韓国の医師免許、注射器再使用・診察中の性犯罪で取り消しに

保健福祉部が医療関係者免許制度の改善案発表

 使い捨ての注射器を再使用し、患者に危害を加えたり、診察中に性犯罪を犯したりするなど、不適切な医療行為をした医師の免許を取り消す制度の導入が韓国で進められることになった。現行の法制度では、医師が重大な犯罪を犯した場合でも、免許をはく奪する規定は設けられていない。保健福祉部(省に相当)は8日、「医療関係者の免許管理制度改善案」を発表し、「今年7月の施行を目標に、今月中に法制化の手続きを踏む方針だ」と説明した。

 改善案は「患者の安全を脅かす重大かつ非道徳的な医療行為」をした医師の免許を取り消すことができる3項目の事由を示した。(1)使い捨ての医療機器を再使用し、保健衛生上の重大な危害をもたらした場合(2)無痛内視鏡などによる医療行為の最中に性犯罪を犯し、罰金刑以上の刑を言い渡された場合(3)長期療養が必要との判定(認知症や脳損傷など心身機能の障害により、日常生活においてほかの人の支援を必要とする)を受けるなど、医療行為が困難な健康状態にある場合-がその対象だ。

 現在は1カ月となっている医師免許の停止期間を最長1年とし、免許停止の事由も具体化する。例えば、医薬品として認可されていない薬剤を注射したり、飲酒によって診察に影響を及ぼしたりした場合、麻薬や大麻、向精神薬などを使用した状態で診察を行った場合、患者に対し故意に多量の向精神薬を投与したり、使用期間を過ぎた医薬品を故意に使用したりしたケースがこれに該当する。

 保健福祉部の関係者は「昨年11月、ソウル市の診療所で、注射器の再使用などによるC型肝炎の集団感染が発覚したのをきっかけに、非道徳的な医療行為をした医師たちに対する処罰を強化する必要性が指摘された。免許停止の事由を具体化すること、免許停止の命令制度導入など、医療法の改正は必要な事項については、今月から法制化の手続きを踏む」と説明した。

 保健福祉部は、大韓医師協会の倫理委員会の下に、外部の人物を含む「医療行為適切性審議委員会」を設置し、医療関係者の「重大な身体的・精神的疾患」や「非道徳的な医療行為」の有無についての判断を委ねる方針だ。

朴瑛錫(パク・ヨンソク)記者
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