Aさんは大手戦略系コンサルティング企業で市場分析、サービス企画立案に従事した後、手掛けた新サービスの責任者としてご活躍していらっしゃいました。若いころから環境問題に強い関心があり、ボランティア活動に参加するなど、「社会に役立つ仕事がしたい」という強い信念をお持ちの方でした。現在の仕事内容ややりがい、待遇には満足していたものの、「自分の能力が生かせる仕事がしたい」という思いが日を追うごとに強くなっていらっしゃいました。起業による独立を見据える中、社会を変える可能性を秘めたビジネスの立ち上げに興味を持ち、次第に転職にも関心を示すようになってきたのです。

Aさんの仕事に対するモチベーションと潜在能力を最大限に引き出すために、この方でないと務まらないポジションをご紹介しました。混沌としたインターネット業界で頭角を現しつつあるオンラインサービス上場企業、新興市場の開拓に向けた大規模な海外事業を手掛ける国内大手メーカー、組織横断プロジェクトの責任者を求めていた外資金融機関の3社です。

Aさんが最終的に選択したのは、成長著しいオンラインサービス企業。同社のサービスは社会貢献と密接につながっており、ユーザー数の急拡大と黒字化を達成していました。半面、成長フェーズで従業員数が急増したため、統率力のある組織の構築が急務だったのです。現在は、「事業の変化と成長のスピードが驚くほど速い環境で力を発揮すれば、将来の起業にもつながる」という新たな目標を胸に秘め、経営視点で意欲的に組織改革を断行していらっしゃいます。

Aさんは大手外資系化学品メーカーで研究開発を中心にご活躍されてきた方で、転職するたびに着実に昇進をされ、海外勤務経験も豊富です。主にBtoC分野で実績を積み重ねてきたAさんですが、配属転換により医療系のBtoBビジネスを手掛けることになりました。Aさんにとって、BtoBビジネスは未開の領域。当初こそ新たな分野に刺激を感じていましたが、この2つは根本的に畑違いのビジネスです。そのため、現状の仕事内容に違和感を覚え始めていらっしゃいました。

私は今回の転職支援で、コンサルタントとして2つのことを大事にしました。1つ目は、次のキャリアアップとして考えていく上で、今までの経験や能力を最大限に生かすのはどのエリアなのかを明確にすることです。今回の場合、Aさんの今後のキャリアを考える上で、BtoCの分野でマネジメントのスキルを生かすことが重要と判断しました。

2つ目は、採用企業の状況を正確にAさんへお伝えをし、理解して頂く事です。今回ご紹介した外資大手消費財メーカーは、ちょうど資本構成が大きく変わり、大規模な組織改革を行っていました。私たちは、採用企業側をきちんと理解した上で案件のサーチを行っているため、企業採用の背景についても正しく候補者へお伝えすることができます。採用企業側の海外本社の狙いは、日本を軸にアジア市場全体を開拓、けん引する重要なポストの人材を採用することでした。AさんはBtoC とBtoBのエリアを知り、海外勤務経験も豊富な方であり、人材としても適任でした。

さらに私は、Aさんが今後キャリアアップを考える上で、今回のポストをお勧めする理由をを4つお伝えました。それは、
（1）BtoC分野のビジネスのスペシャリストになれる
（2）センターの立ち上げという経営課題に直結するビジネスを手掛けられ、新しいチャレンジがある
（3）新規部門の立ち上げに当たり、マネジメントの経験が積める
（4）待遇や給与、ポジションが上がる――という事。
結果、Aさんはこれまでのビジネスの成果を生かしながら、経営に近いポストでスキルアップにつながるという事に結び付いたのです。