2016年3月11日00時07分
栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件の裁判員裁判の法廷で10日に映像が再生された、2014年2月の被告と検事の主なやり取りは次の通り。
◇
▽18日
検事「午前中に(殺人を)『やりました』と言ったよね?」
被告「……」
検事「言ったよね?」
被告「パニクった」
検事「言ったじゃない。申し訳ないことをしてお母さんとお姉さんに謝りたいって。午前中のこと覚えてない?」
被告「……(うなずく)」
(中略)
検事「拓哉、殺したことは間違いないということでいいんだよね?」
被告「……」
検事「大変なことやったと思ってるだろ? 後悔してるだろ?」
被告「……」
検事「してない?」
被告「してる」
検事「抱えてきてつらかっただろ?」
被告「少し時間ください」
検事「時間あげれば話せるか? 殺したことだけ確認させてくれ。間違いないな? どうだ?」
被告「……」
検事「やっていないのにやったとか言うなよ。やったなら話せよ。遺族だってかわいそうなんだから。そう思わねえか?」
被告「時間ください」
▽21日
検事「泣いているけど、どんな気持ち? 偽ブランドのときと様子が違うのは自分でもわかるだろ?」
被告「うん」
検事「どんな感情?」
被告「自分に対する怒りはあるし、全部に対して申し訳ない気持ちもあるし」
検事「全部ってのは?」
被告「誰に、は選べない」
検事「女の子は?」
被告「も入っている」
検事「亡くなった女の子が一番かわいそうだろ?」
被告「代わりに(自分が)死ねばいいと思う」
検事「死なせちゃった女児に生き返ってほしい?」
被告「そう」
検事「被害者や遺族はもっとつらいんだぞ。何があったのかを知りたいんだよ」
(中略)
検事「(女児は)知らない女の子?」
被告「知らない」
検事「どうやって車に乗せた?」
被告「声をかけた」
検事「何と声をかけた?」
被告「お父さんに頼まれて、お母さんが大変と言ったら乗ってくれた」
検事「どこに行くと言ったの?」
被告「病院」
(中略)
検事「刺したものはどこに捨てた?」
被告「山。これは後でお願いします」
検事「こないださあ、『ナイフどこに捨てた』と聞いたら『車の窓から捨てた』と言っていたけど違うの? 山なの? どういうこと?」
被告「今のそれ、帰る……」
検事「帰るときに車の中から捨てたんだけど、それが山の中だったってこと?」
被告「うん」
▽25日
被告「きのう、姉と話せて色々と心のつっかえがとれて、その後すぐに弁護士が会いに来たんだよね。弁護士にもちゃんと話せた感じだよね」
検事「(今市事件について)話してくれることになってたよな?」
被告「……」
検事「心のつっかえとれたろ。話してくれるだろ?」
被告「とれた。とれたけど……」
検事「話していいじゃん」
被告「……」
検事「君さ、被害者のこと考えてる? 自分のことを考えてるんじゃないか? 自分と被害者とどっちが大事だ?」
被告「……」
検事「自分か?」
被告「自分勝手だと思う」
(中略)
検事「ごまかすなよ。いつ言うんだよ。あまりにひきょうじゃないか。このずるい様子を被害者の遺族に見せたいわ。話すとか言ってたのに大したもんだな。ずるすぎねえか。『あー』とか『うー』とか言っててもわかんねえんだよ。言えよ何か」
被告「言えたら楽だよなあ」
検事「じゃあ言えよ。いい加減なことばかり言うなよ。被害者の遺族に言ってやれよ、『私言えませんから』って。拓哉さあ、君を不当に陥れたりとかそういう気持ちはないの。被害者や遺族もいちばん君に話してほしいわけだよ」
被告「……」
検事「いつまでも遺族とか色んな人間に恨まれ続けて生きればいいわけだ」
被告「もう無理」(検事と向かい合って座る被告は後方に一瞬目をやり、椅子ごと検事の後方の窓へ向かって突進する。「もう無理だよ」と声をあげて泣く)
▽27日
検事「火曜の夜(25日)に(突進して)来たじゃん」
被告「すみません」
検事「どうしたんだ?」
被告「パニクって」
検事「いいよ。つらかったんだろ。どんな気分になった?」
被告「飛び降りたら楽だね」
検事「自殺しようとしたの?」
被告「楽だろうなと思っちゃった」
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!