5年間で600万人規模の人員削減を行うとも報じられたが、前出の宮崎氏は、看板に偽りあり、とみる。「改革といっても人数減らしが至上命令で、民営化させずに企業を再編したり縮小させたりする可能性が高い。そうなると企業ではモラルが低下し、社会には失業があふれることは目に見えており、暴動など社会不安をかきたてることになりかねない」というのだ。
景気対策の一環として、鉄道や道路、空港などのインフラ投資に年間2兆元(35兆円)超を投じる方針も明らかになった。
その中には、北京から福建省を経て台湾に至るという、とても信じがたい鉄道計画も盛り込まれている。
前出の勝又氏はあきれたように語る。
「今後、投資されるのは不採算のインフラばかりで、GDP押し上げ効果だけを狙っている。資金調達に利用するはずだったアジアインフラ投資銀行(AIIB)はまともな格付けも取れずに当てがはずれ、政府が借金を増やすしかなくなっている」
全人代や5カ年計画の実態について、前出の宮崎氏は「全人代で決まることは現実に立脚したというより、嘘に嘘を上塗りしているようなものだ」と喝破する。虚飾経済の実態をもはや隠しきれなくなっている。