さつまいもは美容健康に良い食べ物として、数々の効能が知られています。
- ヤラピンという成分は、胃の粘膜を保護し腸を動かす。
- 食物繊維が豊富で、ヤラピンの効果とともに便秘解消する。
- ビタミンCはりんごの7倍。活性酸素を除去する働きがある。
- ビタミンEの働きである抗酸化作用により、細胞を若く保つ。
- 血流が良くなり、冷え性の改善に良い。
これだけの美容健康効果があり、しかもカロリーは御飯と同等以下の100gあたり132kcal。意外と低いカロリーのさつまいもですが、甘さには気を付けなければいけません。
糖質と甘味は脳内報酬系を刺激する
糖質も甘味も薬物依存と同じ作用をすることが動物実験などで明らかになっています。快感を求めて甘味や糖質の摂取を求め、次第に摂取量が増え、摂取しないとイライラなどの禁断症状が出てきます。ラットの実験で、コカインよりも甘味の方がより脳内報酬系を刺激するという結果が報告されています。つまり、甘味はコカインよりも中毒(依存性)になりやすいという実験結果です。
暖房の上でふかしいもをする雪国の楽しみ
テレビから流れる広瀬香美の歌声。
湯上がりしたさつまいもが横になって休んでいる。
ほのかに漂う甘い香りに狂わされた俺は、欲望のままにさつまいもを襲った。
はじめのうちこそ黄金色に光り、湯気を立てて楽しんでいたさつまいもだが、執拗にむしゃぶりつく俺に疲れ果て、紅いハリのある皮は赤黒く変色していった。
さつまいもはぐったりして、身動きするのもダルそうに見えた。
俺がさつまいもを捨てた日
さつまいもは、乱暴に支配する俺から逃げようとしなかった。怖がっていたのか慕っていたのか、奇妙な関係が続いた。
あるときから、俺はさつまいもを無視するようになった。
冷たい部屋に放置する一方で、暖かい部屋には大根をむかえた。
俺は大根のわがままでやんちゃなところに惹かれた。
冷たい部屋で俺と大根の関係に嫉妬し、嗚咽を漏らすさつまいも。
大根の無邪気な声が、俺と出会ったばかりの楽しかった日々を汚してゆく。
乳白色の中身はドス黒いものに侵されていた。嫉妬に狂い甘さも失われ、苦味しかない。
もはや甘い香りがすることもなく、変わり果てた姿となっていた。
無情にも俺は黒く変色したさつまいもを捨てた。未練がないと言えば嘘になるが、代わりはいくらでもいる。
いま俺の隣には、かぼちゃが優しい香りを漂わせている。