ここまで貿易が縮んでいるのに、前年が6・9%成長で、今年も6・5%以上を目指すとしている。中国経済に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「実際にはマイナス成長と考える方が常識的ではないか」と語る。
過剰債務の問題についても不可解な点がある。楼継偉財政相は、地方政府の昨年の債務総額が16兆元(約280兆円)に上るとした上で、正規の銀行融資以外の取引である「シャドーバンキング(影の銀行)」の資金が流れ込んだ「偶発的な債務」が拡大する恐れがあると述べた。
ただ、中国メディアの報道などで、14年末の時点で広義の地方債務残高が総額で24兆元(約420兆円)という数字が明らかになっており、債務の拡大が続いているとされる。全人代で発表された数字とはかけ離れているのだ。
週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「中央・地方政府などを合わせた総債務は14年時点で対GDP比で282%という試算があり、現在は300%を超えているのではないか」とみる。
14年の中国の名目GDPは10兆3800億ドル(約1175兆円)。単純に3倍すると3500兆円規模というぞっとする数字だ。
「ゾンビ企業」と呼ばれる赤字の国有企業を淘汰(とうた)し、構造改革にも取り組むとも中国政府は強調している。