっていくことが大切ではないか。そのための施策、二百三十七の施策を今実行していくということでございます。
そしてまた、やはり大切なセーフティーネット機能。人生にはどうしても頑張ってもうまくいかなくて生活の基盤が崩れてしまう人もいるわけでございます。あるいはまた、不幸にして病気になる。そのようなときのためのセーフティーネットの基盤は当然守っていくということは、当然これは私たちの大きな責任であろうと、このように思います。
そして、それと同時に、やはり基盤は経済を、先ほども議論がございましたが、経済を成長さしていくことが大切であって、果実を生み出さなければその果実をみんなで分けていくこともできないんだろう、そのための経済成長戦略は着実に前進をさしていかなければならないと、このように思っているところでございます。
そして、それと同時に、この成長をしていく中でみんなで成長していく、働く人に焦点を当てた成長力の底上げ戦略、これを私ども既に発表をしているわけであります。正に人に着目をした戦略でございますが、官房長官から答弁をさせていただきます。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、大枠につきましては総理から御答弁申し上げたとおりであります。
先ほど機会の平等ということをおっしゃいましたが、正に格差の是正だけを目的に結果平等を求めるのは我々の道ではないだろう。そしてまた、元手がなければ格差の解消というのもできませんから、やはりそこで成長戦略の一環としてこの成長力底上げ戦略というのを作ろうじゃないかということを総理からの御指示で我々作ったところでございます。
柱は三つありまして、先ほど総理から概略申し上げましたけれども、三つの矢と我々言っておりますけれども、一つは、人に注目をするということを今お話がありましたけれども、人材能力戦略。ここにジョブ・カード制度などを入れて、働くためにキャリアアップできるようにという制度を設けよう。
それから、就労支援戦略。つまり、福祉から雇用へということで、ここでもやっぱりジョブ・カードが役に立つんだろうと思いますが、やはり福祉の中でじっとしているんじゃなくて、やはり働ける人は働けるようにサポートしようと、自ら頑張る人を応援していこうと、こういうことだろうと思うんです。
それともう一つは、やはり中小企業が特に最低賃金を上げていくことによって全体の底上げをしていくと。そういうときに、生産性が上がらないでもうからないままに、千円にしろという御提案もありますけれども、元手がなければやっぱり中小企業も払えないわけです。無理やり千円にすればきっと雇用が今度は逆に減るということになりかねないので、全体を上げるためには中小企業がやっぱり元気になって生産性を上げていこうじゃないかと。こういうことで、この三本目の矢である中小企業戦略というのをやろうということになっています。
今、三年間に集中的にこれをやっていこうと。そして政労使で円卓会議というのをつくって、企業側もそれから組合の皆さんも、それから行政、それから政治も一緒に入って、知恵を出して全国的な運動にするべくこれから頑張っていこうじゃないかということで、これから展開をしていこうと思っておるところでございます。
○片山虎之助君 いや、構想はいいんですよ。発想も私いいと思うけど、なかなか難しいなと思いますよ。官房長官が言うようにうまくいくかどうかね。ただ、そこでやっぱり企業の協力です、一つはね。それから自治体、自治体の協力もさしてください。推進体制も円卓会議だけでいいのかどうかよう分かりませんが、それをちゃんと考えて。スケジュールは三年ですか、それで効果が出るように。それをひとつよろしくお願いします。もう一度。
○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるとおり、円卓会議は中央で一つつくりますが、ここで大体のひな形を決めますけれども、大事なのはやはり地方であります。中央と地方の格差の問題になっていますが、やはり各県でそれぞれ商工会、商工会議所を含めて、それから組合の皆さん方にも入ってもらって、そして行政も、今お話しのとおり地方政府にも協力をしてもらって、それぞれの地域地域でまた国民運動的にこの底上げのうねりをやっぱりつくっていこうじゃないかと、こんなふうに考えておりますので、御指示の点については心してやっていきたいというふうに思っております。
○片山虎之助君 そこで、地域間格差の問題、地方交付税の話も先ほどもございましたが、やっぱり地域経済にかなり差がありますよね。有効求人倍率なんか、一番いいところと悪いところは三倍の違いがあるんだから。私の岡山県なんかいいんですけれどもね。それがなかなか、悪いところもたくさんある。だから、地域経済をそれこそ底上げというのか、活性化することを本当に真剣に考えていく必要があるのかなと。いいところと中ぐらいのところと余り良くないところとかなり分かれてきていますよね。
