王外相「中国は友か敵か」 全人代会見 日本側の認識に警戒感
【北京・相本康一】中国の王毅外相は8日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代)に合わせて記者会見した。日中関係について「改善の兆しが見えたものの、楽観はできない」と表明。理由として「日本の為政者の対中認識に問題がある。発展する中国を友人、パートナーと見ているのか、それとも敵、ライバルなのか」と述べた。
経済分野や民間レベルの交流が改善基調なのに対し、北朝鮮の核実験実施を受けて岸田文雄外相が求めた外相電話協議に中国側が応じないなど、政治面では足踏み状態が続いている。王氏の念頭には、南シナ海の問題で安倍晋三首相らが米国などと足並みをそろえ、対中批判を強めているとの警戒感があるとみられる。
王氏は両国の友好関係の伝統に触れた上で、「日本の政府や指導者は絶えず関係改善したいと言いながら、至るところで中国とトラブルをつくっている。二面性を持った人のやり方だ」と不満を述べた。
一方、朝鮮半島情勢については「火薬のにおいがしている」と危機感を表明。「北朝鮮との伝統的な友好を大切にするが、核やミサイルの開発を中国が容認することはない」として、国連安全保障理事会の制裁決議の履行を明言した。
同時に「半島の安定が根本的に破壊されることを座視しない」と語り、米韓合同軍事演習などを念頭に、関係国に自制を要望。6カ国協議の関係国のうち、北朝鮮を除いた5カ国や4カ国による協議の開催に前向きな姿勢を示した。
南シナ海の諸島で軍事施設の整備を進めていることに関しては「国際法に基づく自衛権の行使だ」と強調。「『軍事化』という帽子は、中国の頭にかぶせるべきではない。もっとふさわしい国がある」と述べ、米国をけん制した。
=2016/03/09付 西日本新聞朝刊=