だから、そのためには、私は本当に地方に行って若い人がいないのにびっくりする。人が元々いないですよ。それで若い人がいない。若い人はみんな勉強というか、大学に、東京や大都市に出てきて残っちゃうんですね、ホワイトカラーで。ふるさとに帰らない。これを帰すようにしないと、みんな生き生きとふるさとで頑張ろうという、よし、地方でやってみようと、そういう国にすることがやっぱり美しい国の要素だと思いますよ、私は。
それは、そういう意味ではやっぱり企業立地というものをもっとこの地方にやっていく。あるいは、研究機関、大学もそうですし、それから地方の雇用というものをいろんな工夫をして、これをきちっとしていく、高めていく。まあ観光もあるでしょう。それから私、いろんなことがあるけれども、総合的な知恵を出して地方をやっていただかなきゃいけませんが、しかし、ネックは私はまた地方財政の安定とやっぱり公共事業、単独事業だと私は思っているんです、地方財政の安定。
そこで、三位一体の改革を小泉内閣時代やりましたけれども、あれは基本的には、仕事が地方に多いんだから、仕事に合わせて国の税を地方にやったらどうか。仕事が六対四なんだから、地方が六なんだから、税だけが国が六で地方が四というのはおかしいじゃないかと。せめて、地域的な偏在があるから、税源は五対五にしようというのが三位一体の発想なんで、そのためには、国の補助金、負担金で不要なものや不急なものはやめようと。やめて、その代わりその同じぐらいの金を税源で地方に与えて、地方交付税はその中で合理化してスリムにしようと、こういうことなんですね。
だから、税源移譲すると格差が開くんですよ。東京や愛知県や神奈川県は税が増えるのは当たり前なんです、税源があるんだから、高い収益の企業や所得の高い個人がいるんだから。差が開くんで、その間を埋めるのが交付税なんで、だから交付税を安定的に確保してやるということが地方の活性化につながるんですよ。安定的にですよ。それが一つなんですね。
ただ、交付税というのは税と一緒ですから、地方税プラス地方交付税考えなきゃいかぬので、地方交付税が少ないところは税が多いんですよ。だから、横浜の方が交付税が大阪より少ないのは、横浜が税が多いからなんですよ。人口は横浜がずっと多いですよ。だから、そこは地方税プラス地方交付税の地方一般財源で考えていかないと。
これはしかし、大変考えていただいて、十九年度は十八年度よりよろしい、十七年度よりは十八年度がいい、そういうこと、物すごい良くはありませんよ、しかしだんだん良くなってきたんで。これが一つと。
それからもう一つは、やっぱり民間設備投資はこれだけ東京には集中しているんです、大都市圏には。地方はありませんよ。それはないところはしようがないですよ、公共事業をやってやるということが。公共事業、地方経済が公共事業に依存しているのは問題があるかもしれませんけれども、現実はやむを得ない。だから、これから必要な公共事業というのはあるんだから。例えば防災、減災、耐震工事ですよ、教育施設や福祉施設を中心に。あるいは環境保全や緑化や、正に今は地球温暖化で、廃棄物処理や下水道まで入れるんでしょうか、ですよ。私は、それからITの光ファイバー、ケーブルテレビもやってやったらいい。もうダムや道路だけじゃありませんけれども、ダムや道路だって、それは車が通らないというけど程度問題ですよ。私はやってやればいいと思うんですよ。あるいは、町づくりや市街地改造、中心市街地、将来の日本のために必要なことは一杯あるんですよ。民間設備が少ないところには、それは公共事業やってやるよりしようがない。
それから、単独事業もですよ、余り抑え過ぎないで、地域によって弾力的に考えてやらないと。夕張みたいなことになったら困りますよ。ああいうのは困るけれども、そうでなければ、私は地方がだんだん元気なくなると思う。私は、地方を元気にすることは国が元気になる、総理は、地方に活力なければ国に活力はないと、同じことを言っておられると思いますよ。
是非そこは考えていただいて、総額は結構です、公共事業、単独事業の。配分や中身を考えて、地方を元気にするような、地方を活性化するような、地方に活力を与えるようなことを私はもう是非考えていただきたいと、そういうことをお願いしまして、ちょうど時間になりましたのでまたあしたやらしていただきます。御意見は特に要りません。またあした聞きます。
○委員長(尾辻秀久君) 残余の質疑は明日に譲ることといたします。
明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十六分散会